2018年7月31日火曜日

ROAD TO DESCRIPTION V(7月度活動報告その2)


 ヨコエビの記載を目指す企画です。

 これまでの流れは以下のような感じです。


I(立志篇)
II(救済篇)
III(解剖篇)
IV(研鑽篇)



<前回までのあらすじ>
 運命に翻弄され本郷での顕微鏡調達を諦めたヨコエビおじさんは、未知の街へと降り立つ。果たして彼はこの地で希望を掴むことができるのだろうか…





2018年7月18日水曜日

思い出のヨコスカ(7月度活動報告)


 どこに居ても暑いのですが、大潮なので海には行かねばと、やおらグーグルマップを立ち上げてロケハンを試みます。


 その結果、かつてハマトビオフを実施した横須賀某所へと足を向けてみることにしました。





 写真は撮っておらず誠に申し訳ありませんが、どうやらこの界隈は地元の人に知られた海水浴スポットらしく、水着のチャンネーを含めたサマーな感じの人々でごった返しており、BBQやらビーチのオリエンテーションやらスクーバやらを楽しむファミリーや若者のグループで賑わっていました。冬はビーチコーマーだけだったのに(当然)。




 浅場の足元にはウニマンション。これは図鑑とかで解説されているように自分で穴を掘ったのでしょうね。






 硬い層とやらかい層が交互に堆積した地層が、斜めになっています。
 ちょうど日陰になっていて、炎天下でも体力を消耗せず採集できそうです。




 石灰藻類が多く、わずかに紅藻と褐藻がチョボチョボと生えています。

 漁業権が設定されている海産物の採取は固く禁じられていますが、石灰藻類は他ならぬ磯焼け現象の権化ですので、容赦なく捥ぎることにします。



Elasmopus イソヨコエビ属

  第1触角が欠損しています。輸送時に破損したようです。無念。




Hyalidae モクズヨコエビ科

 最近話題の交尾前ガード行動です。たとえ体色が褪色したとて、70%エタノールの中でも変わることのない二人の絆。この夏いちばんキュンとくる愛のカタチではないでしょうか。




Isaeidae イシクヨコエビ科



Maeridae スンナリヨコエビ科
先月記載論文が発表された Orientomaera トウヨウスンナリヨコエビ属 っぽいです。



Pleustidae テングヨコエビ科



何らかのタカラガイ




 ふと、岩の下に何やら赤くてピロピロしたものが見えます。




 もしかして・・・







 ヤギ!?



 ヤギといえば表面に付着しているテングヨコエビですよね。


 ガシャガシャと洗ってみます。


Pleustidae テングヨコエビ科



 思ったよりめっちゃ付いてた・・・


 Gamô & Shinpo 1992 は真鶴での記載ですが、これもイソバナヨコエビということでいいのでしょうか。


 しかし、似たようなのは周辺の海藻からもまあまあ採れますので、そんなに基質の好みがシビアでないか、ものすごく面倒な近似種なのかもしれません。ヒゲが外れやすいので気を付けたいところです。






 潮も満ちてきたので、潮間帯から離脱してハマトビ採取に移ります。



 採集に専念しすぎて碌に写真を撮っておりませんが、ハマトビオフの時には跳ねず飛ばずの静かなサイトが、今回はビシビシと跳ねまくる騒々しい爆釣ポイントとなっていました。
 ものすごく狭い砂浜で、わずかな打ち上げ海藻と枯草のような陸由来のゴミが半ば踏みしだかれながら横たわっている環境ですが、彼らにとっては住み良い場所のようです。

 パッと見、やはり「joiっぽいpacifica」個体群の性質を具えているようです。

 このへんについてはまた、続報あればお伝えします。


 



(参考文献) 
- Ariyama, H. 2018.  Species of the Maera-clade collected from Japan. Part 1: genera Maeropsis Chevreux, 1919 and Orientomaera gen. nov. (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Zootaxa, 4433(2).
- Gamô, S., Y. Shinpo 1992. A new gammaridean amphipod, Pleusymtes symbiotica, ectosymbiotic with a Japanese Gorgonacean Octocoral, Melithaea flabellifera (Kükenthal) from Sagami Bay. Science reports of the Yokohama National University. Section II, Biological and geological sciences, 39: 1-11.

2018年7月1日日曜日

梅雨明けモラトリアム(6月度活動報告その3)


 関東甲信が29日に梅雨明けという衝撃的なニュースとともに、広島の高校でヨコエビの生体展示を行うとの情報がもたらされ、もしかしたら運命しゃないの?というわけで、弾丸ツアーを決行しました。




 来ちゃった。



 こちら、広島県立広島国泰寺高等学校です。


 広島は雨です。
 やっぱり6月の空模様はこうでないと。



 1874年創立の歴史ある高校で、各界の第一人者を輩出したり、部活動ではいろいろな賞を受賞したり、メディアに露出したりと大活躍ながら、個人的にあまり縁はありませんでした。
 しかしさすがは富川先生のお膝元、広島は高校生がヨコエビを研究する土壌があるようです。これは行かねば




 DNAやファージをビーズで作る楽しい工芸系ワークショップと、きしわだ自然友の会の手法に則ったチリモンのソーティングもありつつ、さりげなく研究活動のポスターが貼ってありその内容はなかなかハード。

チリモン。


 カイコウオオソコエビがもつgigasセルラーゼを探りつつ進化の道筋を追うが直近の研究のようですが、沿岸のヨコエビにgigasセルラーゼを求める発想も素敵だし、その発想を具現化できるのも素晴らしい。

ポスターの内容は未公開だとアレなのでマスキングしときました。



 そして消化管を染めたというフロマミは…



 1匹はちょっと浮いてました。

 これはダメかもしらんね。



 ポスターセッションのコアタイムはなかったらしく、ヨコエビ担当の3年生は半分引退のようなものらしく、そらそうですよね、3月末まで部活していた私はただの変態だっただけで…
 研究に対して突っ込んだ話はできませんでしたが、ヨコエビチームではない部員の方も他県でヨコエビを見つけた時の話をしてくれたりして、有意義でした。



 この研究はぜひ深めてほしいが果たして…?



どこかで見たことがあるアカントガンマルス