2018年4月1日日曜日

2018年4月1日活動報告


 世界最大のヨコエビといえば深海のアイツが挙げられますが、実はこのような説があります。



 19世紀、貿易船の船長であったAlbrecht Jens-Miespottなる人物が航海から持ち帰った珍品の中に、ハマトビムシの乾燥標本があったという話です。

 彼の死後、コレクションは逸散し、この乾燥標本も行方が分からなくなり、戦火で焼失したとも、破損により廃棄されたとも、言われています。しかし、特筆すべきはその大きさで、



”無眼柄甲殻類の乾燥標本。1点。産地不明。取得日不明。砂ノミ(ハマトビムシ類)と同じ形をしているが、かの動物を100匹並べてもやっとその胴体の半ばに達するほど。木製の簡便な台座の上には綿が敷き詰められ、本体は針金を組み外骨格を組み上げた構造をしているが、強壮な男性でも2,3人がかりで運ばねばならない。”(氏の友人が記したと考えられている遺品目録より)



”最初に大きな砂ノミ(ハマトビムシ類)の剥製が運び込まれたとき、適した置き場がなく、物置のベッドの上にいっぱいに置かれたと記憶している。何にせよそれは大きかった。奇妙な物だと思ったが、他にも奇妙なものはいくらでもあったので、さほど細かくは覚えていない。”(氏の召使いが語ったとされる証言)



 つまり、頭頂から尾節板の先まで、大人が寝ころんだくらいはあったというのです。

 海生の甲殻類の中には確かにヒトを凌ぐ大きさのものが知られており、フクロエビ上目で言えば等脚類の中にはグソクムシ類のようにかなり大型化するグループもいます・・・が、陸生の無脊椎動物としてはおよそ常識的とは言えない大きさです。

 標本が然るべき研究者の元に渡っていれば記載される機会もあったと思われますが、どうやらそれには至らなかったらしく、それらしい文献は見つかっていません。





 しかし、どうやらこれと同じ類のハマトビムシの撮影に成功した人がいたようです。



 欧州の探検家が遺したハンティングの画像を集めたデータベースの中に、撮影者や場所は不詳ながら、それらしいものがありました。一応「about mid 20C」とあり、Jens-Miespott氏の没後に撮られたものであると考えられ、近縁の他種かもしれませんが、とにかく巨大ハマトビムシ類というくくりでは、再発見と判断して良さそうです。

 参照できるのはこの写真だけのようです。

hunter with super giant talitrid

 真偽も不確かな上に不鮮明ですが、まあ確かにデカい・・・


 このヨコエビに関しても、サンプルを持ち帰ったのかどうかすら不明となっています。



 ハマトビムシの天敵は数知れず。素早く逃げる方向への進化が最適解と思われますが、巨大化して身を護る方向へ舵を切ったというのは驚きです。

 この件については今後も情報を集めていきたいと思います。




(参考文献)
- Michel Arrivé. 2001. Jean-François Jeandillou. Supercheries littéraires : La vie et l'œuvre des auteurs supposés. Nouvelle édition revue et augmentée.




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  毎度お付き合いいただき誠にありがとうございます。

 今年のエイプリルフールでした。



 お粗末な画像ですが、私が伊豆大島で撮影したスコリアの平原に、ハンターとハマトビムシの画を合成したものです。

 Jens-Miespott氏については、Stümpke著『Bau und leben der Rhinogradentia』にて、MorgensternにHi-Iayの動物相について教えたのではないかと目されている人物の名前をお借りしました。

 恐らくヨコエビ類は鰓の構造が未発達で、陸上でのこれ以上の大型化は望めないのではないかと思われます。ただ、大きなものにはそれだけロマンがあります。ダイダラボッチの34cmを越えるヨコエビはいつか現れるのではないかとちょっと期待しています。

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