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2025年7月20日日曜日

書籍紹介『海のちいさないきもの図鑑』(7月度活動報告)

 

 博ふぇすに行ってまいりました。

 今までありそうでなかったワレカラのトートバッグをはじめ、クジラジラミのブローチなど端脚類グッズは年々充実してきています。


 そして端脚類が載った書籍がまた出たそうなので購入しました。




 むせきつい屋さん(著) ・ 広瀬雅人(監修) 2025.『海のちいさないきもの図鑑』.西東社,東京.176pp. (以下、むせきつい屋さん,2025)です。

 箔押しの装丁が豪華です。本邦海産無脊椎動物学もとうとうここまできました。


むせきつい屋さん(2025)を読む

 所謂「子供むけ生物学の本」カテゴリのものと思います。

 ただだいぶ内容はしっかりしていて、水生生物の生態区分やウミエラの骨片の類型、軟体動物の系統関係やウミウシの近似種まで、大学の研究室レベルの知見がてんこ盛りされています。それも単なる豆知識というより、それぞれの生き物の有り様を理解するためのアプローチとして、生物学の文脈の中に位置づけられている味わいを感じます。かわいくない参考文献群からも、著者が堅実に研究をされていたことが伺えます。悪く言えば教科書的かもしれませんが、ホホベニモウミウシの盗葉緑体やプラニザ幼生の体色決定などここ数年の間に学会発表されてコンセンサスになりつあるような、教科書の水準を上回るアツアツの話題が惜しげも無く投入されており、それにも関わらず、首尾一貫したポップな絵柄と平易な文体によって「分かり易さ」を諦めている部分がどこにもないのは驚くばかりです。

 独立の項としてコケムシが入ってないところから、良好な師弟関係が伺えますね。詳しい裏話はわかりませんが、こういう場面で教え子に寄り添って一肌脱いでくれる恩師というのは本当にありがたいものです。


 さて、項が設けられている端脚類は次の通りです。

  • カイコウオオソコエビ
  • オオタルマワシ
  • ワレカラ


 カイコウオオソコエビについて、示されている食性が植物に偏ってますが腐肉もかなり貪食するものと考えてよいでしょう (Jamieson and Weston. 2023)。また、体組織に脂質を多く含む理由を飢餓への耐性としていますが、個人的には、恐らくこれと同じくらい重要なのは浮力の確保だと思います。脂質を蓄える深海性ヨコエビにおいて意義は一律でなく、個別の種において意味合いは違うのかもしれませんが。

 オオタルマワシの和名の由来はあっさりとしています。和名を提唱した入江 (1960)に示されているような(いないような)理由に、忠実な記述だと思います。エイリアンというニックネームについてもあっさりしていて、世の中の議論はもうこのくらいふわっとした認識でよい気がします。それっぽい理由を捻り出すとたぶんドツボに嵌まります。というか、ネット上には話を作っている人が多くて辟易してしまいます。


 このような細部は全体の構成に影響を与えませんが、並べてみると、項ごとに濃度や厚みが違う気がします。特にウミクワガタは情報量こそ定型に収めてありますが、生活環やその特性について厳選して詰め込んだ感じがします。

 著者は北里大の卒業生で、主に三陸海岸など浅海のベントスに直に触れてきた来歴の持ち主なので、その時に得た豊富な知識や経験が作品に反映されていると思います。過去に書籍紹介したこの本も、その研究の成果の一つです。むせきつい屋さん(2025)の出版にあたり様々な意向が働いたような気がしますが、生き物との付き合いの長さの違いがムラに繋がっているように見えます。

 とはいえ、むせきつい屋さん(2025)は150ページ超フルカラーというハイボリュームをたった一人で、テンションを落とさず、たぶんそれほど時間をかけずに仕上げた、恐るべき書物といえると思います。熊坂長範からウルトラマン、タコ焼きから茶釜狸、ゾエアからオエー鳥まで縦横無尽に描けるイラストレーターでありつつ、生物学研究の最先端を子供むけにサマライズできるのは、控えめに言っても働きすぎです。

 個人的に白眉と思ったのは、各生物の体サイズ比較。名前や生態にちなんだり、あるいはひねったり、単にサイズが近いモノを選んだり、心地良く軽妙に題材を選んでいるのが最高ですね。


 小学生以上から余裕で理解できる構成です。子供向けとして読んでもよいですが、生物学の知識を得る本として大人も驚きをもって読むことができるのは間違いないです。元々アクセサリーやイラストボードといったグッズを提供するブランドだったこともあり、色使いが絶妙なイラスト本としても楽しめると思います。



<参考文献>

— 入江春彦 1960.In:内田清之助 等(著)『原色動物大圖鑑Ⅳ』.北隆館,東京.

— むせきつい屋さん(著) ・ 広瀬雅人(監修) 2025.『海のちいさないきもの図鑑』.西東社,東京.176pp. ISBN:9784791634453

— Jamieson, A. J.; Weston, J. N. J. 2023. Amphipoda from depths exceeding 6,000 meters revisited 60 years on. Journal of Crustacean Biology, 43: 1–28.


2025年7月12日土曜日

聖地巡礼シリーズ「松川浦」

 

 函館,福井と続けてきた、主に端脚類のタイプ産地を廻るこのシリーズ(?)。今回は環境省のモニタリングサイト1000の調査協力で、福島県の松川浦に行ってきました。サンプルの同定協力はしたことがありますが、現場は初です。





松川浦の端脚類相

 松川浦は言わずと知れたヨコエビ聖地の一つではあるものの、継続して端脚類研究の拠点になっているわけではなく、何より32年前に採られた手法がプランクトンネット採集であったため、親しみやすい潮間帯のファウナはあまり語られていないのが実情だったりします。


過去の調査結果
文献 Hirayama and Takeuchi (1993) 環境省 (2013) 富川 (2013)
出現種 Pontogeneia stocki, Atylus matsukawaensis, Synchelidium longisegmentum, Dulichia biarticulata, Gitanopsis oozekii, Stenothoe dentirama, Lepidepecreum gurjanovae, Eogammarus possjeticus, Tiron spiniferus, Allorchestes angusta, Ampithoe lacertosa, Aoroides columbiae, Corophium acherusicum, Ericthonius pugnax, Gammaropsis japonicus, Guernea ezoensis, Jassa aff. falcata, Synchelidium lenorostralum, Melita shimizui Ampithoidae gen. sp., Grandidierella japonica, Corophiidae gen. sp., Melita shimizui, Melita setiflagella, Ampithoe sp.
Ampithoe lacertosa, Ampithoe valida, Hyale sp., Melita shimizui, Talitridae gen. sp.

 属位変更はなんとかなるとして、後に日本個体群が別種として記載されたブラブラソコエビAoroides columbiae(→A. curvipes)などは解釈に注意が必要です。Jassa aff. falcataは順当にいけばフトヒゲカマキリヨコエビJ. slatterlyと推定されますが、他の近似種や未記載種の可能性もあります。
 富川 (2013) の各種は0.5mm目合いの篩にかけて採取されたもので、モニ1000の定量調査に近い手法で行われています。Hyale sp.は恐らくフサゲモクズPtilohyale barbicornis、Talitridae gen. sp.は広義のヒメハマトビムシであろうと思います。


 今回の調査結果はいずれ然るべき媒体でアウトプットされるはずですが、本稿ではフィールドの雰囲気だけお伝えします。比較対象が関東の干潟になってしまうのはご了承ください。



松川浦北部前浜的干潟

 砂州から内側へ突き出た遊歩道の周辺が、調査地になっています。遊歩道の左手には転石帯、右手にはヨシ原が広がっています。転石帯側は、遊歩道根元の少し引っ込んだエントリーポイントから澪筋を越えると、いつの間にか流れのある川へ至ります。ヨシ原側は、汀線方向へ進むにつれカキ礁が卓越します。基質は全体的に有機物の多い砂泥で、転石帯にはパッチ状に底無し沼的なゾーンがあります。


 今回はアオサやオゴノリの繁茂はみられず、干出面はホソウミニナとマツカワウラカワザンショウに被覆されています。深さのある場所では流れの中にアマモの群落が散見されます。


 アマモ葉上やカキ殻表面にはホンダワラ類の付着が散見されました。
 端脚類はアマモ葉上で最も充実しており、表在底生グレーザー・植物基質寄りの自由生活ジェネラリスト・遊泳グレーザーの3者が最も優占していました。いずれの基質においても、造管濾過食者はかなり少ない、むしろほとんどいない印象です。




松川浦南部河口的干潟

 最奥部に開口した細い水路周辺に形成されている、典型的な内湾の富栄養泥干潟です。表層に触れるだけで還元化した黒い部分がのぞくシルトの底質に、転石やカキ殻が散らばっています。一歩進めるごとに足をとられ、ケフサイソガニ類が横っ飛びします。膝をついてじっとしていると、いつの間にか大量のヤマトオサガニに取り囲まれます。

 造管懸濁物食者が高密度に棲息し、漂着物のような多少柔軟性のある基質の周囲には硬質基質寄りの自由生活ジェネラリストが見えますが、際立って端脚類の多様性が高い箇所はみられません。


 潮上帯において、打ち上げ物は陸由来の植物質が卓越し、転石帯とともに、関東の同様の環境から推測できる代表的な属ないし種の構成となっています。 



おまけ:松川浦北部河口

 ここはモニ1000の対象ではありませんが、かなり特色のあるポイントです。


 松川浦に注ぐ最も大きな川の河口部です。ヨシ原が発達しており、深みにはわずかなカキ殻などの硬質基質にオゴノリやアオサが付着しています。底質は基本的に石英や珪岩などが卓越する明色の砂泥で、場所により陸上植物砕屑物が多く混入したり、ヨシ原が幅広く残っている場所ではシルト・クレイ分が増えて底なし沼化しています。泥干潟おなじみのカニがひしめいています。

 甘めかつ基質の多様性が低い環境で、大型藻類上や堆積物中には植物基質寄りの自由生活ジェネラリスト,遊泳性グレーザー,表在底生グレーザー,硬質基質寄りの自由生活ジェネラリストが優占していました。顔ぶれは三番瀬や小櫃川河口に似ています。潮上帯転石下にはフナムシ属が優占し、ヨコエビは僅少でした。



 今回は、定量調査を補完しリストを充実させる意味合いで定性調査専任での参加でした。結論からいうと劇的な種数増には至りませんでしたが、フィールドの感じは何となく掴めてきたので是非ともリベンジしたいところです。もし松川浦という海域のインベントリを行う場合、燈火採集や硬質基質の要素が加われば、科~種の数はもう少し増やせそうです。もはや干潟のモニ1000ではありませんが。



おまけ:蒲生干潟

 環境省やWIJとは関係なく、地元で連綿と継承されてきた定量調査に同行しました。

過去の調査結果
文献 松政・栗原 (1988) Aikins and Kikuchi (2002) 近藤 (2017)
出現種 Grandidierella japonica, Corophium uenoi, Kamaka sp., Melita sp. Corophium uenoi, Grandidierella japonica, Eogammarus possjecticus, Melita setiflagella Monocorophium insidiosum, Grandidierella japonica


 なんと蒲生干潟には「カマカが出る」んですね。
 これはヨコエビストにとって垂涎ものなのですが(平たくいうと、この形態的にも系統的にも特異な科は生息地が限定的かつ体サイズが微小なため、おいそれとはお目にかかれないのです)、今回はダメでした。分布や生息環境を踏まえると、恐らくモリノカマカKamaka morinoiであろうと思います。宮城県のRDBにも掲載されていることですし。
 ウエノドロクダムシMonocorophium uenoiとトンガリドロクダムシM. insidiosumの是非についてここで掘り下げることは避けますが、これら文献における記述内容と今回の実地調査の結果を総合的に判断して、この地においてモノドロクダムシ属の形態種は2種いると解釈して差し支えないものと思います。


 水門を挟んで七北田川河口に接続した潟湖で、堤防の外側に陸上植生からヨシ原の連続性が維持されている奇跡的な場所です。奥部はきめ細かなシルト・クレイで、下るにつれ砂が卓越してきます。ヨシ原を縫い水門へ続く本流は、地盤高が下がるにつれて陸上植物の砕屑物が混ざった砂質からカキ殻の混じる富栄養砂泥へ変容します。本流は水門に近づくにつれ深さを増し、貧酸素化が顕著で三番瀬の澪筋を彷彿とさせます。



 潮廻りの関係か、植物基質寄りの自由生活ジェネラリストが大量に遊泳していて驚きました。底質中には造管性懸濁物食者がパッチ状に分布しており、潮上帯は海浜性種しか得られませんでした。

 調査範囲外だったため手を伸ばしていませんが、潟湖に加えて蒲生干潟の一部とされている七北田川河口の砂浜も、潟湖とはだいぶ様子がかなり違うのでなかなか面白そうです。

 


 東北の干潟をベントスの専門家と一緒にがっつり回るという経験は、かなり貴重でした。ベントス研究拠点としての東北大の将来が心配される中、石巻専修大の底力を目の当たりにしました。



<参考文献>

— Aikins, S.; Kikuchi, E. 2002. Grazing pressure by amphipods on microalgae in Gamo Lagoon, Japan. Marine Ecology Progress Series, 245: 171–179.

— Hirayama A.; Takeuchi I. 1993. New species and new Japanese records of the Gammaridea (Crustacea: Amphipoda) from Matsukawa-ura Inlet, Fukushima Prefecture, Japan. Publications of the Seto Marine Biological Laboratory, 36(3):141–178.

— 環境省 2013. 平成24年度 モニタリングサイト1000 磯・干潟・アマモ場・藻場 調査報告書.

— 近藤智彦 2017. 東北地方太平洋沖地震と津波攪乱後の蒲生干潟 (宮城県) における底生生物の群集動態と優占種の生活史戦略(学位論文).

— 松政正俊・栗原康 1988. 宮城県蒲生潟における底生小型甲殻類の分布と環境要因.日本ベントス研究会誌,33/34:33–41.

— 富川光 2013. 東日本大震災による津波が松川浦(福島県相馬市)の生物多様性に与えた影響の評価と環境回復に関する研究. 公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団平成25年度助成研究報告書. pp.123–132.


2023年11月3日金曜日

日本の淡水ヨコエビについて(2023年11月度活動報告)

 

 本邦産淡水ヨコエビの全貌把握と同定には、富川・森野 (2012) という決定版ともいえる文献が著名です。

 しかし、出版から10年が経過し知見が古くなっている部分があるのと、アクアリウム界隈で流通している外産種には対応していないことから、本稿では僭越ながらそういった部分を補いたいと思います。ただ、種の識別キーや種ごとの細かな情報については、富川・森野 (2012) に譲りたいと思います。

※抜け漏れある可能性が高いため、不足あれば随時更新します。



本邦産淡水性ヨコエビ一覧
(2023年11月更新)

 科の配列は Lowry and Myers (2017) に基づく。分布および生息環境の情報は、ことわりのない限り 富川・森野 (2012) によった

 なお、河岸や湖岸の”ガサり”においてしばしばハマトビムシ上科が採集され、淡水性ヨコエビと同じカテゴリとして扱われることもある (金田 In: 石綿・齋藤 2006) が、この類は水から出しても横向きに這いまわるだけでなく身体を立てて難なく歩いたり跳ねたりできることと、「第1触角全長が第2触角柄部長より短い」ことにより、他のヨコエビから識別できる。

 また、本稿では淡水性種として扱っていないが、河川や湖沼では場所により汽水性種が採集されることがある。そういった属としては、例えば次のようなグループが挙げられる:Grandidierella ドロソコエビ属,Melita メリタヨコエビ属,Paramoera ミギワヨコエビ属,Anisogammarus キタヨコエビ属,Eogammarus トゲオヨコエビ属,Jesogammarus オオエゾヨコエビ属。


カマカヨコエビ科 Kamakidae

カマカヨコエビ属 𝐾𝑎𝑚𝑎𝑘𝑎

  1.  ビワカマカ(ビワカマカヨコエビ) Kamaka biwae Uéno, 1943:滋賀県琵琶湖[固有]【湖】.
  2.  カマカヨコエビ Kamaka kuthae Dershavin, 1923:北海道;カムチャツカ半島【河川・湖沼】.
  3.  モリノカマカ Kamaka morinoi Ariyama, 2007:本州【河川~汽水】.

    メリタヨコエビ科 Melitidae

    メリタヨコエビ属 Melita

  4. チョウシガワメリタヨコエビ Melita choshigawaensis Tomikawa, Hirashima, Hirai, and Uchiyama, 2018 :和歌山県【河川間隙/表層水】(Tomikawa et al. 2018).
  5.   ミヤコメリタヨコエビ Melita miyakoensis Tomikawa, Sasaki, Aoyagi, and Nakano, 2022:沖縄県宮古島[固有]【湧水】(Tomikawa et al. 2022).

    アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

    アワヨコエビ属 Awacaris 

  6.  ヤマトヨコエビ Awacaris japonica (Tattersall, 1922):本州,佐渡島【湧水・渓流】.
  7.  アワヨコエビ Awacaris kawasawai Uéno, 1971:徳島県,高知県 (Tomikawa et al. 2017)【地下水性】.
  8.  モリノヨコエビ Awacaris morinoi (Tomikawa and Ishimaru in Tomikawa, Kobayashi, Kyono, Ishimaru, and Grygier, 2014):滋賀県【地下水性】(Tomikawa et al. 2014).
  9.  タキヨコエビ Awacaris rhyaca (Kuribayashi, Ishimaru, and Mawatari, 1996):北海道,本州,隠岐諸島,長崎県五島列島福江島【河川(回遊性)】.

  10.  ツシマドウクツヨコエビ Awacaris tsushimana (Uéno, 1971):長崎県対馬[固有]【地下水】.

  11.  エゾヨコエビ Awacaris yezoensis (Uéno, 1933):北海道[固有]【湧水・渓流】.


    ミギワヨコエビ属 Paramoera 

  12.  ゴトウドウクツヨコエビ Paramoera relicta Uéno, 1971:長崎県五島列島福江島[固有]【地下水】.

     

    カンゲキヨコエビ科 Bogidiellidae 

    カンゲキヨコエビ属 Bogidiella 

  13.  リュウキュウカンゲキヨコエビ Bogidiella broodbakkeri Stock, 1992:沖縄県世論島[固有]【地下水】.

     

    マミズヨコエビ科 Crangonyctidae 

    マミズヨコエビ属 Crangonyx 

  14.  フロリダマミズヨコエビ Crangonyx floridanus Bousfield, 1963:本州,四国,九州;米国[原産]【表層水/地下水(篠田 2006)】.

     

    メクラヨコエビ科 Pseudocrangonyctidae 

    メナシヨコエビ属 Procrangonyx 

  15.  ヤマトメナシヨコエビ Procrangonyx japonicus (Uéno, 1930):東京都【地下水】.

     

    メクラヨコエビ属 Pseudocrangonyx

  16.  アカツカメクラヨコエビ Pseudocrangonyx akatsukai Tomikawa and Nakano, 2018:長崎県【地下水】(Tomikawa and Nakano 2018).
  17.  トウヨウメクラヨコエビ Pseudocrangonyx  asiaticus Uéno, 1934:長崎県対馬;中国,朝鮮半島【地下水】.
  18.  アスワメクラヨコエビ Pseudocrangonyx asuwaensis Shintani, Umemura, Nakano, and Tomikawa, 2023:福井県[固有]【地下水】(Shintani et al. 2023).
  19.  チョウセンメクラヨコエビ Pseudocrangonyx coreanus Uéno, 1966:島根県,長崎県五島列島福江島,対馬;朝鮮半島
    【地下水】
    .
  20. (和名未提唱)Pseudocrangonyx dunan Tomikawa, Nishimoto, Nakahama and Nakano, 2022:沖縄県与那国島[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2022).
  21.  グダリメクラヨコエビ Pseudocrangonyx gudariensis Tomikawa, Nakano, Sato, Onodera, and Ohtaka, 2016:青森県[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2016).
  22.  コマイメクラヨコエビ  Pseudocrangonyx komaii Tomikawa and Nakano, 2018:岐阜県[固有]【地下水】(Tomikawa and Nakano 2018).
  23.  キョウトメクラヨコエビ Pseudocrangonyx kyotonis Akatsuka and Komai, 1922:京都府【地下水】.
  24.  シコクメクラヨコエビ Pseudocrangonyx shikokunis Akatsuka and Komai, 1922:四国【地下水】.
  25. (和名未提唱)Pseudocrangonyx uenoi Tomikawa, Abe, and Nakano, 2019:滋賀県[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2019).
  26.  エゾメクラヨコエビ Pseudocrangonyx yezonis Akatsuka and Komai, 1922:北海道[固有]【地下水】.

     

    キタヨコエビ科 Anisogammaridae 

    トゲオヨコエビ属 Eogammarus 

  27.  トゲオヨコエビ Eogammarus kygi (Dershavin, 1923):北海道,青森県;沿海州,カムチャッカ半島,サハリン【湖沼・河川】.
  28.  イトウトゲオヨコエビ Eogammarus itotomikoae Tomikawa, Morino, Toft, and Mawatari, 2006:北海道[固有]【河川】.

     

    オオエゾヨコエビ属 Jesogammarus ― Jesogammarus亜属

  29.  シツコヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) acalceolus Tomikawa and Kimura, 2021:青森県[固有]【湧水】 (Tomikawa and Kimura 2021).
  30.  ナガレヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) bousfieldi Tomikawa, Nakano, and Hanzawa, 2017:山形県[固有]【渓流】(Tomikawa et al. 2017).
  31.  オオエゾヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) jesoensis (Schellenberg, 1937):北海道,東北地方,中部地方【河川・湖沼】.
  32.  ヒメヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) paucisetulosus Morino, 1985:関東・東北地方の日本海沿岸【渓流】.
  33.  アゴトゲヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) spinopalpus Morino, 1985:関東地方【河川・湖沼】. 
  34.  ミカドヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) mikadoi Tomikawa, Morino, and Mawatari, 2003:東北地方【渓流】.

     

     オオエゾヨコエビ属 Jesogammarus ― Annanogammarus亜属

  35.  アンナンデールヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarus) annandalei (Tattersall, 1922):滋賀県琵琶湖[固有]【湖の中層】.
  36.  ヒメアンナンデールヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarus) fluvialis Morino, 1985:東海地方,近畿地方【湧水】.

  37.  ナリタヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarus) naritai Morino, 1985:滋賀県琵琶湖,長野県諏訪湖【湖沼】.

     

    ヨコエビ科 Gammaridae 

    ヨコエビ属 Gammarus

  38.  チョウセンヨコエビ Gammarus koreanus Uéno, 1940:長崎県五島列島;中国,朝鮮半島【渓流】.
  39.  ムクダヨコエビ Gammarus mukudai Tomikawa, Soh, Kobayashi, and Yamaguchi, 2014:長崎県[固有]【表層水】 (Tomikawa et al. 2014).和名は富川 (2023) による。

  40.  ニッポンヨコエビ Gammarus nipponensis Uéno, 1940:琵琶湖以西の本州,四国,九州,隠岐,壱岐,対馬【渓流】.

     

    ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae 

    チカヨコエビ属 Eoniphargus

  41.  イワタチカヨコエビ Eoniphargus iwataorum Shintani, Lee, and Tomikawa, 2022:栃木県蛇尾川【表層水】(Shintani et al. 2022).
  42.  コジマチカヨコエビ Eoniphargus kojimai Uéno, 1955:関東地方【地下水・河川間隙水】.
  43.  トリイチカヨコエビ Eoniphargus toriii Shintani, Lee, and Tomikawa, 2022:静岡県瀬戸川[固有]【河川】(Shintani et al. 2022).

     

    ヤツメヨコエビ属 Octopupilla

  44.  ヤツメヨコエビ Octopupilla felix Tomikawa, 2007:近畿地方,四国【河川間隙】.

     

    コザヨコエビ科 Luciobliviidae

    コザヨコエビ属 Lucioblivio

  45.  コザヨコエビ Lucioblivio kozaensis Tomikawa, 2007:和歌山県古座川[固有]【河川間隙】.

  46.  こうして見ると、2023年11月時点で和名が提唱された形跡のない種がいくつかありますね。今後の進展に期待したいところです。



    分類学上の扱いに注意を要する淡水ヨコエビ

    • アンナンデールヨコエビ:20世紀半ば頃まで全国から報告されてきたが、現在は琵琶湖固有種であることが確かめられている。よって、他地域の古い報告はキタヨコエビ科の代名詞のように考えることはできても、種の記録としては採用すべきでないとみられる。なお、富川・森野 (2012) における表記は「アナンデールヨコエビ」とされているが、本稿では種小名の綴りにより近く出版年がより古い Ishimaru (1994) を採用し「アンナンデールヨコエビ」とした。
    • サワヨコエビ属:Sternomoera に与えられていた和名。アワヨコエビ属 Awacaris の新参シノニムとして消滅した (Tomikawa et al. 2017) ため、現在は使われない。
    • ヤマトメナシヨコエビ属:Eocrangonyx に与えられていた和名。メナシヨコエビ属 Procrangonyx の新参シノニムとして消滅した (Nakano et al. 2018) ため、現在は使われない。
    • ドウクツヨコエビ属:Relictomoera に与えられていた和名。ミギワヨコエビ属 Paramoera の新参シノニムとして消滅した (Nakano and Tomikawa 2018) ため、現在は使われない。
    • シンヨコエビ科 Neoniphargidae:かつてチカヨコエビ属が含まれていた。チカヨコエビ属の所属変更に伴い本邦未知科となったが、移動先の科(ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae)の和名に転用されたわけではないため注意。
    • ホクリクヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) hokurikuensis;フジノヨコエビ J. (J.) fujinoi;ショウナイヨコエビ J. (J.) shonaiensis:これら3種は、オオエゾヨコエビの新参シノニムであることが示唆されている (富川・森野 2012)。
    • スワヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarus) suwaensis:ナリタヨコエビの新参シノニムであることが示唆されている (富川・森野 2012)。
    • ハヤマサワヨコエビ Sternomoera hayamensis (Stephensen, 1944) :ヤマトヨコエビの新参シノニムとされている。
    • ミナミニッポンヨコエビ Gammarus sobaegensis:本邦の記録はニッポンヨコエビの誤同定の可能性が指摘されている (富川・森野 2012)。
    • キョウトメクラヨコエビ:京都盆地に2系統が共存することが示唆されており、隠蔽種を内包するものとみられる (Yonezawa et al. 2020) 。
    • 岡山県のメクラヨコエビ属:3個体群が報告されており、このうち1あるいはそれ以上について未記載の可能性があるとされている (末永 2020)。



    日本の淡水ヨコエビの科までの検索表(外来種・飼育種を含む)

    (1)第1~第2腹節後縁に棘状の突出部を具える・・・ヒアレラ属Hyalella[飼育種・アメリカ大陸原産]※和名はマグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会  (1996) による

     — 第1~第2腹節後縁に棘状の突出部を欠く・・・(2)

    (2)尾節板は肉厚肥厚する・・・カマカヨコエビ科 Kamakidae

     — 尾節板は薄片状・・・(3)

    (3)第3尾肢外肢は先端が裁断形の薄葉状・・・メリタヨコエビ科 Melitidae

     — 第3尾肢外肢は槍状・・・(4)

    (4)腹肢は内肢を欠く・・・カンゲキヨコエビ科 Bogidiellidae

     — 腹肢は外肢と内肢を具える・・・(5)

    (5)第3尾肢は内肢を欠く・・・メクラヨコエビ科 Pseudocrangonyctidae

     — 第3尾肢は外肢と内肢を具える・・・(6)

    (6)頭部の触角洞はほとんど確認できない;第3尾肢は第2尾肢末端を越えない・・・マミズヨコエビ科 Crangonyctidae[外来種・アメリカ大陸原産]

     — 触角洞は明瞭;第3尾肢は第2尾肢末端を越える・・・(7)

    (7)尾節背面に刺毛を欠く・・・アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

     — 尾節背面に刺毛を具える・・・(8)

    (8)底節鰓に付属片を具える・・・キタヨコエビ科 Anisogammaridae

     — 底節鰓に付属片を欠く・・・(9)

    (9)第7胸脚に底節鰓を具える・・・ヨコエビ科 Gammaridae

     — 第7胸脚に底節鰓を欠く・・・(10)

    (10)第3尾肢の外肢は1節からなり、内肢は外肢とほぼ等長・・・コザヨコエビ科 Luciobliviidae

     — 第3尾肢の外肢は2節からなり、内肢は外肢より短い・・・ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae 



    <参考文献>

    — Ishimaru S. 1994. A catalogue of gammaridean and ingolfiellidean Amphipoda recorded from the vicinity of Japan. Report of the Sado Marine Biological Station, Niigata University, 24: 29–86.

    — 金田彰二 2006. ヨコエビ類. In: 石綿進一・齋藤和久(編)『酒匂川水系の水生動物~里地・里山の生きものたち~』.神奈川県環境科学センター.

    — Lowry, J. K.; Myers, A. A. 2017. A Phylogeny and Classification of the Amphipoda with the establishment of the new order Ingolfiellida (Crustacea: Peracarida). Zootaxa, 4265(1): 1–89. 

    — マグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会 (編) 1996. マグローヒル科学技術用語大辞典 (第3版). 日刊工業新聞社.

    — Nakano T.; Tomikawa K. 2018. Reassessment of the groundwater amphipod Paramoera relicta synonymizes the Genus Relictomoera with Paramoera (Crustacea: Amphipoda: Pontogeneiidae). Zoological Science, 35(5): 459–467. 

    — Nakano T.; Tomikawa K.; Grygier, M. J. 2018. Rediscovered syntypes of Procrangonyx japonicus, with nomenclatural consideration of some crangonyctoidean subterranean amphipods (Crustacea: Amphipoda: Allocrangonyctidae, Niphargidae, Pseudocrangonyctidae). Zootaxa, 4532(1): 86–94.

    — 篠田授樹 2006. 東京都の湧水等に出現する地下水生生物の調査. 研究助成・一般研究. Vol.28, No.164.

    — Shintani A.; Lee C.-W.; Tomikawa K. 2022. Two new species add to the diversity of Eoniphargus in subterranean waters of Japan, with molecular phylogeny of the family Mesogammaridae (Crustacea, Amphipoda). Subterranean Biology, 44: 21–50. 

    — Shintani A.; Umemura S.; Nakano T.; Tomikawa K. 2023. A new species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae) from subterranean waters of Japan. Zootaxa, 5301(3): 383–396. 

    — 末永崇之 2020. メクラヨコエビ属. In: 岡山県野生動植物調査検討会 (編) 岡山県版レッドデータブック2020動物編. 岡山県環境文化部自然環境課.

    — 富川光 2023. 『ヨコエビはなぜ「横」になるのか』. 広島大学出版会, 東広島. 198pp. ISBN:978-4-903068-59-6

    — Tomikawa K.; Abe Y.; Nakano T. 2019. A new stygobitic species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae)  from central Honshu, Japan. Species Diversity, 24: 259–266.

    — Tomikawa K.; Hirashima K.; Hirai A.; Uchiyama, R. 2018. A new species of Melita from Japan (Crustacea, Amphipoda, Melitidae). ZooKeys, 760: 73–88.

    — Tomikawa K.; Kimura N. 2021. On the Brink of Extinction: A new freshwater amphipod Jesogammarus acalceolus (Anisogammaridae) from Japan. Research Square.

    — Tomikawa K.; Kobayashi N.; Kyono M.; Ishimaru S.; Grygier, M. J. 2014. Description of a new species of Sternomoera (Crustacea: Amphipoda: Pontogeneiidae) from Japan, with an analysis of the phylogenetic relationships among the Japanese species based on the 28S rRNA gene. Zoological Science, 31: 475–490. 

    —  Tomikawa K.; Kyono M.; Kuribayashi K.; Nakano T. 2017.The enigmatic groundwater amphipod Awacaris kawasawai revisited: synonymisation of the genus Sternomoera, with molecular phylogenetic analyses of Awacaris and Sternomoera species (Crustacea : Amphipoda : Pontogeneiidae). Invertebrate Systematics, 31(2): 125–140. 

    — 富川光・森野浩 2012. 日本産淡水ヨコエビ類の分類と見分け方.タクサ, 32: 39–51.

    — Tomikawa K.; Nakano T. 2018. Two new subterranean species of Pseudocrangonyx Akatsuka & Komai, 1922 (Amphipoda: Crangonyctoidea: Pseudocrangonyctidae), with an insight into groundwater faunal relationships in western Japan. Journal of Crustacean Biology, ruy031.

    — Tomikawa K.; Nakano T.; Hanzawa N. 2017. Two new species of Jesogammarus from Japan (Crustacea, Amphipoda, Anisogammaridae), with comments on the validity of the subgenera Jesogammarus and Annanogammarus. Zoosystematics and Evolution, 93(2): 189–210.

    — Tomikawa K.; Nakano T.; Sato A.; Onodera S.; Ohtaka A. 2016. A molecular phylogeny of Pseudocrangonyx from Japan, including a new subterranean species (Crustacea, Amphipoda, Pseudocrangonyctidae). Zoosystematics and Evolution, 92(2): 187–202. 

    — Tomikawa K.; Sasaki T.; Aoyagi M.; Nakano T. 2022. Taxonomy and phylogeny of the genus Melita (Crustacea: Amphipoda: Melitidae) from the West Pacific Islands, with descriptions of four new species. Zoologischer Anzeiger, 296: 141–160.

    — Tomikawa K.; Soh H. Y.; Kobayashi N.; Yamaguchi A. 2014. Taxonomic relationship between two Gammarus species, G. nipponensis and G. sobaegensis (Amphipoda: Gammaridae), with description of a new species. Zootaxa, 3873(5):451–476. 

    — Yonezawa S.; Nakano T.; Nakahama N.; Tomikawa K.; Isagi Y. 2020. Environmental DNA reveals cryptic diversity within the subterranean amphipod genus Pseudocrangonyx Akatsuka & Komai, 1922 (Amphipoda: Crangonyctoidea: Pseudocrangonyctidae) from central Japan. Journal of Crustacean Biology, ruaa028. 

    -----

    補遺 (15-VIII-2024)

    ・一部書式設定変更。

    補遺(7-xii-2023)
    ・ムクダヨコエビの和名および参考文献を加筆。

2023年9月9日土曜日

山形遠征(9月度活動報告その2)

 

 毎週のように学会ですが、今回は未知の領域へと足を踏み入れました。


<公益社団法人日本動物学会第94回山形大会>

 端的にというか、端脚的に言うと、アウェイです。山形にあまり行ったことがないというのもありますが、何といっても日本動物学会は個人的に非常に縁の薄い団体なわけです。

 入会したことも大会に出たこともなし。たまにヨコエビが載るズーサイや動物學雜誌を読んだことある程度。そんなわけで今まで参加してなかったのですが、目を離した隙に昨年セトウチドロノミが発表されてしまったので、マークする必要性を感じました。


さすが公社と山形駅到着早々白目を剥いてしまった


 今年はというと…とりあえずヨコエビの口頭発表がない。高校生含めてポスター発表もない。

 その中でワレカラは口頭のトップ。ありがたや。

 ワレカラに関しては組織切片を切り出して生殖腺の位置をヨコエビと比較するといった、しっかり「動物学」をしている研究でした。八景島の調査地は確かにムシャカマキリを採ったことがあり、同じのが採れたのを懐かしく思い出しました。


 そして確実にヨコエビを摂取できる勝算があったのは、何と言ってもシンポジウムです。



<小さきものたちの世界:ゴカイとヨコエビのおもしろ最新トピックス>

 何かと並べられがちなゴカイとヨコエビは、系統がまあまあ離れてるのはもちろん、分類階級も全く異なります。しかしながら、海洋沿岸域でしばしば優占するベントスであることや、微細ゆえに扱いが難しく研究者の少ないマイナー分類群であることなど、共通点があります。

 今回、ヨコエビに関しては別のミーティングや論文で知っていたことがほとんどでしたが、どちらかというと実際に演者にお目にかかって直接話を聞けるというのが嬉しい企画でした。そしてゴカイについては、やはりここまで細かな話を聞く機会がなく、シンポジウムの狙い通り新たな情報として楽しませてもらいました。

 世界の既知種数が約1万とだいたい同じ規模にも関わらず、ゴカイの国内既知種数はヨコエビの3倍という開きがあり、また海洋において分子系統解析のデータの蓄積状況などを考えると、学術的な進捗にはゴカイ勢に分があると思っています。



<ベントス連合フクロエビ支部第n回交歓会>

 シンポジウムの後、都合五時間呑んでましたね。

 またもや内容は濃すぎるためここには書けませんが、やはりゴカイのほうが若手研究者の相は厚い気がします。



<グッズ>

 こちら戦利品です。どちらかというと自分の物欲と戦った感じでしょうか。




 チリモンの端脚代表はツノウミノミということらしいです。確かに画像はよく見ます。

 ハマトビムシの布を使ったボタン。包み屋さん(ショップ名)によると、布は北米のものらしいです。咬脚に発達がみられないのは気になりつつ、よく見る古い文献の Talitrus saltator のシルエットと頭部や触角のプロポーションが違うので、北米といえば Megalorchestia あたりかと思いましたが、調べてみるとどうやら Heck (1851) の Talitrus の図版が元ネタのようです。この属は現在3種が知られ、いずれも地中海や北海に自然分布するため、現代の知見に照らして実際の北米の端脚相を示すものとは見ないほうがよいでしょう。当時は北米のハマトビムシもこの属に同定されていたか、安易にあてはめられたものかもしれません。



 今回、動物学というものの深さと広さを思い知った一方、さすがに全体を総括して700人とか800人とかの研究者を横断的に結ぶ研究というものはそうそうあるものではなく、自分が扱うものを大切にその文脈上にあるものを漏らさず受信することの大切さも感じました。それにしても、哺乳類から昆虫,両生爬虫類,我らが水棲無脊椎などに対して、生理・生態・細胞・遺伝子・形態・内分泌・分類など、本当に多岐にわたるアプローチがなされていることを目の当たりにして、動物学的視座みたいなものを意識せざるを得ませんでした。いつか発表をしてみたいです。



<参考文献>

— Heck, J. G. 1851. Iconographic encyclopedia of science, literature, and art. volume II, Botany, zoology, anthropology, and surgery. Rudolph Garrigue publisher.


<補遺>

2023.9.16 改題

2023年8月27日日曜日

ワカモン爆誕(8月度活動報告その2)

 

 岸和田から始まった「チリモン(ちりめんじゃこモンスター)」の公認妹?弟?分の「ワカモン(ワカメモンスター)」が開発されたとのことで、覗いてみました。



 岩手県大船渡市の碁石海岸インフォメーションセンターが現場です。

 

 到着早々、さっそくワカモンをゴッチャ。この地域ではワカメに混じる雑多な甲殻類を「シャムシャラリン」と呼ぶらしく(※小田嶋ほか 2014くらいしか文献が無い)、それがイコール「ワカモン」ということになります。ちりめんじゃこのようにゴッチャゴチャの状態のワカモンを、匙で好みの量だけ掬います。珍種が入っていることを祈りつつ。


端脚界隈には堪らない光景です。


 ワカメモンスターは出来たばかりのプログラムで、これが初回。しかもチリモン系列としては東北初の出店とのことです。しかし地元博物館のスペックの高さ故か、チリモンのノウハウがしっかり活かされているためか、道具や資料は洗練されていて進行はスムーズです。


 オープニングではワカモンの背景の説明。チリモンからワカモンが着想され形になった経緯について、なかなか興味深いお話を聞けました。地域の産業たるワカメが選ばれた理由や、イベントとして成立させる道筋。環境教育プログラムの設計や運営といった観点からもものすごく勉強になります。これが500円ですから実質無料です。

 その後、ほとんど分類群の予備知識の無い状態でまず直感でワカモンを仕分けてみます。ヨコエビおじさんは端脚ソーティング経験者ですが、ワレカラは専門外。事前にワカモンの画像を見て該当しそうな種の分類ができる資料を用意して臨みましたが、肉眼では細かい節の様子などは判別困難。結局雰囲気でソートしていきます。

 支給されたピンセットが重くワカモンを破損しそうだったので、私物のピンセットを使用(このへんから目をつけられるようになります)。

 

 そして種類の解説。

 ところどころ気になる表現はあるものの、最新学説の不安定さに影響されない丁度いい塩梅のラインです。

 ワカモンが優れているところは、体積比でカマキリヨコエビ属九割、ワレカラ九分、残りがその他といった感じで、基本的にワレカラの探索や観察に集中できることです。ワレカラは端脚類の中でも日本における解明度は極めて高く、要点を押さえれば種の同定が可能です。その内訳は、ぱっと見たところマルエラワレカラRタイプが八割、イバラワレカラが一割で、これも絶妙です。イバラのトゲトゲ感はルーペで見ればマルエラからの識別は容易で、絶妙なレアリティは探索意欲を掻き立てます。また、同じ種類でもより大きな個体や完品を探すといった楽しみ方ができるので参加者側のやり込み要素は無限で、逆に構成種が少ないため答え合わせ側の整備がしやすく、恐らく準備次第では腕1本から種の類推も可能と思います。

 カマキリヨコエビに関しては完全に雑魚ですが、thunbed maleの造形や模様など楽しめる部分も多いのではないでしょうか。


 ここから再度時間をかけてソーティング。机間指導を交えたレア種の紹介と、適宜顕微鏡での観察に入っていきます。


 最後は気に入ったワカモンをレジンに封入してお土産を作ってフィニッシュ。時期が時期だけにあまり自由研究にコミットする感じではありませんでしたが、顕微鏡写真を配布したり標本としてまとめる手法が確立すれば、自由研究用の夏の定番メニューになりそうです。


生態の再現をテーマとしました


 概ね予想通り、新しいコンテンツながらチリモンから引き継いだ安定感があります。あっという間に二時間を駆け抜けました。講師の古澤学芸員の専門は地質とのことですが、いきなりこんなマイナー分類群に取り組まれているあたり、只者とは思えません。

 予想外だったのは、端脚類の保存状態の良さ。色こそ変わってますが、体表の刺状剛毛はわりと残っていて種の同定ができそうです(それなのに※Conlan et al. 2021 のキーが流れなかったのでアレの公算大と思われます)。どうやら水揚げ後に釜茹でした時にワカメから外れた屑を干したものらしく、古澤さんいわく茹でることで組織が固定されたのではないか、とのこと。

 ヨコエビを「ヨコエビ」でまとめて細かい分類を回避するスタイルは、この手のイベントではつきものですが、せっかく属が限定されているので、何とは言わなくとも生態特性の情報やワカメやその他の漁業資源との関わりなんかを掘り下げてもいいような気がしました。カマキリヨコエビ属はワカメ葉状部を食べるとの報告もあるので(※桐山ほか 2000)。


 午前午後ともに定員割れのようでヨコエビとかワレカラの弱さに悔しく思う部分もありつつ、これから地域に愛されまた出張するようなイベントになればと思います。徳島とか横浜とかどうでしょう。


※関連する文献の情報は後で追加します



【補遺】<参考文献>

— Conlan, K. E.; Desiderato, A.; Beermann, J. 2021. Jassa (Crustacea: Amphipoda): a new morphological and molecular assessment of the genus. Zootaxa, 4939(1).

— 桐山隆哉・永谷浩・藤井明彦 2000. 島原半島沿岸の養殖ワカメに発生した魚類の食害が疑われる葉状部欠損減少.Bulletin of Nagasaki Prefectural Institute of Fisheries, 26: 17–22.

— 小田嶋祐希,ほか. 2014. 博物館から海を発信!!~大船渡の生態系を子供たちへ~. 平成26年度Let'sびぎんプロジェクト 活動報告. [web publication]

2021年7月31日土曜日

ヨコエビの寿司性に就ひての一考察(7月度活動報告)

 

  最近、アクアマリンふくしまのツイートがバズっていますね。

  展示している「ヒロメオキソコエビ」と「ウオノシラミ属の一種」(しらみちゃん)が寿司に見えるという話で、過去に一世を風靡したカイコウオオソコエビも巻き込んで世間は寿司祭りの様相です。




 

※イメージ

 

 カイコウオオソコエビは長らく「エビの握り」と混同されてきましたが、しらみちゃんは「エビ」あるいは「サーモン」に見えます。ヒロメオキソコエビはさしづめ「えんがわ」か飾り包丁の入った「イカ」でしょうか。

 

 カイコウオオソコエビとしらみちゃんはともに「エビ」担当ですが、ずいぶんベクトルの違うエビに見えます。これはまさか・・・

 

 

 思った通りです。

 

 カイコウオオソコエビはおそらく、2012年にリリースされたこの記事に代表されるJAMSTECの写真が発端となって寿司説が流布したものと思われますが、その写真に見られるボディのツヤ感やローズピンクのムラ感、胸節表面を縦に走る筋の感じが、甘えびを2,3尾載せた握りによく似ています。

 一方、しらみちゃんは全体に黄色みが強く橙色に見え、背面に筋感はなくよりフラットです。これはボイルしたエビの開きを載せた握りによく似ています。

 

 これらが似ているのは、カイコウオオソコエビ(端脚目)やしらみちゃん(等脚目)と、寿司ネタのエビ(十脚目)が、同じ軟甲類というグループに属していて比較的近縁なせいだと思います。これに加えて、寿司に用いられるエビの身は第1~5腹節と尾節(尾肢と尾節板)に相当する部分で、これはそのままカイコウオオソコエビやしらみちゃんとも対応します。


 しかし、シャリは違います。寿司におけるシャリは、ネタであるエビとは分類学的にかなり遠いイネ(被子植物:単子葉類)の胚乳が人為的に付加されたもので、元々身体の一部をなしていた構造ではありません。

 カイコウオオソコエビにおけるシャリは、主に底節板より先の胸脚に相当するようです。一方、しらみちゃんの場合は底節板にわりと色がついていて、ネタ側に相当するように思えます。しらみちゃんのシャリは基節から先の胸脚と、保育嚢から構成されるようです(そう、しらみちゃんは女の子なんです!!)。


 

 思うに、以下のような要素が寿司性に寄与しているのではなかろうかと思います。

  • 上に色の濃い「ネタ」・下に白っぽい「シャリ」が位置する
  • プロポーションが一般的な寿司の範疇に収まる(幅:厚:長=1:2:2.5~4.5程度ではないでしょうか)
  • 「ネタ」の方が少し大きく、垂れ下がっている
  • 「ネタ」上面は平らで、横に筋がある
  • 「シャリ」下面は丸く、多少凹凸がある


 そういう要素を満たす動物は他にもいる気がします。例えば・・・

 


 ミズムシ(等脚目)はシャコ(口脚目)と同じ軟甲類に含まれるので、これも分類学的に近位であることと、形態的に相同であることが、寿司性の演出に寄与した例と思われます。

 ヒメアルマジロ(哺乳綱)については中トロ(マグロ:硬骨魚綱)と分類学的に遠く、相同性もありません。そのせいか、今回はガリ(被子植物:単子葉類)に助けを求めることとなりましたが、相当な寿司性を具えています。ヒメアルマジロは種小名に「truncatus」とある通り、尾部が切り落とされたような形状をしていますが、これがマグロのサクの感じとよく似ています。

 

 端脚目や等脚目は背側の殻が厚く、表面がごつごつしていたり、色素が多く含まれたりします。対照的に腹側や脚は殻の表面が平滑で色が薄めです。こういった条件は寿司への収斂を促す可能性があります。

 これからもまだまだ寿司性を具えたヨコエビやその仲間たちが見つかるかもしれません。もっと探してみたいと思います。



 

2021年6月24日木曜日

書籍紹介『三陸の海の無脊椎動物』(6月度活動報告)

 

 多少私が関わった書籍が出版されました。

— 加戸隆介(編著)/奥村誠一・広瀬雅人・三宅裕志(著)2021.『三陸の海の無脊椎動物』恒星社厚生閣,東京.ISBN978-4-7699-1664-2.

 

本文278ページの大ボリューム、
図鑑パートはフルカラーの大盤振る舞いで2,000円です。

 

 かつて三陸には北里大のキャンパスがあり、震災の後に一時閉鎖されたものの、現在は研究センターとして復活したそうです。そういった縁で、三陸の海の生物の知見が集積された本書が著されるに至ったようです。

 本書の大部分は、12門318種(群)の写真および解説に割かれています。各分類群の体制や系統について真摯な記述があるほか、用語解説や採集の注意点等も充実しています。近傍海域において浅海の無脊椎動物を学ぼうとする者にとって、これほどうってつけの本は無いと思います。

 ヨコエビに限ってですが、文化祭にお邪魔した時に本書の私家版を見て私なりにコメントを寄せた内容が反映されており、協力者としてクレジット頂いております。あと、よく見たら参考文献に『ヨコエビガイドブック』を挙げて頂いておりました。恐縮です。

 

 いちおう、端脚類のリストを掲載しておきます。8属18種のようです。5%というのは多いのか少ないのか…

 

  ヒゲナガヨコエビ科 Ampithoidae

  1. ニッポンモバヨコエビ Ampithoe lacertosa
  2. ヒゲナガヨコエビ科の一種

    クダオソコエビ科 Photidae

  3. ニホンソコエビ Gammaropsis japonica

    カマキリヨコエビ科 Ischyroceridae

  4. フトヒゲカマキリヨコエビ Jassa slatteryi
  5. イソホソヨコエビ Ericthonius pugnax

    ドロノミ科 Podoceridae

  6. ドロノミ属の一種 Podocerus sp.

    テングヨコエビ科 Pleustidae

  7. オタフクヨコエビ Parapleustes bicuspoides
  8. テングヨコエビ科の一種

    アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

  9. アゴナガヨコエビ科の一種

    タテソコエビ科 Stenothoidae

  10. タテソコエビ科の一種

    ワレカラ科 Caprellidae

  11. セムシワレカラ Caprella brevirostris
  12. トゲワレカラ C. scaura
  13. トゲワレカラモドキ C. californica
  14. コシトゲワレカラ C. mutica 
  15. イバラワレカラ C. acanthogaster
  16. クビナガワレカラ C. equilibra
  17. マルエラワレカラ C. penantis
  18. コブワレカラ C. verrucosa


 確証はありませんが、おそらく収録されていない知見がまだあると思われます。また、今後調査を続ければ、ヨコエビはまだまだ出てくるのではないのでしょうか。

 私家版の時点でどういう形に仕上がるのかよく分かっていなかったのですが、このように出版されクレジットされるのであれば、もう少し内容に突っ込んだり標本の検討に参加しても良かったかなと思います。種リストとしての厚みはもとより、各動物門の概要や磯の生態系についての知見を網羅的に深めることができる良書ですが、同定キーが無いことや、未収録・未同定の項目があるのは、まだ変身を残している印象があります(こういった書物にキーは必須とは思いませんが、地元のアマチュアにとっては大いにニーズがあるものと思います)。更に研究が進んでパワーアップすることを祈っております。その時はもっとドラスティックにご協力させていただきたく。

 

2013年3月21日木曜日

3月の活動報告(青森・三沢漁港)


言い訳だとか過ちだとかを、いまさら何を言っても関係ないですね。
映ってしまったものは仕方がない。


3月20日、朝10時15分、三沢漁港へ。


 じつは新幹線を寝過ごして遠回りしたという失態。
 青森県初入県にして、このしでかし。
 そして乗り込んだタクシー。漁港内を大仰に一周した運ちゃんに若干の敵意を滲ませた。
 入口でいいって言ったのに!

 さて、海なし県埼玉のしがないサラリーマンがたった1日の休みを使って青森まで足を運んだ最大の理由は、オレゴン州立大のJohn Chapman博士に会うため。Light manualの端脚目の部分(Chapman 2007)を担当されるなど、カリフォルニア界隈のヨコエビといえばこの方、というイメージがあります。また、日本からアメリカへのニッポンドロソコエビGranddierella japonicaの移入を論じた論文(Chapman 1975)はそのテーマもさることながら形態の記載も詳細で、卒論で読んだ500本余りの論文の中でも最も好きなものの一つです。

今回の調査の具体的な内容としては、浮桟橋に付着している生物をコドラート(方形枠)で採取して持ち帰り、単位面積あたりの生物種数と量を調べるという、いわば王道的な手法です。
 先の震災で発生した津波によって、三沢漁港の4つの浮桟橋が太平洋へと流され、うち2つがアメリカ本土に漂着したとのことです。その、漂着した桟橋に付着していた生物と、現在三沢漁港でみられる生物とがどのくらい重複しているかを分析するようです。例えば、アメリカで新たに付着したと思われる生物はいないか、または流されてくる間にどのくらい死滅するのか、など。
 現在、漂着瓦礫(Tsunami debris)は国際問題となっていて、 漂着先に与える影響の一つとして付着生物の移入というのは無視できないもののようです。生態系の汚染は、人間に直接の危害はなくとも、長い目で見るとその土地の生物の有り様を大きく変えてしまうものです。

取材を受けるJohnと風呂田教授。

 調査結果の詳細はJohnの論文として発表されることになりますが、ヨコエビの出現科としてはお台場,神奈川方面の護岸でみられるような感じに近いらしいです。
 体長20mm近いヨコエビも得られましたが、細部の観察をしないと種までは落ちません。

 目からウロコだったのは、日本の普通種で、北アメリカでよく記載されるようないわばコスモポリタン種が、実はアジア起源なのではというJohnの説。海流の関係からすると、たしかし!と肯ける。もちろん、日本でのヨコエビをはじめとする様々な生物の記載が遅れているのは調査が行われていなかっただけで、タイプ標本が得られた場所(Type locality)が必ずしも原産地ではないことは承知していましたが、まさかまさか。あの種もあの種も、元は日本なのかな?そう思うとワクワクしてきます。

 Johnは私の作ったガイドブックやTシャツの話もしてくれて、未記載種(新種)が含まれてるはずだから記載しないか、と言ってくれました。そのためには月のお給料に匹敵する出費をして描画装置付きの顕微鏡を買わなくてはならない!無理!
 だからせめて、今手元にある資料の整理と、必要なものの洗い出しを行って、あとは実行するだけという状態を作らなければと思いました。

じゃあ、いつやるか。今でしょう。



P.S.

TBSのNews23Xでとりあげられて偉そうに喋りました。 
教授の受け売りです。
大学関係者でも何でもないのに、失礼致しました。
関係方面から「お前何してるん?」と問い合わせがありました。
ぺろっ。



Thank you for your present for me, John.
Now displaying it on my desk =)
See you next time!





<参考文献>

-Chapman, J.W. and Dorman, J.A. (1975) Diagnosis, systematics, and notes on Grandidierella japonica (Amphipoda : Gammaridea) and its introduction to The Pacific Coast of The United States. Bulletin of the Southern California Academy of Sciences, 74(3): 104-108.


- Chapman, J.W. (2007) Gammaridea. In; Carlton, J.T.(ed.) 『The Light and Smith manual intertidal invertebrates from central California to Oregon, fourth edition』 Completely Revised and Expanded. University California Press, pp. 545-618.