2020年1月31日金曜日

俺たち太ひげ海賊団(1月度活動報告)


 堅気のみならずヨコエビストにも敬遠されがちなグループの最たるものが,フトヒゲソコエビ類ではないでしょうか.


 ちなみに,フトヒゲソコエビ類というグループは分類学的には存在しませんが,Barnard and Karaman (1991) で言うところの「細かく分ける必要性は分かるけどとりあえずまとめておきたい広義のフトヒゲソコエビ科」に対応するイメージで用いています.この「古き良きフトヒゲソコエビ科」は紆余曲折を経て,現在では「Lysianassidira(フトヒゲソコエビ小目)」のうち 3上科 32科 194属 1103種 に該当します (Lowry and Myers 2017;WoRMS 2020年1月31日閲覧).


 フトヒゲソコエビ類は多くが腐食性や捕食性を示し,中には木質を分解するものもいます.ヨコエビ類の二つ名としてよく聞かれる「海の掃除屋」を地を行く存在であるとともに,腐肉食のグループについては「動物遺物処理のエキスパート」といえるでしょう.仕事熱心なあまり,かご網に仕掛けた餌を骨だけにしてしまうことから,深海のエビやカニを獲る漁業者からは嫌われています(飯田 2011).
 ちなみに,形態のみならずその生態も非常に多様で,普通に岩場に紛れて生活するものもいれば,魚類に体表寄生するものもいます.


 そんなフトヒゲソコエビ類を特徴づける形態的特徴は,何と言っても伸長した第2咬脚の座節です.他にも,触角が太いとか第2咬脚の指節が小さいとか,色々ありますが,ぶっちゃけ座節だけで色々な種がこのグループに入れられてきた雰囲気すらあります.

 こういった経緯から,内部の分類を理解するのは非常に難しいのですが,今回はひとまず愉快なメンバーをご紹介します.




各科の概説

・基本データはWoRMSに拠った(2020年1月閲覧).
・生態の記述がみつからなかったものは,近縁種から推定して「?」付きで示した.
・属の分類に有用な文献を「同定文献」に示した.


Alicelloidea(ダイダラボッチ)上科

【構成】6科


ダイダラボッチ科 Alicellidae


 世界最大のヨコエビであるダイダラボッチ Alicella gagantea を含みます.ダイダラボッチに関する誤解についてはこちら
【構成】6属16種
【分布】太平洋など
【生態】遊泳性
【同定文献】Barnard and Ingram (1990) 他



Parargissidae科


 なかなかクセの強いヨコエビです.Hyperiopsidae科に含められていましたが,いろいろあってダイダラボッチ界隈にやってきました.体長は50mm程度.
【構成】1属2種
【分布】インド洋
【生態】遊泳性?
【代表的な文献】Barnard (1961)



Podoprionidae科


 第1咬脚が明らかなはさみ形になっていることと,第5胸脚の基節後縁に鋸歯をもつことが特徴です.体長は10mm以上.
【構成】1属4種
【分布】インド洋~地中海
【生態】底生;腐肉食
【同定文献】Horton (2005)



Valettiidae科


 ナマコの腸管内から見つかるそうです.体長は5~25mm程度です.
【構成】1属2種
【分布】極域
【生態】寄生性
【代表的な文献】Thurston (1989)



Valettiopsidae科

 ダイダラボッチ界隈はみんな見た目がわりと似ています.キワモノぞろいのフトヒゲ類の中において,この科は各付属肢はあまり特殊化しておらず,祖先的な印象があります.
【構成】1属12種
【分布】熱帯域
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Lowry and De Broyer (2008)



Vemanidae科


 第1,2咬脚は,互いによく似た亜はさみ形になっています.非常にスレンダーな属です.体長は5mm程度.
【構成】1属4種
【分布】カリブ海など
【生態】遊泳性?
【代表的な文献】Barnard (1964)





Aristioidea(フカゾリソコエビ)上科

【構成】14科



Acidostomatidae科


 Acidostoma属は,種により大顎臼歯部や咬脚の形状が多様です.分類しにくい群の一つです.体長は5~10mm程度. 
【構成】2属11種
【分布】太平洋,極域
【生態】底生?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2012)




Ambasiidae科


 ヒトデについているそうです.種数は少ないですがあまり掘り下げられたことのないグループとおもわれます.体長2~20mm程度.
【構成】2属3種
【分布】大西洋
【生態】寄生性
【代表的な文献】Kaim-Malka (2014)




フカゾリソコエビ科 Aristiidae


 どういうわけかサントメ・プリンシペでは切手のデザインになっています.体長3~8mm程度.
【構成】5属41種
【分布】熱帯~温帯
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010c)



Conicostomatidae科


 第1胸節と底節板が頭部を隠すという特殊なヨコエビです.属によって完全に隠れるのとそうでないのとがあります.体長は3~5mm程度.
【構成】6属18種
【分布】南半球
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2012b)



Derjugianidae科


 単型分類群で記載以来情報が少ないヨコエビです.第1咬脚が亜はさみ形で,第3尾肢が単葉となることで,他のグループから識別可能です.体長は10mm程度.
【構成】1属1種
【分布】北太平洋
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Gurjanova (1962)




Endevouridae(チョッキリソコエビ)科


 第3胸脚がハサミになるという特殊なヨコエビです.若干性的二形がありますが,雌雄どちらも立派な亜はさみ形になります.チョッキリソコエビ属とアシュラソコエビ属を含みます.
【構成】2属19種
【分布】太平洋
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Hughes (2015)




Izinkalidae科


 異形のヨコエビです.第3,4底節板が拡張し,頭部や第1,2底節板を覆います.小顎が退化しすぎて小さな1対だけになり,それが第1か第2か誰にも区別がつかず(たぶん第1),形態分類の限界を突きつけています.体長は3mm程度.
【構成】1属2種
【分布】南アフリカ;オーストラリア
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010c)




Kergueleniidae科


 属内で尾肢の形態が多様です.口器が退化しすぎていて,何を食べているのか研究者に心配されています(?).体長は2~6mm程度.
【構成】2属26種
【分布】広域分布(温帯,寒帯)
【生態】遊泳性?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010d)




Lepidepecreellidae科


 頭部の形態が異常で,頭頂が触角の間に下りてきています.体長は5mm程度.
【構成】1属12種
【分布】オーストラリアなど
【生態】底性?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010)




Pakynidae科


 フトヒゲソコエビ類では少数派の細身のグループです.日本からは チョウチンソコエビ属 Prachynella の ホソチョウチンソコエビ P. shijiki の報告があります.
 伝統的に”Pachynidae”と綴られてきましたが,2017年に担名属の”Pachynus”が新参ホモニムであることが判明し,新たな名前が与えられています.体長には幅があり3~12mm程度.
【構成】12属37種
【分布】太平洋,南大西洋,南極
【生態】底生
【同定文献】Lowry and Stoddart (2012a)



Sophrosynidae科


 第1咬脚が Rectipalmate あるいははさみ形になります.体長は多様で3~12mm程度.
【構成】1属14種
【分布】世界各地
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010b)




Thoriellidae科


 たいへんおかしな形をしています.もはや魑魅魍魎の域に達していると言ってよいでしょう.尾節板を欠き,種によっては第3尾肢まで消失します.パッと見,4属全てが異形で,分布も飛び飛びなので,同じ科と言われて納得するのも難しいレベルです.わりと大きく,体長は20mm程度のものが多いようです.
【構成】5属7種
【分布】南太平洋,大西洋,地中海,南極
【生態】底生
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)






サカテヨコエビ科 Trischizostomatidae


 第1咬脚がねじれて逆さまになっています.爪を引っかけて使っているようで,魚類の体表に付着する様子が観察されています.目を引きやすいグループではありますが,属全体のレビューがされた形跡がないっぽいです.体長は30mm程度.
【構成】1属18種
【分布】広域分布
【生態】寄生性
【代表的な文献】Barnard (1961) ,Freire and Serejo (2004) ,Winfield et al. (2016)




Wandinidae科


 第4底節板が前後に広がり,ホテイヨコエビやタテソコエビを思い起こさせます.体長はやはり2mm程度と小型です.
【構成】2属4種
【分布】南半球
【生態】遊泳性?
【同定文献】Lowry and Stoddart (1990)




フトヒゲソコエビ上科 Lysianassoidea

【構成】12科


Adeliellidae科


 ナマコの体腔内に棲むようです.近年新たな種が見つかる気配があるとかないとか.生態の区分としては,捕食者と腐食者の間に位置すると理解されているようです (Lowry and Myers 2017).体長は5~10mm程度.
【構成】1属3種
【分布】熱帯
【生態】底生?
【同定文献】De Broyer (1975)



Amaryllididae科



 美麗種が多いことで知られます.オーストラリアで切手のデザインになっています.ネコゼヨコエビ類と近縁な属を含みます.体長は種により20mmを超えます.
【構成】2亜科8属37種
【分布】世界各地
【生態】底生/遊泳性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2002a)



Cebocaridae科


 特異的な生態をもち,深海エビが抱卵する卵に紛れて生活していると言われています.構成属の名前がやたら紛らわしいことで有名です.体長は10mm程度.
【構成】4属15種
【分布】熱帯ほか
【生態】寄生性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)


 ネコゼ界隈の属名があまりに煩雑なので表を作りました.



amaryllis
cephalus
cyclocaris
cyphocaris
Bathy-
Amaryllididae
Crybero-
Cebocaridae
Cebocaridae
Meso-
Cebocaridae
Cebocaridae
Meta-
Cebocaridae
Cebocaridae
Para-
(シノニムとして抹消済)
Cebocaridae
Pro-
Cyphocarididae
Pseudo-
Amaryllididae
Wandinidae













 Paracyclocaris は現在無効な属のようですが,あとは健在です.




Cyclocaridae科


 やたら眼の大きなネコゼヨコエビ類です.深海の典型的な腐肉食者のようです.
【構成】1属4種
【分布】大西洋ほか
【生態】近底遊泳;腐肉食性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)




ネコゼヨコエビ科 Cyphocarididae

 

 ヨコエビはだいたい猫背ですが,胸節の一部が前方へ角のように張り出すという,とんでもないデザインのヨコエビです.第5胸脚の一部は有り得ない感じで後方へ伸びています.わりと大きく,体長は種によって50mm程度になります.
【構成】2属18種
【分布】太平洋ほか
【生態】遊泳性;捕食性
【同定文献】Sorrentino et al. (2016)




Eurytheneidae(オキソコエビ)科


 体長90ミリ越えがデフォの巨大ヨコエビです.
【構成】1属8種
【分布】広域
【生態】近底遊泳性
【同定文献】d'Udekem d'Acoz and Havermans (2015)


オオソコエビ科 Hirondielleidae


 数々の伝説をもつ深海ヨコエビです.耐圧性能,セルロースを一発でグルコースに分解できる高機能セルラーゼ(JAMSTECのHP),アルミニウムシールド(Kobayashi et al. 2019)など,異世界転生しても手に入らなさそうなチートスキルばかりです.体長は50mm以上になることがあります.
【構成】1属20種
【分布】広域
【生態】腐肉・腐朽食性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010a)



フトヒゲソコエビ科 Lysianassidae


 最近すっかり影が薄くなりましたが,担名科です.数ミリから数十ミリまで体サイズは多様です.属ごとにレビューされることはありますが,この規模の科になってから,包括した分類の論文はないように思います.形態は多様で,掘れば掘るほど絶望が濃くなります.
【構成】2亜科29属132種
【分布】広域
【生態】腐肉食/捕食?
【同定文献】Lowry and Kilgallen (2014a) ;Kim and Hendrycks (2013);Kilgallen and Lowry (2013) ;Lowry and Stoddart (1983) ;Sorrentino et al. (2019) 他



Opisidae科


 日本からも記録がありますが,和名は提唱されていないようです.これまでに軟骨魚類に付着している様子が観察されています (Benz and Bullard 2004).体長は5mm以下のものが多いそうです.
【構成】4属28種
【分布】広域
【生態】寄生性
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010);Nakahara-Nakano et al. (2016)




Scopelocheiridae(クツミガキソコエビ)科


 第1咬脚前節の先端はひさしのように突き出て,ブラシのように剛毛が密生します.ちなみに,Paracallisoma ハミガキソコエビ属というのもいます.
【構成】2亜科12属25種
【分布】広域
【生態】近底遊泳;腐肉食性/捕食性/寄生性?
【同定文献】Kilgallen and Lowry (2015)




Tryphosidae科


 フトヒゲソコエビ類最大のグループです.形態は多様でカオスを極めていますが,第3尾肢外葉が2節になるという形質は全ての属に共通しています.これでかなり多くのグループと識別できますが,フトヒゲソコエビ科(Lysianassidae)にも同様の特徴をもつ属があるため分類には注意が必要です.種によって,第5胸脚基節に発光器を持つようです.動物遺骸の分解者や捕食者として理解されていますが,中には沈木生態系のメンバーとなる者もいるようです (Corbari and Sorbe 2015).体長は15mm程度のものが多いようです.
 実はわたくし,某文献でこの科の和名提唱を画策しており,今年中にはお目にかけることができると思います.お楽しみに.
【構成】42属379種
【分布】広域
【生態】腐肉食性/腐朽食性/捕食性
【同定文献】Kilgallen and Lowry (2014) 他



Uristidae科


 咬脚の形状で他と分けられたグループです.その後,例外的なグループが幾つか追加されており,非常にめんどくさいです.削り取った肉片を口の中に押し込むために,第1小顎外葉の歯状剛毛配列が冠状になっているそうです.大きなものでは体長が20mmを越えるようです.
【構成】26属181種
【分布】世界各地
【生態】腐肉食性
【同定文献】Lowry and Kilgallen (2014c)



フトヒゲソコエビ上科 Lysianassoidea incertae sedis(所属不明群)


 Ambasiopsis属,Gainella属,Stenia属の3属5種が,いずれの科にも属さないはぐれ者とされています.それぞれの記載を参照して分類することになりますが,図がなかったりして辛い文献もあります.




 次回は簡単・便利・正確な科の同定方法を模索する予定です.おたのしみに.



(おまけ)

 科の列挙だけでは何だか物足りなかったので,日本語の二又式検索表を作ってみました.圧倒的フトヒゲビギナーなのと,二又検索表については否定的な立場を取っているのであまり出来は良くないかとは思いますが,フトヒゲ全科の日本語のKeyも珍しいと思いますので,参考程度にご査収ください(二又検索表そのものは好きです).

1.尾節板を欠く・・・Thoriellidae科
— 尾節板を具える・・・2

2.頭頂が発達して前方へ尖り,左右の触角の間に板状の構造となって下垂する;第1咬脚は単純形で,指節は糸状・・・Lepidepecreellidae科
— 頭頂が板状となって触角の間に入ることはない;第1咬脚の指節は角状あるいは爪状・・・3

3.第3尾肢に副肢を欠く・・・4
— 第3尾肢は単葉あるいは副葉・・・6

4.第1咬脚ははさみ形・・・Derjugianidae科
— 第1咬脚は単純形・・・5

5.尾節背面は平滑・・・Kerguelenidae科
— 尾節背面は明瞭に隆起する・・・Conicostomatidae科

6.第1~4底節板は深く各胸脚の基節を覆う程度まで拡大し,複眼に被る程度まで前方へ張り出して頭部を覆う・・・7
— 底節板は浅く基節を覆わない,深い場合も複眼には被らない・・・10

7.尾節背面は平滑・・・8
— 尾節背面は変形が著しく,明瞭に隆起する・・・9

8.大顎臼歯部は剛毛を密生した薄片状・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Acidostomatidae科

9.第2,3,4底節板が特に大きく,前方へ拡張し,第1底節板および頭部を包み込む;小顎は極めて退化的(1対しかない)・・・Izinkalidae科
— 第1底節板が拡張して頭部を覆う;小顎は通常(2対ある)・・・Conicostomatidae科

10.第4底節板は大きく,前縁は丸みを帯びつつ鋭角に突出して,第1底節板に達する・・・11
— 第4底節板は他と同程度の大きさ,あるいは前方へ拡張しても第2底節板を超えず,第1底節板に迫る場合も前縁は直線的・・・12

11. 胸節背面に長いトゲがある・・・Parargissidae科
— 胸節背面は平滑・・・Wandinidae科(Wandin属)

12.第1咬脚は捻じれて逆向きの亜はさみ状となる;第2底節板の前縁が鋭角をなして前方へ突出し,第1底節板を覆う・・・Trischizostomatidae サカテヨコエビ科
— 第1咬脚は捻じれない;第2底節板は第1底節板に重なる程度,覆うほど発達する場合は第3底節板以降も拡張する・・・13

13.第1~4底節板の一部(第1のみ,または第1~2,あるいは第1~3)が,他より明らかに小さい・・・14
— 第1~4底節板は同程度の深さ,または徐々に大きくなる・・・26

14.第1~3底節板は小さく,第4底節板の半分程度の深さ・・・15
— 第1底節板のみが他より小さいか,第1,2底節板が第3,4底節板より明らかに小さい・・・16

15.尾節板に切れ込みがある・・・Cyphocarididae ネコゼヨコエビ科(Cyphocaris ネコゼヨコエビ属)
— 尾節板は癒合する・・・Wandinidae科(Pseudocyphocaris属)

16.第1,2底節板は,第3,4底節板の半分程度の深さ・・・17
— 第1底節板のみが小さい・・・20

17. 第3~4胸脚(あるいは第3~5胸脚)は把握器状・・・Cebocaridae科
— 第3~5胸脚は単純形・・・18

18. 大顎臼歯部は円柱形・・・Cyphocarididae ネコゼヨコエビ科(Procyphocaris属)
— 大顎臼歯部は薄片形・・・19

19.第1小顎に髭を欠く・・・Amaryllididae科(Devo属)
— 第1小顎に髭を具える・・・Cyclocaridae科

20.第1小顎に髭を欠く・・・Amaryllididae科(Devo属以外)
— 第1小顎に1節かそれ以上の節数からなる髭を具える・・・21

21.第1咬脚は単純形・・・Aristidae科
— 第1咬脚は亜はさみ形かはさみ形・・・22

22.第1咬脚は亜はさみ形・・・23
— 第1咬脚ははさみ形・・・25

23.第1咬脚の指節は長く,亜はさみ形・・・Hirondielleidae オオソコエビ科
— 第1咬脚は指節が短く,小さな亜はさみ形・・・24

24.大顎臼歯部は単純形・・・Eurytheneidae科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Ambasiidae科

24.第1咬脚は指節と前節がそれぞれ弧を描いて先端のみが接しており,ヤットコに似たはさみ形を呈する・・・Opisidae科(Opisa属)
— 第1咬脚は,指節と前節が真っすぐ伸びる通常のはさみ形・・・25

25.大顎臼歯部は単純形・・・ Podoprionidae科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Uristidae科(Euonyx ツマミソコエビ属)

26.第3胸脚は亜はさみ形・・・Endevouridae科
— 第3胸脚は単純形・・・27

27.第1咬脚はRectipalmateあるいははさみ形で,前節は伸長し,腕節は著しく圧縮される・・・Pakynidae科
— 第1咬脚は単純形,亜はさみ形,はさみ形などを呈し,腕節は通常・・・28

28.第1咬脚前節の前縁は庇状に突出し,指節は庇の下に隠れて退化的,前節の終端はしばしば剛毛を密生してブラシ状となる・・・Scopelocheiridae科
— 第1咬脚前節の前縁は庇状に突出しない・・・29

29.顎脚外葉は薄く拡張し,髭を完全に覆う・・・Opsidae科(Normanion属,Podoprionella属,Podoprionides属)
— 顎脚外葉は髭と同じ長さか,それより小さい・・・ 30

30.第2触角は丁字(あるいはY字)状を呈し,柄部第5節前縁が伸長して節の途中から鞭部が生じる構造となる・・・Lysianassiade フトヒゲソコエビ科(Tantena属)
— 第2触角は直線的・・・31

31.第3尾肢外葉は1節・・・32
— 第3尾肢外葉は2節・・・36

32.大顎臼歯部は単純形・・・33
— 大顎臼歯部は薄片状あるいは痕跡的な隆起のみになるか,完全に消失する・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科

33.大顎切歯部は鋸歯状・・・Alicellidae ダイダラボッチ科
— 大顎切歯部は平滑・・・34

34.第1咬脚は単純形,第2咬脚は小さな亜はさみ形かParachelate・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科(Aruga属)
— 咬脚はいずれも亜はさみ形・・・35

35.第1小顎は先端部のみ剛毛を具える・・・Valettidae科
— 第1小顎の内葉に剛毛を密生する ・・・Valettiopsidae科

36.第1咬脚は単純形・・・Lysianassoidea フトヒゲソコエビ上科(Lysianassidae フトヒゲソコエビ科,Uristidae科)
— 第1咬脚は亜はさみ形,あるいははさみ形・・・37

37.第2咬脚は掌縁と後縁がほぼ同長の亜はさみ形,底節板は浅い・・・Vemanidae科
— 第2咬脚は典型的な亜はさみ形ではない,底節板は深い・・・38

38.大顎臼歯部は円柱形・・・39
— 大顎臼歯部は薄片状または退化的,あるいは消失する・・・42

39.第2咬脚の掌縁は斜走し,後角が明瞭な鋭角をなす亜はさみ形(あるいは,微小なはさみ形)・・・Lysianassoidea フトヒゲソコエビ上科(Lysianassidae フトヒゲソコエビ科,Tryphosidae科,Uristidae科)
— 第2咬脚の掌縁は斜走しない・・・40

40.第2咬脚はParachelateで,掌縁は短く,後角に小さな前向きの突起を具える・・・Adeliellidae科
— 第2咬脚は掌縁が不明瞭な亜はさみ形・・・41

41.第2咬脚の指節は明瞭に前節の幅より長い・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科(Douniaella属)
— 第2咬脚の指節は前節の幅より短い・・・Uristidae科(Caeconyx属,Uristes属,Ventiella属など)

42.大顎に臼歯部を欠く・・・Sophorosynidae科
— 大顎臼歯部は薄片状(あるいは舌状)となる・・・Uristidae科




<参考文献>
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Lowry, J. K.; Hughes, L. 2015. Endevouridae, a review with description of four new species (Crustacea, Amphipoda, Lysianassoidea). Zootaxa, 4018(1).
Lowry, J. K.; Kilgallen, N. M. 2014a. A revision of the lysianassid genus Waldeckia with the description of four new species (Crustacea, Amphipoda, Lysianassidae, Waldeckiinae subfam. nov.). Zootaxa, 3784(4): 301–345.
Lowry, J. K.; Kilgallen, N. M. 2014c. A generic review of the lysianassoid family Uristidae and descriptions of new taxa from Australian waters (Crustacea, Amphipoda, Uristidae). Zootaxa, 3867(1): 1–92.
Lowry, J. K.;Myers, A. A. 2017. A Phylogeny and Classification of the Amphipoda with the establishment of the new order Ingolfiellida (Crustacea: Peracarida). Zootaxa, 4265(1): 1–89.
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—  Lowry, J. K.; Stoddart, H. E. 1990. The Wandinidae, a new Indo-Pacific family of lysianassoid Amphipoda (Crustacea). Records of the Australian Museum, 42: 159–171.
Lowry, J. K.; Stoddart, H. E. 2010b. Sophrosynidae, a new family in the Lysianassoidea (Crustacea: Amphipoda) with a revision of the genus Sophrosyne. Zootaxa, 2370: 1–35.
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Nakahara-Nakano, Y.; Kakui, K.; Tomikawa, K. 2016. Opisa takafuminakanoi, a new species of Opisidae from Hokkaido, Japan (Crustacea: Amphipoda). Zootaxa, 4200(2): 335–339.
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Stoddart, H. E.; Lowry, J. K. 2010a. The family Opisidae (Crustacea: Amphipoda: Lysianassoidea) in Australasian waters. Zootaxa, 2479: 22–38.
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Stoddart, H. E.; Lowry, J. K. 2012. Revision of the lysianassoid genera Acidostoma and Shackletonia (Crustacea: Amphipoda: Acidostomatidae fam. nov.). Zootaxa, 3307: 1–34.
Thurston, M. H. 1989. A new species of Valettia (Crustacea: Amphipoda) and the relationship of the Valettidae to the Lysianassoidea. Journal of Natural History, 23: 1093–1107.
Winfield, I.; Hendrickx, M. E.; Ortiz, M. 2016.  A new deep-water species of Trischizostoma (Crustacea: Amphipoda: Gammaridea: Trischizostomatidae) from western Mexico, NE Pacific Ocean. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 1–9.

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補遺 (15-VIII-2024)
・一部書式設定変更。

2019年12月27日金曜日

2019年新種ヨコエビを振り返って(12月度活動報告)


 毎年恒例、年に一度の総決算の時期がやってまいりました。
 新種記載のみですが、一年間を振り返ってみます。
 
※2017年実績
※2018年実績 


 記載者については、論文中あるいは私信で明言のある場合のみつけています。また,旧ヨコエビ亜目に含まれる分類群を対象としております.今年はクラゲノミが2本くらい,ワレカラも3本くらい記載論文が出ていたはずですが,カウントしていません.あしからず.




New Species of

Gammaridean Amphipods

Described in 2019

(Temporary list)





January


Myers et al. (2019)

Grandidierella nioensis

 インドから ユンボソコエビ科 Aoridae ドロソコエビ属 Grandidierella の1新種を記載.近似種との比較などアブストで親切な言及があります.G. mahafalensis Coutière, 1904 species-complex に含まれるとのことで,検索表を提供しています.本文は有料.



Nakamura et al. (2019)

Erasmopus nkjaf ミヤコイソヨコエビ

 沖縄県から スンナリヨコエビ科 Maeridae イソヨコエビ属 Elasmopus の1新種を記載.ウミクワガタ研究者の太田悠造氏が宮古島の海ぶどう(クビレヅタ Caulerpa lentillifera)養殖場から採取したサンプルを,記載に使用しているとのこと.種小名はクビレヅタを意味する宮古言葉「ンキャフ」に由来するとのこと.形態分類と分子(リボソーム28SRNA,ヒストンH3,Mt DNA COI,Mt DNA 16SRNA)を用いた解析を併用しています.また,日本近海の同属種の検索表を提供.本文は有料.
 約130種を含むこの属はスンナリヨコエビ科最大のグループであり,世界に広く分布し,日本の浅海域でもよく採れます.しかしながら,本邦での知見は非常に乏しく,今後の展開にも大いに期待です.



Drumm and Knight-Gray (2019)

Hyalella wakulla

 Hyalella azteca 種群 の隠蔽種1種をフロリダから記載.狭義の Hyalella azteca と形態的な差異が示されています.本文は有料.



Karaman and Sket (2019)

Chaetoniphargus lubuskensis

 クロアチアから Niphargidae 科 の新属新種を記載.体サイズが小さいグループのようです.本文は有料.





February


Just (2019a)

Rhinoecetes sinuduopopulus
Rhinoecetes rockinghamia
Rhinoecetes makritrichoma
Rhinoecetes lowryi
Rhinoecetes caetus
Rhinoecetes karkharius
Rhinoecetes wamus
Rhinoecetes setosus
Borneoecetes minimus
Sinoecetes reni
Pararhinoecetes bicornis

 西オーストラリアからヤドカリモドキ類の報告.ツノアルキ Rhinoecetes 属 8新種, Borneoecetes 属と Sinoecetes 属 それぞれ1新種,そして Pararhinoecetes 属 を新設した上で1新種を記載しています.Cephaloecetes enigmaticus については新産地の報告となります.本文は有料.



Ariyama (2019a)

Austromaera ariakensis アリアケスンナリヨコエビ
Quadrimaera gotoensis ゴトウスンナリヨコエビ
Quadrimaera setibasis タイヘイヨウスンナリヨコエビモドキ

 昨年より始まった日本産 スンナリヨコエビ科 Maeridae の連載第二弾.西日本を中心に,ミナミスンナリヨコエビ(新称)Austromaera 属 から1新種,カクスンナリヨコエビ(新称)Quadrimaera 属 から2新種を記載.これに加えて,岩手~有明海より タイヘイヨウスンナリヨコエビ(新称)Q. pacifica (Schellenberg, 1938) ,屋久島より カクスンナリヨコエビ(新称)Q. quadrimana (Dana, 1853) をそれぞれ記録しています.アリアケスンナリヨコエビとゴトウスンナリヨコエビ以外の3種にはカラー写真があります.ミナミスンナリヨコエビ属の検索表を提供.本文は有料.



Paz-Ríos and Pech (2019)

Gammaropsis elvirae

 ユカタンから Gammaropsis ソコエビ属 の1新種を記載.アブストにて形態の記述があります.アメリカ熱帯域におけるソコエビ属の検索表を提供.本文は有料.



Kodama and Kawamura (2019)

Bemlos seisuiae ユウレイマエアシヨコエビ

 日本での知見が乏しい ユンボソコエビ科 Aoridae Bemlos 属 の1新種を記載.紀伊半島の西側に位置する田辺湾沖の深海から得られたもので,太平洋北西部において深海性ユンボソコエビ類の初記録となるようです.種小名は,調査に使われた三重大の練習船「勢水丸」に献名されています.
 泥底生活者らしい細い付属肢が目を引きますが,大顎髭とかいろいろ考慮すると,Meridiolembos とかに似てるように思えます(Remarksでは,新属を成立させうる材料として4形質を挙げつつ,属位についてはペンディングとの記述があります).小玉氏によると,得られた標本が欠損のある1個体のオスのみとのことで,属を設立するなど踏み込んだ展開が難しかったとのこと.既知の深海性ユンボソコエビ科についてレビューを行っており,分布や形態的特徴などを比較しています.本文は有料. 


March


Silvany et al. (2019)

Colomastix trispinosa

 ブラジル北東部より ツツヨコエビ属 の1新種を報告.Lowry and Myers (2017) により整備された亜目体制に準拠しており,Colomastigidea亜目ではブラジル初記録とのことです.本文は有料ですが,アブストでは近縁種との形態的差異や大西洋産種において特筆すべき形態的特徴に言及しています.Lowry and Myers (2017) 以降,チビヨコエビ亜目がヨコエビだとして,Colomastigidea亜目 がヨコエビなのかどうか,(wikiを除いて)日本語では定義されていない気がしますが,当ブログではヨコエビとして扱います.



Corbari et al. (2019)

Dorotea papuana

 ソロモン海(パプアニューギニア)の深海底より テンロウヨコエビ科 Eusiriidae の新属新種を記載.既知のグループでは Cleonardo 属 に近いとのことです.また,近似の Eusiroides ダイコクヨコエビ属 を アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae からテンロウヨコエビ科 に移動させたりもしています.本文は有料.




Halfter and Coleman (2019)

Chevreuxiopsis franki

 昨年このコーナーでもご案内した珍奇すぎるヨコエビ,とうとう新属新種として記載されました.タスマニアの深海から引き揚げた sediment trap により採集されたもので,曲者揃いで知られる Lysianassidira(フトヒゲソコエビ)小目 Aristioidea(フカゾリソコエビ)上科 Thoriellidae 科 に含まれるとのことです.第3尾節が退化し,尾節板を欠くという異形の科ですが,触角鞭部の一部が枝状になる,顎脚の基部が拡張して口器全体を覆うなど,本種は輪をかけて奇妙な特徴を有しています.第4底節板だけがいきなり深いとか,胸脚がだいたいみな同じ「ものを掴む」ような形をしている中で第1咬脚だけ指節が痕跡的になるとか,普通のヨコエビでは馴染みのない特徴がたくさんあります.
 「オーストラリアの伝承から名付けられたらいいな」と思っていましたが,フランスの伝説的研究者シェヴローに献名された近縁属 Chevreuxiella にちなんで命名したようです.記載論文は無料で読めます.



April


Sorrentino et al. (2019)

Aruga emarginata
Aruga kieppe
Aruga paracuru
Shoemakerella ungulata 

 ブラジル北東岸から4種のフトヒゲソコエビ科を記載.Aruga 属についてはブラジル初記録とのこと.Aruga 属と Shoemakerella 属 の検索表を提供しています.本文は有料.



Griffiths (2019)

Sunamphitoe roberta

 南アフリカのケルプ林冠から ニセヒゲナガヨコエビ属 の1新種を記載.本文は有料ですが,アブストに詳細な形態の記述があります. 



May


Labay (2019)

Cryptodius sakhalinensis

 樺太から Ochlesidae科 の1新種を報告.この科は Coleman and Lowry (2006) によりスベヨコエビ科(Odiidae)と統合された後,Lowry and Myers (2013) では再び別々のものとして扱われていました.今回はまた統合されているようです.
 Cryptodius 属 全種の検索表を提供するとともに,Cryptodius属 と Odius属 の系統関係について,形態的視点から解析を試みています・・・が,分子を流さない限り,この泥沼が終わることはないと思います.本文は有料.



Ariyama (2019b)

Metadulichia kohtsukai ホソナガシャクトリドロノミ
Dulichia latimana  オキシャクトリドロノミ


 日本近海から シャクトリドロノミ科 Dulichiidae シャクトリドロノミ属 Dulichia の2新種と1新属を記載.ホソナガシャクトリドロノミ属 Metadulichia — ホソナガシャクトリドロノミ M. kohtsukai は相模湾,オキシャクトリドロノミ Dulichia latimana は有明海および相模湾に分布するそうです.また既知種に関しては,長らく和名未提唱であった Dulichia biarticulata に キシシャクトリドロノミ を宛てたほか,シャクトリドロノミモドキ属 Dulichiopsis — シャクトリドロノミモドキ Dulichio-. barnardi という和名を提唱しています.全種の検索表を掲載.星野氏による美麗な生態写真も見ごたえあります.SDなので本文は無料で読めます.



Özbek and Güloğlu (2019)

Gammarus egmao

 地中海に面したトルコの洞窟から ヨコエビ科 Gammaridae ヨコエビ属 Gammarus の1新種を記載.ひたすら形態で攻めています.トルコの雑誌のようですが,本文を無料で読めます.




June


Hughes and Lörz (2019)

Bircenna thieli
Bircenna hinojosai

 オーストラリアから ネクイムシ科 Eophliantidae の2種を記載.線画とSEMによる記載図に加えて生体写真も掲載しているほか,コンブノネクイムシ(本邦産種)を含むネクイムシ科16種の検索表がついています.そしてさすがペンソフト,本文は無料で読めます.
 (追記:2020年4月4日) 
 B. thieli は「Australia's Science Channel」が選ぶ「2019年の新種トップ10」に挙げられています.B. hinojosai はどうした・・・



Fuchs et al. (2019)

Syrrhoe anneheleneae

 北大西洋から,フクスケヨコエビ科 Synopiidae の1新種を記載.同属の既知種2種との比較も行い,検索表を提供しています.ペンソフトらしく本文はタダで読めます.



Gnohossou and Piscart (2019)

Quadrivisio laleyei

 アフリカ西部ベナン共和国のサンゴ礁から スンナリヨコエビ科 Maeriidae の1新種を記載.Quadrivisio 属は,複眼が上下に引き伸ばされて真ん中がくびれているグループで,南太平洋やインド洋にかけて分布しています.9種の検索表を掲載していますが,本文は無料.さすがEJT.


July


Marin (2019)

Niphargus gegi

 西コーカサスの洞窟から,Xiphocaridinella dbari というエビとともに,Niphargidae科 の1新種を記載.形態に加えてミトコンドリアCOI領域も解析しています.結構スケールのデカい系統樹を描いているので必見です.WoRMS(2019年12月28日閲覧)では著者の表記が ”Marin, I. D.” となっていますが,著者は Иван Н. Марин氏 なので,明らかに誤りです.本文がなぜか無料で読めます.




Myers and Desiderato (2019)

Propejanice lagamarensis

 ブラジルから ユンボソコエビ科 Aoridae の新属新種を記載.Janice 属 と Grandidierella 属 に近縁とのこと.本文は有料.



Silvany and Senna (2019)

Colomastix iemanja
Colomastix marielle
Colomastix tubulosa

 ブラジルから ツツヨコエビ属 の3新種を記載.本文は有料.



Zheng et al. (2019)

Sarothrogammarus yiiruae

 ウイグルから暗居性 ヨコエビ科 Gammaridae の1新種を記載.分子と形態を見ています.本文は無料で読めます.




Lowry and Springthorpe (2019)

Gazia gazi
Talorchestia anakao

 ケニヤから ハマトビムシ科 Talitridae の1新種 — Gazia gazi — を記載.形態の記録にはSEM画像のみを用いています.メスが未知とのことで少しモヤモヤします.
 さらに,Talorchestia martensii の隠蔽種を解析し,マダガスカルから報告されていた T. martensii sensu Ledoyer, 1986 を新種 — T. anakao — として記載.しかし,インドの T. martensii sensu Chilton, 1921 を Talorchestia sp. として掲載しているのは極めて不穏.この属の闇はまだ深そうですね.
 新属である Gazia属には1新種に加えて既知4種 — G. ancheidos (K.H. Barnard, 1916); G. guadalupensis (Ciavatti, 1989); G. itampolo (Lowry & Springthorpe, 2015a); G. samroiyodensis (Azman et al., 2014) — を移動しています.また,Austropacifica属を新設し,既知4種 — A. australis (Lowry & Springthorpe, 2009c); A. monospina (Stephensen, 1935); A. pectenispina (Bousfield, 1970); A. serejoae (Lowry & Springthorpe, 2015a) — をこれに含めています.これでハマトビムシ科は117属になりました.
 インド洋から南太平洋にかけての地域に生息するハマトビムシ科の整理を試み,一覧表に加えて各種の分布を図示している意欲作です.Austropacifica 属と Gazia 属,そして Talorchestia 属 の検索表も提供.本文は有料.
 


Peralta and Miranda (2019)

Hyalella puna

 アルゼンチンの高地に位置する泥炭地から Hyalella 属 の1新種を記載.隠蔽種だらけでややこしいグループを形態のみで記載しており,漢気を感じます.ズーキーズなので本文まで無料です.



August


Ariyama (2019c)

Ceradocus kiiensis キイノコギリヨコエビ

 和歌山の沿岸域から スンナリヨコエビ科 Maeridae ノコギリヨコエビ属 Ceradocus の1新種を記載.泡瀬と西表からはトゲナシノコギリヨコエビ(新称)C. laevis Oleröd, 1970 を報告.ヒメノコギリヨコエビ C. inermis Hirayama, 1986 とノコギリヨコエビ C. capensis Sheard, 1939 sensu Nagata, 1965 を含む本邦産4種の検索表を掲載.亜属体制を支持しない立場をとっているようです.本文は有料.



Mamaghani-Shishvan and Esmaeili-Rineh (2019)

Niphargus fiseri 
Niphargus urmiensis

 イランから Niphargidae科 の2新種を記載.形態に加えて,28SリボソームDNAとミトコンドリアCOI領域を使用した分子系統解析も行っています.EJTなので本文も無料で読めます.


September

Gouillieux (2019)

Cheirocratus pseudosundevallii

 イベリア半島のビスケー湾から ウラシマヨコエビ上科 Calliopioidea Cheirocratidae科 の1新種を記載するとともに,属内の検索表を提供しています.この属は9種が知られ,ヨーロッパを中心になぜかオーストラリアにも及ぶという謎の広域分布を示します.本文は有料.


 
Peart et al. (2019)

Polycheria spongoteras

 ニュージーランドより エンマヨコエビ科 Dexaminidae ホヤノカンノン属 Polycheria の1新種を記載.



Marin and Palatov (2019)

Niphargus ciscaucasicus

 北コーカサスから Niphargidae科 の1新種を記載.Zoobankへのリンクがあるものの,飛べないのが気になります.本文は有料.



October


Tomikawa et al. (2019)

Podocerus jinbe ジンベエドロノミ

 沖縄にて,美ら海水族館の生け簀で飼われていた ジンベエザメ Rhincodon typus の鰓耙から採取された ドロノミ科 Podoceridae の1新種.ジンベエザメ1個体あたり1,000匹も付いていたという話で,この高密度はドロノミらしい通常営業といった印象です.Podocerus umigame がシノニムとして消された今,ドロノミ界に日本語の学名を楔として打ち込むことは感慨深いです.
 サメにつくヨコエビは他にいないわけではありませんが (Benz and Bullard 2004),寄生するわけでもなく魚の口腔内に棲む事例(おそらくジンベエドロノミは水流を得るため付着していると考えられる)は,ヨコエビのみならず動物の寄生様式として珍しいとのことです.NHKのニュースで採り上げられ,大変盛り上がりました.SDなので無料で読めます.



Cannizzaro and Sawicki (2019)

Crangonyx ephemerus
Crangonyx pseudoephemerus

 フロリダ州から マミズヨコエビ科 Crangonyctidae の2新種を記載.フロリダマミズヨコエビ種群 Crangonyx floridanus species complex に含まれる分類群のようです.本文は有料.


November


Jung et al. (2019)

Exiliphotis petila
Latigammaropsis careocavata
Photis bronca
Photis posterolobus
Photis longicarpus
Podoceropsis insinuomanus
Podoceropsis pseudoclavapes

 韓国から クダオソコエビ科 Photidae の1新属と,7新種(4属)を記載.新設された Exiliphotis 属 は浅い底節板をもち,全体的に細身です.ズーキーズなので無料で読めます.



De Pádua Bueno et al. (2019)

Hyalella cheyennis

 オクラホマ州から Hyalella 属 の1新種を記載.



Tomikawa et al. (2019)

Pseudocrangonyx uenoi

 滋賀県多賀町にある鍾乳洞「佐目のこうもり穴」から メクラヨコエビ科 Pseudocrangonyctidae の1新種を記載.過去の文献で未記載種として遺伝子解析に加えられていたもので,このたび形態を検討して記載に至ったようです.SDなので本文まで無料で読めます.



Just (2019b)

Galeatylus coripes

 バス海峡から フタハナヨコエビ科 Atylidae の1新種を記載するとともに,新属Galeatylus と 新亜科 Galeatylinae を設立.



White (2019)

Leucothoe machidai
Leucothoe tunica

 フロリダから マルハサミヨコエビ科 Leucothoidae の2新種を記載.これまでLeucothoe spinicarpa (Abildgaard, 1789) として同定されていた隠蔽種とのこと.形態の検討に加えて,ミトコンドリア遺伝子COI領域と核リボソームDNA18S領域を使用して分子系統解析も行っています.本文は有料.



Streck-Marx and Castiglioni (2019)

Hyalella palmeirensis Streck-Marx & Castiglioni, 2019

 ブラジル南部から Hyalella属 の新種を記載.形態のマトリクスを掲載し,国内から知られているどの種とも異なる形態をもつことが強調されていますが,70種ほどが含まれる属全体での検討が行われた形跡がないのは気になります.本文は無料で読めます.




December

Piscart et al. 2019.

Cerrorchestia taboukeli

 カリブ海のマルティニーク島から ハマトビムシ科 Talitridae の1新種を記載.中央アメリカおよびカリブ海に分布するハマトビムシ科の検索表を提供しています.新種の生態写真のほか,タイプ産地の土壌成分なども記載していて非常に斬新です.EJTなので本文は無料で読めます.



Wang et al. (2019)

Seba longimera

 沖縄トラフの熱水噴出孔から セバヨコエビ科 Sebidae の1新種を記載.ズーキーズなので無料です.



Ashford et al. (2019)

Acutocoxae ogilvieae Horton, Ashford & Thurston, 2019

 亜南極域のサウスオークニー諸島から ドロノミ科 Podoceridae Podosiridae科(Hyperiopsidea亜目)の1種を記載.トゲが生えていてなかなかかっこいい形態をしています.Zoological Journal of the Linnean Society に掲載されており,無料で読めます.



Andrade and Senna (2019)

Cephalophoxoides fortisetus
Cephalophoxoides obtusimanus


 ブラジルから ヒサシソコエビ科 Phoxocephalidae の2新種を記載.属全体の検索表を掲載し,分類の議論を深めた意欲的な論文のようです.本文は有料ですが,アブストにわりと細かい形態の情報があります. 



Ariyama and Hoshino (2019)

Protodulichia scandens Ariyama & Hoshino, 2019 ボウノボリヨコエビ

 学会で予報のあった謎のマスト形成ヨコエビ、とうとう記載されました。伊豆大島の海底に,短いマスト状構造を構築して定位していたそうです。生態も頭部の形態もシャクトリドロノミのそれなのに,身体構造がより祖先的で,尾肢もしっかり残っています。
 Barnard は,ドロノミ類をワレカラ類の祖先系と位置付け,ドロノミ類はドロクダムシ類のどこからか派生したものと考えています。また,Bousfield は別のルートからドロノミ類が派生したとの立場をとっていました (石丸 2002)。ボウノボリヨコエビは,ドロノミ類とその他のドロクダムシ類をつなぐものと考えられ,ヨコエビ類の進化の過程を論じる上で非常に重要な発見と言えるでしょう。


 というわけで,今年は 71 72の記載が確認できました.
 昨年よりやや少ないのが気になります.純粋な形態での記載より,分子を見る需要が高まる一方,そのコストや解析方法の確立などハードルが高い状況があるかもしれません.

 なお,Zakšek et al. (2019) は,バルカン半島から得られた NiphargidaeNiphargus 属 の32種を比較するとともに,4つに分類した生態特性と分子系統解析を統合して議論しています.論文中に「Niphargus sp. n.」という表記が幾度も登場しますが,新種が記載された形跡はなく,未記載種を解析に加えているものと判断しました.系統解析に未記載(記載予定)種のデータを加えるのはよくあることとして,記載してないのに「sp. n.」を付ける意味が分かりません.Journal of Biogeography おそるべし・・・



2019年11月10日日曜日

ぐんまちゃんはイソヨコエビの一種の夢を見るか?(11月度活動報告)


 夜潮につきフィールドワークを封印して執筆に勤しもうという今日この頃です.
 件の論文はできているのですが, コラボ案件というか,今後の流れとの兼ね合いというか,敢えて流れを止めています.

 さて,フィールド不足からか,海無し県を更に海とは逆方向に進んでこんな山奥に来てしまいました.


 群馬県立自然史博物館にて「第61回企画展 海の森」をやっていて,どうやら干潟とか岩礁とかの展示があると小耳に挟んだので,偵察です.





 入ると券売機より手前に2つの水槽.

クビレヅタ入り.




 デカいElasmopusがたくさん.

 沖縄産なのでしょうか.
 形態は岡山とかで採れたやつに似ています.ちなみに岡山のは未記載でした.


 初っ端からヨコエビストを狙い撃ちにするこの仕掛け.恐るべし群馬.

 しかし,企画展示室の水槽はどれもだいたい魚が入っており,ヨコエビの姿はありません.

 海藻の生理・生態特性と利用法,干潟(海苔絡み)など生息地の様子, そして淡水の藻類へ繋げるなど,


 そしてこれが噂のガタガール的展示.


 本棚には「われから」絵本はあったものの,ガタガールはなし.
 絶対にコラボ案件だと思ったんスけどねぇ・・・




 さて,自然史博物館恒例の「常設展ヨコエビ」チェック.
 
これは・・・!


 ありました!

展示されている液浸標本は,写真と同種と思われます.


 学名については亜目の記述すらありませんが,ヨコエビ科のような気がします.

 しかしこのミズムシの写真,クレジットが・・・




 さて,群馬県立自然史博物館の企画展は12月1日までです(公式HP)

 近くに電車やバスは通っておらず,上州富岡駅から車で15分程度.乗り合いタクシーは¥200-,単独でハイヤーを呼ぶと¥1,800-くらいです.


2019年10月29日火曜日

SPIRIT~液浸標本~(10月度活動報告)


 形態分類に使うヨコエビの標本は,「液浸標本」(いわゆる瓶詰めの状態)と「スライド標本」のセットで構成されるのが普通です.


 昆虫のような乾燥標本で保存されている端脚類も,ないわけではありません.例えば,オランダの博物館に収蔵されているオオワレカラ (Caprella kroyeri) のタイプ標本は,乾燥標本だったりします (山口 1993).甲殻類を乾燥させて標本にするのは,19世紀以前のヨーロッパでは普通だったようです(オックスフォード大学の甲殻類標本コレクション参照).
 巨大なカニなどは,今日でも剥製のような状態で展示することがあります.しかし,そういったものを除き,甲殻類の乾燥標本は悲劇の始まりです.
 例えばサワガニくらいの大きさであっても,甲殻類の身体を乾かすと,毛や殻表面のコーティングが擦れ,関節など殻の薄い部分が破断します.厚い部分もちょっとした衝撃で割れたりして,パーツがバラバラになってしまいます.虫にも食われます.そういったわけで,ヨコエビストは専ら液浸標本をこさえています.





 ちなみに,私は以下のように液浸標本を作成しています.作り方の一例としてご紹介します.




1.”凍てつく愛の監獄”(ラヴ・プリズン

 サンプルをそのまま冷凍庫へドーン(ヨコエビを捕獲して持ち帰る際の工夫についてはこちらをご覧ください).一晩程度凍結させます.
 私は,水生種も陸生種も区別せず,水を満たしたチャック付きポリに入れて持ち帰ります.従って,サンプルを凍らせるとヨコエビ入りのシャーベットができあがります.

 小原 (2016) や駒井 (2003) でも触れられていますが,生きている甲殻類をエタノールに直漬けすると,たいへんもがき苦しんだ末に,付属肢がボロボロと脱落します.例えばカニやザリガニでは敵に襲われるとハサミを残して逃げる自切という習性があり,アルコールを浴びるとこれが起こるとの説もあるようです.
 エタをぶっかけられたヨコエビが暴れまくった末に肢がちぎれたのは見たことがあります.自切のプロセスというより意図せず外れているようにも見えます.大きなヨコエビほど派手にバラけるイメージがあります.何はともあれ,直漬けするとこちらの希望と関係ない場所が破断して標本がバラバラになりますし,褪色前の色や模様を記録することができませんし,倫理的にも思うところがあります.

 ただ,生きたまま99%エタノールに漬けたヨコエビは,背中に鉄の棒を入れたように真っすぐな姿勢になり,体長は測りやすく,付属肢は観察しやすくなります・・・うーむ・・・



2.解凍・洗浄・選別

 ヨコエビ入りシャーベットを袋のままシャーレやバットに並べ,室温に放置します.他のサンプルの検鏡などをやっていると程なくシャーベットが溶けてくるので,自然に氷から離れた個体をグリセリンや蒸留水へ移して適当に洗い,砂粒やデトリタスなどを落とします.その後の扱いやすさを考え,私はこの段階で属や種ごとに瓶に分けて入れています.

 シャーベットから無理に掘り出そうとすると標本を損傷する恐れがあるため,要注意です.
 褪色前の体色を記録する場合,生きたままでは暴れて写真が撮りにくいので,ラヴ・プリズンした標本を解凍して撮影しております.概ね生時に近い色彩が残せます.




3.固定

 まず,洗浄選別したサンプルを瓶の内壁に貼り付けます.猫背のまま固定されると観察や解剖がしにくいので,壁の表面で少し体を伸ばすようにしてから,エタノールを注ぎます.



 エタノールは瓶一杯まで入れると安心ですが,明確な基準があるわけではありません.ただし,標本に対してひたひたにしていると,揮発して液がなくなりやすかったり,身体が液面から出てしまう,などの問題が起こります.
 富川・森野 (2009) に準じて70%エタノールを用い,少量のグリセリンを添加しています.ただし,サンプルが熱などでクタっていたり,脱皮殻やDNA抽出後の外骨格だけを標本にする場合,速やかに脱水して組織を締めるために99%エタノールに漬けることもあります.身が詰まった普通のサンプルを99%エタに漬けると,ボディが硬くなりすぎて,解剖時に扱いにくい感じがします.また,いろいろ添加された消毒用アルコールを使うと,身が締まりすぎてバキバキになるイメージがあります.酒税がかからないので安くて助かるのですが・・・

 ベントスの標本固定にはしばしば中性ホルマリン(※1)が用いられます.ヨコエビの形態を保存する手法としても有効ですが,遺伝子を検討する予定があれば,固定から保存までエタノールを使用すべきでしょう(ホルマリン固定組織から遺伝子を読む技術というのは皆無ではないそうですが).




4.保存

 エタノールで固定した標本は,しばらく様子を見てから仕舞います.固定した液のまま保存することがほとんどなので,ラベルは固定の段階で入れます.

 しかし,例外があります.
 ハマトビムシ科 (Talitridae) や モクズヨコエビ上科 (Hyaloidae) などで顕著ですが,標本をエタノールに漬けて固定すると,次第に液が濁って,臭いが出てきます.標本の体積を少なめにして大量の液量を用意すればそのままでよいと思いますが,瓶がかさばるので,私は1週間後とか1か月後とかに液を替えています.液替えする/しないで遺伝子抽出効率などが違うかどうかまでは分かりません.
 また,これらの分類群でなくとも,大型個体をたくさん漬ける時などはどうしても水が出て液が薄まってしまいます.このことを念頭に,固定後に入れ替えたほうがよいかと思います.


 瓶はずっとスクリューバイアルを使っていましたが,科博の収蔵庫で使われている規格瓶というものを教えてもらい,今はそっちを使っています.
 規格瓶の壁は厚めで,割れにくそうです.柔らかな内蓋と硬い外蓋(スクリュータイプ)によって密閉します.No.1(最小サイズ?)は14mLです.どんなに小さなヨコエビでも,これに入れます.

スクリューバイアルはペフ付き.規格瓶には中蓋がある.


 瓶の中にダーラム管を入れ子にして,綿栓倒立することもあります.壊れそうな,あるいは壊れたサンプルの部品,覆卵葉の中から子供や卵がボロボロと出てきた時,あるいは持ち帰る途中で脱皮して本体とは別に殻のサンプルが出現した場合など,同じ瓶の中で混ぜたくないが管理No.を分けるほどでもない時に使っています.
 また,同じ場所から複数種出てきた時,個体のサイズが小さければ,保存液を節約するために,この方法を用いています.この場合はそれぞれの種に管理No.を振り,ダーラム管の中にラベルを入れます.


これを・・・こうして・・・こうじゃ・・・!



 瓶やアルコールの選定については,谷川 (2007) に詳しいです.
 ヨコエビではなくクモの研究に関する報文ですが,豊かな経験が滲み出ている読み応えある文章で,非常に勉強になります.特に「サンプルが小さくとも大きな瓶を使え」「金属のフタはNG」という教えには,さぞ苦い経験がおありなのだろうと,ただただ平伏するばかりです.



 さて,ここからが本題です.
 このたび,第4工程「保存」に少しアレンジを加えてみたいと思います.




(アレンジその1)グリセリンに漬けてみる


 かつて,ヒゲナガハマトビムシの透明標本を買った時,粘性の高い透明な液体に入っていた,という話をしました.化学分析はしていませんが,透明標本の常識に従えばこれはおそらくチモール添加グリセリンであり,つまり,ヨコエビ標本の保存液としてグリセリンが使える例と思われます.

 では,グリセリンだけを使ってヨコエビを漬けることはできるのでしょうか.
 エタノールはいずれ揮発してカラカラになりますが,グリセリンならその心配もないはず・・・!


 しかし,浮きます.

 少しでも空間があると逆にサンプルが空気に晒されてまずい気がします.

 先に挙げた透明標本は,ホルマリン固定後にタンパク質などをこれでもかというほど溶解除去しており,スカスカの状態です.ゆえにすぐ液と標本が馴染むのかもしれません.普通のアルコール液浸標本の代わりとしてグリセリン標本が作成できるわけではなさそうです.


 空気が入らないようにして1時間ほど放置すると,サンプルがグリセリンを吸って落ち着きました.



グリセリン浸漬した Platorchestia pacifica(♂).
驚きの透明感.

 3か月以上も付属肢の色合いが残るなど,形態の保存性はかなり高いようです.ただ,浮くのはやはりめんどくさいのと,何年も経ったらどうなるか確認できていないので,本当によい方法かどうかは分かりません.




(アレンジその2)アルコールジェル標本



 「昆虫をジェルタイプのアルコール消毒剤に漬けると観察しやすい」という報告(矢野・山野井 2018)があったので,ヨコエビでも試してみました.

 結果は・・・

 絶 対 に マ ネ し な い で く だ さ い


 もう一度言いますね.


 絶 対 マ ネ し ち ゃ だ め だ ぞ ★


 今回使用したのは消毒液のメーカーとして著名な健栄製薬の「手ピカジェル」です.成分は以下の通り.

  • エタノール(76.9~81.4 vol %)
  • ヒアルロン酸ナトリウム
  • グリセリン
  • トコフェロール酢酸エステル
  • カルボキシビニルポリマー
  • トリエタノールアミン

  どれが悪さをしているのか分かりませんが,エタノールとグリセリンの混和液からジェルに移した直後,標本の表面に白いモヤモヤが・・・

 その後,体内から何かが流れ出るように白い流れが続き,教材用としては無理だと思って更に数日置いておくと・・・


無残



 バラバラ・・・



結論:ヨコエビをジェル消毒剤に漬けてはいけない.絶対に,だ.


 本当にダメだからな.



 しかし,ジェルがここまで標本にダメージを与えるとは思いませんでした.本当に昆虫はうまくいくのでしょうか・・・?
 ヨコエビと同じくらいの大きさの虫で試してみます.


ネギオオアラメハムシ(Galeruca extensa).
まず展足して1週間程度乾燥させた後,
ジェルにINしました.


 いいじゃん!と思ったのもつかの間・・・


4日後.液が黄変し,ゆるくなっている.

 標本から液体が滲みだしたようです.ジェルの粘度が低下し,標本が浮いています.矢野・山野井 (2018) では,ラヴ・プリズン直後や二酸化炭素麻酔個体をそのままドボンしているようですが,本来はもっと乾燥させなければいけないのでは・・・?





(アレンジその3)プロピレングリコールを試す



 昆虫のDNAサンプル保存にプロピレングリコール(以下,PG)を用いる手法があるようです (Moreau et al. 2012).
 また,Twitter や Slack で,第66回生態学会での発表内容が紹介され,筋肉のコンディションという面からも PG が有効,との情報を得ました.

 PG といえば「設備機械系」という印象で,薬局などで見かけた記憶はなく,酢酸エチル並みに入手が難しいのでは?という勝手なイメージがありました.


 が・・・ Yaho○ショッピングで普通に買えました.


プロピレングリコール(500mL).


 販売ルートによりますが,500mLで1500円程度です.無水エタノールは1000円くらいなので,高いです.

 PGは食品添加物扱いなので,毒性や刺激性などの不安要素がないのもありがたい(食品ごとに添加してよい量が決まっており,長期的に摂取した場合の有害性も取り沙汰されています.飲んだりするのは無論ダメです).

 そして,可燃性なので危険物に指定されていますが,等級はエタノールやグリセリンと同じ「第4類」の「アルコール類」です.
 資格なしに保管できる PG の量は,エタノールと同様,現行法で400Lです.つまり,20mLの瓶へ満タンに入れたとしても,100本入り箱にして200箱!個人ヨコエビストが趣味の範囲で潮目を見ながら干潟に出かけて採集するレベルでは,一生かけても達しないと思います.

 ただ,律儀に1個体ごとに瓶を分けるようなやり方をしていると,うっかりドロクダムシやカマキリヨコエビの巣が集まってできた泥の塊なんかを拾ってしまった日には,突然数千とか数万とかの個体数に達する可能性があります.交尾前ガード個体を他と分けるとか,記載に使用するなどの事情があればもちろん別ですが,標本はなるべく採集時のロットでまとめて同じ瓶に入れましょう・・・


 さて,アブストでは最適濃度は分かりません.とりあえず99%でやってみますか.


生時の色彩.
今回使用したモクズヨコエビ類(hyalids)は,
いずれも紫がかった紅色で,
わずかに褐色がかった雲状紋や丸い白斑などを具えます.


 これを,こうして,こうじゃ・・・


上から,
99% PG漬け;99% エタノール漬け;70% エタノール水溶液漬けのモクズヨコエビ類(hyalids).
いずれの個体も今回は駒井 (2003) に従わず,禁じ手(生きたまま薬剤漬け)を用いました.


 PG に漬けてから一時間くらいは体色が落ちない感じがありますが,しばらく置いておくと,やはり”茹でた海老の色”になります.透明感は維持されますが,模様のディテールは消失します.

 これまでさんざん見てきた通りですが,70%エタノールは真っ白になります(実は,固定直後の色彩・模様の保存は最も優れています.数日から数週間かけて,褪色が進み,色気も何もない感じになります).
 99%エタノールは意外と色が残っていますが,激しい海老反りになっており,胸脚がごちゃっと前にまとまって伸びています.観察しにくい体制です.

 姿勢を見ると,背中が丸まった70%エタと,脚が絡まった99%エタより,背中が伸びて脚が適度に開いているPGのほうが良さそうです.また,PGで〆めた標本は付属肢をはじめとして各体節が柔軟性を保っています.


 では,分類群によって違いはあるのでしょうか.

ヒメハマトビムシ属(Platorchestia).
こちら2個体はいずれもラヴ・プリズンの後,
上は70%エタノールにて固定,下はPGにて固定.

 ハマトビムシ科はモクズヨコエビ科と近縁です.エタノール標本の様子はどちらもよく似ています.
 いつもの如く真っ白になっている70%エタノール標本と異なり,PG標本はグリセリン標本と同様,背面や付属肢に橙色が残っています.全体に透明感があり,付属肢が重なり合った部分を観察することが容易です.これはすばらしい!



ドロソコエビ属(Grandidierella)♀.
ラヴ・プリズン後,
上は70%エタノール固定,下はPG固定.

 特筆すべきは,PG標本において,ドロソコエビの複眼の模様が残っていることです.普通,エタノールで固定するとただの黒色の点になってしまいますが,PG固定では茶色の中に斑点が見えます.また,エタノール中では体色がくすんでしまうため,体表面の色素斑が見えにくいことがあります.一方,PG中では触角や胸脚の透明感が残り,姿勢も自然に仕上がるため,まるで生きているようです.ただし,生体より黄色みが強くなる気がします.

 実際にヨコエビの遺伝子の解析においてPGが有効かどうか,まだわかりません(昆虫とそれほど異なる結果が出るとも思えませんが).とりあえず,形態分類においては良い事がたくさんありますよ!


 まとめますと・・・

【4%ホルマリン】DNAの保存性に乏しく,組織も委縮する.
事前に緩衝液とすることが必須.また,ホルムアルデヒドは劇薬である.
通常は固定のみに用い,脱ホした後にアルコール標本とする.
【無水エタノール】DNAの保存性に優れる.組織は委縮する.
【70%エタノール】DNAは問題なく解析できると伺っているが,
非推奨としている文献もある.
形態分類においては多少柔軟性があり扱いやすい.
【グリセリン】色彩の保存性に優れ,組織は柔軟性を保つ.
DNAの保存性は不明.
エタノールや水より比重があり,置換されるまでの間は,標本が浮き上がってしまう.
【プロピレングリコール】色彩の保存性に優れ,組織は柔軟性を保つ.
甲殻類においてDNAの保存性に関する知見は乏しいが,問題はないと考えられる.


 まだ検証していないのは,エタノール以外のアルコール類と,上記薬液を固定/保存に使った場合の所見です.これはまたいずれ.



<注>
※1 中性ホルマリン 
 石灰殻をもつ生物をホルマリンに浸漬すると,液性が酸性のためカルシウムが溶出してしまう.このため,事前に重曹などを飽和させ緩衝液を調整する必要がある.一般的に,標本作成に用いられる濃度は4%とされる.


<参考文献>
— 駒井智幸 2003. In: 松浦啓一 (ed.) 『標本学 —自然史標本の収集と管理—』国立科学博物館叢書. 東海大学出版会, 神奈川県. 250pp.
— 小原ヨシツグ 2016. 『ガタガール①』. 講談社, 東京. 174pp.
Moreau, C. S., Wray, B. D., Czekanski-Moir, J. E. and Rubin, B. E. R. 2012. DNA preservation: a test of commonly used preservatives for insects.
Invertebrate Systematics, 27(1): 81–86.
谷川明男 2007. 日本産コガネグモ科ジョロウグモ科アシナガグモ科のクモ類 同定の手引き. 121 pp. 日本蜘蛛学会 (大阪).
富川光・森野浩 2009. ヨコエビ類 (節足動物門: 甲殻亜門) の描画方法. 広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 58: 27–32.
矢島岳人・山野井貴浩 2018. 小学校理科の授業で役立つ市販の消毒用アルコールジェルを用いた昆虫標本のつくり方.白鴎大学教育学部論集, 12(1). 203–215.
— 山口隆男 (ed.) 1993. 『シーボルトと日本の博物学 甲殻類』. 日本甲殻類学会, 東京.

2019年9月3日火曜日

山口さんち(8,9月度活動報告)


 この夏はウシロマエソコエビを求め,あちこち遠征をしてきました(和歌山愛知など).前回の伊勢湾遠征を「この夏最後」と考えていましたが,せっかくなのでここでもう一息と仕切り直し,未踏の地,山口へと足を伸ばしました.



サイト1


 崩れず,照り過ぎず.天候は申し分ありません.

 やばい.めっちゃ広い.

山口県某所.


 淡い色の,石英優占の粗砂がメインの砂浜です. 

 瀬戸内といえば,自然海岸を求めてさまよった岡山の調査が記憶に新しいところ.山口ではあっさりたどり着きました.岡山のロケハン難易度に比べてだいぶハードルが低いように思います.

 少し知多半島に似ていて,遠浅で海草が根付いた良さげな砂浜ですね.


 そんなに変わった生き物はいません.







 何かしらのヤドカリと何かしらのトウガタガイとカブトガニ…














 カブトガニ?!










 マジかよ.





 博物館の収蔵庫とかで見たことありますが,こうして野外で死骸を見つけたのは初めてです.ちっこい子供とかでも動揺は不可避なところ,いきなり大人でしかも2杯.こわすぎ.

 岡山遠征の折,「笠岡のカブトガニは天然記念物」という記憶が強く脳裏に刻まれており,非常にビビりました.でも,どうやら山口県下では天然記念物になってないらしく,ビビる必要はなかったようです.それにしても,この干潟のどこかに生きたカブトガニがいるとでも…? 


 とりあえずいつもの通り,汀線へと向かいます.


※カブトガニは地域によって天然記念物の指定を受けており,採集など「現状を変更する行為」には許可が必要です.また,長崎県のように,独自に条例を制定して捕獲を禁じている場合もあります.


これは何かしらの背骨.



 ひたすらに LNO を繰り出しますが


マルソコエビ(Urothoe).




クチバシソコエビ(Oedicerotidae).




ドロソコエビ(Grandidierella).





 掘るとオフェリアが多く,あとは何かしらのハゼとワタリガニ.たまにウミナナフシ,稀にクーマ.

 採れない.





 仕方がないので固着物に打撃を.

ユンボソコエビ属(Aoroides).


ドロクダムシ科(Corophiidae).


 驚きのヨコエビリティの低さ.


 砂の中のマルソコエビ密度はなかなかのものですが,磯的環境について特に見処はないようです.

 例のごとくタイムリミットが近づいてきたため潮上決戦に移行します.


 
ヒメハマトビムシの近似種(Platorchestia pacifica).


ニホンスナハマトビムシ(Sinorchstia nipponensis
第1尾肢の外肢に棘状剛毛があります.


 
 ヒゲナガハマトビムシみのある孔は見つかりませんでしたが,分布はしていてもおかしくない.課題とします.





 

サイト2


 未明.28時半.天気は雨.




山口県某所.


 夜に偵察したところパリピが活発に活動していましたが,さすがにこの時間,この空模様,誰もいません.

 打ち上げ物はかなり綺麗にされているようです.


 

 粗砂の浜が続き,リゾートみは感じますが,ヨコエビリティは感じられません.暗いせいもあってなかなか良いポイントがわかりません.

 浜の外れの雰囲気はやや磯っぽく,砂浜の凹凸にもヨコエビリティが感じられてきました.

 おもむろにLNOを繰り出すと


ヒサシソコエビ(Phoxocephalidae). 


 そっちか!


 潜砂性の優占種がヒサシソコエビに寄っているのは,和歌山に似ています.

 ならばもう一声,と周囲を探索したものの,上げ潮により敢えなく撤退.もっと早く始めるべきでした.



 さて,5時半を過ぎたあたりから,浜辺に人が集まりはじめました.
 近づくにつれ,釣り人であることと,ゴミ拾いをしている様子が見えました.



 釣り師のおじさんによると,ここらは6時から9時までの3時間だけ釣りが可能で,それにも幾つか条件があるそうです.
 その一つがゴミ拾いで,釣りが終わった時点で袋一杯にゴミを拾っていないと,ルール違反になるとのことです.ゴミの基準も「土に還らないもの」に限定しているとのこと.
 確かに,腐ったような打ち上げ海草/海藻は除去しているように見えましたが,良い感じにくたびれた植物体はわりと残されており,ニホンスナハマトビムシが見られました.汀線際の新鮮な打ち上げ物のまわりには,Platorchestiaと思われる微小なハマトビの子供たち.なかなか良い状態です.
 そして何より,この釣りルールを全面的に管理・運営しているのが市だというので,その実行力に驚きました.ぜひ全国で発展させてほしい.そして我々も参加できる枠組みになればいいな…


 「パアン」という花火が2回,浜に響くと,汀線に控えていた釣り人たちはめいめいに針を沈めていきました.


これはうまく撮れなかったゴンズイ玉.




 総括.

 ウシロマエソコエビを探る旅は,これにて一旦終わりです.2勝を収めましたが,いずれも細かく生息地を教えて頂いた場所で,自力のGoogleロケハンで突き止めた生息地は皆無です.

 敗因の1つは,アクセサビリティを重視しているため訪れる干潟が限られる点かと.生息情報があるエリアの中で,電車やバスで行きやすい場所を優先しているため,そこが必ずしも生息密度が高いとは限らない可能性.

 もう1つは採集方法の難点.約1mmメッシュの洗濯ネットを使っていますが,粒径が大きい場所ではヨコエビといっしょに砂粒が篩に残り,あまり意味をなしません.また,潮下帯で篩を使う場合,砂を採って持ち上げた時に逃げてしまう可能性がある.潮下帯へのアプローチが甘い中で,土地のヨコエビリティを受け止めきれているだろうか.あと,もしかすると網やバットを黒くすれば視認性が向上するのかもしれない.

 採集スタイルについては,まだ改善の余地があると思います.九州遠征を経て,改めてレンタカー採集の素晴らしさを認識しました.ホテルや宅配便センターとの連携により,大きな荷物を別送して採集に臨むこともできるはず.

 あとはロケハンの眼を養うため,失敗を重ねつつ,何度か同じ場所にアタックして知見を深めながら次の干潟へ行く,という心掛けも大切かもしれません.












2019年8月13日火曜日

東海サマー(8月度活動報告)


 ウシロマエソコエビを探して,近畿や東海を放浪しています.

 もう潮が引かなくなるので,夏の最後のチャンスを伊勢湾に賭けました.

 運命的な出会いがきっと待ってる・・・?



東海地方某所.


 事前に仕入れていた情報では,このへんで採れるとのこと.

 粒が粗い.


 クリークが校庭の砂利のような粗砂で満ちています.あまり見たことのない湿地です.




 岸から一定距離は砂利のような礫のような,潜砂性種狙いの身として扱いにくい底質が続いています.しかしヤドカリはいっぱい.



 ワンドを越えるごとに粒径が変わり,1mm 以下になるところもあります.なるほどこういう感じのフィールドなんだな…




 ワンドの間にはかなりの密度のアマモ場が.打ち上げ物を見ても海藻は少なく,バイオマスにおいてアマモがかなりの部分を占めているようです.

ドロソコ(Grandidierella).

 どこにでもいますね.

 二枚貝を採りに来ている人が多いようです.飽きるほどのマテと,マルスダレガイ科っぽい稚貝が見られました.
 チョロチョロと砂の上をハゼが滑り,スナモグリやワタリガニの子供,クーマ,オフェリア,チロリ,スピオ,スゴカイイソメ,ツバサゴカイなど,少し掘っただけでも砂の中のメンバーは厚いです.顔を出したスゴカイは初めて見た(さすがに撮影はできず).




 しかし,潜砂性ヨコエビは増えず.上げ潮に転じたためガサりに移ります.



ところどころ硬い石や人工物があり,アオサが付いています.



 

ヒゲナガヨコエビ(Ampithoe).




ポシェットトゲオヨコエビ(Eogammarus possjeticus).



メリタ(Melita)とイソヨコエビ(Elasmopus).




 ここまでの所要時間,およそ2時間半.驚くべき歩留まりの悪さ.

 日差しもきついので,潮上決戦で〆めます.


打ち上げられているのはほぼアマモ.  誰も掃除していない感じがGOOD.


 めっちゃおる.

 過去にないくらいのヒメハマ活性です.大人が多い.
 これ夜間に灯火を焚いたら楽しいやろなぁ.ついでにEHT法もぶちきまして…


 やはり海草の打ち上げが続いていることがハマトビリティには重要ということでしょうか.しかし,得られたのはPlatorchestia pacifica





 総括.

 事前情報を得ていながら,目的の成果を得ることができませんでした.伊勢湾はもう少し攻めたいところなので,この自然海岸のヨコエビリティをどうモノにするかが課題です.
 それにしても,ドロソコも,モズミんも,ポシェットタソも,P. pacifica も,本当にどこにでもいるのが驚きです.