2023年8月5日土曜日

海(8月度活動報告)

 

 今年の科博の夏休みのやつは「海」とのこと。海といえば当然ヨコエビが関わってくるわけで、覗いてきました。


 なかなかの人手です。


涼しげな看板


 生物の紹介パートに入って、いきなり海洋における線虫の暴力的な多様性が提示されました。もう他の多細胞生物のことがどうでもよくなってしまうレベルです。陸上にそのまま当てはまるものではないですが、いやはや、恐ろしい。


線虫すごいぜ



いました

 これらのヨコエビの画像はネットで散々見ていますが、今回の標本は固定方法なのかライティングなのか、節々の細部までかなり観察しやすく、身体の構造が非常にわかりやすいです。いつも置いてあるだけで御の字だったヨコエビですが、今回は実利として大満足です。それにしても、ダイダラボッチの第2,3尾節背面にある凹みというか2本の強いキールは、一体どんな機能を有しているのでしょう。



ヨコエビの視点(ハイパードルフィン)



ヨコエビの視点(ベイトランダー)


ダイダラボッチの群れ


 とりあえずダイダラボッチを買ってきました。


PN:胸節;PS:腹節;US:尾節;CX:底節板


 全体的に背腹扁平の作りになっていて、あまりヨコエビ感はありません。ぬいぐるみとして側方に平べったいのはちょっと親しみにくい部分もあるので、そういった設計なのではと思います。
 まず体節ですが、頭部のほか胸節7節と腹節3節に加えて、尾節が2節という編成のようです。実際のダイダラボッチは尾節が3節ありますが、互いに被っている部分がありそういったビジュを表現したものと思われます。
 胸脚は7対あり、身体にくっついている底節板と概ね対応しています。これは実際のダイダラボッチと同じですが、第5底節板が異常に大きく、それ以降も、第1~4底節板と同じ深さになっています。また、第6胸節の下に潜り込んだ第7胸節の下から第6・第7底節板が生じており、これは現実のヨコエビの体制からは明らかに逸脱しています。
 二又の付属肢が、第3腹節と第1尾節から1対ずつ生じていますが、実際のヨコエビにおいて腹肢と尾肢は形状が違います。これは恐らく第1尾肢と第2尾肢を表現したもので、この5節になっている尾体部というのは、尾節をオミットしたというより、腹節をオミットしたのかもしれません。その後ろには3対の三角形の棘を有したフリルがありますが、もしかすると尾端にある二又の尾節板と、それに続く二又の第3尾肢を表現しているのかもしれません。
 

 そしてもう一つ、猿田彦珈琲から出ている「超深海ブレンド」。1箱に5袋入っていますがそのうち2つがカイコウオオソコエビとダイダラボッチという、ちょっと正気ではない編成です。6,000m以深に住んでる目に見えるサイズの動物がそんなもんなので、当然の帰着かもしれません。


※深海生物由来の成分は含まれません


5袋中2袋がヨコエビという異常グッズ。


他の3袋はこれ。


 猿田彦といえば天狗のような風貌の国津神ですが、今後はテングヨコエビをモチーフにしたコーヒーなんかを作ってくれないですかね(無理筋)。


 ヨコエビ成分は少なく、また今日は混みまくっていてじっくり見れていない部分もありますが、副題の「生命のみなもと」に内包される多様な意味合いが興味深い構成となっていました。まだの方はぜひ足を運んでみてください。


 

<おまけ>


いつもの。

 Gammarus sp. とありますが、どう見ても Hyalella あたりなんですよね。


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