2018年5月1日火曜日

ヨコエビ欠乏症になったら行くべき病院(4月度活動報告その4)


 潮が良いのでヨコエビを採りに行かねばならない気もしつつ、午前中に最干潮が来るのでかなりアクセスの良い場所でないと間に合わないという問題があり、かといって大型連休的な大きな人の流れがあると混雑に巻き込まれて面倒くさいことこの上ないので、関東圏のロケハンをやり直したところ、なかなか良さげな場所を見つけました。


 といってもやはり横須賀です。


 横須賀市民病院というバス停があるのですが、その病院の脇から、細い川が海へと流れ込んでいます。


ここはここでヨコエビリティを感じますが、

 一人で下りたくはありません。



 川を下ると、プライベートビーチみたいな狭い砂浜があります。

 斉田浜というらしく、火気の使用は認められていないものの、釣り人やビーチコーマーなど浜を愛する人の間では、知る人ぞ知る穴場スポットらしいです。



良い眺めです。



 砂浜は山砂が優占しつつもかなり黒みが強く、リップルマークが出るような程よい固さ。ブルームが生じておらず、気温のせいかもしれませんが、何となく大型藻類の強さが感じられます。砂浜は草地と連続しており、斜面にハマダイコンが咲いていました。海岸の堆積物はほとんどイネ科植物。ミシシッピアカミミガメも落ちており、付近の河川から供給される植物資源が多いと思われます。浜には大きな巣穴があり、大きなカニでもいそうな感じです。




河口を横切ると別の浜があります。



 浜の両脇にコンクリ護岸と磯があり、落ち葉など陸上植物遺骸が半分解された黒い砕屑物と、沖由来と思われる様々な切れ藻が混ざっていて溜まっていました。




 圧倒的モクズ。

モクズヨコエビ科
そのモクズじゃねえ

  


 紅藻が多く、そこにワカメやアオサも混じる感じです。
 ピリヒバっぽいサンゴモが密生するポイントがあり、ヒゲナガヨコエビが採れました。ホンダワラもありますが切れ藻ばかりです。


メスの触角に羽毛状剛毛がある系の Ampithoe ヒゲナガヨコエビ属。


 江ノ島のと同種かもしれない。


 カマキリヨコエビもそれなりにいました。

たぶん Jassa カマキリヨコエビ属かと・・・



 サンゴモの根が泥を噛んでおり、ドロクダムシ科がわりといました。こういうところにいるイメージはありませんが、お顔の様子はぱっと見 Sinocorophium 感がありますが・・・?

何らかのドロクダムシ。



 驚いたのは、干出しない砂底から直立していたイギス?をガサると、大量のアゴナガヨコエビが採れたこと。

大小様々な Pontogeneiidae アゴナガヨコエビ科が入り乱れていた。 
 磯の岩に付く海藻にいるのとは少し違う感じがするが、
 盤州の砂泥底にいるのともまた違う。


 上げ潮に合わせて暴れまわる連中は、こういう水没した藻類にたくさん付いていて、タイミングをうかがっているのでしょうか。
 胴長圏内の採集しかしないので、こういうハビタットをもつグループは全く追えてない感じがあります。



わりとガチめな磯


 少しイソヨコエビ。
わりとガチめな大きさの Elasmopus イソヨコエビ属。

 海藻上では相変わらず2番手以降ですが、石の下では幅を効かせていました。メリタはいないようでした。



 そして何かしらのテングヨコエビ科。先日の銚子のものとは違うグループです。

生時は紫色をしていた Pleustidae テングヨコエビ科の何か。



 ハマトビムシは広義のヒメハマトビムシしかいないようです。海浜性っぽいワラジムシのほか、ハサミムシやゴミムシが多いです。あと、ハサミコムシもいました。



たぶん Platorchestia pacifica (のはず・・・)
  第5-7胸肢(特に7)の腕節が太めで、
 これは P. joi との識別点の一つとのこと。


 ハマトビムシが多く採れたのは岩の間に半ば挟まっている細片化した陸上植物の遺骸の下です。 Ligia cinerascens キタフナムシも走り回っていましたが、砂地の漂着物が乾き気味だったのに対して、岩の間の植物遺骸はかなり湿気がありました。あわよくば Pyatakovestia も採れればと思いましたが見つからず。更に岩の奥にいたりするのかもしれません。


これがハマトビリティ。


 そこそこのヨコエビリティを誇りつつ、アクセスの良さとレジャー感のなさを兼ね備えており、理想的なフィールドです。コンビニもまあまあ近く、パピコが調達しやすいのも良いです。

 ヨコエビといえば横須賀という新定番は有り得るのではないでしょうか。

 今後のスマート採集のモデル地として活用していきたいと思います。




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