今月は水生昆虫談話会の例会に参加しました。じつに9年振り。
ヨコエビの演題に耳を傾けていたのですが、例会後のオンライン飲み会で淡水産ヨコエビが載っている書籍を知り、さっそく購入しました。
わずか1営業日で発送。神奈川県のネ申対応やばい。 |
— 金田彰二 2006. ヨコエビ類. In: 石綿進一・齋藤和久(編)『酒匂川水系の水生動物~里地・里山の生きものたち~』.神奈川県環境科学センター.
本書に掲載されているヨコエビは以下の4種類です。
- アゴナガヨコエビ科
- キタヨコエビ科アゴトゲヨコエビ
- マミズヨコエビ科フロリダマミズヨコエビ
- ハマトビムシ科
本書によると、神奈川県の河川においてアゴナガヨコエビ科は2種が知られるとのことです。富川・森野 (2012) 、Tomikawa et al. (2017) あたりを参照するに、ヤマトヨコエビ Awacaris japonica と タキヨコエビ A. rhyaca のことかと思われます。
ハマトビムシ科(当時)については、全身図は第7胸脚の形状や全身の姿勢などから ニホンヒメハマトビムシ Platorchestia pachypus のオスを土壌動物図鑑から転載したように見えます。ただし、尾節板は背面に剛毛を欠き、種の特定には至りませんでした。ちなみにニホンヒメハマトビムシは海浜性で、おそらく河川の採集で得られるのはモリノオカトビムシ属であろうと考えられます。
今回の例会では、北関東がオオエゾヨコエビ属の空白地帯であることを知りました。確かに全く採れません。今後の展望としては、オオエゾヨコエビ属がいる場所を巡って採集スキルを磨き、改めて地元の分布を細かく調べてみたいとは思っています。ただ、どう考えても解明度が低く記載が喫緊の課題なのは海産なんですよね…
<参考文献>
— 森野浩 1991. ヨコエビ目. In: 青木淳一(編)『日本産土壌物検索図説』.東海大学出版会.
— 富川光・森野浩 2012. 日本産淡水ヨコエビ類の分類と見分け方.タクサ, 32: 39–51.