夏もいよいよ本番となってまいりました。そして徐々に潮が引きにくくなってまいります。
潮干狩りシーズンが終わるあたりから海辺でキャッキャウフフが繰り広げられるようになり、土日にビーチでも横切ろうものならば、あちこちにスミビケナシザルやヒナタケナシザル、スナヤマケナシザルやらタマオイケナシザルなどが縄張りを構えており、ムシトリケナシザルにとっては不都合極まりないわけです。つまり、夏の平日の砂浜は基本的にNOです。そして、海水浴場でなくとも観光地化されていればこうした競合が起こりうるため、ニーズを外す技術が求められます。三浦半島では前月大きな誤算がありましたが、更に技術を磨いて、生息基質が撹乱されず採集が容易なサイトを探索しなければなりません。とりあえず関東を脱出する勢いでやったほうがよさそうです。
そしてこんな時期に関東を越えて東海に差し掛かると、潮目に追われる身分としては日帰り採集のハードルがぐんと上がるのですが、伊豆半島ならまだ活動範囲と思い定めて、当方の実績のない東岸のヨコエビリティを追究すべく、干満に左右されにくい潮間帯上部から潮上帯にかけ、ハマトビムシ上科を追うことにしました。
静岡県某所 |
打ち上げ物はほとんどなし。波当たりが強すぎて碌な海藻も生えていません。
一目見て若干の失望を禁じ得ませんてしたが、どんな時もヨコエビを諦めないなのがヨコエビストというものです。
浜の端、陸から水が流れ込んできているあたりを攻めてみます。陸からの植物遺骸が供給されて、多少は堆積物が充実しているはず。
いやまずフナムシが多すぎる。
大岩の間に入っている石ころ、特に付着物が多いものを物色してみます。
Hyalidae モクズヨコエビ科 |
やけに触角の長いモクズが来ました。
このあと周辺を調べましたが、フサゲモクズ的なものばかりで、同じものは出ません。
注意深く観察すると、波を被っている岩の表面に、小さなアイソポッドやらモクズヨコエビやらが蠢いています。踏むと滑るような、薄く生えた藻を食べているのでしょうか。それにしても、人間も少し怯むような波が次々やってきても、連中は平気なようです。
採集法を検討しましたが、開発できませんでした。今後の課題とします。
とりあえず、モクズヨコエビ科だけ3種くらいいそうです。
そしてこんな礫浜の漂着物下といえば
Pyatakovestia iwasai ミナミホソハマトビムシ |
分布としては pyatakovi もワンチャンあるかと思いましたが、どうやら太平洋岸では iwasai のほうが得やすいようです。
ヒメハマトビムシ(広義)もいましたが、多産せず未成熟のものを数個体見かけただけで終わりました。
やはり浜の上の漂着物の薄さが、フナムシ優占の潮上帯勢力図を描いているようです。今後のロケハンの参考にしたいと思います。
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