干潟に出るたび身の危険を感じる季節となって参りました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
少し前から江ノ島に凝っていて、調査をしたらスゴかったという話はすでに記事にしましたが、未調査地点がありました。
8月4日、今回は同行者の協力を得て、調査範囲を拡げてみました。
8月4日、今回は同行者の協力を得て、調査範囲を拡げてみました。
橋からみて島の反対側に位置する稚児ヶ淵の岩礁がターゲットです。
高いヨコエビリティを感じる |
風光明媚とはこのことか・・・ |
岩の上にたまった水の中の緑藻をガサりますが、ドロクダしか出てきません。
仕切り直して波が砕ける際に行くと、紅藻や褐藻がもっさりしています。
太平洋の荒波にビビりつつ、海藻をむしりとってはバットにひろげてみるこれぞヨコエビ道。
紅藻(雑) |
褐藻(雑) |
得られたヨコエビは以下の通り。
Maeridaeスンナリヨコエビ科? |
第三尾肢が短くオスの第二咬脚はこの通りrectipalmate |
Elasmopusイソヨコエビ属 |
スンナリヨコエビはわりと波当たりの強い紅藻上にいて、捕獲時は真っ赤でした。イソヨコエビは波当たりの弱いタイドプールで採れましたが、波打ち際にもいました。
Podocerusドロノミ属 P. brasiliensisではない |
Stenothoidaeタテソコエビ科 |
あとは、モクズヨコエビ類多数。もう何属おるのかも分かりません。
ヒゲナガヨコエビ類は出ず、新顔のハッジヨコエビ上科の面々と、なぜかタテソコエビ科がたくさん出ました。藻類より付着生物(動物)系の基質で得られることが多いだけに、根元のカイメンについてきたのかもとは思いましたが、それにしても数が多い。紅藻を好むタテソコエビなのかもしれません。
橋の下より多様性は高いように思えます。同じような環境はずっと続いていて、今回は途中で引き揚げざるを得なかったのは悔やまれます。
あとは大量のキタフナムシ。海藻にコンタミするコツブムシと巨大なヘラムシ。Isopod天国でもあります。
橋の下まわり(A地点)やメリタ天国(B地点)にも足を伸ばしたものの、上げ潮の時間帯であったため思ったような成果は無く。ただ、A地点では紅藻からAmpithoe validaモズミヨコエビが出ました。
本土に戻り、漂着物をガサってみます。
あまり目ぼしい海藻がなく、拾ったものにはことごとくモクズヨコエビ類が優占しておりました。そんな中で拾ったのがこちら。
cf. Grandidierella japonica ニッポンドロソコエビ ♀ |
前回6月のチャレンジでは、江ノ島側からアカヒゲドロソコエビ似のドロソコエビ類が出現しましたが、 今回はサイズや模様からして別種です。しかしながら、オスを得ることはできず、てっとり早い同定形質が見られなかったことから、種の確定には至りませんでした。ニッポンドロソコエビは本邦広域分布種なので、形態も同じようだしとりあえずこいつということにしておきます(雑)
ニッポンドロソコエビはその名の通り泥底を好み、経験上、砂地でも出ますがある程度の細かな泥粒子を含む場所で採れます。今回ドロソコエビを拾ったのは土と粗砂が混じった海岸に打ちあがった枯草や木の根などでした。砂そのものにいるのか、植物質の基質が必要なのかはよく分かりません。
江ノ島侮り難し。楽しい時間はあっという間だね。
とりあえず前回のサンプルもまだ同定できていないため、モクズヨコエビの分布を見ながら調査の道筋を決めていこうかなと思います。
とりあえず前回のサンプルもまだ同定できていないため、モクズヨコエビの分布を見ながら調査の道筋を決めていこうかなと思います。
まだまだ調べられていない場所も多く、もっといろいろなヨコエビが見つかるはずだと確信しております。
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