どこに居ても暑いのですが、大潮なので海には行かねばと、やおらグーグルマップを立ち上げてロケハンを試みます。
その結果、かつてハマトビオフを実施した横須賀某所へと足を向けてみることにしました。
写真は撮っておらず誠に申し訳ありませんが、どうやらこの界隈は地元の人に知られた海水浴スポットらしく、水着のチャンネーを含めたサマーな感じの人々でごった返しており、BBQやらビーチのオリエンテーションやらスクーバやらを楽しむファミリーや若者のグループで賑わっていました。冬はビーチコーマーだけだったのに(当然)。
浅場の足元にはウニマンション。これは図鑑とかで解説されているように自分で穴を掘ったのでしょうね。
硬い層とやらかい層が交互に堆積した地層が、斜めになっています。
ちょうど日陰になっていて、炎天下でも体力を消耗せず採集できそうです。
石灰藻類が多く、わずかに紅藻と褐藻がチョボチョボと生えています。
漁業権が設定されている海産物の採取は固く禁じられていますが、石灰藻類は他ならぬ磯焼け現象の権化ですので、容赦なく捥ぎることにします。
Elasmopus イソヨコエビ属 |
第1触角が欠損しています。輸送時に破損したようです。無念。
Hyalidae モクズヨコエビ科 |
最近話題の交尾前ガード行動です。たとえ体色が褪色したとて、70%エタノールの中でも変わることのない二人の絆。この夏いちばんキュンとくる愛のカタチではないでしょうか。
Isaeidae イシクヨコエビ科 |
Maeridae スンナリヨコエビ科 |
Pleustidae テングヨコエビ科 |
何らかのタカラガイ |
ふと、岩の下に何やら赤くてピロピロしたものが見えます。
もしかして・・・
ヤギ!?
ヤギといえば表面に付着しているテングヨコエビですよね。
ガシャガシャと洗ってみます。
Pleustidae テングヨコエビ科 |
思ったよりめっちゃ付いてた・・・
Gamô & Shinpo 1992 は真鶴での記載ですが、これもイソバナヨコエビということでいいのでしょうか。
しかし、似たようなのは周辺の海藻からもまあまあ採れますので、そんなに基質の好みがシビアでないか、ものすごく面倒な近似種なのかもしれません。ヒゲが外れやすいので気を付けたいところです。
潮も満ちてきたので、潮間帯から離脱してハマトビ採取に移ります。
採集に専念しすぎて碌に写真を撮っておりませんが、ハマトビオフの時には跳ねず飛ばずの静かなサイトが、今回はビシビシと跳ねまくる騒々しい爆釣ポイントとなっていました。
ものすごく狭い砂浜で、わずかな打ち上げ海藻と枯草のような陸由来のゴミが半ば踏みしだかれながら横たわっている環境ですが、彼らにとっては住み良い場所のようです。
パッと見、やはり「joiっぽいpacifica」個体群の性質を具えているようです。
このへんについてはまた、続報あればお伝えします。
(参考文献)
- Ariyama, H. 2018. Species of the Maera-clade collected from Japan. Part 1: genera Maeropsis Chevreux, 1919 and Orientomaera gen. nov. (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Zootaxa, 4433(2).
- Gamô, S., Y. Shinpo 1992. A new gammaridean amphipod, Pleusymtes symbiotica, ectosymbiotic with a Japanese Gorgonacean Octocoral, Melithaea flabellifera (Kükenthal) from Sagami Bay. Science reports of the Yokohama National University. Section II, Biological and geological sciences, 39: 1-11.
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