しかしこれは長続きしないパターンです・・
さて、予告していたベントス調査、無事に行うことができました。
事務局に確認していないため(確認しなさいよ)、背景は一切説明せず、とにかくヨコエビの話しかしません。ご了承ください。
東京湾湾奥の某海域です。夜です。
新月の大潮で、御覧の通り真っ暗でした。
ベントス調査は先日の多摩川&三番瀬以来になります。このため、色々と勝手を忘れていて、サンプル用の瓶やチャック袋もなければ、ライトもないという、夜の干潟を完全にナメている装備でした。でも、胴長だけは冬の渓流仕様の高いやつでした(^^;)
(昔、間違って買っちゃったやつです)
本調査があるので、私は暇を見つけてはそのへんのものを拾ってガシャガシャやるというパターン。
悪い写真ですみません。報告書に使えなさそうなショットを選んで掲載しております。わざとです。
これはエドカサネカンザシ※1の棲管が集まったもの。他にも、杭に付着した海藻のカタマリなどを採取。 杭に付着=アリアケドロクダムシMonocorophium acherusicumの棲管 というイメージがありますが、それらしいものは全く確認できず。
リップルマークは、普段見慣れているお白州のような模様ではなく、網の目状になっていました。
・・で、何が出たかというと
モズミヨコエビAmpithoe varidaの抱卵♀。かと思いきや、もう卵が孵化して子供がたくさん。思わず叫び、そしてヨコエビの母性愛について熱く熱く語ってしまいました。
「見て下さいほら、ここに子供たちが・・」
「そうなんです、ヨコエビって、プランクトン幼生期がないんです!直達発生なんですよ!」
「こうやって、母親が卵から子供まで守ってやるんですよ。」
「子育てにはこのコクサルプレート、つまり底節板の構造が重要なんですよ。この溝を、こう、水が流れて、新鮮な海水を運んで、酸素が卵に・・」
周囲はドン引き。
他にもドロクダムシ科の一種が得られたのですが、細部を観察する前にどこかへ行ってしまいました。
あとは、こちら
モズミヨコエビの子供に混じっていましたが、見つけました(ドヤァ。
おそらく、ポシェットトゲオヨコエビEogammarus possjeticusでしょう。ポシェットたんです。ポシェットと言っても肩から下げるあのポシェットではありませんよ。詳細はTzvetkova(1967)参照。
この海域では、春先からモズミヨコエビやポシェットトゲオヨコエビが増えてくるようなイメージがありますが、時期的にまだまだ数が少ないということなのか、今年は棲みかが少ないのか・・?
このポシェットは明らかに、生まれてからさほど成長していない子供です。再生産が行われていることは喜ばしいのですが、今後どうなるかは分かりません。
この調査は今後も継続していく予定ではありますが、それに甘んじていてはいけませんね。
自分の両手でつかみとらないと、サンプルは得られません。
どこ行こうかな・・
これら調査一連のデータは、NPOの報告書という形で世に出るはずです。
私はひたすらヨコエビの存在感を高める推し事に精を出します。それじゃダメじゃん。
<参考文献>
-Tzvetkova, N.L. (1967) Issledovanija fauny morej V (XIII) Biochenozy Zaliva Possjet Japonskogo Morja, Gidroviolodicheskie raboty s pomosshju akvalangov
[ Explorations of the fauna of the seas V ( XIII ) Biocoenoses of the Possjet Bay of the Sea of Japan (Hydrobiological investigations by means of aqualungs ) ].
Akademija Nauk SSSR, Zoologicheskii Institut [ Academy of Science of the USSR ,
Zoological Institute ], 5: 160–195.
追記
※1 エドカサネカンザシ
てやんでい!
これはエゾカサネカンザシHydroides ezoensisの誤りです。
学名からして江戸要素ゼロです。
トウキョウトガリネズミ的な間違いです。
お詫びして、訂正致します。