2018年12月23日日曜日

2018年新種ヨコエビを振り返って(12月度活動報告)



 毎年恒例、年に一度の総決算の時期がやってまいりました。
 新種記載のみですが、一年間を振り返ってみます。
 
※2017年分はこちら
 

 記載者については、論文中あるいは私信で明言のある場合のみつけています。




New Species of


Gammaridean Amphipods


Described in 2018


(Temporary list)




January


Verheye, Lörz & d’Udekem d‘Acoz (2018)


Epimeria cleo


 南極からごつごつしたヨコエビの新種です.ロス海においてEpimeriidaeヨロイヨコエビ科Epimeriaヨロイヨコエビ属はこれで9種となったとのことです.分類は形態と分子の両刀使いで,本種はDrakepimeria亜属に含まれるようです.本文は有料ながらアブストに詳細な形態の記述があります.




Tandberg & Vader (2018)

Amphilochus anoculus


 北大西洋でのプロジェクトで発見されたチビヨコエビ属の新種を記載.形態による分類です.Amphilochopsis属の議論を行いつつ,大西洋北東部に産するチビヨコエビ属の検索図を提供しています.Zookeysなのでタダで読めます.




Krapp-Schickel (2018)

Leucothoe vaderotti


 Tandberg & Vader (2018)と同じプロジェクトで発見されたマルハサミヨコエビ属の新種を記載.形態による分類です.既知のこの属の分布一覧も掲載しています.Zookeysなので無料で読めます.




Peart (2018a)

Byblisoides bellansantini

Haploops dauvini

Haploops kaimmalkai


 こちらもTandberg & Vader (2018)と同じプロジェクトで得られたスガメソコエビ科の3新種です.Byblisoides属の検索表およびHaploops属の形質マトリクスを提供しています.Zookeysなので無料です.




Peart & Lörz (2018)

Exampithoe plumosa

Pseudopleonexes evensis


 ニュージーランドよりヒゲナガヨコエビ科の2種を記載.ニュージーランドに産するヒゲナガヨコエビ科の検索表も提供しています.Zookeysなので無料です.




Jung, Coleman, Kim & Yoon (2018)

Anonyx exilipes


 韓国からフトヒゲソコエビ上科ツノアゲソコエビ属の新種を記載.Anonyx abeiの再記載も行っています.Zookeysなので無料です.



Ayati, Dhaouadi, Mahmoudi & Piscart (2018)

Echinogammarus carthaginiensis

Echinogammarus tunetanus


 チュニジアから淡水性ヨコエビ科Echinogammarus属の2新種を記載.Crustaceanaなので本文は有料ですが,アブストで形態への言及があります.






February



Angyal, Solís, Magaña, Balázs & Simoes (2018)

Mayaweckelia troglomorpha Angyal in Angyal et al., 2018


 メキシコからハッジヨコエビ科の新種を記載.Mayaweckelia属はメキシコの淡水域のみから得られており,これで3種目となります.この研究では分子と形態による分類を行っており,詳細な採集情報とジーンバンクIDを対応させた丁寧な仕事が印象的な研究です.第1触角と,第6,7胸脚が非常に長く伸長するのが特徴.Zookeysで本文から美麗生体写真まで見れます.




Lee, Tomikawa, Nakano & Min (2018)

Pseudocrangonyx daejeonensis


 韓国よりメクラヨコエビ科メクラヨコエビ属の新種を記載.分子と形態の両刀使いです.本属はユーラシア極東に分布する淡水性ヨコエビで,日本にもいます.この研究では,同属他種(未記載種含む)と外群の28S,16S,ヒストンH3,Mt DNA COIの4つの遺伝領域を分子系統解析に使用した上で,データをCSVでアップロードするという凝った構成になっています.Zookeysなので無料で読めます.




Myers, Plaiti & Rousou (2018)

Microdeutopus periergos


 地中海のキプロスからユンボソコエビ科Microdeutopus属の新種を記載.これにより本属の種数は12種となったとのことで,オスの形態に基づく検索表を提供しています(本属やユンボソコエビ科の概要についてはこちらをご参照くださいませ).本文は有料.




Sorrentino, Souza-Filho & Senna (2018)

Stephonyx transversus


 ブラジルよりフトヒゲソコエビ類 Stephonyx ツマミソコエビ属の新種を記載。下目としてAmphilochidaを採用しており、Lowry & Myers (2017) の新体系を採用した記載論文としては初ではないでしょうか.グレースケールのシェードが入った全身図が良い感じです.本文は有料.




Labay (2018a)

Vinogradovopleustes punctatum


 オホーツク海よりテングヨコエビ科の新種新属を記載。Pleusymtinae(エゾテングヨコエビ亜科)の検索表も提供.亜目にGammmarideaを採用していてドキドキする論文.本文は有料.





March



Narahara-Nakano, Nakano & Tomikawa (2018)

Eurythenes aequilatus ヒロメオキソコエビ


 北海道からオキソコエビ属の1新種.分子と形態の両方からアプローチしており,沖縄から得られたE. magellanicus コブオキソコエビ も含め,近縁種の系統樹を描いています.本文は有料.
※昨年7月にオンラインで閲覧可能となったものの、出版が2018となっていたため、そちらに従っています。




Corbari & Sorbe (2018)

Dulichiopsis dianae


 大西洋の深海熱水噴出孔まわりから,Dulichiidae シャクトリドロノミ科 の1新種を記載するとともに,生態を記述しています.遺伝子情報も解析し,Zoobankとも連携しています.本文は有料. 
※昨年10月にオンラインで閲覧可能となったものの、出版が2018となっていたため、そちらに従っています。





Hupało​, Mamos, Wrzesińska & Grabowski (2018)

Gammarus plaitisi


 クレタ島から淡水性Gammarus属初の固有種が見つかったというセンセーショナルな見出しが付いています.従来の付属肢の形態比較と分子系統解析の手法に加えて,SEMを用いて体表構造の検討も行っている,かなり面白い研究です.Peer Jで公開されており,本文が無料で読めます.




Myers, Trivedi, Gosavi & Vachhrajani (2018)

Elasmopus sivaprakasami


 インドからイソヨコエビ属の1新種を記載. 日本産の種に含まれるものとして処理されていた隠蔽種のようです.本文は有料.




Hou & Li (2018a)

Gammarus altus

Gammarus gonggaensis

Gammarus limosus

Gammarus kangdingensis


 チベット高原より4新種を記載するとともに,同地域に産する15種の形態分類キーと、その他の近似種との違いを議論.Zookeyなので無料.




Bastos-Pereira, Alves de Oliveira & Ferreira (2018)

Hyalella troglofugia


 ブラジルからHyalella属の1新種を記載.盲目種ながら表層水から見つかるというレアなケースで,今後の研究での課題となるでしょう.提携していないと本文を読めませんが,アブストに形態の記述あり.




Fišer, Alther, Zakšek, Borko, Fuchs & Altermatt (2018)

Niphargus luchoffmanni

Niphargus tonywhitteni


 スイスからNiphargusの2新種を記載.この属は西ユーラシアに約340種が分布し, 驚異的な多様性を誇ります.ミトコンドリアDNAの1領域(COI)と核DNAの3領域(リボソームRNA 28S,ヒストンH3,ITSII,II)を用いた分子系統解析に加え,DELTA(DEscription Language for TAxonomy)でデータベースを構築して形態の解析を行った上で,スイス国内から得られている19種(および種群)について比較表を提供しています.Zookeysなので無料で読めます.






April



Johansen & Vader (2018)

Halicoides borealis


 昨年,一世を風靡した Nicippe recticaudata トヨタマミコヨコエビ と同じPardaliscidae科に属する深海性ヨコエビの1新種を報告.本文は有料ですがアブスト内で詳細な形態の記述があります.



Hou, Zhao & Li (2018)

Gammarus vallecula Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus qinling Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus zhigangi Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus jidutanxian Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus longdong Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus mosuo Hou & Li in Hou et al., 2018

Gammarus caecigenus Hou & Li in Hou et al., 2018


 中国南部の陝西省,四川省,湖北省からGammarus属の7新種を記載.G. caecigenusは無眼種とのこと.Zookeysなので無料です.




Marin & Sinelnikov (2018)

Stenothoe nhatrangensis

Stenothoe irinae


 ヴェトナムのニャチャン湾からタテソコエビ属の2新種を記載.生体カラー写真を掲載しています.付属肢の線画は,基節に底節板の影を点描で書き込むという特殊な手法で描かれています.本文は有料.




Nakano, Tomikawa, Hou & Morino (2018)

Myanmarorchestia nunomurai Nakano & Morino in Nakano et al., 2018


 昨年ミャンマーの産地から記載されたMyanmarorchestia属の新種を,中国雲南省から記載.




Beermann, Westbury, Hofreiter, Hilgers, Deister, Neumann & Raupach (2018)

Epimeria frankei Beermann & Raupach in Beerman et al., 2018


 北海のヨロイヨコエビ属に1新種を追加.形態と分子を解析して隠蔽種をあぶりだすだけでなく,姉妹群の類縁関係についてかなり掘り下げています.固定し標本にした状態での形態的特徴は既知種(E. cornigera)とよく似ていますが,生時には色彩が明瞭に異なるという例でもあります.無料で読めます.




Stokkan, Pérez-Fernández, Baena & Jaume (2018)

Pseudoniphargus morenoi Stokkan & Jaume in Stokkan et al., 2018

Pseudoniphargus gevi Stokkan & Jaume in Stokkan et al., 2018


 スペインからマミズヨコエビ類(小目)に属するPseudoniphargusの2新種を記載.この属は地中海を中心に欧州からアフリカにかけて70種以上が報告されている地下水性ヨコエビです.形態形質のマトリクスを掲載.Zootaxaなので基本的に本文は有料ですが,今はタダで読めるようになってるみたいです.






May


Tomikawa & Nakano (2018)

Pseudocrangonyx akatsukai アカツカメクラヨコエビ 

Pseudocrangonyx komaii コマイメクラヨコエビ


 本邦のメクラヨコエビ属の隠蔽種を2新種として記載.これまで西日本から報告されてきた Pseudocrangonyx shikokunis シコクメクラヨコエビ は P. akatsukai アカツカメクラヨコエビ に置換され,P. kyotonis キョウトメクラヨコエビ とされてきた中日本の個体群は P. komaii コマイメクラヨコエビに置換されました.また,メクラヨコエビ科の分子系統樹とメクラヨコエビ属の形態分類検索表を提供しています.本文は有料です(めっちゃ高い).





Tomikawa, Hirashima, Hirai & Uchiyama (2018)

Melita choshigawaensis チョウシガワメリタヨコエビ


 三重県の銚子川河口から採取されたメリタヨコエビの1新種.NHKスペシャルでも取り上げられ,銚子川の美しさとともに全国に紹介され,大いに盛り上がりました.本種の記載は,従来形態学に基づいてきたメリタにも,とうとう分子系統のメスが入ったことを宣言するものでもあります.河口域のメリタといえば M. shimizui シミズメリタヨコエビが代表種ですが,ミトコンドリアDNAのCOI領域を検討した上で,メスの第6胸脚底節板やオスの第3尾肢の形状が明瞭に異なることを示しています.Zookeysなので本文は無料です.
 



Tomikawa, Nakano, Othman & Morino (2018)

Brevitalitrus pangkorensis Tomikawa & Morino in Tomikawa et al., 2018


 マレーシアからハマトビムシ科の1新種を記載.メス咬脚の表面構造をSEMで探ったりしています.属内の検索表を提供.SDなので無料で読めます.





June



Joseph, Nandan & Jayachandran (2018)

Victoriopisa cusatensis


 インドのマングローブ帯から,当国においてセンドウヨコエビ科ホソオヨコエビ属の第3の種にあたる1新種を記載.
 種小名の"cusat"とは「Cochin University of Science and Technology」の略で,インドの大学の名前がついたということで,幾つかのメディア(The New Indian ExpressThe Times of India)で取り上げられました.
 Zootaxaに掲載された記載論文の本文は有料ですが,アブストにてそこそこ形態の記述があります.
 



Ariyama (2018)

Maeropsis okinawaensis オキナワスンナリヨコエビ 

Orientomaera decipiens フトベニスンナリヨコエビ 

Orientomaera obliquua ホソベニスンナリヨコエビ 

Orientomaera rotundicoxa マルカドスンナリヨコエビ


 スンナリヨコエビ界隈に新知見をもたらす連載がスタートします.かねてより懸案であった「日本のスンナリヨコエビがすんなりいかない問題」に,有山先生のメスが入るとの話は既に耳にされた方も多かったかと思いますが,とうとうその第一弾がリリースされました.手始めに沖縄から Maeropsis(新・スンナリヨコエビ属)の M. okinawaensis オキナワスンナリヨコエビを記載した上で,ホームグラウンドである和歌山や大阪から得られた標本を中心に検討し,3新種を含む Orientomaera トウヨウスンナリヨコエビ属という新属を建てています.



Lörz, Jażdżewska & Brandt (2018)

Rhachotropis saskia Lörz & Jażdżewska in Lörz et al., 2018


 千島列島の深海から テンロウヨコエビ科 リュウグウヨコエビ属 の1新種を記載.分子と形態の両刀遣いで,スケッチに加えて標本の落射光カラー写真SEM画像まで掲載されています.貴重な捕食の瞬間を固定した写真もあり,属内の検索表もあり,千島海溝から得られた他のヨコエビの深度分布もあり,盛りだくさんで,亜目にはGammmarideaを採用しています。PeerJで記載される種というのはあまり多くない気がしますが,無料で読めるのでありがたい限りです.



Peart (2018b)

Byblisoides monicae

Byblisoides richardi


 南極とニュージーランドから深海性のスガメヨコエビであるByblisoides属の2新種を記載.深海性ヨコエビのサンプル数があまり採れない問題に関する議論も交えつつ,属内の検索表も提供しています.本文は有料.




Drumn (2018)

Cerapus slayeri

Cerapus ryanadamsi


 メキシコからCerapusホソツツムシの2新種を記載。Senticaudata亜目を採用.巣の様子がよく分かる標本の落射光写真に加えて,今どき珍しい殻の厚みを表現したスケッチがとても印象的です.本文は有料です.



Sidorov, Hou & Sket (2018)

Gammarus troglomorphus

Gammarus parvioculatus

Tadzocrangonyx alaicus


 淡水性ヨコエビ科の2属について,トルクメニスタンから2新種,キルギスタンから1新種を記載.聞き慣れないTadzocrangonyxという属はタジキスタンやキルギスタンの地下水系に生息するグループで,これで3種目のようです.Zootaxaですが無料で読めます.



Sidorov, Taylor, Sharina and Gontcharov (2018) 

Adaugammarus kasiani

Kruberia relicta 

 新科 Zenkevitchiidae を設立するとともに、2新種と属位変更を行っています。2021年8月11日現在、なぜかこの論文はWoRMSへ反映されていません。

 



July



Zettler & Myers (2018)

Ledoyerella kunensis


 ナミビア,アンゴラ近海から Kamakidae カマカヨコエビ科の1新種を記載.インド洋から太平洋にかけて近縁種の比較を行っています.本文は有料.





August



Hancock (2018)

Haustorius galvezi

Haustorius allardi


 メキシコ湾からツノヒゲソコエビの2新種を記載し,H. jayneaeの新産地を報告. Haustorius属とLepidactylus属のレビュー,メキシコ湾内のツノヒゲソコエビ科の検索表を提供している盛りだくさんな論文です.本文は有料.




September



Dole-Olivier, Hafid & Piscart (2018)

Pseudoniphargus djemoi


 アルジェリアからマミズヨコエビ下目の暗居性ヨコエビ1新種の報告。本属は欧州からアフリカにかけて70種以上が分布しているわりと大きなグループです.アブストにて簡単に形態の解説あり.本文は有料.



White & Machida (2018)

Leucothoe batillum

Leucothoe cracentis

Paranamixis lunata


 台湾から Leucothoidae マルハサミヨコエビ科の3新種を記載.南シナ海とフィリピン近海の既知種リストに加えて,新たに13種を記録しています.全16種の美麗な生体写真を掲載という気合いの入りまくった論文ですが、無料で読めます.





October



Hou & Li (2018b)

Bogidiella pingxiangensis Hou & Li, 2018


 中国南部江西省萍郷市の洞窟よりカンゲキヨコエビ属の新種.既知種のタイプロカリティから500km離れているとのこと.ホロタイプのlabiumを破損という衝撃の告白に震えます.Zookeysなので無料で読めます.



Wongkamhaeng, Dumrongrojwattana & Shin (2018)

Allorchestoides rosea 


 タイから Dogielinotidae ナミノリソコエビ科の新属新種の記載です.Zoobankと連携しています.Coleman (2003) で紹介されたColeman methodに則って描画されています.Allorchestes ヘッピリモクズ属と似て海藻に付着する種らしく,”rosea”という種小名の通り,鮮やかな赤色を帯びている様子が生態写真からも確認できます.ただ,掲載されている検索表はkey1から重大な欠陥があり、分類には使用できません
 また,今ジタバタしてもしょうがないですが,AllorchestesはHiwatari et al. (2011)の分子系統解析によって,狭義のナミノリソコエビ科とは類縁関係に隔たりがあることが示唆されているため,本属も将来的にナミノリソコエビ科から外される可能性がありそうです.とりあえず論文は無料で読めます.



Sidorov, Reddy & Shaik (2018)

Orientogidiella reducta

Bogidiella hindustanica

Indoniphargus subterraneus


 インドから地下水性ヨコエビ3新種を記載するとともに,Orientogidiellaという1新属を建てています.また,Bogidiella indicaの再検討を行い,この種を新属のOrientogidiellaに移したりしています.さらに,これまでマダガスカル固有種のみで占められていたAustroniphargidae科に,Mesogammaridae ナギサヨコエビ科からIndoniphargus属を移動させたようです.



Momtazi, Maghsoudlou & Just (2018)

Cephaloecetes ungulatus


 イランからヤドカリモドキ類(ハイハイドロクダムシ類)の1新種を記載.本文は有料.



Just (2018)

Sebadexius cebuense


 フィリピンのセブ島からエンマヨコエビ亜科の1新種を記載.ニューカレドニアから記載された単形分類群Sebadexius neocaledoniensis Ledoyer, 1984をレビューし,新種を見出したとのこと.本文は有料.



Myers, Lowry & Barnes (2018)

Eriopisella moretoni 


 オーストラリア初となるEriopisella属の1新種を記載.センドウヨコエビ科は欧州・アフリカ・南米・アジアなど広く分布しているものの,オーストラリアにいる属は限られています.既知種の属内検索表を提供.本文は有料.



Labay (2018b)

Cognateosymtes serraticoxae


 樺太からテングヨコエビ科の新属新種を記載.Eosymtinae亜科内の属までの検索表を提供しているようです.本文は有料ですが,アブストで詳細に形態的特徴が述べられています.



November


Esmaeili-Rineh (2018)

Niphargus lorestanensis Esmaeili-Rineh, 2018


 イランからNiphargus属の1新種を記載。Mt DNA COI,28srDNA,ヒストンH3を使った分子系統解析を実施するとともに,しっかり形態も見ています.本文は有料.


December


Alves, Neves & Johnsson (2018)

Quadrimaera yemanjae

Quadrimaera miramirandella


 ブラジルからスンナリヨコエビ類の2新種を記載.Q. cristianaeQ. pieteriの新産地の報告と,Q. rocasensisについては新産地に加えてメスの形態を初記載しています.属内の検索表を提供.本文は有料.




 以上,私の調べた限り,2018年は7779種の新種が確認されました.昨年の108種より少なめですが,昨年はd’Udekem d’Acoz & Verheye (2017) という28種にのぼる巨大な記載論文もありましたので,概ね同じペースと考えてよいでしょう.


 なお,Ortiz et al. (2018) は Shoemakerella fissipro を新種として記載しています(2020年の論文で記載し直されたため,カウントしていません).



<特報>

 あと,これは未出版ですが,今年5月にオーストラリア近海の水深1000mで見つかった端脚類,フトヒゲソコエビ小目のThoriellidae科らしいのですが,あまりに珍奇すぎて新属が建つようです(Tweet of Dr. Halfer).

 記載準備は進んでいるようで(線画が公開されてしまっています),どのような論文が出るのか楽しみです.









2018年11月24日土曜日

干潟の望月(11月度活動報告その2)


 秋も彩り豊かにいよいよ深まり、朝晩の冷え込みの中にどこか冬の足音が聞こえる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。


 さて最近、11月と12月のラベルの干潟のヨコエビ標本がほとんどないことに気付きました。

 春を過ぎると潮が悪くなるとともに、海藻の現存量も芳しくなく、干潟でヨコエビを採るのはだんだん厳しくなってきます。

 しかしまあ、一度も調査したことがないというのもアレなので、東京湾内湾最大級のヨコエビリティを誇る干潟で冬季採集を試みました。




 折しも、藤原道長が望月の歌を詠んでからちょうど1000年目にあたるという満月が、纏った薄雲を眩く輝かせながら、天頂から見下ろしています。



 千葉県某所干潟
 午後10時

 暗いので写真はほぼないです。
 この干潟の夜間アタックは学生以来ですね。当時は1.2kmばかり歩いて30測点以上採取し、その後夜通しソーティングなどしていましたから、若かったんですねぇ・・・

 今回の本命は潜砂性種とします。

 また、新たな採集法も試します。



誑かす砂上の月光

(ハマトビキャッチャー)



 砂浜水盤ライトトラップです。
 ここでのハマトビキャッチャーも学生以来です。

 白浜では採れるかどうかの確認でしたが、今回は効率的な採集を目的として、放置プレイバージョンと、攪乱ありバージョンなどで効果を比較してみました。この結果については改めてどこかで。

ハマトビキャッチャー(改)

 使用したLEDライトは公称1000LMらしいのですが、見た感じはよく分かりません。COB12灯の拡散光、とにかく頼もしい明るさです。

 ハマトビキャッチャー実施中に沖で採集していましたが、この通り、遠くからでもよく見えます。暗くなると道が分かりにくくなるので、以前の夜間アタック時もライトを吊るしたり工夫していましたが、これは一石二鳥です。

矢印部分がハマトビキャッチャー改の光です

 ありがたいことにというべきか、不思議なことにというべきか、これをやるとハマトビ(と寄生ダニ)しか採れません。土地柄や季節もあるでしょうが、目的外の生物を殺さずに済むのは良いことです。

Platorchestia pacifica

 ハマトビキャッチャーは、沈黙を抱く湖(エキストラハイパートニック)と併用できますが、集められたハマトビは光に寄せられてバットからあまり逃げないので、普通の海水でも問題ありません。




濡れそぼつ小さな秘め事

(シークレットバイブレーション)


 これはフエコチドリの足技から着想した技です。
 砂をコチョコチョして獲物を探索する行動は渉禽類などでよく見られるのですが、その再現を狙ったものです。

 使用するのはこちらです。


Amaz○nにて購入。2399円。

 市販されている観察用具です。モーターが内蔵されており、10種類のモードから振動パターンを選択できる優れモノです。

 全体がシリコンコーティングされており、マグネット電極充電式なので、水中でも使用できます。 

オゴノリに潜らせてみる

 やってみると、海藻の中にいるヘラムシやアゴナガヨコエビなどがフラフラと出てくる感じがします。
 海藻の付着生物狙いであれば従来のように普通にバットで洗ってもよいのですが、海藻が基質から取り外せない場合や、バットにあけると噛んでいた砂がばっと広がって生き物を見つけにくいような、夾雑物が邪魔になる場合などに使えそうです。


アゴナガヨコエビ属 Pontogeneia

 また、今回砂中に挿入した限りでは、特にこれといった収穫はありませんでしたが、スゴカイイソメやイワムシなど潜行能力が高く掘り起こし採集が難しい多毛類に使っても良いかもしれません。

 この観察用具、寒い干潟では握り締めることで指先の血行が促進され、またモーター部が発熱することで、暖を取ることができるというメリットがあります。
 また、本来の用法ではありませんが、眼精疲労や肩こりによく効きます。
 ただし、取扱説明書を見ると、なぜか対象年齢が18禁表記になっていましたので、ご購入時にはお気を付けください。




 ちなみに、砂を掘りましたが、出てくるのはウミナナフシばかりで・・・
 あとはヒメドロソコエビ属と、エビジャコと、クーマですね・・・


未成熟だがたぶんヒメドロソコエビ Paragrandidierella cf. minima




 夜の干潟は視界が非常に悪く、泥干潟などに入り込むと極めて危険です。夜間チャレンジする前に、昼間に何度も足を運んで現場の状況を頭に入れておく必要があるでしょう。
 また、干潟を吹きすさぶ風と突いた膝から上ってくる冷気は、身体を冷やすには十分です。冬干潟は楽しいものですが、風を遮断できる素材,保温素材,首周りの防寒,そして手足から逃げる熱への対策が重要です。

 夜間かつ冬の採集は、これらが連携攻撃で襲ってきます。単独行動は極めて危険(良い子は真似しないでね☆)であることと、引き際が肝心であることは申し添えておきます。
 今回も不甲斐無いことに目的種についてはボウズでしたが、無事に還れたのでこれでよいこととします。


2018年11月3日土曜日

Journey to Sagamihara(11月度活動報告)



 ワレカラの同定体験コーナーという攻めた企画があると聞き、天下の北里大学に潜入しました。

バス停からキャンパスまで遠くてびっくりしました。



 北里大学には自然科学系の活動が充実しているようで、水圏の生物を扱ったブースだけでも、生物部, 沿岸生物学研究会,アクアリウムラボなど。


 そしてワレカラが同定できるのはこちら、沿岸生物学研究会。


相模原キャンパスの奥まった一角にそれはありました

 藻場に造形が深いらしい。


 ドレッジや付着板の調査が主らしい。


ワレカラはいいぞ。


 コシトゲワレカラ、マルエラワレカラ、イバラワレカラ、クビナガワレカラなどワレカラmixが置いてあり、『海岸動物図鑑』とオリジナルの資料で同定し放題という太っ腹。


 こんな贅沢な展示はなかなかありませんよね。



 横にあるスクリューバイアルは無理を言って出してもらったヨコエビです。


 
 そしてグッズも。

某ガシャポンのようなヨコエビのシール




 また新たにヨコエビストにお会いできたのは嬉しいですね。

 今後の展望も楽しみです。
 

2018年10月7日日曜日

片瀬ドロクダ(10月度活動報告)


 5度目1年半ぶりの江ノ島です。



 前回はだいぶ痛い目に遭いましたが、今回は市民向け「砂浜観察会」に参加させて頂きました。


地曳網篇

ソロ篇
タッグバトル篇
受難篇(事情によりブログ記事なし)



 だいぶひねくれた市民で申し訳ない。一人だけ胴長だし。


 
 「海の生き物を守る会」「日本自然保護協会」「東京経済大学」の共催で、会のメーリスやtaxaなどでも案内があったのですが、どうやら今回は応募者が少なく、ほぼクローズドな観察会となったようです。秋の海も楽しいのに。

 とはいえ、本日の最干潮は9時前で40cmちょっと、開始は10時なので、 わりと満ち潮な感じです。


 こうなれば潮上帯を攻めるしかない、と思ってさっそく人目を憚らず漂着物を漁ってみますが・・・

 辺りにはEDM系のミュージックがガンガンと流れ、ウィンドサーフィンを嗜むアゲアゲなヤングが集っています。そうですね。海藻や流木なんかはあらかた片づけられていますね。


 一応、打ち上げ海藻は少し分解されていてハエが集まっているのですが、漂着物の裏にはハネカクシやハサミムシもおらず、ハマトビムシもおらず、埋もれている海藻をほじくってもなにも出てきません。

 初戦、かなり苦戦してわずかばかりPlatorchestiaを得た記憶がありますが、その後もこの付近でハマトビのコレクションを充実させることはできていません。

 漂着したカジメの根をほじくり返すとメガロパがうじゃうじゃと出てきますが、ヨコエビはいません・・・カマキリヨコエビがいてもよさそうなものですが・・・




 今回のテーマはマメガニとのことですが、潮が満ちた状態で砂地の穴を探すことは難しく、しばらく粘って諦めました。

 砂地にはスナホリムシが結構います。




 あまりに坊主なので、ドロクダムシを1頭恵んでもらいました。


Monocorophium cf. uenoi

 微小なメスですが、ウエノドロクダムシに似ています。

 ネズミをくわえたネコよろしく、スナホリムシがこのドロクダをくわえている様子が観察されていましたが、どうやら腹節下面が大きく欠損しているのはそのためのようです。脚が食われなくてよかった。


ヨコエビのグリセリンプレパラートヘタクソ選手権

 ただ、咬脚の剛毛の位置や長さはStephensenの原記載の図とやや相違があり、苦しいところです。私もあまりM. uenoiの標本は持っていないのでこれから精進することとします。





  このままでは本当に坊主になってしまうので、砂地を諦めて橋脚のフジツボをこそぎ落すという反則技に出ました。

 ここでもドロクダムシ。ただし、メスがよく採れ、オスはわずかでした。

 M. uenoiっぽいものの、要検討です。



 以前江ノ島側で採れたドロクダムシ科と比較すると、オスの形態がだいぶ違う気がします。基質への付着状況も違うので、別種と考えてサンプルを増やした方がよいようです。

 江ノ島側のドロクダについては、ドロクダの決定版的な Bousfield & Hoover (1997) でも落ちなかったので、属もキメられないヨコエビストは信頼を失いがちですが、その実、Bousfield & Hoover (1997) の例えばkey7の尾節の記述などは到底適切とは思えず、尾節が癒合するグループについては何だかんだ勘に頼って乗り切る部分があります。

 現実問題として、広義のCorophiumの範疇を越えるようには見えないので97年より前の文献を用いても属へ行けないという前提が横たわっており、あとは解剖して種の特徴まで検討してしまうのも手かもしれません。


足跡は残せたかな?











<参考文献>
—  Bousfield, E.L., P.M. Hoover 1997. The amphipod Superfamily Corophioidea on the Pacific Coast of North America. Part Ⅴ. Family Corophiidae. Corophiinae,new subfamily. Systematics and Distributional Ecology. Amphipacifica, 2(3): 67-139.
—  Stephensen, K. 1932. Some amphipods from Japan. Annotationes zoologicae Japonenses, 13(5): 487-501.
—  小川洋 2011. 東京湾のヨコエビガイドブック. open edition ver.1.3. web publication. 140p.


2018年9月28日金曜日

ROAD TO DESCRIPTION Ⅵ (9月度活動報告)



 うだつのあがらないサラリーマンによるヨコエビの記載に向けた活動の軌跡です。


I(立志篇)
II(救済篇)
III(解剖篇)
IV(研鑽篇)
V(調布篇)






 前回、調布篇ではいよいよ顕微鏡の購入に向けて動き出した旨をご報告しました。

 せっかくなので助成金などをいろいろ検討して、若干すったもんだあったのですが、今回は身銭を切って購入することにしました。
 ただ、中古なので、出費としては当初の想定最大予算の3分の1以下ですね。ありがたいことです。









 人一人が入れそうな段ボールと格闘。

 尋常ではない緩衝材の量ですね。





 箱にネジが貫通してますね。ライカさんお茶目ですね。




 組立図とかは特にありませんがまあ悩む要素はあまりないです。

 あと、ネットに無料でカタログがアップロードされてたりするので、ダイアグラムを簡単に確認できますね。



実体顕微鏡


Ampithoe valida

(*'ω'ノノ゙☆パチパチ...



生物顕微鏡



Victoriopisa ryukyuensis

(*'ω'ノノ゙☆パチパチ...



 とうとう我が家に「端脚類研究室」が設立されました。




 さて、少し考えれば分かる程度の話ではありますが、顕微鏡受け入れ時に用意しておいた方が良いもの。


収納スペース
 言わずもがな。パンフレットの諸元でも確認できますが、お店で見た時に形状のかさばり具合とか、マキシマムの大きさを測っておいたほうがいいかもしれません。今回は描画装置をセットアップした状態を見る機会はなかったので、出荷前に業者のほうで測ってもらうのもアリかもしれません。
 ちなみに調整可能なメタルラックに収納することにしていたため、今回私のほうでは購入前には大きさはあまり気にしていませんでした。



エアブロワー
 分解されている顕微鏡を組み立てる際、レンズとレンズの間にゴミが入らないようにする必要があります。



マイクロファイバークロス
 ブロワ同様。家にPCのノベルティでもらったのがあったので流用しました。



 あと、オリンパスはカバーがついてきましたが、ライカはついてこなかったので、大きくて厚手のビニール袋などは用意しておいた方がいい気がします。



 そして転倒防止。
 最近大きな地震もあったのでできる限りの対策はしておきたいところ。

 ひとまず自転車のカゴ用ネットを購入して、メタルラックに縛り付けることにしました。
 
 

 また、トリセツについて。
 オリンパスの本体には紙ベースでついてきたのですが、描画装置には無く。ただ、ネットで探してみるとすぐ出てきたのでとりあえず確保。

 ライカは公式サイトにあるのがカタログ止まりだったので、顕微鏡業者に確認してもらったのですが、1台ごとに付属するものではないとのこと。
 そんなご無体な、と思っていたら、 Manuals Onlineという、説明書の類がアップロードされているサイトがあって、そこで見つかりました。


 これから双眼実体のライティングなどを検討していくことになります。


 
(つづく)



2018年8月31日金曜日

いのちのたび ~平成最後の夏は宝虫探し~(8月度活動報告その2)


 今から約1年前、ヨコエビ界隈を震撼させたこのニュース、皆さん覚えているだろうか?



 豪州のビーチで冷たい海水の中に佇んでいた少年が、知らないうちにできた大量の傷から出血を起こして入院した、という奇妙な出来事である。

  医療関係者が首を傾げる中、彼の父親は自ら原因究明に乗り出し、現場で生肉に群がってきた生物を捕獲して、研究者に同定を依頼。 結果、フトヒゲソコエビ類であるとの結果が得られた。少年が負傷した真の原因が特定されたわけではない(というか、どのような方法で検証しても推測の域を脱することは困難と思われる)が、甲殻類(ヨコエビ)が関与した可能性がある珍しい事例ということと、被害に遭った少年の姓が甲殻類(カニ)を彷彿とさせる カニゼイ(Kanizay)” だったこと、そして超絶イケメンだったことで、ネットで大いに話題となった。



 ちなみに報道写真では、吸入マスクを取り付けられ足から鮮血を滴らせた痛々しい姿となっていた少年ですが、およそ1か月後には応援するサッカーチームの選手と共に笑顔で写真に収まる姿がチームのFacebookで紹介され、 今年の1月には家族と共に地元ランニングフェスティバルに参加している様子も父親のFacebookに投稿されており、傷は癒えてきたようです。




  さて、あれから調べを重ねたところ、どうやらヨコエビによって「海で人が齧られた」ケースというのが結構あることが分かりました。以下にその事例を幾つか示します。






御多分に漏れずグロ注意であります!!








CASE 1 小関・山内 (1964)

 7月上旬.N県の某海岸で7歳と11歳の少年が溺死.7歳の少年は半日後に発見されたが,もう1人が見つかるまでに2日かかった.手足は浸漬作用を受けて膨れ上がり,肌の組織は軟化し腐敗が始まっていた.皮膚には目立った傷は無いものの,表面が小虫によって齧られており,2種の等脚類と,1種の端脚類(Anisogammarus pugettensis トンガリキタヨコエビ)が含まれていた.



 
CASE 2 小関・山内 (1964) 

 1月.川で40歳代の男性が溺死し,下流へと流された.2日後,N県の某海岸にて漂着しているのが発見されたが,顔面や頸部に粟粒大あるいは米粒大~小豆大の丸い損蝕創が多数認められ,眼球や耳介は片方だけを残し,もう片方は抉り取られたようになっていた.表面には多数の海産ヨコエビ(Anonyx pacificus シリアゲソコエビ)が付着しており,遺体が川を出て,海に達してから浜に打ち上げられるまでに,この小動物によって損壊されたものと推測された.

 


CASE 3 永田ほか (1967)

 8月下旬.15時半ごろ,F県海上保安部の巡視船が,杭に結びつけられたまま漂う小型木造船を発見した.船尾左舷が破壊され,船体は8割ほど海中に没していた.船底には漁獲したものと思われる数匹の魚,船中からは麦わら帽子や弁当箱などが発見されたものの,乗員は影も形も無く消え失せていた・・・と,ここまで聞くと,バミューダトライアングルのフォークロアか,はたまた84年版ゴジラのオープニングか,ミステリアスな展開であるが,船体に残された塗料の剥げた痕跡から衝突事故によって乗員が海中に放り出されたことが推測され,直ちに曳網による探索が行われた.
  約1日後,付近の海底から1体の遺体が引き揚げられ,着衣などから行方不明となっていた60歳代の漁夫と判明したが,その状態は極めて異様であった.全身に死斑はなく,顔面や頸部など肌が露出した部分の軟組織が消え,軟骨および骨のみが残り,舌は無く,顎はほとんど外れかかっており,鋭利に切断されたかのような血管に加えて,気管の縁はジグザグな切断面が見られた.スクリューによる損傷などを検証するために剖検が行われた結果,死因は溺死であり,スクリューの接触によってできるはずの骨折跡はなく,着衣と肌の間や体内には,2種のヨコエビ(Orchomenella littoralis ナイカイツノフトソコエビ,Orchomenella japonica)を含む大量の小虫が発見された.これらの状況から,死後ヨコエビ等の蚕食によって遺体が損壊されたものとの結論が導かれた.死斑が無いのは海底に沈むまで海流に揉まれていたことを示しており,総合的に判断して,14~15時間の間にここまで白骨化が進んだとみられる.




 さて、この中で最も侵蝕作用が激しいのは、F県の事例と思われます。

 人を食うヨコエビの生息地と時期が分かったところで・・・



 実 際 に や っ て み ま し ょ う 。






Starting S.A.M. project 

(Scout for the Amphipod's Meals)




1.まず漁協に電話してみました


わたし:ヨコエビ採りたいんですけど、どうすればいいですか?

支所の人:えっと…上の者に代わりますね。

わたし(ヨコエビマニアの怪電話の取り次ぎマジ卍)

支所の偉い人:お電話代わりました。

わたし:(かくかくしかじか)ヨコエビ採ってもいいですか?

支所の偉い人: FAXとか電話で、何匹採るか教えてくれればいいです。あと、その辺りは境界が入り組んでいるので、本所に確認してください。






2.船のチャーターを試みました


わたし:死んだ魚に群がるような虫を採りたいんですが、協力いただけますか?

船長:たくさんいますね。どれですか?

わたし:砂浜でピョンピョンしてるようなのと同じ形のやつです。

船長: ああ、ダンゴムシを押しつぶして平たくしたようなのね。

わたし:船出してくれますか?

船長:タダならええですよ。

わたし:え?

船長:遊漁船なので、目的以外で船を出してお金をもらうと法律に引っかかることがあるんです。でも私はそういうの好きなんで☆ 朝はいっぱいですが午後とか夕方なら☆

わたし(マジすか)

船長:ちなみにどうやって採ろうと?

わたし:ビンとかを沈めて、中に肉を入れてやろうかと。

船長: 網だと抜けそうですからね。でも魚の死骸に集まってるのをよく見るので、魚肉を入れたらいいんじゃないですか。漁港に魚はいっぱいあるんで、こっちで用意します☆

わたし(マジすか)

船長:釣り具屋に来ているんですが、ちょうど良さそうなカゴ網があったので、こっちに来るまでに、いろいろ試してみます☆

わたし(マジ神)(昇天)

 



3.文献調査

 今回のターゲットとなる2種のヨコエビのうち1種目、”ナイカイツノフトソコエビ”は Nagata (1960) が Orchomenella sp. として報告し、後に Nagata (1965) において Orchomenella littoralis として記載されました。しかし、Hirayama (1986) は、属位変更に伴い Orchornene litoralis (Schellenberg, 1926) という別の種のジュニアホモニムとなったとして、Orchomene naikaiensis という学名に置換しました(※補遺1)。この扱いは Barnard & Karaman (1991) でも概ねフォローされていましたが、同研究でこの群は supergenus として扱われており、揉める素地は十分でした。
 そしてWoRMSでは現在、Hirayama (1986) の処遇を無効(O. littoralisO. litoralisは1字違いであり、そもそもホモニムではなかった)とし、Nagata (1965) が記載した Orchomenella littoralis を復活させています。しかも、シニアホモニムとされていたOrchornene litoralis (Schellenberg, 1926) は更に Orchomenella franklini Walker, 1903 のジュニアシノニムとして消されるという事態に陥っていて、世に言う”ゴミ箱分類群”にありがちな混乱の様相を呈しています。今回はとりあえずWoRMSに従い、 Orchomenella sp. sensu Nagata 1960 Orchomenella littoralis Nagata, 1965 として扱うものとします。

 さて、Nagata (1960) の図はあまり「現代的」でなく、掲載されているのは解剖済の付属肢のみで、特徴的な部品だけを選び複数種まとめて1枚の原稿に押し込んでいて、19世紀から20世紀初頭にかけて欧州の文献にありがちな構成となっています。図のタッチは極めて簡素で、細かな特徴を読み取ることは難しいです。しかも、Nagata (1965) とHirayama (1986) はともに形態図を省いていて、手持ちの文献をもとに本種の正体を知るには、文字情報と現物を突き合わせるほかに活路はないでしょう。
 Nagata (1960) は「体長12mm以下」と述べているが、Nagata (1965) は調査標本に Nagata (1960) の標本群を含むはずにも関わらず体長6.5mm以下とした上で、体長4.9mmのオスをホロタイプとしています。いずれにせよ、永田ほか (1967) で述べられている「1cmにも満たない体長」という特徴には概ね合致しており、本種を網で掬ったりベイトに付着させて採取した場合、5~10mm程度の個体を期待してよいでしょう。

 Nagata (1960) はタイトルの通りアマモ場の調査です。水深は満潮時で3m以内とのことで、汀線からアプローチできる範囲と考えてよいでしょう。永田ほか (1967) では水深56mまで生息となっていて、遺体が見つかったのは水深13~15mとのことなので、深場で集めるのもアリということがわかります。


 これを元に採集方法を検討しようと思います。





4.進捗どうですか

船長:籠罠を仕掛けたいけど海が荒れてどうしようもないね。

船長:砂を掘ったら見つかった。地元の人間も砂地によくいるとみんな言ってる。

船長:ヤツは、噛みますよ。





5.後日、本所に確認

わたし:ヨコエビ採りたいんですが

本所の人:どのように採りますか?

わたし:砂浜を掘ったり籠を沈めたりしようかと…

本所の人:支所に確認して下さい。

わたし:支所から本所に連絡するように言われたんですぅ (´;ω;`)

本所の人:では確認します。

わたし(タライマワシなのか´・ω・`?)

本所の人:(しばし後)確認とれました。あとは所長と打ち合わせてもらえばいいです。

わたし:ありがとうございます(´▽`○)





6.いざ志賀島へ


 こうして私は決戦の地、志賀島へと降り立ちました(もはや伏せることをやめた)。

 金印出土の地(※未だに論争あり)として著名ですが、第二次元寇の折には戦場になったり、たびたび日本史の表舞台に登場する土地です。北九州は古くから政治や経済の中枢だったわけで、今も成長著しい街、福岡市の東の一角として、農業や観光分野で大きな存在感を放っています。


 さて、今回の「S.A.M. project」の目的は、フトヒゲソコエビ類が生きた人間の組織に群がってかじるかどうかを確認することです。事前にいろいろ話をうかがった限りでは、オーストリアの事例のように怪我を負ったりという危険なことはないということですが、噛むことは確実らしいので、適度にハムハムして頂き、そのポテンシャルを見極めたいと思います。
 もちろん、これによりオーストリアの事件の犯人が確定するわけではないですが、スナホリムシの仲間などで確認されている事象がヨコエビにもあるという知見が示されれば、私としては満足です。


 ここは昨年の事件に近づけてスポーティーなイケメンティーンの御御足を生け贄に捧げたいところですが、諸般の都合により、うだつの上がらないアラサーサラリーマンの臭い足で我慢してもらいます。ここのヨコエビは漁師のおじさんを食べた実績があるので、たぶん細かいことは気にせずガツガツ来てくれるはず(?)



 今回、採集プランの多くは現地の状況を知る地元の方に頼る形となってしまいました。

 採集ポイントの設定と仕掛け、現場の動きの何もかも引き受けて下さったのが、遊漁船ガルフの園田さんです。


漁師さんから分けてもらったフグ用の豆鯵を籠罠に入れ、海に沈めます


 そして待機!



 我が家のような安心感がすごい地元のお店「SHOPヒロ」で、港の方にお話しを伺うと…

  • 永田ほか (1967) の事例と似たようなことはわりと起こっているらしい(実際に、半世紀ほど前、1週間も網を曳いて探したことがあるという方もいた)
  • ほぼ皆さんが土左衛門につく小虫のことを知っていて、浮いた遺体によく付くとか、眼が先に食われるなど細かい話も出た
  • 底に沈んだ遺体ではアカニシなどの巻き貝が付いていることが多いらしい
  • 潮干狩りのシーズンにはよく砂浜で小虫にかじられるとのことで、スナホリムシの可能性もありつつ、どうやらそうではない、フトヒゲソコエビと考えて間違いなさそうな証言も
  • 永田ほか1967で紹介されていた「ガンギリ」という呼称を知る人は誰もおらず、丸いことから「タカラムシ」と呼ぶのだという



 そして驚くべきことに・・・永田ほか (1967) を読んでいただくと・・・


お店の人:この苗字はこのへんにはおらん。

わたし:玄界島ということは?

お店の人:玄界にもおらん。勝間のほうや。電話してみる。


 なんだかんだで、永田ほか (1967) で「ヨコエビとウミホタルに食べられた漁夫」の兄弟のお孫さんにあたる方とお会いすることができました。



(マジすか・・・)



お孫さん:おじいちゃんがぶつかったのはねぇ・・・

船長:そこは俺がいつも釣りするとこなんだけど・・・。



(マジすか・・・!!)


1965年の事故地点はこのへんらしい。


 底モノを狙うのに良い場所らしく、投錨して釣っていたところで大きな船(中型鋼鉄製貨物船)にぶつけられたらしい。これも文献の記述と一致。

 私にとっては思ってもみなかった大きな収穫でしたが、さすがに半世紀も前の話ということで、地元の方にとってはよくある昔話の one of them という感は否めません(;´∀`)







 さてさて、適当なタイミングで籠を引き揚げてみますが・・・


 フグな~

 福岡じゃけん・・・



 砂を掘ってもアタリはなし。

 若干の焦りが…



 場所を変えてみます。


アオサ的な藻類が溜まりやすい場所




船長:これ、似てる

わたし:アッ…狙ってるのとは違いますけど…ナミノリソコエビの新種ですね…

船長:?!

わたし:名前のついてないやつですね。北海道から九州まで同じ種だと思われていたんですが、去年の論文で…

船長:どゆこと…(;´д`) つまり、「君じゃないけど」…?

わたし:持って帰ります(*^^*)


Haustorioides sp. (undescribed) ナミノリソコエビ属の未記載種




 Takada et al. (2017) では福間,今宿そして唐津から得られたサンプルが「東シナ海個体群」として報告されていますが、エリアから見てそれに該当することは確実です。つまりは遺伝的な別種でありながら未記載の個体群です。

 H. japonicus ナミノリソコエビや´イシカワナミノリソコエビ´の生体写真によく似ていて、触角の毛の感じなど、東京湾の個体群とは全く異なります。無印ナミノリソコエビに対して、日本海岸で4つ報告されている隠蔽種(未記載個体群)それぞれの形態的な違いは未解明ですが、このグループにおいてアクティブな形態分類マンは世界に私だけのような気がするので、いずれ私が着手しなければならないと思います。



 そして、またモクズヨコエビ。

Hyalidae モクズヨコエビ科

 Bousfield & Hendrycks (2002) で言うところの指節が短いグループ


 アゴナガヨコエビ。盤州でも砂を掘ると採れますね。

Pontogeneiidae アゴナガヨコエビ科





 あ い つ が 採 れ な い … !



 その後、干潮に合わせて再度チャレンジしましたが、目的のフトヒゲソコエビについて、芳しい成果はありませんでした。

 残念ですが、仕方ありません。

 いろいろと気になるファクターはあるので、博多湾へ沈む夕陽にリベンジを誓い、この夏の宝探しを締めくくりました。







7.いのちのたび、終章


 そして朝。

 
 どうやら不慣れな「ぎょさんフィールドワーク(夜の博多駅前踏査含む)」により、足に小さなマメをこさえ、しかも潰したらしく、歩行に支障をきたす状態になってしまいました。

 
 水族館を回ろうと思っていましたが、予定を縮小し、足裏に絆創膏を重ね貼りしつつ北九州市に向かいます(帰らんのかい)。


 この夏、北九州でどうしても見ておきたい展示がありました。


 それは・・・



「へんてこモンスター展」(いのちのたび博物館)



 
 Shimomura & Tomikawa, 2016にて記載された Epimeria abyssalis にどうやら「ヤミノヨロイヨコエビ」という厨二感満載の和名がつけられ(記載当初は和名未提唱)、世界初公開されるとのこと、ぜひ拝みに行こうと、初めていのちのたび博物館にやってきました。


 
 
 
甲殻類推し感

 

ガタガール無印第7話感



来ましたよ


これが闇ノ鎧横蝦


 種小名のabyssalisは生息地である深海を示すabyssusという語から来ているとの旨が記載論文のethymologyに記されていますが、abyssal zoneといえば「無光帯」と訳され、まさに闇という和名がピッタリに思えます。


  解説文に、Epimeria属は世界から55種が知られ、うち47種が南極海周辺に生息とありますが、ちと違うのでないでしょうか。


 調べてみましょう。



Reference: Andres (1985), J.L.Barnard (1961, 1971), K.H.Barnard (1916, 1930), Beermann et al. (2018), Birstein & Vinogradov (1958), Coleman (1990, 1994), Coleman & Lowry (2014), De Broyer & Klages (1991), d’Udekem d’Acoz et al. (2017), Griffiths (1977), Gurjanova (1972), Hurley (1957), Ishimaru (1994), Ledoyer (1986), Lörz (2008, 2009, 2011, 2012), Lörz & Coleman (2001, 2009, 2014), Lörz et al. (2007), McCain (1971), Nagata (1963), Shimomura & Tomikawa (2016), Varela & García-Gómez (2015),  Verheye et al. (2018), Wakabara & Serejo (1999), Walker (1906), Watling (1981), Winfield et al. (2012); WoRMS (access date: 31-VIII-2018).


 昨年5月にヨロイヨコエビ属を検証した時から、 30種程度増えていますので、新たに集計し直したところ、南極産55種,太平洋産15種,大西洋産14種,インド洋産2種の、計86種ということになりました。だいぶ違う・・・?
 昨年の d’Udekem d’Acoz et al. (2017) を除外した可能性も考えましたが、それだと南極産種が半分まで減ってしまいます。というか、あまりにも南極産以外の種数が少なく見積もられていますね。これは何かありそうですが、とりあえず確認だけ依頼しておきました。

 今回はWoRMSで種数を確認しましたが、Epimeria属内でも一部記載者名の表記にアヤシイところがあるなど、WoRMSも完璧ではありませんので、まあ、それだけを信じればいいわけでもないということで・・・
 



みなさんご存知、オオオキソコエビ

 なぜヤミノヨロイヨコエビのラベルはヨロイヨコエビ科なのに、オオオキソコエビはヨコエビ亜目なんでしょうか・・・ Eurytheneidaeに科の和名が無いからというだけのような気もしますが、同じAmphilochidea亜目(和名無し)のはずです・・・ 種名のついでに科の和名も提唱してしまえば良かったか・・・? 




 続いて、常設展も観ます。

 驚いたのはシーラカンスとアンモナイトの異常な充実具合。

 シーラカンスの系統樹ががっつり置いてある常設展も初めて観たし、その中で常設展にある属だけ色変えましたって、半分以上展示してある気がするんですが・・・。あと、さりげなくホロタイプが置いてあったりして、何が何やらとにかく濃い。

 そして、この博物館の設置のきっかけになったのが、小さな魚の化石だったというのも驚き。その分類学的な重要性は展示を観て何となくわかりましたが、ここまでがっちりした館を作るのはすごい・・・。



洞窟の生き物といえばヨコエビですよね

ヨコエビは樹脂中で完全に透明なボディとなっており、ほぼ気泡のみ目視で確認できる状態





 もしかして、ここに展示されている Pseudocrangonyx shikokunis シコクメクラヨコエビ は、Tomikawa & Nakano (2018) で記載された P. akatsukai アカツカメクラヨコエビ なのでは・・・?


 やはり見ごたえある「いのちのたび博物館」。半日で回ろうというのはマメを潰さなくても無謀だったでしょう。1日コースは賢明な選択でした。


 九州、実に7年半ぶり2度目の上陸でしたが、とても濃い休日を過ごすことができました。
 「行き過ぎた趣味」をもつアヤシイ男としてお会いしたのが申し訳ないくらい、暖かい皆さんと出会うことができました。

 欲しいサンプルが得られなかったとはいえ、全くの空振りではないと考えています。まだまだ「S.A.M. project」も例の未記載種もやらなければいけないことがあるので、いずれ志賀島へリベンジをかけることになると思います。

 乞うご期待!
 






(参考文献)
Andres, H.G. 1985. Die Gammaridea (Crustacea: Amphipoda) der Deutschen Antarktis-Expeditionen 1975/76 und 1977/78. 4. Acanthonotozomatidae, Paramphithoidae und Stegocephalidae. Mitteilungen aus dem Hamburgischen Zoologischen Museum und Institut, 82: 119–153. [in Germany]
Barnard, J.L. 1961. Gammaridean Amphipoda from depths of 400 to 6000 meters. Galathea Report, 5: 23–128.
Barnard, J.L. 1971. Gammaridean Amphipoda from a deep-sea transect off Oregon. Smithsonian Contributions to Zoology, 61: 1–86.
Barnard, K.H. 1916. Contributions to the crustacean fauna of South Africa. 5. The Amphipoda. Annals of the South African Museum, 15: 105–302. [pls 26–28]
Barnard, K.H. 1930. Crustacea. Part XI. — Amphipoda. British Antarctic ("Terra Nova") Expedition, 1910, Natural History Reports, Zoology, 8: 307–454.

— Barnard,J.L., G.S. Karaman 1991. The families and genera of marine gammaridean Amphipoda (except marine gammaroids). Records of Australian Museum supplment 13, part 1,2, 866p.
Beermann, J., M.V. Westbury, M. Hofreiter, L. Hilgers, F. Deister, H. Neumann, M.J. Raupach 2018. Cryptic species in a well-known habitat: applying taxonomics to the amphipod genus Epimeria (Crustacea, Peracarida). Scientific Reports, 8 Article number: 6893. doi:10.1038/s41598-018-25225-x
Бирштейн Я.А., Виноградов М.Е. 1958. Пелагические гаммариды (Amphipoda, Gammaridea) себеро-западной части тихого океана. Акаемия Наук СССР, Труды Институт Океанологии, 27: 119–257. [in Russian]
Bousfield, E.L., E.A. Hendrycks 2002. The talitroidean amphipod Family Hyalidae revised, with emphasis on the North Pacific Fauna: Systematics and distributional ecology. Amphipacifica, 3(3): 7–134.
Coleman, C.O. 1990. Two new Antarctic species of the genus Epimeria (Crustacea: Amphipoda: Paramphithoidae), with description of juveniles. Journal of the Royal Society of New Zealand, 20: 151–178.
Coleman, C.O. 1994. A new Epimeria species (Crustacea: Amphipoda: Epimeriidae) and redescription of three other species in the genus from the Antarctic Ocean. Journal of Natural History, 28: 555–576.
Coleman, C.O. & J.K. Lowry 2014. Epimeria rafaeli sp. nov. (Crustacea, Amphipoda, Epimeriidae) from Western Australia. Zootaxa, 3873 (3): 218–232.
De Broyer, C., M. Klages 1991. A new Epimeria (Crustacea, Amphipoda, Paramphithoidae) from the Weddell Sea. Antarctic Science, 3 (2), 159–166.
d’Udekem d’Acoz,C., M.L. Verheye 2017. Epimeria of the Southern Ocean with notes on their relatives (Crustacea, Amphipoda, Eusiroidea). European Journal of Taxonomy, 359: 1–553.
Griffiths, C.L. 1977. Deep-sea amphipods from west of Cape Point, South Africa. Annals of the South African Museum, 13 (4): 93–104. [6 figs]
Гурьянова, Е.Ф. 1972.  Новые виды бокоплавов (Амфипода, Гаммаридэ) из северозападной части тихого окена и высокой лрктики. Акаемия Наук СССР, Труды Зоологического Института, 52: 129–200. фиг. 43.  [in Russian]
Hirayama, A. 1986. Taxonomic studies on the shallow water gammaridean Amphipoda of West Kyushu, Japan — Ⅵ. Lysianassidae (Orchomene), Megaluropus family group, Melitides (Cottesloe, Jerbarnia, Maera, Ceradocus, Eriopisella, Dulichiella). Publications of The Seto Marine Biological Laboratory, 31(1/2): 1–35.
Hurley, D.E. 1957. Some Amphipoda, Isopoda and Tanaidacea from Cook Strait. Zoology Publications from Victoria University College, 21: 1–20.
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— 小関恒雄・山内峻呉 1964. 水中死体の水生動物による死後損傷. 日本法医学雑誌, 18 (1): 12–20.
Ledoyer, M. 1986. Crustacés Amphipodes Gammariens. Familles des Haustoriidae Vitjazianidae. Faune de Madagascar, 59: 599–1112.
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(参考web)
WoRMS(2018年8月閲覧)