ヨコエビの季節、春がやってきました。皆さまいかがワシャワシャされていますでしょうか。
もう少しサンプルが欲しいと思い、件のヨコエビの採集を企てました。3月で予報最高18℃とはいえ絶対寒いです。
前回から一ヶ月ぶりの盤州です。
小櫃川沿いにはかなり巣穴が増えています。
この足跡は…
Helice tridens♂ |
カニが多く、先月とはかなり様子が違います。
前浜に移動します。
天気は良いです。
最干潮は千葉港で16時頃に44㎝、まずまずの潮回り。 |
打ち上げ海藻は全く溜まっていません。
仕方なく流木を引っくり返すと、今、物議を醸しているPlatorchestiaヒメハマトビムシ属がぴょんぴょんと。
どれも小さい個体ばかりなので捕まえません。
干出面にカラスがヒチコクってた(鳥が群れて何やら威圧感を放っている様子)ので、何かあるのかと思って見てみると、
まわりには鳥の足跡多数 |
カラスによると思われる材割りの形跡が…
一通り楽しんで諦めたようです。さて、何となく想像できますが、何が彼らを駆り立てたのか…
やっぱりね
存在感のあるこつぶ |
どうやらコツブ長屋だったようです。
せっかくなので、眼光鋭いカラスを尻目に、文明の利器樹脂スコップを用いてヨコエビを探します。
この背中は…
ドロソコエビ属♀ |
Grandidierellaドロソコエビ属のメスです。
材に穿孔するという話は聞いたことがありませんが、コツブ長屋の間借りでしょう。
さらにほじほじすると、Ptilohyale barbicornisフサゲモクズのオスです。
フサゲモクズ♂ |
そして今、世間を騒がせているPlatorchestiaヒメハマトビムシ属も、ひょこっと出てきました。これは成熟オスではなかったのでリリース。
これまたヨコエビリティの高そうな流木が。
Crab house Kisarazu |
こちらはクラブハウスでした。
最高潮のアゲアゲ真っ最中に失礼します。
こちらも有扇類と、わずかにメリタがいました。
汀線まわりをうろつきます。
群体ボヤのように見える |
怪しい物体を拾います。
ここでJassaカマキリヨコエビ属を確保。
カマキリヨコエビ属 |
いくらガシャガシャやってもこれ以上出てきませんでした。両方ともオスじゃないっぽいです。
たぶんヤバいやつなので厳重に保管しておきます。
海綿ですね。
ほじほじすると、見慣れないピンクいボディが…
マルハサミヨコエビ科の仲間 melochelateかっこよすぎか。 |
Leucothoidaeマルハサミヨコエビ科ですね。これは自己初の科です。感動です。
東京湾にどんな種がいるのか、あまり分かっていません。とりあえず今回は科まで…
第2咬脚でパンチする様子が見れました。普段は何使いなんでしょうか…
そしてElasmopusイソヨコエビ属も確保。
イソヨコエビ属の一種 |
その名の通り磯系すなわち硬質基質でよく見られ、海綿との相性は良い印象です。
赤い物体Xも、黄色い海綿も、元のハビタットからちぎれて流れてきたものと思われます。河口域なのか、それとも別の硬質環境なのか、ちょっと気になります。
フレッシュなアオサと、よく育った紅藻があちこちにみられました。端脚シーズン到来と言って良いでしょう。
UlvaアオサにはEogammarusトゲオヨコエビ属やPtilohyale barbicornisフサゲモクズのメス,Paragrandidierella minimaヒメドロソコエビが付いていました。あっ、でもワレカラはいない…(先月の方がまだいたかも)
たぶんポシェットトゲオヨコエビ |
更に沖に向かうと、Zostera marinaアマモのパッチが広がっていました。
アマモの根元に落ち葉が溜まり、周りの干潟面は泥や土が覆っています。
アマモの葉の間を、波紋を立てるくらいの勢いで泳いでいるやつが見えました。
すくってみると…
アゴナガヨコエビの仲間 右がラヴ・プリズン前。複眼に光が反射して白く見える。 |
Pontogeneiaアゴナガヨコエビ属のようです。
捕食性のはずなので、こうしてアマモ場のプランクトンなどを食べているのかもしれません。
今回、目的のヨコエビを得るため、我が師より道具を授けられています。
1mmメッシュネットです。
前回はスコップで網に乗せたりしたので、今回は更に人間ドレッジを試してみます。
採れない。
採れませんねぇ。
目的としたヨコエビは坊主と相成りました。
前回同様のヒゲツノっぽいメリタは採れたので、ポイントや方法に間違いはないはずですが、全くかかりません。
ヒメドロソコエビ |
Paragrandidierella minima ヒメドロソコエビ、そしてクーマとエビジャコが多いです。
かっこいいクーマがいた |
それと、7年ぶりにEohaustoriusウシロマエソコエビ属を拝むことができました。大型個体と小型個体が採れたので、越冬個体の産仔が始まっているようです。
『東京湾のヨコエビガイドブック』ではEohaustorius sp.となっていますが、こちらのwebページにて韓国のE. setulosusではないかと指摘されています。今回のも見たところ2010年ごろに採れたのと同じような感じがします。
そして残念ながら、潜砂性のサンプルについては現場にて紛失してしまいました。目当てのものが入っていなかったとはいえへこみます…
今回は3時間程度の採集で10科11属が集まりました。盤州干潟恐るべしといったところです。
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