2021年6月24日木曜日

書籍紹介『三陸の海の無脊椎動物』(6月度活動報告)

 

 多少私が関わった書籍が出版されました。

— 加戸隆介(編著)/奥村誠一・広瀬雅人・三宅裕志(著)2021.『三陸の海の無脊椎動物』恒星社厚生閣,東京.ISBN978-4-7699-1664-2.

 

本文278ページの大ボリューム、
図鑑パートはフルカラーの大盤振る舞いで2,000円です。

 

 かつて三陸には北里大のキャンパスがあり、震災の後に一時閉鎖されたものの、現在は研究センターとして復活したそうです。そういった縁で、三陸の海の生物の知見が集積された本書が著されるに至ったようです。

 本書の大部分は、12門318種(群)の写真および解説に割かれています。各分類群の体制や系統について真摯な記述があるほか、用語解説や採集の注意点等も充実しています。近傍海域において浅海の無脊椎動物を学ぼうとする者にとって、これほどうってつけの本は無いと思います。

 ヨコエビに限ってですが、文化祭にお邪魔した時に本書の私家版を見て私なりにコメントを寄せた内容が反映されており、協力者としてクレジット頂いております。あと、よく見たら参考文献に『ヨコエビガイドブック』を挙げて頂いておりました。恐縮です。

 

 いちおう、端脚類のリストを掲載しておきます。8属18種のようです。5%というのは多いのか少ないのか…

 

  ヒゲナガヨコエビ科 Ampithoidae

  1. ニッポンモバヨコエビ Ampithoe lacertosa
  2. ヒゲナガヨコエビ科の一種

    クダオソコエビ科 Photidae

  3. ニホンソコエビ Gammaropsis japonica

    カマキリヨコエビ科 Ischyroceridae

  4. フトヒゲカマキリヨコエビ Jassa slatteryi
  5. イソホソヨコエビ Ericthonius pugnax

    ドロノミ科 Podoceridae

  6. ドロノミ属の一種 Podocerus sp.

    テングヨコエビ科 Pleustidae

  7. オタフクヨコエビ Parapleustes bicuspoides
  8. テングヨコエビ科の一種

    アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

  9. アゴナガヨコエビ科の一種

    タテソコエビ科 Stenothoidae

  10. タテソコエビ科の一種

    ワレカラ科 Caprellidae

  11. セムシワレカラ Caprella brevirostris
  12. トゲワレカラ C. scaura
  13. トゲワレカラモドキ C. californica
  14. コシトゲワレカラ C. mutica 
  15. イバラワレカラ C. acanthogaster
  16. クビナガワレカラ C. equilibra
  17. マルエラワレカラ C. penantis
  18. コブワレカラ C. verrucosa


 確証はありませんが、おそらく収録されていない知見がまだあると思われます。また、今後調査を続ければ、ヨコエビはまだまだ出てくるのではないのでしょうか。

 私家版の時点でどういう形に仕上がるのかよく分かっていなかったのですが、このように出版されクレジットされるのであれば、もう少し内容に突っ込んだり標本の検討に参加しても良かったかなと思います。種リストとしての厚みはもとより、各動物門の概要や磯の生態系についての知見を網羅的に深めることができる良書ですが、同定キーが無いことや、未収録・未同定の項目があるのは、まだ変身を残している印象があります(こういった書物にキーは必須とは思いませんが、地元のアマチュアにとっては大いにニーズがあるものと思います)。更に研究が進んでパワーアップすることを祈っております。その時はもっとドラスティックにご協力させていただきたく。