2023年4月1日土曜日

2023年4月1日活動報告


 最近、ケラのようでケラでない「ツツケラ」という直翅類が話題を集めています。収斂進化の賜物といえましょうが、ヨコエビにも類似した種がいます

 それが Cylindrachetecaris australis です。

 




 第1胸節から第4胸節までが癒合した特殊な体制を持っています。第3,4胸および腹肢・尾肢を欠き、尾節が全て癒合していることから、長らくワレカラ亜目として扱われてきましたが、近年では所属不明群として扱われているようです。


 第2咬脚はモグラのような形状になり、指節は消失しているようです。第5胸脚以降は似通った形状で、長節・腕節は肉厚、各節の前後の縁部に短剛毛を密生しています。指節はやはりほとんど残っていませんが、前節前縁に太く直線的な棘状剛毛があります。

 地下水系の底部に堆積した砂中に穿孔して一生を送る、極めて珍しい種のようです。視力を失っているとのことですが、Journal of Oligophotic Kinetics and Ecology誌に掲載された記載論文では、運動パターンやメカニズムも記述されています。どうやらこの種は触角を用いて化学物質を感知し、また自らも付属肢を用いて発音することで疎密波を地中に伝達させて、地中に何があるかまで把握できるようです。歩脚をはじめとして各所に長い剛毛を具えており、振動を感じるのに役立っているとのことです。

<Reference>

— Roper, S. 1959. New species of extraordinally infaunal amphipod from Western Australia. Journal of Oligophotic Kinetics and Ecology, 41: 23–31.  


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 というわけで、今年もエイプリルフールでした。ただまあこういう姿ではないにせよ、地中を掘り続ける生活に適応したヨコエビが新たに見つかる可能性がないとは言い切れないです…

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