中山書店から『動物系統分類学』が出ましたね。北海道では日本動物学会大会。いろいろ盛り沢山の9月ですが、ヨコエビおじさんは日本プランクトン・ベントス学会大会に参戦(ROM専)です。
プラベン2026@長大文教キャンパス
長崎といえば戦後まもなく端脚類相が記述された (Irie, 1948, 1956, 1959) 海域で、日本最大級のヨコエビ相の報文においても対象海域となっていた (Hiryayama, 1983-1988) ほか、漫然とヨコエビ論文を検索すると一番上に出てくると思われる相当メジャーな論文 (松尾ほか, 2007) も長崎をフィールドとしており、五島列島からは幻の淡水ヨコエビとの呼び声高いゴトウドウクツヨコエビが記載されています (Ueno, 1971)。更に遡れば、日本から最初に新種記載された端脚類であるオオワレカラの採集者であるシーボルトが滞在した出島があり、オオワレカラのシンタイプの産地であることやシーボルトが「warekara」という和名を聞き取りした土地とも推定できます (山口, 1993)。
つまりは端脚類の聖地ではあるのですが、上陸は初となります。
| ジョルダンだとキャンパス名が「文京」表記になっています。早く直して。 |
ヨコエビを主題にした発表がいくつかあり、それぞれ異なる拠点で行われていたのが印象的でした。継続的なものとアドホックなものとがありましたが、ヨコエビの輪は確実に広がっていると感じました。
今回は事務局に写真を送ってマグネットを作成する企画があり、僭越ながら Trinorchestia cf. trinitatis でエントリーさせていただきました。本種は形態の記述に不備があり、現時点で日本の個体群全てを近縁種と識別できず、種の定義が困難であることからcf.としています。
ヨコエビを含めたフクロエビ上目のプレイヤーの間で、帯同を強める新たな動きがありました。これから更に盛り上がっていくものと思います。
磯採集@長崎市近郊
せっかくなので現場に出ましょうかね。
| 会場から車で30分圏内の自然海岸です。 |
粗い砂岩主体でゴリゴリ波に削られています。
表面がすぐに持っていかれるせいか、付着生物は極めて少ない。クラックや、タイドプールの側面にウニが掘った穴、みたいな限定的な環境にイボイワオウギガニらしき赤い目のデカい十脚類が詰まっています。生息基質に乏しいのでハゼの類がそこここにいて、岩の表面の小型甲殻類はあらかた食い尽くされていると思われます。
ガサガサする対象がないのでヨコエビ採集には不向き。それでもかろうじて見つけたアオサの類やウミウチワの類のまわりにドロクダムシ科が。砂浜にもヒメハマトビムシ種群はみられなかったものの、山側から来たと思われるホソハマトビムシ属の死骸はみられました。
潮間帯採集には課題が残りました。もう少し活動圏を広げて選定してもよかったかもしれません。
<参考文献>
— Hirayama A. 1983-1988. Taxonomic studies on the shallow water gammaridean Amphipoda of West Kyushu, Japan. Part Ⅰ, Part Ⅱ, Part Ⅲ, Part Ⅳ, Part Ⅴ, Part Ⅵ, Part Ⅶ, Part Ⅷ. Publications of The Seto Marine Biological Laboratory.
— Irie H. 1948. Preliminary report on Pelagic amphipods in the adjacent water. Journal of the Faculty Agriculture, Kyushu University, 9 (1): 33–39.
— 松尾匡敏・首藤宏幸・東幹夫・近藤寛・玉置昭夫 2007. 諫早湾奥部締め切り後の有明海潮下帯ヨコエビ群集構造の変化. 日本ベントス学会誌, 62: 17–33.
— Ueno M. 1971. The fauna of the insular lava caves in West Japan. VII. Subterranean Amphipoda. Bulletin of the National Science Museum, Tokyo, 14 (2): 161–199.
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