2021年3月22日月曜日

ナミノリソコエビ科について


 このたび、ナミノリソコエビ科の新種を記載しました(以下、Ogawa et al. 2021)

 

これがウスゲナミノリソコエビ Haustorioides furotai だ!

 


 これまで ROAD TO DESCRIPTION シリーズI 立志篇II 救済篇III 解剖篇IV 研鑽篇V 調布篇Ⅵ 散財篇Ⅶ 描画篇Ⅷ 完結篇)としてちまちまつらつらやってきた記載がとうとう皆様のお手元に届くことになりました。せっかくなので、論文の中で触れなかった細かい研究背景などを解説します。
 

※近縁のモクズヨコエビ類の提唱についてはこちらに。ハマトビムシ類についてはこちら(入門編最新事情[1]最新事情[2])に。



お詫び

 まず、東京湾のヨコエビガイドブックにおいて本種を Haustorioides japonicus として紹介していたことをお詫びして訂正します。
 ガイドブックにある通り、従来挙げられていた同定形質であるところの「腹節板後角の突出」「尾節板の癒合」などの特徴は Haustorioides japonicus と一致しています。このため、ある意味では「Haustorioides japonicus の隠蔽種」となりますが、個人的には「パッと見そんなに似てねぇ」と思いますので、同定ミスの類と認識しています。




ナミノリソコエビ科とは


 ナミノリソコエビ科 Dogielinotidae Gurjanova, 1953 は Hyaloidea上科 の一員で、モクズヨコエビ科などと近縁のグループです。

 「潜砂」に特化した(いうなれば「埋在性」)属が複数含まれています。なので、Lowry and Myers (2013) では生態特性が「海洋性・表在性」という表現はあまり正確ではありません。なお、担名属の Dogielinotus属 をはじめとして、潜砂性種は全て北太平洋沿岸にみられます。

 本邦既知の潜砂性種は ナミノリソコエビ属 Haustorioides です。砂泥底に適応しており、主に水中の有機懸濁物を摂餌していることが知られています。潮間帯では砂から出て餌を採ってまだ戻る(清家 2020)ようですが、私は観察できていません。「波乗り」というぐらいですから、この属に普遍的な生態と思われます。私の卒研では底質中の密度に日周変化らしき現象をとらえており、潮の流れに呼応して移動しているのは間違いないと思います。


 科の判別文は、Lowry and Myers (2013) が最新と考えてよさそうです。以下に引用します。

 身体は横方向に圧扁される。複眼はよく発達し、円形、卵形あるいは角丸の四角形。第1,2触角はカルセオライを欠く。第1触角は、第2触角より短い、あるいはほぼ同長、あるいはより長い;柄部第1節は、第2節とほぼ同長あるいはより長い;柄部第2節は、第3節と同長あるいはより長い;柄部第3節は第1節より短いあるいはより長い;柄部第1~2節は膝状とならない;副鞭を欠く。第2触角柄部第1節は肥大化しない、あるいは肥大化し、球根状。大顎臼歯部は擂潰に適する;髭を欠く。第1小顎基節内葉は先端に剛毛を具える;髭を具える、あるいはこれを欠き、髭を具える場合は左右対称。第2小顎基節内葉は斜走剛毛列を欠く。下唇内葉は退化的、あるいはこれを欠く。底節鰓は第2~6胸脚あるいは第2~7胸節にあり、柄は伴わない;胸節鰓を具え、あるいはこれを欠き、単純形;胸部の膨隆部を欠く;覆卵葉は縁部に単純形あるいは先端が曲がった剛毛を具える。第1咬脚は亜はさみ形;雌雄でよく似る(性的二型はない);第2咬脚より小型(発達が弱い)あるいは同大;前節掌縁は縁に沿った太い剛毛を欠く。第2咬脚は亜はさみ形;雌雄で似ない(性的二型がある);腕節は前節の後縁に沿って、強くあるいはやや引き伸ばされる。第3,4胸脚に性的二型はない。第4胸脚は、よく発達した、あるいは小さな後腹側葉状突起を具える。第5胸脚は第6胸脚より短い;底節板は均等にあるいは後腹側に葉状突起を具える。第7胸脚は第5胸脚より長い。第1~3腹節背面に竜骨状突起を具える、あるいはこれを欠く。第1~3尾節は癒合しない;背面に細長い、あるいは太い剛毛を欠く。第1尾節は腹側端部に大きく太い剛毛を欠く。第2尾節は背面に剛毛を欠く。第1尾肢は基部表面の太い剛毛を欠く。第3尾肢に性的二型はない;単葉で羽毛状剛毛を欠く。尾節板は弱く切れ込むか、途中まで切れ込むか、あるいは全縁;背面あるいは横面の太い剛毛を欠く;先端の太い剛毛を具えるか、あるいはこれを欠く。

 

 第2触角が第1触角と比べて極端に長くならないことや、胸脚の葉状突起、完全に分割しない尾節板などにより、近縁の他の科と識別されます。特にナミノリソコエビ属などは各付属に毛が多く、深い底節板やフックの多い覆卵葉など潜砂性種の特徴が発達しており、他のモクズヨコエビ類との識別は容易です。





ナミノリソコエビ科の構成(~2021年)


 Ogawa et al. (2021) より前、世界的には以下の 11属36種 が知られていました。


Genus Allorchestes Dana, 1849 ヘッピリモクズ属 / 表在

  • Allorchestes angusta Dana, 1856 二ホンヘッピリモクズ / 南カリフォルニア~ブリティッシュコロンビア アラスカ南東部~アリューシャン列島(主に潮間帯,稀に潮下帯;海藻上)
  • Allorchestes bellabella J.L. Barnard, 1974 /カムチャツカ半島,アリューシャン列島(水深1.5~15mの砂質,岩場;底性・遊泳性)
  • Allorchestes carinata Iwasa, 1939 ヘッピリモクズ / 日本海,オホーツク海,カムチャツカ半島,アリューシャン列島(沿岸~亜沿岸;水深0.5~4mの砂質および石,岩場)
  • Allorchestes compressa Dana, 1852 /オーストラリア:イラワラ
  • Allorchestes hirsuta Ishimaru, 1995 ハケモクズ  / 隠岐の島北部流れ藻(ホンダワラ類)
  • Allorchestes malleola Stebbing, 1899 / 北海道北部;日本海北部~カムチャツカ半島までのオホーツク海(水深3~4mの潮間帯下部)
  • Allorchestes novizealandiae Dana, 1852 / ニュージーランド:パルア湾(フナクイムシの穴に潜む)
  • Allorchestes priceae Hendrycks & Bousfield, 2001 / クイーンシャルロッテ諸島,バンクーバー南部(潮間帯下部;砂質底)
  • Allorchestes rickeri Hendrycs & Bousfield, 2001 / アラスカ,ブリティッシュコロンビア

Genus Allorchestoides Wongkamhaeng, Dumrongrojwattana & Shin, 2018 / 表在あるいは海藻に埋在 
  • Allorchestoides rosea Wongkamhaeng, Dumrongrojwattana & Shin, 2018 / タイ

Genus Dogielinoides Bousfield in Bousfield & Tzvetkova, 1982 / 潜砂
  • Dogielinoides golikovi (Kudrjaschov, 1979) / 沿海州,千島列島

Genus Dogielinotus Gurjanova, 1953 / 潜砂
  • Dogielinotus moskvitini (Derzhavin, 1930) / 沿海州,千島列島,オホーツク海;北海道


Genus Eohaustorioides Bousfield in Bousfield & Tzvetkova, 1982 / 潜砂

  • Eohaustorioides japonicus (Kamihiara, 1977) ナミノリソコエビ / 北海道西部,宮城,島根,富山(潮間帯砂底)

 

Genus Haustorioides Oldevig, 1958 / 潜砂

  • Haustorioides gurjanovae Bousfield & Tzvetkova, 1982 / 沿海州,サハリン
  • Haustorioides indivisus Jo, 1988 / 韓国西岸(砂浜の潮間帯中部~下部)
  • Haustorioides koreanus Jo, 1988 / 朝鮮半島南部日本海側(細~粗砂底)
  • Haustorioides latipalpus Jo, 1988 / 韓国:洛東江(砂泥底)
  • Haustorioides magnus Bousfield & Tzvetkova, 1982 / 沿海州
  • Haustorioides munsterhjelmi Oldevig, 1958 キタナミノリソコエビ / 沿海州,サハリン;北海道東部
  • Haustorioides nesogenes Jo, 1988 / 韓国:飛禽島,都草島(砂浜の潮間帯上部)

Genus Parhaustorioides Ren, 2006 / 潜砂
  • Parhaustorioides littoralis Ren, 2006 / 中国:南海

Genus Proboscinotus Bousfield in Bousfield & Tzvetkova, 1982 / 潜砂
  • Proboscinotus loquax (J.L. Bamard, 1967) / カリフォルニア州ユーレカ,バンクーバー

Genus Exhyalella Stebbing, 1917 / 表在あるいは堆積物に埋在
  • Exhyalella hartmani Lazo-Wasem & Gable, 2001 / セイシェル:マヘ島,ボー・バロン(浅瀬;サンゴ砕屑物の間)
  • Exhyalella indica (K.H. Barnard, 1935) / インド:トゥティコリン湾
  • Exhyalella natalensis Stebbing, 1917 / 南アフリカ:ダーバン

Genus Marinohyalella Lazo-wasem & Gable, 2001 / 表在
  • Marinohyalella richardi (Chevreux, 1902) / スペイン:アルボラン海の小島

Genus Parhyalella Kunkel, 1910 / 表在
  • Parhyalella barnardi Lazo-Wasem & Gable, 2001 / バハ・カリフォルニア
  • Parhyalella batesoni Kunkel, 1910 / バミューダ
  • Parhyalella congoensis Ruffo, 1953 / 大西洋南東
  • Parhyalella kunkeli Lazo-Wasem & Gable, 2001 / 台湾
  • Parhyalella nisbatae Lazo-Wasem & Gable, 2001 /カリブ海
  • Parhyalella penai Pérez-schultheiss & Crespo, 2008 / チリ
  • Parhyalella pietschmanni Schellenberg, 1938 /ハワイ
  • Parhyalella ruffoi Lazo-Wasem & Gable, 2001 / ペルー
  • Parhyalella steelei Lazo-Wasem & Gable, 2001 / マダガスカル(漂着海草上)
  • Parhyalella whelpleyi (Shoemaker,1933) / カリブ海~ブラジル


 なお、本邦からは 3属 5種 7種 が知られていました。
 

※ Ishimaru (1994) では Allorchestes japonica Stimpson, 1855;A. penicillata Stimpson, 1855;A. rubricornis Stimpson, 1855 という3種が報告されていました。しかしながら、Bulycheva (1957) はいずれの種についても不確定なものと結論し、このうち A. japonica については Hendrycks and Bousfield (2001) では明確に A. compressa のシノニムであると結論づけられています。よって本記事では適格の分類群とみなさず、本邦からの記録としても不確定なものと扱います。

 



誕生、そして・・・


 Ogawa et al. (2021) の中にもありますが、ナミノリソコエビ類の歴史にはいろいろな研究者のドラマがあります。以下、敬称略で研究史をざっとご紹介します。

 

 ナミノリソコエビ科の担名属は先ほど触れたように Dogielinotus で、担名種は D. moskvitini です。この種は当初「ハマトビムシ科 Talitridae」の一員の ヘッピリモクズ属 Allorchestes として記載されました。

 その後、Gurjanova (1953) によって独立した属と科が建てられました。属名 Dogielinotus および科名 Dogielinotidae は、ソ連の動物学者 ヴァレンティン・アレクサンドロビッチ・ドギエル Валентин Александрович Догель に献名されたものです。その後、調査が進むにつれ、この科に含まれる属は北太平洋の沿岸にぐるりと分布することが明らかになってきました。

  なお、かつて Metoediceros fuegiensis Schellenberg, 1931 という種もナミノリソコエビ科に含められていましたが、検討を経てクチバシソコエビ上科 に移動しました (Barnard 1969)



 さて、今回の新種が含まれる ナミノリソコエビ Haustorioides 属は、キタナミノリソコエビ H. munsterhjermi を担名種として設立されました。

 1977年、上平幸好によって函館の海岸でナミノリソコエビ科の未記載種が発見され、Haustorioides japonicus と命名されました。本邦のナミノリソコエビ研究はここから始まりました。上平はパラタイプ100個体という驚異的な標本観察を行い、その後も発生様式や分布など多角的にこの種を分析しました。本種の分布が東北や中国地方にも及ぶことを示したのも、上平の論文 (上平 1992) です。ちなみに、上平は現在ヨコエビ類の研究にほとんど携わっていませんが、貧毛類研究の権威として知られています。

 1982年、カナダの Bousfield とソ連の Tzvetkova の共著論文で、ナミノリソコエビ科に新たな属と種が追加されました。その中で、Haustorioides japonicus は際立った特徴を具えているとされ、新属 Eohaustorioides属 が建てられました。マニアックな雑誌に掲載されていることと、本文が基本的にロシア語で書かれているため読みにくい論文ではありますが、現在のナミノリソコエビ科を語る上で重要な文献です。

 1988年、韓国の Jo が朝鮮半島南部から4種のナミノリソコエビ属を記載しました。このうち3種には、日本のナミノリソコエビとその他の種との中間にあたると思われる特徴がありました。Jo は日本のナミノリソコエビの標本を入手してその形態を詳細に検討し、Haustorioides属 と Eohaustorimides属 を分けるポイントとして Bousfield と Tzvetkova が挙げていた形質が、実は H. japonicus には存在しないことを示しました。こうして、二つの属を分ける意味が失われたことが示され、Eohaustorioides属 は姿を消したかのように思われました。

 しかし、3年後の1991年に Barnard と Karaman のコンビが海産ヨコエビのモノグラフを出版したことで、話はこじれていきます。このモノグラフは世界中の文献を集める都合で、資料収集の期限を1986年に設定していました。つまり、Jo が記載した4種も,Eohaustorioides属 を消したという操作も、このモノグラフには反映されなかったのです。その後,記載された新種はフォローされたものの、Eohaustorioides属 に対する見解はほとんど顧みられることはなく、抜群の発信力をもつ Barnard and Karaman (1991) が Eohaustorioides属 を追認した記述だけが参照されることになりました。こうして Eohaustorioides属 の可否は特に議論されることもなく、適格なものとして使われてきたのです(例:WoRMS)。

 その後、Jo (1988) を踏まえてナミノリソコエビを Haustorioides属 として扱った文献には 上平 (1992) などがありますが、純然たる日本語の文献であったためか、国際的なコンセンサスに影響を与えることはなかったようです。

 


2004年以降の研究史


 一方、科のレベルでも、ここ20年でいろいろな動きがありました。特にSerejo (2004) が「ハマトビムシ上科」の体系を再構築したことで、これまでモクズヨコエビ科に含まれていた属が流れ込み、ナミノリソコエビ科の雰囲気はがらりと変わりました。

 また、2019年には Lowry と Myers が上科の再編を行い、ハマトビムシ科はハマトビムシ上科として独立した上科を形成し、残りの旧ハマトビムシ上科の面々が Hyaloidea上科 に含められました。これによってナミノリソコエビ科はハマトビムシ上科ではなくなりました。

 

 


Ogawa et al. (2021) の要点


   上記のような状況を鑑みて、Ogawa et al. (2021) は以下の行為を含んでいます。

  • Haustorioides furotai ウスゲナミノリソコエビ の新種記載
  • Jo (1988) の主張を受け継ぎ、Eohaustorioides属 を Haustorioides属 の新参シノニムとして改めて抹消
  • ついでに Haustorioides属と Eohaustorioides属との対比で記載されていた Parhaustorioides属も、種間の形態の差が連続的であり、属を分けるだけの材料はないものと判断し、Haustorioides属の新参シノニムとして抹消

 

 Haustorioides furotai ウスゲナミノリソコエビ は、長らくナミノリソコエビと混同されてきました。

 種の記載には、形態的な比較とともに,分子系統解析の結果も入れました。韓国から H. koreanusH. indivisus の遺伝子情報が GenBank に上げられており、これを使って種間の比較ができたのはたいへんありがたかったです。

 

 腹側板と尾節板を見れば系統関係を妄想するのに役立ちそうなので、ひとまずこれら形質だけを使ったマトリクス検索表を提案します。

 

あえて相対的な表現を使っています。
種同定の際には Ogawa et al. (2021) の
二又式検索表をご参照くださいませ。
 

  これら限定的な形態的特徴に着目しつつ、分子系統樹の雰囲気から推測すると、Haustorioides属 は日本海およびオホーツク海周辺で種分化を遂げた気がします。Dogielinotus属 のような祖先的な集団から、H. gurjanovaeH. magnus のように腹側板後角が湾曲し尾節板が幅広く途中まで切れ込む姿を経て腹側板後角が太く突出し剛毛を多く装うような集団が生まれ、H. munsterhjelmi となった後に北海道へ侵入し、一部は朝鮮半島へ入り込んで H. koreanus となったのではと思います。

 H. koreanus のような集団からは、徐々に腹側板に剛毛を生じつつ腹側板後角が上反せず尾節板が縦長かつ癒合傾向を示す H. latipalpusH. nesogenes を生じたのではないでしょうか。この中から、ある集団は海南島まで及んで更に華奢な H. littoralis となり、また H. indivisus のように腹側板や尾肢に剛毛が少なく腹側板後角が直線的に尖るシャープな姿となった集団が日本海側から日本列島へ侵入し腹側板を更に長く尖らせた H. japonicus になったのではと思います。

 

分布と腹側板と尾節板だけ見るとこんな感じの分岐が考えられます。


  H. furotai の分布域は極めて限定的かつ大陸から離れています。一見すると、大陸から日本へ進出して分化した H. japonicus を祖先としてさらに発展したような感じです。

 しかし、第3腹側板の形状などを見ると、形態的には H. japonicus から発展していない印象があります。また、現在入手可能な材料のみで構築した分子系統樹からは H. japonicus より祖先的な位置を占める可能性が読み取れます。

 

 これについて確定的な証拠はなくあくまで妄想ですが、H. furotai は早い時期に日本に入り込んだ集団で、他の地域が後から H. japonicus に発展・置換された中で生き残ったものか、あるいはそもそも日本に住み着いた H. japonicus の姉妹群ではなく、半島に生息する未確認の個体群が何らかの人為的要因で東京湾に持ち込まれた外来種の可能性も考慮すべきと思っています(Hancock et al. 2020 にも東京湾の別の潜砂性種についてそんなようなことを書かせていただきました)。朝鮮半島北部は諸事情により学術研究がほとんど成立していませんが、もし将来調査ができるようになったら H. furotai が発見されるのではと思えてなりません。

 過去の研究が無視されたことで、ナミノリ界隈は混乱が続いていました。近年はデータベースが整備されて情報共有体制が充実しており、またヨコエビの記載に実績ある雑誌に掲載されたことで目立つことができると思いますので、混乱には一区切りがついたものと自負しております。




現在のナミノリソコエビ類の問題点


 まず、属同士の関係性が見えにくいところがあります。

 Hiwatari et al. (2011) は、ナミノリソコエビ科に含まれうる「モクズヨコエビ類」としてフタアシモクズ属を挙げていますが、分類学的地位の変更・確定には至っていません。

 また、Serejo (2004) 以降、ナミノリソコエビ科とされているメンバーの中にも気になる点があります。潜砂性の属同士は、形態的特徴や分布から系統関係を類推しやすいものの、それ以外の属はまとまりがなく、互いの関係が全く見えてきません。このモヤモヤについては、潜砂性のグループをよりつながりの深い「亜科」等の単位としてまとめるなど、科の構造を見直す必要があると思います。また、他の属については別のアプローチから系統関係のストーリーを描くなどの試みが必要かと思います。

 

世界のナミノリソコエビ科の分布。

 

 次に、本邦に未調査の個体群が存在することが挙げられます。

 ナミノリソコエビ Haustorioides japonicus は幾つかの遺伝的なまとまりに分けられることが既に示されており (Takada et al. 2018; Sakuma et al. 2019)、これを種として扱うべきかが課題です。北陸からは“イシカワナミノリソコエビ“が報告されていますが (守屋・奴賀 2016)、分布から考えると遺伝的に H. japonicus から区別されることはほぼ確実なので、将来的に学名が与えられる可能性があります。

  さらに、東京湾にHaustorioides属でないものが潜んでいるという説があります。まだ論文にはなっていないようですが、これも将来的に重要な発見としてリリースされる可能性があります。

 そんなわけで、国内のナミノリソコエビ類のサンプルを絶賛募集中です。特に、研究が進んでいない太平洋側のエリア(岩手~千葉、神奈川~九州)は、学術的に非常に重要です。居そうで居ない瀬戸内も気になります。お心当たりの方はご連絡いただけると幸いです。

 

 


おまけ:ナミノリソコエビ科の属までの検索表

  ナミノリソコエビ属の検索表は、出版されている中では恐らく Wongkamhaeng et al. (2018) が最新となります。掲載されている形態マトリクスはある程度信用できますが、二又検索表のほうは形態の理解に間違いが多いばかりか、性的二型を盛り込むなど設計が不親切なことに加えて、Ogawa et al. (2021) による属の改廃で知見が改訂されているため今後は使えません。なので以下の通り作り直しました。

※〔 〕内に分布情報を示した。

 

 1. 第3尾肢は双葉;尾節板は根元まで切れ込む ... Parhyalella〔太平洋,インド洋,大西洋:赤道~南半球〕
— 第3尾肢は単葉または副肢を欠く;尾節板は半ばまで切れ込むか全く切れ込まない ... 2

2.  第5胸脚の腕節は拡がらない ... 3
— 第5胸脚の腕節は葉状に拡がる ... 6(潜砂性グループ)

3. 第5–6胸脚の長節はいずれも拡がる ... Marinohyalella〔地中海〕
— 第5–6胸脚の長節はいずれも拡がらない ... 4

4. 第1小顎髭は縮退する ... ヘッピリモクズ属 Allorchestes〔太平洋全域〕
— 第1小顎髭を欠く ... 5

5. 左大顎可動葉は4歯を具える;尾節板は半分の長さ未満まで切れ込む ... Allorchestoides〔太平洋:西部赤道付近〕
— 左大顎可動葉は5歯を具える;尾節板は切れ込まない ... Exhyalella〔インド洋〕

6. 第3尾肢は単葉 . . . 7
— 第3尾肢は副肢を欠く . . . ナミノリソコエビ属 Haustorioides〔太平洋:北西部〕

7. Epistoma(上唇基部)は鼻状に突出する . . . Proboscinotus〔太平洋:北東部〕
— Epistomaは通常形 . . . 8

8. 第3–4胸脚の長節は葉状突起を欠く;第5–7胸脚の前節長は指節長の約3倍 . . . Dogielinotus 〔太平洋:北西部〕
— 第3–4胸脚の長節の葉状突起は腕節に被る;第5–7胸脚の前節長は指節長の約2倍 . . . Dogielinoides〔太平洋:北西部〕

 

 

 また、例の如くマトリクスも作りました。

胸脚の葉状突起は属内の変異が多いです。
参考資料:Barnard 1969; Bousfield and Tzvetkova 1982;
 Lazo-Wasem and Gable 2001; Wongkamhaeng et al. 2018。



※追記(25-X-2021)

 Youtube「国立環境研究所動画チャンネル」の【夏の大公開2021】ヒガタ☆マンがゆく~ふしぎな生きものたちを探してみよう(2021年7月17日公開)にて、一瞬ですが種名キャプションとともにウスゲナミノリソコエビ抱卵メスが映りました。種同定された生態映像が公開されているのは、今のところこれだけではないでしょうか。ちなみに、動画内ではニホンドロクダムシのメスらしき静止画も見られました。



(参考文献)

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Lowry, J. K.; Myers, A. A. 2019. New genera of Talitridae in the revised Superfamily Talitroidea Bulycheva 1957 (Crustacea, Amphipoda, Senticaudata). Zootaxa, 4553(1).
— 守屋年史・奴賀俊光 2016. モニタリングサイト1000 シギ・チドリ類調査交流会報告. 水鳥通信 2016年1月号.
Ogawa, H; Takada, Y.; Sakuma, K. 2021. A new species of the sand-burrowing Dogielinotidae, Haustorioides furotai, from Tokyo Bay, Japan (Crustacea: Amphipoda). Species Diversity, 26: 65–78.
Sakuma, K.; Ishida , R.; Kodama, T.; Takada, Y. 2019. Reconstructing the population history of thesandy beach amphipod Haustorioides japonicus using the calibration of demographic transition (CDT) approach. PLoSONE, 14: e0223624.
清家弘治 2020.『海底の支配者底生生物 世界は「巣穴」で満ちている』.中央公論新社,東京.200pp. ISBN978-4-12-150676-4 (in Japanese)
Serejo, C. S. 2004. Cladistic revision of talitroidean amphipods (Crustacea, Gammaridea), with a proposal of a new classification. Zoologica Scripta, 33: 551–586.
Takada, Y.; Sakuma, K.; Fujii, T.; Kojima, S. 2018. Phylogeography of the sandy beach amphipod Haustorioides japonicus along the Sea of Japan: Paleogeographical signatures of cryptic regional divergences. Estuary Coast Shelf Science, 200: 19–30.
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(補遺)23-III-2021

・ナミノリソコエビ科種リストの一部属名表記の修正


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(補遺2)27-III-2021

・Hiwatari et al. 2011 による Allorchestes mallerus および 飯島 (ed.) 2007 による Dogielinotus moskvitini の記録を認め、本邦既知種を5種→7種に変更。

・Ishimaru (1994) に示された Allorchestes 3種について既往研究(Bulycheva 1957; Hendrycks and Bousfield 2001)を参照しコメントを追加。

・上記参考文献を追加。


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(補遺3) 15-VIII-2024
・一部書式設定変更。


2021年3月8日月曜日

2021年のヨコエビギナーへ(文献紹介第七弾)


 毎年恒例の文献紹介。今年で第七弾になります。


(第一弾)
— 富川・森野 (2009) ヨコエビ類の描画方法
— 小川 (2011) 東京湾のヨコエビガイドブック
— 石丸 (1985) ヨコエビ類の研究方法
— Chapman (2007) "Chapman Chapter" In: Light and Smith Manual (West coast of USA)
— 平山 (1995) In: 西村 海岸動物図鑑
— Barnard and Karaman (1991) World Families and Genera of Marine gammaridean Amphipoda


(第二弾)
— Lowry and Myers (2013) Phylogeny and Classification of the Senticaudata
— World Amphipod Database / Amphipod Newsletter
— 富川・森野 (2012) 日本産淡水ヨコエビ類の分類と見分け方
— Arimoto (1976) Taxonomic studies of Caprellids
— Takeuchi (1999) Checklist and bibliography of the Caprellidea
— 森野 (2015) In: 青木 日本産土壌動物
【コラム】文献情報のルール


(第三弾)
— 有山 (2016) ヨコエビとはどんな動物か
— 森野・向井 (2016) 日本のハマトビムシ類
— Tomikawa (2017) Freshwater and Terrestrial amphipod In: Species Diversity of Animals in Japan
— Bousfield (1973) Shallow-Water Gammaridean Amphipoda of New England
— Ishimaru (1994) Catalogue of gammaridean and ingolfiellidean amphipod
— 椎野 (1964) 動物系統分類学
【コラム】ヨコエビの分類にはどこから手を付けるか


(第四弾)
— Lowry and Myers (2017) Phylogeny and Classification
— Bellan-Santini (2015) Anatomy, Taxonomy, Biology
— Hirayama (1983–1988) West Kyushu
— 井上 (2012) 茨城県のヨコエビ
— 永田 (1975) 端脚類の分類
— 菊池 (1986) 分類検索, 生態, 生活史
【コラム】文献の入手


(第五弾)
— Arfianti et al. (2018) Progress in the discovery
— Ortiz and Jimeno (2001) Península Ibérica
— Miyamoto and Morino (1999) Talorchestia and Sinorchestia from Taiwan
— Miyamoto and Morino (2004) Platorchestia from Taiwan
— Morino and Miyamoto (2015) Paciforchestia and Pyatakovestia
— 笹子 (2011) 日本産ハマトビムシ科
【コラム】野良研究者


(第六弾)
— Lecroy (2000–2011) Illustrated identification guide of Florida
— Cadien (2015) Review of NE Pacific
— Copias-Ciocianua et al. (2019) The late blooming amphipods
— Bate and Westwood (1863) British sessile-eyed Crustacea
— 青木・畑中 (2019) われから
— Bousfield and Hoover (1997) Corophipodae
【コラム】ヨコエビの同定




<今年のオススメ>

岡西政典 2020. 『新種の発見 見つけ、名づけ、系統づける動物分類学』,中公新書.264 pp. 中央公論新社,東京.ISBN978-4-12-102589-0

 本書の内容はヨコエビに限ったものではありませんが、『種を記載する』以来じつに10年ぶりに「新種を科学のまな板へ載せる」過程を真っ正面から扱った本に出逢えた気がするのでご紹介します。ただ、当然のことながら一般向けの書籍です。著者の経験に基づく事例が豊富に引かれているものの、具体的なデータやハウツーを集積した資料本や教科書の類ではありません。
 海産無脊椎動物の分類というジャンルがいかにヒトデ・・・人手を必要としており、どのように未知の生物と出会い、それを体系づけ、またサンプル(例えばヨコエビ)を集めた先に何が待っているのかなど、研究の概要を知ってもらうには絶好の書物かと思います。私なんか「分類学の世界の状況」が全くわからないまま「分類の割合の多い卒論」で学位を得ようとしましたから、こういった本に出会えていればまた仕事の質は違っていたような気がします。新書版で手を出しやすいのも良いです。






<カマキリヨコエビ属 Jassa の分類にオススメ>

— Conlan, K. E. 1990. Revision of the crustacean amphipod genus Jassa Leach
 (Corophioidea : Ischyroceridae). Canadian Journal of Zoology, 68(10): 2031–2075.

 今年、かなりアツいモノグラフ (Conlan 2021; Conlan et al. 2021) が出たことで盛り上がっているカマキリヨコエビ界隈ですが、30年前に同じ著者によって書かれたのがこちら、カマキリヨコエビ属の全貌がおそろしいほどよく分かる愛蔵版ともいえる論文です。
  カマキリヨコエビ属のオスには多型があり、major maleとminor maleなどと区別されることは著名ですが、この論文では発達過程などについての知見を得ることができます。日本産種としてフトヒゲカマキリヨコエビのほか、モリノカマキリヨコエビ、ムシャカマキリヨコエビを記載しており、これらの識別には非常に有用です。しかし、ここまで大掛かりな仕事を経てもなお、本邦には未だに多くの未記載種が残されておりますので、同定に際しては慎重を心がけてください。



<ドロソコエビ属 Grandidierella の分類におすすめ>

Ariyama A. 1996. Four Species of the Genus Grandidierella (Crustacea: Amphipoda: Aoridae) from Osaka Bay and the Northern Part of the Kii Channel, Central Japan. Publications of The Seto Marine Biological Laboratory, 37(1/2): 167–191.

Ariyama H.; Taru M. 2017. Three species of Grandidierella (Crustacea: Amphipoda: Aoridae) from coastal areas of the Tohoku and Kanto-Tokai Districts, East Japan, with the description of two new species. Species Diversity, 22(2): 187–200.

Ariyama H. 2020b. Six species of Grandidierella collected from the Ryukyu Archipelago in Japan, with descriptions of four new species (Crustacea: Amphipoda: Aoridae). Zootaxa, 4810(1). 

  本邦のドロソコエビ属を同定するにあたり押さえておくべき論文をご案内します。Zootaxa 以外はフリーアクセスで読みやすいのも良いです。




Rogers, C.; Magalhães, C.; Peralta, M.; Ribeiro, F. B.; Bond-Buckup, G.; Price, W. W.; Guerrero-Kommritz, J.; Mantelatto, F. L.; Bueno, A.; Camacho, A. I.; González, E. R.; Jara, C. G.; Pedraza, M.; Pedraza-Lara, C.; Latorre, E. R.; Santos, S. 2020. Chapter 23 — Phylum Arthropoda: Crustacea: Malacostraca.  In: Thorp and Covich's Freshwater Invertebrates (Fourth Edition). Volume 5: Keys to Neotropical and Antarctic Fauna, 809–986.

 南米の淡水ヨコエビの決定版が出たようです。メンバーについて本邦とほぼ共通点はありませんが、淡水ヨコエビを分類するにあたって確認すべき形態的特徴をわりとしっかり解説しており、おすすめです。






(参考文献)
Conlan, K. E. 2021. New genera for species of Jassa Leach (Crustacea: Amphipoda) and their relationship to a revised Ischyrocerini. Zootaxa, 4921(1).

Conlan, K. E.; Desiderato, A.; Beermann, J. 2021. Jassa (Crustacea: Amphipoda): a new morphological and molecular assessment of the genus. Zootaxa, 4939(1). 

— ウィンストン, ジュディス・E[馬渡峻輔・柁原宏 訳]2008.『種を記載する』新井書院,東京,653 pp.,ISBN:9784903981000







【コラム】自室からヨコエビリティを探索するには(試案)

  ステイホームの政府方針に沿った行動を心がけたため、採集ができていません。そこで、越境せずにヨコエビを得るため、新たなフィールドの開拓を試みることにしました。

 卒論からヨコエビ界に入門した関係もあって当方の主戦場は研究室の流れをくんで沿岸,特に干潟域に偏重しています。

 干潟面そのものから得られるヨコエビは限られますが、主に漂着物や構造物からヨコエビを得てきました。また、広大な砂泥表面のどこからヨコエビを得るのか、いろいろと牙を研いできたつもりではあります。こういった勘は現場での動きだけでなく、ロケハンでも試行錯誤を繰り返してきました。遠隔地の状況を Google Map で確認し、効率の良い採集スケジュールを立てるのが(たぶん)フリーランスのアンフィポドロジストに求められるスキルであって、こうして岡山の成果が出たものと自負しています。

 しかしというべきか、従ってというべきか、沿岸部以外のヨコエビについては経験がほぼ無いという弱点があります。いずれ陸域も攻めたいと思っていましたが、相当難易度が高いという認識がありました。それは「次元の違い」です。

 沿岸の環境=海岸線です。線を辿っていけば、対象地域の沿岸環境を全てスキャンすることができます。しかし、完全に海側に出たり、陸側に上ったりすれば、前後左右に多様な微環境が広がります。対象地域を定めると、その中を絨毯爆撃する必要があります。また、陸棲ヨコエビについて言えば、一般的に海岸域より個体数密度が低いとされており、エンカウント率は下がります。

 というわけで、難しい理由ばかりが思い浮かぶので、あらゆる困難を打破しうる方法論の開発を試みました(誰でも思いつきそうな方法ではありますが)。これは例えば、私とは逆に陸域から海域に進出しようというヨコエビストにも歓迎されるかと思います。ただ、これを編み出す過程で2回ほどフィールドに出たものの、まだこれといった成果は上がっていません。淡水域の微環境の見極めスキルが足りないようです。

 

1. 過去の記載論文を集める

 採取したい分類群を科なり属なりに絞り、文献を集めます。できれば今世紀に入ってからの論文がよいです。

 

2. タイプロカリティ情報を抜く

 「Material Examined」等の中に記されているタイプ標本の産地を確認し、緯度経度を抜きます。

 

3. いつもの Google Map

 緯度経度を打ち込み、採集地の状況を特定します。緯度経度の表記には「日本測地系」と「世界測地系」がありますのでご注意下さい。

 

4. 国土地理院

 HPに無料公開されている地図も確認して、河川の流れや植生などを把握します。

 

5. ふたたび Google Map

 ターゲットとしている地域の中で、タイプロカリティに類似した環境がないか探します。ここまでずっとリモートオンリーでシステマティックにやってきましたが、最終段階ではどうしてもある程度の現場経験が必要になってきます。

 

 

 ヨコエビはある程度護岸された水域でも採集することができますが、前提として生息基質となる水草や海藻などが必要です。見たところ、陸水域において完全にコンクリート化されたような環境では、水草が生えていてもフロマミくらいしか採れない印象があります。陸域も海域もあらかたコンクリート護岸されている今日び、コンクリート護岸が磯的環境として生物に利用されうる海域、そしてコンクリートの割れ目から石清水のような染み出し水がある陸水域が、狙い目となるのではないでしょうか。

 海域では地域によりますが 石灰藻<褐藻<紅藻<緑藻 の順にヨコエビの種数が増える気がします。これは色素の種類というより、葉の硬さや形状の複雑さが重要なようです。ゆえに、根が入り組んでいたり葉状体が細かく分岐する紅藻はかなり色々な端脚類を住まわせていたりします。こういうのがある程度遠隔の写真で見れればよいのですが、Google map では限界があります。

 陸水と海岸の違いとしては、季節変化があるように思えます。河川等には水の多い時期と少ない時期があり、都度水たまりが生じたり消えたりしますが、そういった短命な水面は淡水ヨコエビの生息源にはなりにくく、衛星写真を吟味する時に重要な要素です。一方、海岸線は毎月ダイナミックな変化を見せるものの、衛星写真で狙いをつけた汀線はさほどブレません。撮影時期に左右されることが少なく、毎日あるいは毎月の変化の幅を植生等から容易に推測できるからです。

 こういった要素を意識しながら、検証を重ねながらまた続報をご紹介するつもりです。


2021年2月27日土曜日

ハッジヨコエビ上科について(I)メリタヨコエビ編(2月度活動報告)

 

 日本の沿岸や河川によく出没する「メリタヨコエビ類」や「スンナリヨコエビ類」は、「ハッジヨコエビ上科」に含まれます。しかし、「ハッジヨコエビ」といわれてもピンとこない方が多いのではないでしょうか。

 

これが「メリタヨコエビ科」だ!

 

 そもそも「ハッジヨコエビ」は Hadzia属 およびそれを担名属とする Hadziidae科 に出自をもつ和名ですが、この科は現在日本から Dulzura projecta の1種しか知られておらず、知名度は極めて低いです。ピンとこないのも当然です。


 「ハッジヨコエビ上科」は 8科129属約800種 を含みますが、1977年に設立された比較的新しい分類単位です。

 かつてこの群はほとんどが「ヨコエビ科」に内包されていましたが、当時の古き良きヨコエビ科はあまりに巨大で取り扱いに難があり、様々な研究者によって整理が試みられていました。そんな中、1973年に12属ほどMelitaMaeraElasmopusMetaniphargusCascoWeckeliaParawickeliaAlloweckeliaQuadrivisioParamelitaCeradocusMaerella など)が「メリタヨコエビ科」として独立しました (Bousfield 1973)。そこから段階的に科や属が追加され、一部は他のグループへ移ったりしながら、現在の姿に至りました。

 


 そして、形態形質を用いて上位分類を整備した Lowry and Myers (2013) において、ハッジヨコエビ類はヨコエビ類とは完全に袂を分かち、独立したハッジヨコエビ下目となりました。この論文の流れをくむ分類体系は諸々の問題を抱えているものの、ヨコエビ科に間借りしていた頃とは隔世の感があります。さらに、分子系統学的な研究ではハッジヨコエビ類は複雑な多系統を示し、トゲヨコエビ科を内包する可能性すら指摘されています (Copilaş-Ciocianua et al. 2019) 。なかなかに噛み応えのある領域といえるでしょう。


 今回は、ハッジヨコエビ上科の代表格であるメリタヨコエビ科 Melitidae について扱うことにします。ちなみに、昨年記載されて話題になった チンボクヨコエビ属 Bathyceradocus は、スンナリヨコエビ科 Maeridae となります。別の機会にご紹介します。

  

 こちらが現状のメリタヨコエビ科です。26属約180種のまあまあ大きな科です。なお、化石のみが知られる Alsacomelita属 は除いています。

 

属および種の構成はWoRMS(2021年2月閲覧)によった。 
 属の識別に使用される形質と生態学的な特性をマトリクスに集約している。
ただし、同定形質の選別・開発は行っておらず、
この表からすべての属が同定できるわけではない。

 

 「絶対かわいいヨコエビ」として著名な Melitoides kawaii もメリタヨコエビ科です。

ちっちゃい眼がかわいいですね。



   前述の通り、過去のメリタヨコエビ科には現在のスンナリヨコエビ科やセンドウヨコエビ科など、かなり多様な属が含まれていました。これらの関係性は、「maera-group」や「melita-group」といったように、ハッジヨコエビ上科の中で近縁の科をまとめる枠組みとして使われることがあります (Lowry and Springthorpe 2009)

 

メリタヨコエビ類において属の識別に利用される主な形質。

 Bousfield (1977) では、当時のメリタヨコエビ科を尾肢の形状により2つの亜科(相当のグループ)に分けることが提唱されていました。すなわち、ホンスンナリヨコエビ属 Maera に代表される「内葉と外葉が同大」となる 22属 と、メリタヨコエビ属 Melita に代表される「内葉が外葉と比較して著しく縮退し鱗状」となる 9属 です。

 この方向性は今日でも概ね支持されていますが、2つのグループをまたぐ科も存在します。例えば、Cottarellia属 とParapherusa属 は現在 メリタヨコエビ科 のメンバーですが、第3尾肢内外葉のサイズが同大です。というわけで、あまり深堀りしないことにします。

 

 属の一覧を見ると、全体的に海産種が多く、一部が汽水や淡水に進出しているのがわかります。生息環境は多様で、浅海域の砂泥底あるいは磯的環境から深海まで、そして陸では河川からアンキアラインなどの地下水系までみられます。その食性も幅広く、特に触角に剛毛を発達させているような種は浮遊あるいは堆積している有機懸濁物を食しているようです (Simpson et al. 2005)。また、同定の信憑性は担保できないのですがヤシャヒメヨコエビ属が他の甲殻類を捕食している画像なんかもネットに転がっており、一部の種は捕食性を示す可能性もありそうです。

 メリタヨコエビ科を他のグループから識別する特徴として、前述の第3尾肢の形質のほかに、下唇内葉が肉質肥厚し目立つことと、交尾前ガードの際にオスが第1咬脚で保持するための切れ込みがメスの第5底節板に見られる、などが挙げられます。 



 本邦からはだいたい 5属18種 のメリタヨコエビ科が知られていますが、未記載種は膨大と思われます。

 

ヤシャヒメヨコエビ属  Abludomelita Karaman, 1981

  • チョビヒゲメリタヨコエビ Abludomelita denticulata (Nagata, 1965)  / 渤海、黄海;日本(水深8~21.5m 砂底)
  • ニッポンメリタヨコエビ Abludomelita japonica (Nagata, 1965)  / 瀬戸内(水深2.5~3.0 m)
  • テブクロメリタヨコエビ Abludomelita unamoena (Hirayama, 1987)  / 九州

ウチデノコヅチ属 Dulichiella Stout, 1912

  • Dulichiella takedai Tomikawa & Komatsu, 2012 / 小笠原
  • Dulichiella tomioka Lowry & Springthorpe 2007 / 九州(沿岸 砂・貝殻底)植食性 

メリタヨコエビ属 Melita Leach, 1814 

  • ビンゴメリタヨコエビ Melita bingoensis Yamato, 1987  / 瀬戸内
  • チョウシガワメリタヨコエビ Melita choshigawaensis Tomikawa, Hirashima, Hirai & Uchiyama, 2018  / 三重県銚子川(河口)
  • ホシノメリタヨコエビ Melita hoshinoi Yamato, 1990  / 南海;瀬戸内(水深59m 細砂底)
  • カギメリタヨコエビ Melita koreana Stephensen, 1944  / 黄海、渤海、香港(サンゴ礁石の下);瀬戸内
  • ナガタメリタヨコエビ Melita nagatai Yamato, 1987  / 九州ほか
  • ケナガメリタヨコエビ Melita pilopropoda Hirayama, 1987  / 有明海
  • ヨツハメリタヨコエビ Melita quadridentata Yamato, 1990   / 瀬戸内
  • フトメリタヨコエビ Melita rylovae Bulycheva, 1955  / 黄海、渤海;北海道、東京湾、九州ほか(海藻、磯 潮間帯)
  • ヒゲツノメリタヨコエビ Melita setiflagella Yamato, 1988  / 南海;瀬戸内ほか(河口 潮間帯、砂底)
  • シミズメリタヨコエビ Melita shimizui (Uéno, 1940)  / 沿海州;日本各地(汽水、砂泥底)
  • ヒメメリタヨコエビ Melita tuberculata Nagata, 1965  / 黄海、渤海;日本(サンゴ礁石の下)

Quasimelita属 Jarrett & Bousfield, 1996

  • ホソメリタヨコエビ Quasimelita sexstachya (Gamo, 1977)  / 相模湾

Tegano属 Barnard & Karaman, 1982

  • シオダマリメリタヨコエビ Tegano shiodamari (Yamato, 1995)  / 紀伊半島(水深1m)


 三重県の銚子川で発見された「チョウシガワメリタヨコエビ」はNスぺの特集でお茶の間に届けられ、たいへん話題になりました(NHKスペシャル取材班ほか 2019)

 シミズメリタヨコエビは本邦各地の潮間帯や汽水域で得られていますが、サハリンから亜種が報告されていたり (Labay 2016)、国内でも地域により微妙に個体差が報告されていて (Yamato 1988)、危険な香りがします。本種はそもそも関東州(大連)の地下水から発見され、当初は マミズヨコエビ属 Crangonyx として記載された経緯をもちますが(上野 1940)、これも現在認識されている生態とのギャップを感じざるを得ません。ごっそり隠蔽種があるか、あるいは非常に適応度の高い種なのか、詳細な検討が必要だと思います。

 今年は、ウチデノコヅチ属の一種が時速約78kmで咬脚を閉じることができるという短報 (Longo et al. 2021) が発表され、これを紹介した記事が拡散されました。ウチデノコヅチに限らずハッジヨコエビ上科にはアシンメトリの咬脚をもつ種が散見され、特殊な機能を具えている可能性があります。

 

 なお、本邦既知属は以下の4つの形質を確認すれば識別可能です。

 

大顎髭節数;第5~7胸脚基節の幅;腹節背面の棘;第3尾肢副肢



 同定形質の属内での多型や、サブグループの線引きの難しさなど、ちょっとめんどくさいグループではありますが、未記載の種や属がボロボロと出てくる領域であり、死蔵されている標本も相当な数に上ると思われます。個人的には、日本各地で採れているもののまだ誰も名前をつけようとしない、ヨコエビ業界で通称「パンダメリタ」と呼ばれている白黒のメリタヨコエビが気になっています。

 

 

 

<参考文献>

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— Bousfield, E. L. 1973. Shallow-Water Gammaridean Amphipoda of New England. Cornell University Press; Ithaca & London, 312 pp.

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Labay, V. S. 2014. Review of amphipods of the Melita group (Amphipoda: Melitidae) from the coastal waters of Sakhalin Island (Far East of Russia). II. Genera Quasimelita Jarrett & Bousfield, 1996 and Melitoides Gurjanova, 1934. Zootaxa, 3869(3): 237.

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Longo, S. J.; Ray, W.; Farley, G. M.; Harrison, J.; Jorge, J.; Kaji, T.; Palmer, A. R.; Patek, S. N. 2021. Snaps of a tiny amphipod push the boundary of ultrafast, repeatable movement. Current Biology, 31: R116–R117.

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Lowry, J. K.; Springthorpe, R. T. 2007. A revision of the tropical/temperate amphipod genus Dulichiella Stout, 1912, and the description of a new Atlantic genus Verdeia gen. nov. (Crustacea: Amphipoda: Melitidae). Zootaxa, 1424: 1–62.

Lowry, J. K.; Springthorpe, R. T. 2009. Melitidae, the Melita group. In: Lowry, J. K. ; Myers, A. A. (Eds.) 2009. Benthic Amphipoda (Crustacea: Peracarida) of the Great Barrier Reef, Australia. Zootaxa, 2260: 718–735.

NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・富川光・平嶋健太郎・森哲也 2019. 『奇跡の清流銚子川 もっと知りたい!見えないものが見える川 NHKスペシャル』.山と溪谷社,東京.ISBN:978-4-635-64003-9

— Ruffo, S. 1979. Studi sui Crostacei anfipodi. 90. Descrizione di due nuovi anfipodi anoftalmi dell'Iran e del Madagascar (Phreatomelita paceae n.gen. n.sp., Dussartiella madegassa n.gen. n.sp.). Bolletino del Museo Civico di Storia Naturale di Verona, 6: 419–440.

Ruffo, S. 1994. New stygobiont amphipods (Crustacea Amphipoda) from the Philippine Islands. Tropical Zoology, 7(2): 355–366.

Sawicki, T. R.; Holsinger, J. R.; Iliffe, T. M. 2005. New species of amphipod crustaceans in the genera Tegano and Melita (Hadzioidea: Melitidae) from subterranean groundwaters in Guam, Palau, and the Philippines. Journal of Crustacean Biology, 25(1): 49–74.

Simpson, S. L.; Batley, G. E.; Chariton, A. A.; Stauber, J. L.; King, C. K.; Chapman, J. C.; Hyne, R. V.; Gale, S. A.; Roach, A. C.; Maher, W. A. 2005. Handbook for Sediment Quality Assessment (CSIRO:Bangor, NSW).

— Stock, J. H. 1977. The taxonomy and zoogeography of the Hadziid Amphipoda, with emphasis on the West Indian taxa. Studies on the Fauna of Curaçao and other Caribbean Islands, 55(177): 1–130.

Stock, J. H. 1985. Stygobiont amphipod crustaceans of the hadzioid group from Haiti. Bijdragen tot de Dierkunde, 55(2): 331–426.

— Stock J. H. 1988. Two new Stygobiont Amphipoda (Crustacea) from Polynesia. Stygologia, 4(1): 79–100.

上野益三 1940. 滿洲產陸水端脚類. In: 川村多実二(編)關東州及滿洲國陸水生物調査書.311–322.

Yamato, S. 1988. Two species of the genus Melita (Crustacea: Amphipoda) from Brackish Waters in Japan. Publications of the Seto Marine Biological Laboratory, 33(1–3): 79–95.



2021年1月26日火曜日

ポストコロナ:高濃度エタノール製品の使用について(1月度活動報告)

 

 液浸標本の作製においてエタノールによる固定・保存が一般的だと過去のブログで書きましたが、世界的な疫学的問題の影響でエタノールを使いにくくなったと感じる方は多いのではないでしょうか。

 日本ではアルコール需要の急増を受け、以下のような厚生労働省事務連絡が出ていました。

 

  要するに「厚労省が定める一定基準を満たすエタノール製品」(以下、高濃度エタノール製品)であれば、臨時措置として医薬品や医薬部外品に適合しなくとも手指消毒に転用してよいというお墨付きです。当時、3月半ばの時点で既に店頭やネットからスピリタスが消えるという現象も報道されており、こういった背景を踏まえたものと思われます。

 これら事務連絡は日本各地の自治体に落とし込まれ、住民へお知らせが流れました。そして、日本各地の酒造メーカーがこぞってこのカテゴリへ参入し始めました。その成果か、初夏には我らが無水エタノールが一般の市場へ戻り始めましたが、6月末の時点でAmazonでの価格は500mLで2,500円程度、現在でも2,000円程度と、コロナ禍より前の価格には戻っていません。

 だとすれば、無水エタの供給状況に左右されない固定・保存液として、今後も高濃度エタノール製品を選択肢に入れざるを得ないのではないか・・・?というわけで、今回は「ポストコロナ」「新しい生活様式」が叫ばれる昨今の時流を鑑み、高濃度エタノール製品の使用について主に形態保存の観点から検証を試みます。

 予想としては、標本の状態は単純にエタノール濃度に依存し、同濃度の従来品エタノール保存標本と同様の仕上がりになるのでは、と。

※高濃度エタノール製品の価格帯は500mLで1,200~2,500円程度と様々で、無水エタの代用としてコストが見合わない商品もありますが、とりあえず量を確保するという意図です。

※本稿は無水エタの代替として有用な高濃度エタノール製品の選定を目的としていますが、これら製品の安定供給を保証するものではありません。また、製品の特性は購入当時(2020年6月末)のものです。

※個人的には、液浸標本においてエタノールはPG(プロピレングリコール)で代替あるいは上位互換できるものと思っていますが、まだ一般に浸透しておらず標本供託の際等にめんどくさそうなのと、組織を締めて硬く仕上げるなどエタノールならではの特性もあることから、しばらくは併用するつもりです。

 

 

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<Materials>

  高濃度エタノール製品の中から、ヨコエビの保存に適するエタノール濃度のものを探索した。既往研究 (石丸 1985; 富川・森野 2009) を参考に、エタノール濃度70%以上の条件を満たす以下の10製品に絞り込んだ。

 

メーカー各位へ:怒らないでください。
 

  1. 70%「アルコール70」(原料用アルコール)菊池酒造株式会社,岡山県倉敷市.
  2. 70%「NEW POT 70」(ウイスキー)木内酒造合資会社,茨城県那珂市.
  3. 73%「NSD73」(スピリッツ)錦灘酒造株式会社,鹿児島県霧島市.
  4. 75%「つくしアルコール75」(原料用アルコール)西吉田酒造株式会社,福岡県筑後市.
  5. 77%「アルコール77」(スピリッツ)菊水酒造株式会社,高知県安芸市.
  6. 77%「笹一アルコール77」(スピリッツ)笹一酒造株式会社,山梨県大月市.
  7. 77%「柳川77」(原料用アルコール)柳川酒造株式会社,福岡県柳川市.
  8. 78%「ALC78%」(泡盛)瑞泉酒造株式会社,沖縄県那覇市.
  9. 82%「アナーキー ノット・サティスファイド」(ウォッカ)Bartex Sp.z o.o.社,パスウェンク(ポーランド).
  10. 96%「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」(ウォッカ)Polmos社,ポーランド.


 また、比較用に以下の従来手法も用意した。

  • 70%エタノール水溶液(健栄製薬「無水エタノール」と昭和製薬「日本薬局方精製水」を体積比7:3で混和したもの)
  • 健栄製薬「無水エタノール」
  • 松葉薬品「プロピレングリコール」

 

 

 

<Method>

I.官能試験

・飲用を制限する但し書きのあるものを除き、高濃度エタノール製品についてはまず官能検査を試みた。

 

II.形態観察

①県内の生息地において、洗い出し法によって フロリダマミズヨコエビ Crangonyx floridanus を採集した。

②採集した個体は保冷して持ち帰った後、 ”ラヴ・プリズン” (小原 2016) した。

③”ラヴ・プリズン” を7時間実施した後、2個体を1セットとして、それぞれ別々の規格瓶に入れ、異なる固定液を注ぎ、栓をして液浸標本とした。※プロピレングリコールのみ20個体以上浸漬した。

④液浸標本を暗所で室温保管し、色調の経時変化を観察した。

⑤2か月保管した標本をグリセリン中で観察し、解剖・同定を行う観点から性状を確認した。

 

 

 

Result

I.Tasting notes

2.ニューポット(熟成なし)とはいえ、ウィスキーなだけあってモルトを感じられる。トワイスアップでやっと35度と規格外の強者だが、加水しても香りと甘みをはっきりと感じる。

3.乙種焼酎にスピリッツを混合していると明記してあるが、焼酎の風味がしっかり残っている。水割りやチューハイとしての活躍が期待される。

5.焼酎の蒸留器を転用しているのであろう、焼酎を彷彿させる風味を感じるが、味わいには乏しい。 

6.刹那的な酸味がある。甘みはずっと残る。恐らくメーカー担当者は飲んでない。

8.香りは泡盛そのもの。お湯割りにすると大味に感じられるが、泡盛の雰囲気を味わえる。しかし、トワイスアップした上で「瑞泉」(アルコール濃度30%)と呑み比べると当然のことながらキレや旨味は遠く及ばず妙な臭みを感じる。

9.唇が著しく脱水されるウォッカ。

10.唇がシパシパになり、口腔と食道が灼ける。噂に違わない暴力的な酒。ストレートではバタートースト必須だが、適当に加水すれば普通に美味しいウォッカ。柑橘と合せて割って飲もう。



 

II.Morphological observation

few sec.

  • 体色は全体的に白色がかった透明、内臓が濃緑色あるいは橙色に透けて見える。
  • 卵は淡橙色~黒色。
  • 複眼は黒色。


10 min.

  • サンプルの色調に変化なし。


7 hr.

  • 無水エタノール:色調に変化なし。
  • PG:全身透明感のある橙色。 複眼は黒色。
  • それ以外:全身白化。複眼は黒色。卵は橙色。


24 hr.

  • 7hr経過時点から変化なし。


3 days

  • 7hr経過時点から変化なし。

 

10 days

  • 無水エタノール:卵と全体に橙色を帯びる。付属肢は白色。
  • 1.菊池酒造「アルコール70」;3.錦灘酒造「NSD73」;4.西吉田酒造「つくしアルコール75」:7hr経過時点から変化なし。
  • その他:卵が白色を帯びる。


2 months

  • 無水エタノール:全体に透明感の無い白色。組織は著しく黄変。
  • PG:全体的に黄色がかり透明感が残る白色。
  • 1.菊池酒造「アルコール70」:7hr経過時点から変化なし。
  • 3.錦灘酒造「NSD73」;4.西吉田酒造「つくしアルコール75」:卵が白色を帯びる。
  • その他:10日経過時点から変化なし。

 

高濃度エタノール製品等で固定したフロマミ。

  1. 菊池酒造「アルコール70」:柔軟。
  2. 木内酒造「NEW POT 70」:収縮あり。やや脆弱。
  3. 錦灘酒造「NSD73」:収縮あり。
  4. 西吉田酒造「つくしアルコール75」:硬直ぎみ。
  5. 菊水酒造「アルコール77」:収縮あり。
  6. 笹一酒造「笹一アルコール77」:柔軟。
  7. 柳川酒造「柳川77」:硬直ぎみ。
  8. 瑞泉酒造「ALC78%」:やや硬直。
  9. Bartex Sp.z o.o.「アナーキー ノット・サティスファイド」:やや硬直。
  10. Polmos「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」:硬直。やや収縮。
  11. 70%エタノール:柔軟。
  12. 99%エタノール:脆弱。
  13. 99% PG:柔軟。



<Discussion>

 新規参入の高濃度エタノール製品の中では、木内酒造「NEW POT 70」のウイスキーとしての価値の高さが示された。国内メーカーの主なニューポットと比較すると半値程度であり、飲用として検討の余地がある。その他の新規参入製品については、普段の蒸留の性質を強く反映するという興味深い傾向がみられたが飲用に供する必然性を見いだすことはできなかった。

 菊池酒造「アルコール70」のみ、卵の色彩が2か月以上保持された。卵の発達度合い等、保存液の性状と関係がない可能性もあるものの、本製品に浸漬した標本は2か月後の形態観察において75%未満の製品群の中では異例の良好なコンディションが認められている。

 その他の保存液については、概ね半日~2ヵ月程度の間に標本の組織を安定させるものと推測された。しかし、一部の製品では標本の筋肉組織の収縮が観察され、一概に70%以上の濃度での使用がヨコエビの形態観察に適していないとの結果が導かれた。検証の範囲では、77%以上の高濃度エタノール製品についてはその大部分において、ヨコエビの固定に支障は少ないものと判断された。分子解析に関わる保存能についても検証が俟たれる。

 

メーカー各位へ再度お願い:怒らないでください。

 

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 エタノール70~99%以上で無添加であれば固定の具合に差は無いと考えていたので、特にこだわる必要のないところにこだわったネタ的な記事にするつもりでしたが、意外な結果となりました。

 差が出てしまったので本来製品名やメーカー名は伏せるべきでしょうが、飲み比べたり固定したりするうちに個々の製品に愛着が沸いてしまったので秘するには忍びなく、とりあえずこのまま公開します。

 木内酒造のニューポットについてはツイッターでも美味しいという前評判を聞いていましたが、実際に飲んでみるとさすがの風味でした。

 個人的には古いウイスキーが好みであまりニューポットは買ってなかったのですが、もう少し銘柄を集めて飲み比べなどしてみたくなりました。

 

 形態保存の評価については —nが少ない上に室温等の保存条件は一定せず、状態の記述も完全に主観ですが— アルコール80%付近は必要ということだと思います。

 また、従来方式の経時変化を細かく追ったことはなかったので、これについても今後の参考になる気がします。

 ただ、99%エタノールがだいぶくたびれていたのはかなり驚きました。今回は入手しやすさからフロマミを使いましたが、これまでマミズヨコエビ科を固定したことがほとんどなかったため、これが異常なのかはわかりません。これまで99%でうまくいっていたように思われる海産のグループとは事情が違う気がしています。別のグループで同じ検証をすると、また違った結果になるかもしれません。とはいえ、70%エタノールとPGは相変わらず良好な保存能を見せつけています。

 まだ2か月が経過した段階ではありますが、標本の状態が従来方式の70%と大差ない製品については、このまま保存液として使えると思います。

 メンテフリーで10年やそこらの保管は可能な気がしますが、あくまで感覚なので、より長期保管した場合の変化も継続して観察していきます。

 

 なお、市場には消毒用途としてIPなどを添加した低濃度アルコール製品やジェル製品も出回っており、酒税がかからないので低価格で買えます。しかし、過去の検証の通りヨコエビの固定・保存には不向きです。その点だけ強調しておきます。

 

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補遺 30-vi-2023

 高濃度エタノール製品の転用を認める特例は、2024年6月30日をもって廃止されるそうです。現在も店頭で見ることはほぼありませんが、普通のエタノール製剤に代わるような供給はこれで決定的に望めなくなりました。

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補遺2 15-VIII-2024
・一部書式設定変更。

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 <参考文献>

石丸 信一 1985. ヨコエビ類の研究法. 生物教材, 19,20: 91–105.

富川 光・森野 浩 2009. ヨコエビ類の描画方法. 広島大学大学院教育学研究科紀要17: 179–183.

小原ヨシツグ 2016. 第6話 標本! In:『ガタガール①』. 講談社, 東京. 174p.

 

2020年12月30日水曜日

2020年新種ヨコエビを振り返って(12月度活動報告)


 毎年恒例、年に一度の総決算の時期がやってまいりました。
 新種記載のみですが、一年間を振り返ってみます。
 
※2017年実績
※2018年実績 
※2019年実績

 記載者については、基本的に論文中あるいは私信で明言のある場合につけていますが、今年は年内に公開された「Amphipod Newsletter 44(以下、AN44)」にて8月末までの新種がまとめられているため、こちらも参照しています。また、2020年にはクラゲノミの新種やワレカラの新属新種も記載されていますが、本稿では旧ヨコエビ亜目に含まれる分類群のみを対象としております。


New Species of
Gammaridean Amphipods
Described in 2020

(Temporary list)





January

Varela (2020)

Epimeria panamensis Varela, 2020

  2020年初の新種ヨコエビ記載は、恐らく本種です。パナマ湾の深部からヨロイヨコエビ属の1新種を記載。盲目種のようです。20mm程度の小型種のようで、記載図は一般的なヨコエビと同様に線画です。本文はタダで読めます。 





Andrade and Senna (2020a)

Heterophoxus shoemakeri Andrade & Senna, 2020

 ブラジルのリオデジャネイロから ヒサシソコエビ科 Phoxocephalidae の1新種を記載。形態をベースに、雌雄しっかりおさえているのが素晴らしい。世界に分布する Heterophoxus 属 11種の検索表も提供しています。EJTなので無料で読めます。




 
Kodama et al. (2020)

Sunamphitoe gigantea Kodama, Onitsuka & Kawamura, 2020 オニヒゲナガ

  北海道からニセヒゲナガヨコエビ属 Sunamphitoe の1新種を記載。体言止めの和名が潔いです。その名の通り,体長40mmを越える巨大な種で,形態に加えて分子解析も行っており,属内の類縁関係について記述しています。生態写真まで載っていて楽しい論文です。



Ortiz et al. (2020)

Shoemakerella fissipro  

 Ortiz et al. (2018) にてメキシコ湾から記載を行った新種について,ZooBankナンバーを取得していなかったことから,命名規約に則って一旦無効とし,改めてやり直したようです。



February


Lee, Tomikawa, Nakano and Min (2020)

Pseudocrangonyx joolaei Lee, Tomikawa, Nakano & Min, 2020

 韓国の洞窟から メクラヨコエビ属 Pseudocrangonyx の1新種を記載。アブストに簡単な形態の記述があります。核遺伝子28S rRNA,ヒストンH3領域に加えて,
ミトコンドリア遺伝子COIと16S rRNAを解析し,アカツカメクラヨコエビ P. akatsukai と同じクレードを形成したようです。本文は有料。



Jigneshkumar et al. (2020)

Talorchestia lakshadweepensis Trivedri, Lowry & Myers, 2020 in Trivedri et al. 2020

 インドのチェリユム島から Talorchestia属 の2種を報告。うち一種は既知の T. affinis Maccagno, 1936 と同定され,もう一種を新種として記載したとのこと。本文は有料。





Alves et al. (2020)

Leucothoe oxumae Alves, Neves & Johnsson, 2020
Stenothoe ogumi
Alves, Neves & Johnsson, 2020

 ブラジルより”チビヨコエビ上科”の2新種を記載。サンゴの一種であるヒメイボヤギ Tubastraea coccinea に付着して生活しているとのこと。本文は有料。





Morino (2020a)

Leptorchestia biseta Morino, 2020 ホソオカトビムシ
Miyamotoia daitoensis
Morino, 2020 ダイトウオカトビムシ
Miyamotoia spinolabrum
Morino, 2020 クチトゲオカトビムシ
Morinoia chichijimaensis
Morino, 2020 チチジマオカトビムシ

 小笠原諸島および大東島からオカトビムシ類の2新属4新種を記載。日本の南の島におけるハマトビムシ科の記録としては,かなり総括めいた重みのある論文です。また,昨年設立された Morinoia 属 に「モリノオカトビムシ属」との和名が提唱されました。科博紀要なので無料で読めます。




Ariyama (2020a)

Maera sagamiensis Ariyama, 2020 サガミスンナリヨコエビ
Orientomaera incisa
Ariyama, 2020 キレコミスンナリヨコエビ

 日本からスンナリヨコエビ科の2新種を発表。また,既知の Maera に ホンスンナリヨコエビ属 ,Meximaera に メキシコスンナリヨコエビ属 との和名を,Maera loveni (Bruzelius, 1859) に オオスンナリヨコエビ ,Meximaera mooreana (Myers, 1989) に カワリスンナリヨコエビ との和名を提唱しています。さらに,本邦産15種の検索表を提供しています。



March


Weston, Carrillo-Barragan, Linley, Reid and Jamieson (2020)

Eurythenes plasticus Weston in Weston et al., 2020

 衝撃的な命名に震えました。ヨコエビの学名でここまで攻めたものは今まであまり記憶にありません。WWFが動画をツイートしたことでも,ネットで話題になりました。
 本種はマリアナ海溝の水深 6,010~6,949m に設置したベイトトラップに捕獲されたもので,1個体の後腸内からポリエチレンテレフタレートに類似した繊維が発見されたことから「プラスティック」にちなんだ種小名がつけられました。マイクロプラスティック汚染が深海に及んでいることは以前から取り沙汰されており,浅海域も含めてヨコエビへの影響も研究されていましたが(Remy et al. 2015; Yardy et al. 2020),こうして人類が発見・命名する前の生物にも人類が排出した物質の影響が及んでいるのを目の当たりにすると,改めて思うところがあります。
 記載にあたっては,形態に加えてミトコンドリア遺伝子の2領域(16S,COI)を解析しています。また,この論文は無料で読むことができます(2020年3月5日現在)。




Lowry et al. (2020)

Gondwanorchestia tristanensis Lowry, Myers & Perez-Schultheiss, 2020

 ハマトビムシ科 Talitridae に1新属1新種を記載。20世紀初頭(1937~1938年)に南太平洋のトリスタンダクーニャにて採集され,Orchestia scutigerula Dana, 1852 とされていた標本を再検討したところ,未記載だったことが判明したとのこと。





Okazaki et al. (2020)

Rhachotropis reiwa レイワリュウグウヨコエビ


 令和二年初の広島大学から出た記載論文。その名も「reiwa」という種小名がつきました。深海に生息する テンロウヨコエビ科 Eusiridae・リュウグウヨコエビ属の一種です。




Marin (2020)

Liljeborgia associata 

 日本海からトゲヨコエビ科 Liljeborgidae の1新種を記載。ユムシ Urechis unicinctus の巣穴に共生するとのこと(素人なのでわからないのですがこの分類は大丈夫なんでしょうか)。ESJなので無料で読めます。



Peña Othaitz and Sorbe (2020)

Eusirus bonnieri Peña Othaitz & Sorbe, 2020

 大西洋北東部ビスケー湾の水深 370~1,099m から,テンロウヨコエビ属の1新種を記載。それとともに,全既知種の検索表を提供。本文は有料。



Wang et al. (2020a)

Epimeria liui Wang, Yu, Sha & Ren, 2020

 フィリピン沖の水深 813~1,242m からヨロイヨコエビ属の1新種を記載。ROV「发現」によって採集されたそうです。各付属肢が線画で図示されています。太平洋産ヨロイヨコエビ属の検索表を提供しています。Zookeys なので無料で読めます。




Andrade and Senna (2020b)

Atlantiphoxus wajapi Andrade & Senna, 2020

 大西洋からヒサシソコエビ科の新属新種を記載。ヨコエビの記載にはほとんど使われない「Scientia Marina」というジャーナルですが,無料で読めます。

 

 


Hegna et al. (2020) 

Caecorchestia bousfieldi Hegna & Lazo-Wasem, 2020 in Hegna et al. 2020

 中新世前期の琥珀中から発見された盲目のハマトビムシ類を、CTスキャンを用いた観察によって記載。出版日は Myers and Lowry (2020) の大手術より前なので、現状のハマトビムシ上科のどこに位置するか分かりません。本文は有料。

 



April

Palatov and Marin (2020)

Palearcticarellus smirnovi Palatov & Marin, 2020

Palearcticarellus sapozhnikovi Palatov & Marin, 2020

 アルタイ山脈からマミズヨコエビ科の2新種を記載するとともに、1新属を設立。これまで Stygobromus属とされていた3種 — S. kazakhstanica (Kulkina 1992); S. mikhaili Sidorov, Holsinger & Takhteev, 2010; S. pusillus (Martynov, 1930) — をこの新属に含めるものとしています。本文は読めそうな気配がありませんが、アブストがわりと充実しています。

 

 

 

 Heo et al. (2020)

Microlysias rectangulatus 
Microlysias triangulus 

 韓国からタカラソコエビ科 Tryphosidae の2新種を記載。アブストにわりと詳しい形態の説明があります。




Moskalenko, Neretina and Yampolsky (2020)

Eulimnogammarus etyngovae
Moskalenko, Neretina & Yampolsky, 2020
Eulimnogammarus tchernykhi
Moskalenko, Neretina & Yampolsky, 2020


 バイカル湖から固有のヨコエビ2新種を記載。



Di Rossi et al. (2020)

Ptilohyale corinne

 アルゼンチンから Ptilohyale属 の 1新種 を記載。日本のフサゲモクズ P. barbicornis と同属です。過去の不適切な処理をレビューしつつ,本属に含まれる 12種 の検索表を提供しています。本文は有料。



Andrade and Senna (2020c)

Pseudharpinia bonhami Andrade & Senna, 2020
Pseudharpinia jonesyi
Andrade & Senna, 2020
Pseudharpinia pagei
Andrade & Senna, 2020
Pseudharpinia planti
Andrade & Senna, 2020


 大西洋から ヒサシソコエビ科 Phoxocephalidae の4新種を記載。Pseudharpinia
属の全種の検索表を提供しています。本文は有料。




Shimoji et al. (2020)

Calliopius ezoensis エゾウラシマヨコエビ

 北海道東岸からウラシマヨコエビ属の1新種を記載。形態と分子(核遺伝子ヒストンH3領域,ミトコンドリア遺伝子16S領域,核遺伝子28S リボソームRNA領域,ミトコンドリア遺伝子COI領域)を検討しています。ヨコエビの新種記載はあまり用いられない「Proceedings of the Biological Society of Washington」という雑誌に載っており,本文は有料ですが,アブストに詳細な形態の記述があります。



Weston, Peart and Jamieson (2020)

Civifractura serendipia
Stephonyx sigmacrus


 インド洋の深海 4,932 m において,ベイトトラップに集まったヨコエビを解析し,Uristidae科に2新種を記載。うち1種は新属が建てられました。分子と形態を併用しており,ミトコンドリア遺伝子は 16S rDNA 領域と COI 領域,そして核遺伝子は ヒストン 3 と 28S rRNA を使っています。フカミソコエビ属とダイダラボッチ科の検索表を提供。無料で読めます。



May


Feirulsha and Rahim (2020)

Pereionotus tinggiensis

 マレーシアからゴクゾウヨコエビ属の1新種を記載。メスに限って11種の検索表を提供しています。



Alves, Lowry and Johnsson (2020)

Magnovis elizabethae Alves, Lowry & Jonsson, 2020

 ブラジルの大陸棚からハッジヨコエビ小目の1新種を記載.新属を建てるとともに,新科Magnovidaeと,新上科Magnovioideaを設立。本文は有料ですが,アブストに形態の記述があります。AN44では2019年の記載ですが、WoRMSでは2020年となっているのでこちらに準じました。




 

 

June

 Cannizzaro, Balding, Lazo-Wasem and Sawicki (2020)

Crangonyx parhobbsi Cannizaro & Sawicki, 2020 

  フロリダ半島からメクラヨコエビ属の1新種を記載。本文は有料。



Ariyama and Moritaki (2020)

Bathyceradocus japonicus Ariyama & Moritaki, 2020 チンボクヨコエビ

 以前から話題になっていた沈木性スンナリヨコエビ科に1新種を記載。各ニュースサイトに採り上げられて話題になりました.チンボクヨコエビ属との和名も提唱しています。熊野灘から採取し鳥羽水族館の水槽に展示していた沈木の中に棲んでいたのを発見されました。同属他種はだいたい水深1,000~5,000mの漸深層に生息しますが,本種は330~400mの比較的浅い深度から得られています。有り難いことに本文は無料で読めます。7属の検索表を提供。



Gouillieux et al. (2020)

Idunella bacheleti 

 ビスケー湾からトゲヨコエビ科(Liljeborgiidae)の1新種を記載。




Marrón-Becerra et al. (2020)

Hyalella tepehuana Marron-Becerra, Hermoso-Salazar & Rivas, 2020

 メキシコのドゥランゴから Hyalella属 の1新種を記載。SEM画像を多用した形態一本の記載で、中米産15種の Hyalella属 の検索表を提供しています。近似種との識別点はアブストに詳しく載ってます。Zookeys なので本文まで無料で読めます。




Nurshazwan et al. (2020)

Cerapus bumbumiensis Nurshazwan, Ahmad-Zaki & Azman, 2020

 マレイシアから ホソツツムシ属 Cerapus の1新種を記載。ホソツツムシ属の検索表を提供しているとのことです。本文は有料。



Winfield and Hendrickx (2020)

Epimeria karamani Winfield & Hendrickx, 2020

 太平洋東部メキシコ沖からヨロイヨコエビ属 Epimeria の1新種を記載。本文は有料ですが、アブスト中に詳細な形態の記述があります。



Myers and Lowry (2020)

Orchestia forchuensis Myers & Lowry, 2020
Orchestia perezi
Myers & Lowry, 2020
Orchestia tabladoi Myers & Lowry, 2020

 3新種を記載。Orchestia属 の担名種にあたる O. gammarellus のタイプ産地を精査した上でネオタイプを指定しており、隠蔽種を炙り出した感じです。新種記載に加えて、かつて O. gammarellus のシノニムとして消された O. inaequalipes を復活させています。本文は有料です。



Reis et al. (2020)

Hyalella catarinensis
Hyalella rioantensis


 ブラジルから Hyalella属 の2新種を記載。形態のみを検討しています。ブラジル南部から報告されている既知種を加えた12種の形態マトリクスを提供。本文は無料で読めます。

 なお、AN44 にて「悲しいことに本文は読んでないが新種の名前だけ判明している」として、この論文で記載された種を「Hyalella kaingang」「Hyalella xabriaba」と紹介していますが、前者は Bueno et al. (2013) で記載されており、後者は Bueno et al. (2013) の「xakriaba」を「xabriaba」と綴ったものとみられ、どちらも明らかに誤りです。

 

 

 

 Murat and Sket (2020)

Rhipidogammarus gordankaramani Murat & Sket, 2020

 トルコからヨコエビ科の1新種を記載。Rhipidogammarus属の8種の二又式検索表および形態マトリクスを掲載しています。

 



Cannizzaro, Gibson and Sawicki (2020)

Simplexia longicrus Cannizzaro, Gibson & Sawicki, 2020
 
 テキサスからスキマヨコエビ科の1新属1新種を記載。本種と Parabogidiella americana の2種を収納する新科 Parabogidiellidae が建っています。本文は有料。




Marin and Palatov (2020)

Gammarus martynovi Marin & Palatov, 2020

タジキスタンからヨコエビ属の1新種を記載。






July


Ariyama (2020b)

Grandidierella contigua Ariyama, 2020 リンセツドロソコエビ
Grandidierella japonicoides
Ariyama, 2020 ニホンドロソコエビモドキ
Grandidierella nana
Ariyama, 2020 チビドロソコエビ
Grandidierella pseudosakaensis
Ariyama, 2020 ニセオオサカドロソコエビ

 南西諸島から6種のドロソコエビ属(Grandidierella)を報告するとともに、4新種を記載。本土の種と類似した形態をした種も見つかっており、今後の分類学的研究に与える影響は大きそうです。G. gilesi Chilton, 1921 には ケアシドロソコエビG. halophila Wongkamhaeng, Pholpunthin & Azman, 2012 には ムネトゲドロソコエビ との和名を提唱しています。リンセツドロソコエビ G. contigua の和名および学名は、第1咬脚掌縁の歯の配列の様子に由来するとのことです。6種全てに対してオスの形態に基づく検索表を提供。本文は有料。



Ali-Eimran et al. (2020)

Grandidierella pawaiensis 
Grandidierella sungeicina


 シンガポールからドロソコエビ属(Grandidierella)の2新種を記載。G. pawaiensis はガーリーなピンクです。南シナ海に分布する7種の検索表を提供。EJTなので無料で読めます。




Hughes (2020)

Lepidepecreoides stoddartae Hughes, 2020

 南大西洋から タカラソコエビ科 Tryphosidae の1新種を記載。フトヒゲソコエビ類研究者の Stoddart に献名されています。本文は有料。




Lowry and Myers (2020)

Clippertonia schmitti Lowry & Myers, 2020

 太平洋メキシコ沖に浮かぶ仏領クリッパートン島からハマトビムシ上科の1新種を記載。新属を建てています。鳥の巣から見つかったとのことです。




Morino (2020b)

Aokiorchestia jajima Morino, 2020 ミナミオカトビムシ

 森野 (1991) で紹介され、森野 (1999) や 森野 (2015) でも未記載のままだった「ミナミオカトビムシ」に、とうとう学名が与えられました。Platorchestia属の1種として扱われた期間が長かったものの、結局新属が建ちました。改めて線画を見ると PlatorchestiaMorinoia とだいぶ趣が違うように感じられます。属名は『土壌動物検索図説』の監修者でもある日本の土壌生物学の権威・青木淳一博士に献名されています(※タイトルでは属名が「Aokiorcheestia」となっていますが、誤植です。下記の引用文献のところではこちらで修正をかけました)。種小名は、産地の一つである京都・舞鶴港に浮かぶ蛇島に由来します。




Sidorov (2020)

Paramoera (Ganigamoera) koropokkuru Sidorov, 2020 

色丹島からミギワヨコエビ属の1新種を記載。種小名がかわいいです。



Wang et al. (2020b)

Bathya brevicarpus Wang, Zhu, Sha & Ren, 2020

 沖縄トラフの熱水噴出孔からウラシマヨコエビ科の1新種を記載。新属を建てています。ウラシマヨコエビ科の検索表を提供。EJTなので本文は無料。
 

 
 

August


Lee, Tomikawa and Min (2020)

Pseudocrangonyx wonkimi Lee, Tomikawa & Min, 2020

 韓国・全羅南道の洞窟からメクラヨコエビ属の1新種を記載。分子と形態を両方見ています。本文は無料で読めます。
 
 
 
Lowry, Springthorpe and Myers (2020)

Carpentaria tropicalis Lowry, Springthorpe & Myers, 2020

 オーストラリアからハマトビムシ上科の1新種を記載。Protorchestiidae
科に1新属を建てています。本文は有料。
 
 
 
Jarzembowski et al. (2020)
 
Gammaroidorum vonki
 
 英国の白亜紀前期の化石をもとに、新属新種を記載。本文は有料。



 

 September

 
Tomikawa, Kakui and Fujiwara (2020)

Nicippe beringensis

 海洋地球研究船「みらい」の調査によってベーリング海の水深 520~536m から得られた標本をもとに、Pardaliscidae科 ミコヨコエビ Nicippe属 の1新種を記載。ノルウェイで得られた N. tumida Bruzelius, 1859 の標本を検討・再記載するとともに、ミコヨコエビ属6種の形態検索表を提供。本文は無料。
 
 
 
Momtazi (2020)

Ampelisca linearis Momtazi, 2020
Ampelisca lowryi
Momtazi, 2020
Ampelisca persicus
Momtazi, 2020

 ペルシャ湾とオマーン湾から,スガメ属 Ampelisca の3新種を記載するとともに、ヒトツメスガメ A. cyclops を再記載したとのこと。
 
 

Jung, Kim, Kim and Yoon (2020)

Pseudocrangonyx concavus
Pseudocrangonyx crassus
Pseudocrangonyx gracilipes
Pseudocrangonyx minutus
Pseudocrangonyx villosus

 
 韓国からメクラヨコエビ属の5新種を記載。韓国から報告されている8種について検索表を提供.分類には形態のみを用いています。本文は無料。





October

Pérez-Schultheiss and Pardo (2020)

Isaeopsis chiloensis

 チリからカマキリヨコエビ科の1新種を記載。本属はこれまで I. tenax K. H. Barnard, 1916 のみが知られている単型分類群であり、これが史上2種目の報告となります。イチョウガニ科の Metacarcinus edwardsii Romaleon setosum に付着するそうです。本文は有料。

 

 

 

Hagihara, Nakano and Tomikawa (2020)

Paramoera shakotanensis

 北海道の幌内府川からアゴナガヨコエビ科ミギワヨコエビ属の1新種を記載。アブストにまあまあ形態の記述があります。本文は有料。





November

Ariyama, Kodama and Tomikawa (2020)

Maera denticoxa キタスンナリヨコエビ
Quadrimaera angulata マルスンナリヨコエビ

  日本のスンナリヨコエビレビュー第4弾。2新種を報告。本邦既知17種の検索表を提供しており大変ありがたいです。

 

 

Johansen and Vader (2020) 

Nicippe isaki Johansen & Vader, 2020 

 北極圏に位置するスヴァールバル諸島から ミコヨコエビ属 の新種を記載。本文は有料ですがアブストが充実しています。

 

 

December

Momtazi and Maghsoudlou (2020)

Pleonexes nargessi Momtazi & Maghsoudlou, 2020

 ペルシャ湾とオマーン湾から Pleonexes属 を報告。1新種を記載しています。新種 P. nargessi の第5~7胸脚は多少 Pleonexes属 っぽいものの、尾節板には鈎状の突起がないなど気になる要素がみられます(Pleonexes属の怪しさについてはこちら)。この論文では過去に報告された P. kava の形態の幅をマトリクスで示しつつ、新種の正当性を主張しています。さらに、Ampithoe qeshmensis Layeghi & Momtazi, 2018 を Pleonexes属 に移動させています。P. geshmensisP. nargessi によく似ており、尾節板にこれといった突起はないものの、第5、6胸脚はやや把握器様の形状です。本文は有料。



Kwon, Kim, Heo and Kim (2020)

Gammarus baengnyeongensis

 北朝鮮と対面する最前線にあたる韓国の白翎島と大青島から、ヨコエビ属 Gammarus の1新種を記載。



Verheye and D’Udekem D’Acoz (2020)

Eusirus pontomedon

 背面にトゲの多い特徴的なテンロウヨコエビ属の1種を記載。これまで E. perdentatusE. giganteus という2種が知られていましたが、それぞれに異なる遺伝的集団を内包していることが分かったとのことで、E. perdentatus から派生した1集団を別種として記載したとのことです。 


 

 というわけで、今年は 81 82 種が記載されたようです。

 なお、富川先生らがマリアナ海溝のSSF(蛇紋岩化した橄欖岩上に形成される化学合成生態系に特徴づけられる研究サイト)で得られた Princaxelia属 の新種をズーキーズで記載しそうな雰囲気がありましたが、12月30日現在、まだ御publishされていないようです。




<2020年新種記載文献>
Ali-Eimran, A.; Lee, Y.-l.; Azman, B. A. R. 2020. Two new species of Grandidierella (Amphipoda, Corophiida, Aoridea) from Singapore. European Journal of Taxonomy, 683: 1–28.
Alves, J.; Lowry, J. K.; Johnsson, R. 2020. A new superfamily and family of Hadziida (Amphipoda: Senticaudata), with a description of a new genus and new species from the Brazilian continental shelf. Zootaxa, 4779(4).
Alves, J.; Neves, E.; Johnsson, R. 2020. Two new Amphilochida (Amphipoda: Amphilochidea) associated with the bioinvasive Tubastraea coccinea from Todos-os-Santos Bay, Bahia State, Brazil. Zootaxa, 4743(1).
Andrade, L. F.; Senna, A. R. 2020a. A novel species of Heterophoxus Shoemaker, 1925 (Crustacea, Amphipoda, Phoxocephalidae) from southeast and southern Brazil, with an identification key to world species of the genus. European Journal of Taxonomy, 592: 1–16.
Andrade, L. F.; Senna, A. R. 2020b. Atlantiphoxus wajapi n. gen., n. sp. (Crustacea: Amphipoda: Phoxocephalidae), a new deep-sea amphipod from the southwestern Atlantic. Scientia Marina, 84(2).
Andrade, L. F.; Senna, A. R. 2020c. Four new species of Pseudharpinia Schellenberg, 1931 (Crustacea: Amphipoda: Phoxocephalidae) from southwestern Atlantic and new records of P. tupinamba Senna & Souza-Filho, 2011. Zootaxa, 4763(4).
Ariyama H. 2020a. Species of the Maera-clade collected from Japan. Part 3: genera Maera Leach, 1814, Meximaera Barnard, 1969 and Orientomaera Ariyama, 2018 (addendum), with a key to Japanese species of the clade (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Zootaxa, 4743(4): 451–479.
Ariyama H. 2020b. Six species of Grandidierella collected from the Ryukyu Archipelago in Japan, with descriptions of four new species (Crustacea: Amphipoda: Aoridae). Zootaxa, 4810(1).
Ariyama H.; Kodama M.; Tomikawa K. 2020. Species of the Maera-clade collected from Japan. Part 4: addenda to genera Maera Leach, 1814 and Quadrimaera Krapp-Schickel & Ruffo, 2000, with revised keys to Japanese species of the clade (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Zootaxa, 4885(3): 336–352.
Ariyama H.; Moritaki T. 2020. A new species of the genus Bathyceradocus from the Kumano-nada, central Japan (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Crustacean Research, 4: 61–71.
Cannizzaro, A. G.; Balding, D.; Lazo-Wasem, E. A.; Sawicki, T. R. 2020. A new species rises from beneath Florida: molecular phylogenetic analyses reveal cryptic diversity among the metapopulation of Crangonyx hobbsi Shoemaker, 1941 (Amphipoda: Crangonyctidae). Organisms Diversity & Evolution:1–18.
Cannizzaro, A. G.; Gibson, J. R.: Sawicki, T. R. 2020. A new enigmatic genus of subterranean amphipod (Amphipoda : Bogidielloidea) from Terrell County, Texas, with the establishment of Parabogidiellidae, fam. nov., and notes on the family Bogidiellidae. Invertebrate Systematics, 34(5): 504–518.
Di Rossi, C.; Sciberras, M.; Bulnes, V. N. 2020. Description of Ptilohyale corinne sp. nov. (Amphipoda: Hyalidae) from the Bahía Blanca estuary, Argentina, including a key to all valid Ptilohyale species. Zootaxa, 4763(1): 125–137.
Feirulsha, N.-S.; Rahim, A. A. 2020. A new species of Pereionotus (Amphipoda, Senticaudata, Phliantidae) from Pulau Tinggi, Sultan Iskandar Marine Park, Malaysia. Zoosystematics and Evolution, 96(1): 195–203.
Gouillieux, B.; Bonifacio, P.; Lavesque, N. 2020. Idunella bacheleti sp. nov., a new Liljeborgiidae species (Crustacea: Amphipoda) from the Capbreton Canyon (Bay of Biscay, NE Atlantic Ocean). Cahiers de Biologie Marine, 61: 311–322.
Hagihara, K.; Nakano, T.; Tomikawa, K. 2020. A new species of Paramoera (Crustacea: Amphipoda: Pontogeneiidae) from an estuary habitat in Hokkaido, Japan. Journal of Natural History, 54(19–20): 1279–1292. 
Hegna, T. A.; Lazo-Wasem, E. A.; Serrano-Sánchez, M. de L.; Barragán, R.; Vega, F. J. 2020. A new fossil talitrid amphipod from the lower early Miocene Chiapas amber documented with microCT scanning. Journal of South American Earth Sciences, 98: Article 102462.
—  Heo, J.-H.; Hendrycks, E. A.; Kim, Y.-H. 2020. Two new species of the genus Microlysias (Crustacea, Amphipoda, Tryphosidae) from Korean Waters. Zootaxa, 4759(4).
Hughes, L. E. 2020. Lepidepecreoides stoddartae sp. nov. from the Falkland Islands (Amphipoda: Tryphosidae). Zootaxa, 4816(1).
Jigneshkumar, N. T.; Lowry, J. K.; Myers, A. A.; Keloth, R. 2020. Two species of Talorchestia Dana 1853 (Crustacea, Amphipoda, Talitridae) including T. lakshadweepensis sp. nov. from the Lakshadweep Islands, India. Zootaxa, 4732(2).
Johansen, P.-O.; Vader, W. 2020. Nicippe isaki, a new species of Pardaliscidae (Crustacea: Amphipoda) from Svalbard. Marine Biology Research, 16, 6-7. 
Jung, T. W.; Kim, J. G.; Kim, M.-S.; Yoon, S. M. 2020. Five new subterranean amphipods of the genus Pseudocrangonyx from Korea (Crustacea, Amphipoda, Pseudocrangonyctidae). Zookeys, 970: 1-50.
Kodama M.; Onitsuka T.; Kawamura T. 2020. A new species of Sunamphitoe Bate, 1857 (Crustacea: Amphipoda: Ampithoidae) from Hokkaido, Japan. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 1–10.
Kwon S.-Y.; Kim M.-S.; Heo J.-H.; Kim Y.-H. 2020. A new Gammarus species (Crustacea, Amphipoda, Gammaridae) from Northwestern Islands, South Korea. Zootaxa, 4896(4).
Lee, C.-W.; Tomikawa K.; Nakano T.; Min, G.-S. 2020. A new species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae) from Simbok Cave, Korea. Zootaxa, 4731(3). 
Lee, C.-W.; Tomikawa K.; Min, G.-S. 2020. A new cave amphipod, Pseudocrangonyx wonkimi sp. nov. (Crustacea, Amphipoda, Pseudocrangonyctidae), from the Korean Peninsula. ZooKeys, 960: 1-15.
— Lowry, J. K.; Myers, A. A. 2020. Clippertonia gen nov., sp. nov., a new talitrid amphipod from bird nests on Clipperton Island in the tropical eastern Pacific Ocean (Amphipoda, Senticaudata, Talitroidea, Talitridae). The Montenegrin Academy of Sciences And Arts Proceedings of The Section of Natural Sciences, 23: 181–189.
Lowry, J. K.; Myers, A. A.; Pérez-Schultheiss, J. 2020. Gondwanorchestia tristanensis gen. nov. sp. nov., a new southern hemisphere genus and species of talitrid amphipod (Amphipoda, Senticaudata, Talitridae). Zootaxa, 4748(2).
Lowry, J. K.; Springthorpe, R. T.; Myers, A. A. 2020. Carpentaria gen. nov., a new talitrid genus from tropical Australia (Amphipoda, Senticaudata, Talitroidea, Protorchestiidae). Zootaxa, 4834(3). 
Marin, I. 2020. A new species of the genus Liljeborgia Spence Bate, 1862 (Crustacea: Amphipoda: Liljeborgiidae) associated with the burrows of the spoon worm Urechis unicinctus in the Sea of Japan. European Journal of Taxonomy, 613.
Marin, I. N.; Palatov, D. M. 2020. A new species of freshwater amphipod genus Gammarus (Amphipoda: Gammaridae) from Tajikistan (Pamir Mountains). Arthropoda Selecta, 29(2): 199–209.
Marrón-Becerra, A.; Hermoso-Salazar, M.; Rivas, G. 2020. A new species of the genus Hyalella (Crustacea, Amphipoda) from northern Mexico. ZooKeys, 942: 1–19. 
Momtazi, F. 2020. Restricted Access Subscription or Fee AccessAmpelisca Krøyer, 1842 (Amphipoda: Ampeliscidae) in the Persian Gulf and the Gulf of Oman. Zootaxa, 4852(3).
Momtazi, F.; Maghsoudlou, A. 2020. Pleonexes Spence Bate, 1857 (Amphipoda: Ampithoidae) in the Persian Gulf and the Gulf of Oman. Zootaxa, 4895(3).
Morino H. 2020a. The description of two new genera and four new species of the terrestrial Talitridae (Crustacea, Amphipoda) from the Ogasawara and Daito Islands, Southern Japan. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A, Zoology, 46(1): 1–23.
— Morino H. 2020b. Description of Aokiorchestia jajima, A new genus and species from coastal forests in Southern Japan (Crustacea: Amphipoda: Talitridae). The Montenegrin Academy of Sciences And Arts Proceedings of The Section of Natural Sciences, 23: 191–208.
Moskalenko, V. N.; Neretina, T. V.; Yampolsky, L. Y. 2020. To the origin of Lake Baikal endemic gammarid radiations, with description of two new Eulimnogammarus spp. Zootaxa, 4766: 457–471. 
Nurshazwan, J.; Ahmad-zaki, A. B.; Azman, B. A. R. 2020. A new species of Cerapus (Amphipoda: Senticaudata: Ischyroceridae) from Pulau Bum Bum, Sabah, Malaysia, with an identification key to Cerapus species. Zootaxa, 4802(3). 
Myers, A. A.; Lowry, J. K. 2020. A revision of the genus Orchestia Leach, 1814 with the reinstatement of O. inaequalipes (K.H. Barnard, 1951), the designation of a neotype for Orchestia gammarellus (Pallas, 1776) and the description of three new species (Crustacea: Amphipoda: Talitridae: Talitrinae). Zootaxa, 4808(2).
Ortiz, M.; Capetillo, N.; Winfield, I. 2020. Validation of Shoemakerella fissipro Ortiz, Capetillo & Winfield, from the Gulf of California, northeastern Pacific Ocean (Amphipoda: Amphilochidea: Lysianassidae). Zootaxa, 4728(1).
Okazaki M.; Ohtsuka S.; Tomikawa K. 2020. A new species of the genus Rhachotropis from off Amamioshima Island, northwestern Pacific (Crustacea: Amphipoda: Eusiridae). Zootaxa, 4750(2).
Othaitz, J. P.; Sorbe, J. C. 2020. Eusirus bonnieri sp. nov. (Crustacea: Amphipoda: Eusiridae), a new deep species from the southeastern Bay of Biscay (NE Atlantic Ocean), Zootaxa, 4751(2).
— Özbek, M.; Sket, B. 2020. A new Rhipidogammarus (Crustacea: Amphipoda) species from Turkey: Firstrecord of the genus from the Eastern Mediterranean Region, with anidentification key for the genus. The Montenegrin Academy of Sciences And Arts Proceedings of The Section of Natural Sciences, 23: 83–98.
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Pérez-Schultheiss, J.; Pardo, L. M. 2020. A new crab-associated amphipod of the genus Isaeopsis Barnard, 1916 (Amphipoda: Senticaudata: Ischyroceridae) from southern Chile. Zootaxa, 4861(1).
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Shimoji R.; Nakano T.; Tomikawa K. 2020. A new species of Calliopius (Crustacea: Amphipoda: Calliopiidae) from Japan. Proceedings of the Biological Society of Washington, 133(1): 7–17.
— Sidorov, D. 2020. Groundwater dependent fauna of coastal rivers and springs of the South Kuril Islands: First evidence on subterranean amphupods (Crustacea: Amphipoda).The Montenegrin Academy of Sciences And Arts Proceedings of The Section of Natural Sciences, 23: 201–229.
Tomikawa K.; Kakui K.; Fujiwara Y. 2020. A new species of Nicippe from the Bering Sea (Crustacea, Amphipoda, Pardaliscidae), with a redescription of N. tumida. Zookeys, 965: 37–53.
Varela, C. 2020. New species of Epimeria (Amphipoda: Epimeriidae) from the Gulf of Panama. Novitates Caribaea, 15: 42–50.
Verheye, M. L.; D’Udekem D’Acoz, C. 2020. Integrative taxonomy of giant crested Eusirus in the Southern Ocean, including the description of a new species (Crustacea: Amphipoda: Eusiridae). Zoological Journal of the Linnean Society, 193 (1): 31–77.
Wang, Y.; Zhu, C.; Sha, Z.; Ren, X. 2020a. Epimeria liui sp. nov., a new calcified amphipod (Amphipoda, Amphilochidea, Epimeriidae) from a seamount of the Caroline Plate, NW Pacific. Zookeys, 922: 1–11.
Wang, Y.; Zhu, C.; Sha, Z.; Ren, X. 2020b. Bathya brevicarpus gen. et sp. nov. (Amphipoda: Senticaudata: Calliopiidae), from hydrothermal vents, Okinawa Trough, North-west Pacific. European Journal of Taxonomy, 693: 1–12.
Weston, J. N. J.; Carrillo-Barragan, P.; Linley, T. D.; Reid, W. D. K.; Jamieson, A. J. 2020. New species of Eurythenes from hadal depths of the Mariana Trench, Pacific Ocean (Crustacea: Amphipoda). Zootaxa, 4748(1): 163–181.
Weston, J. N. J.; Peart, R. A.; Jamieson, A. J. 2020. Amphipods from the Wallaby-Zenith Fracture Zone, Indian Ocean: new genus and two new species identified by integrative taxonomy. Systematics and Biodiversity.
Winfield, I.; Hendrickx, M. E. 2020. A new deep-sea species of Epimeria Costa in Hope, 1851 (Amphipoda, Amphilochidea, Epimeriidae) from off southwestern Mexico. Zootaxa, 4803(1).



<その他参考文献>
Bueno, A. A.; Araujo, P. B.; Cardoso, G. M.; Gomes, K. M.; Bond-Buckup, G. 2013. Two new species of Hyalella (Amphipoda, Dogielinotidae) from Brazil. Crustaceana, 86: 802–819.
Layeghi, Y.; Momtazi, F. 2018. Ampithoe qeshmensis sp. nov. (Amphipoda: Ampithoidae), a new herbivorous amphipod from the Persian Gulf. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 1-5.
— 森野浩 1991. ヨコエビ目. In: 青木淳一 (ed.) 『日本産土壌動物検索図説』. fig.203-219.  東海大学出版会, 東京. [ISBN: 978-4-486-01156-9]
— 森野浩 1999. ヨコエビ目. In: 青木淳一 (ed.) 『日本産土壌動物 -分類のための図解検索』. pp.626-644. 東海大学出版会, 東京. [ISBN:978-4-486-01443-0]
— 森野浩 2015. ヨコエビ目. In: 青木淳一 (ed.) 『日本産土壌動物 第二版-分類のための図解検索』[1]. pp.1069-1089. 東海大学出版会, 東京. [ISBN978-4-486-01945-9]
Myers, A. A.; Lowry, J. K. 2020. A phylogeny and classification of the Talitroidea (Amphipoda, Senticaudata) based on interpretation of morphological synapomorphies and homoplasies. Zootaxa, 4778(2): 281–310. 
Ortiz, M.; Capetillo, N.; Winfield, I. 2018. A new species of Shoemakerella Pirlot, 1936 (Amphipoda: Amphilochidea: Lysianassidae) from Gulf of California, NE Pacific Ocean, with an identification key for the known species of the genus. Cahiers de Biologie Marine, 59(6): 599–605.
Remy, F.; Collard, F.; Gilbert, B.; Compère, P.; Eppe, G.; Lepoint, G. 2015. When microplastic is not plastic: The ingestion of artificial cellulose fibers by macrofauna living in seagrass macrophytodetritus. Environtal Science and Technology, 49(18): 11158–11166.
Yardy, L.; Amanda Callaghan 2020. What the fluff is this? — Gammarus pulex prefer food sources without plastic microfibers. Science of The Total Environment, 715(1).
Vader, W.; Tandberg, A. H. 2020. Amphipod Newsletter 44. 1–65. [Web publication](AN44)


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補遺(28-IX-2021)

Eusirus pontomedon Verheye & D’Udekem D’Acoz, 2020 を追加。


補遺2 (30-VIII-2024)
・一部書式設定変更。