前回大好評を頂いた?「タイプ標本の値段」の続編です。
というのも、実際のところ今回寄贈する機関では標本の単価を設定せず管理するのが通例とのことで公文書への金額記載は免れたものの、肝心のタイプ標本が輸送中に紛失するという事態が発生し、改めて評価額の算出が必要となったわけです。
エクセルファイルを引っ張り出し、 わかりやすいかたちに改変しました。これを某運送会社に提出したわけですが、せっかく作ったので皆さんにも見てもらおうと思います。
まず、採集したサンプルのリストを以下のような形式にあてはめます。
※以下、数値は全て架空のものです。
日ごとに種の標本数をまとめます. |
記載の対象となる種だけ抜き出すか、あるいはその時に他に得られている成果があればそれを含めて表にするか、目的によりルールを決めるとよいでしょう。
複数種を含める場合、この表を元に種ごとの割合を求めて重みづけします。
種の割合=種ごと標本数/全種合計標本数 |
次に、採集にかかった実費を計算します。自分で採ったりしている場合は人件費を求めるのが難しいため、今回は採集日ごとに該当する地域および期間の労務単価をもとに手間賃を算出してみます。そして、採集にかかった諸経費(交通費、宿泊費、消耗品費、許可申請費用など)を加算します。これで理屈上は、「ただの自然由来の動植物」である標本を1日ごとに金額化できます。この金額に種の割合を掛け合わせれば、種ごとの経費が出ます。
労務単価+交通費+宿泊費+消耗品費 |
採集の諸経費×種の割合 |
次に研究費です。
とりあえず、年ごとの研究者の平均賃金を調べ、分類にかかった時間を掛けて、種ごとに加算します。これが同定(分類作業)後の標本の総額です。
これに、標本種別の重みづけを行い、パラタイプの値段を求めます。このへんは全くコンセンサスが得られていないためアレですが、例えば「ホロタイプ70%」「パラタイプ20%」「その他10%」などはいかがでしょうか。
分類(記載)に使用した標本数と、 このうちタイプ標本に選んだ点数 |
このパラタイプの合計金額を、論文に使用するパラタイプの点数で割り、これに標本そのもののに付随する実費(瓶、保存液、ラベル等)を足してみます。ちなみに当方がラベルに用いている耐水紙は1枚20円くらいで30平方センチでやっと1円のようです。
こんな感じです。
採集実費+研究費, タイプ標本の合計金額(9割掛け), タイプ標本単価, 標本に付随する経費(100円)を足したもの. |
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