2023年11月18日土曜日

文化端脚類学 in 博クリ(11月度活動報告その3)

 

 来年で10年になるという、博物学ひいては蒐集趣味をテーマとした物販交流イベント「博物ふぇすてぃばる」。だいたい夏にやってるらしいのですが、冬には「博物クリスマス」という冬季版が例年開かれているらしく、そこにヨコエビにまつわる品を扱うブースがあると聞きつけ、出かけていきました。


 観光客でごった返す浅草。

 6階で小型動物の即売会があるみたいで、ハシゴする人もいるんだろうなと思いつつ、7階の会場へ向かいます。


 先週のデザフェスと比べてしまうと、だいぶこぢんまりとした会場で、端から端まで全部見れるので見落とし感がないのは嬉しいですね。デザフェス会場で見かけたのと同じ出展者さんのブースも4,5つありました。


 まずお目当てのヨコエビです。

 メンダコのベルの分銅として、ヨコエビがあしらわれているとのこと。メンダコの餌としてはやはりヨコエビがメジャーですね。




 いやもうデザインもそうだけど、音がめちゃくちゃいい。特に気に入った真鍮の大きめサイズを購入しました。

 華やかかつ軽やかで、良いレストランに入ったようなワクワク感を鳴らすたびに味わえる感じ。



 博物画(実物)を扱っているブースを発見。何せよ必要な資料はPDFで手に入る世の中で、已むに已まれず古い原書を取り寄せたこともありつつ、ロマン的なものも感じてきました。前から興味はあったのですが、検索できないのが不便でなかなか手が出ませんでした。今回は商品のボリュームがちょうどよく、また分類群ごとにまとめてくれていたので、わりとスムーズに探せました。

 本命の博物画の中に端脚類はありませんでしたが…

 脇に「タバコのトレーディングカード」という箱が。

 その時まですっかり忘れていたのですが、実に95年前のイギリスでタバコのオマケとして実際に流通してた「トレーディングカード」に、フクロエビ上目があしらわれたものがあったような。

 ソーティングする時なみの集中力で探します。


 おいおい。


 ワレカラさんだ!ほんとにあった!


 第2咬脚と背中に剛毛が多いですね。

 簡単に調べてみたくなりました。ここはどこのご家庭にもある「イギリスの磯生物のハンドブック」でも開いて確認してみましょうかね。



 形態が完全に一致するものは載ってませんが、この中では何となく、Caprella acanthifera がモデルになってる気がしますね。


 端脚類に関してはこんな感じです。

 新旧の文化端脚類的産物を同時に味わえる貴重な場でした。ぜひ今後もアンテナを張っていきたいと思います。



<参考文献>

— Hayward, P. J. 2022. 『Rock pools』. Naturalists' Handbooks 35. Pelagic Publishing, London. ISBN978-1-78427-359-0

2023年11月11日土曜日

文化端脚類学 in デザフェス(11月度活動報告その2)

 

 今やアジア最大級のアートイベントになったという「デザインフェスタ(デザフェス)」に、端脚類モチーフの作品を出展するブースがあると嗅ぎつけ、偵察に出かけました。


いつぶりかの国際展示場

 開場からやや遅らせて到着しましたが、すごい人手です。これだけの人の目に端脚類が触れる可能性があるかと思うと、滾りますね(?)。


 予め目星のブースを選定して移動コースを想定していましたが、実際に会場へ足を踏み入れると人の流れが凄まじく、マークしてなかったブースに魅力的な品があったり、公式HPに記載されていない作家さんの出展を見つけたり、やはり計画通りにはいきませんでした。


捕獲結果(ごく一部)。


 端脚類をモチーフにした品を扱うブースはやはり当初の見立て通りでしたが、等脚類など他の甲殻類については他のブースでもぽつぽつと見つけました。


「かすみそう」さんの消しゴムはんこ(ワレカラほか)。
印影が美しいのもそうなんですが、
削り跡に迷いがなく活き活きとしていますね。


「むせきつい屋さん」さんのクリアファイル(ヨコエビとワレカラ)。
かなりかわいいですが体制はわりと正確ですね。



 マニアックな生物として扱われている状況は変わっていないようですが、そもそもこういった場に上げられる機会すら今までほとんどなかったわけで、かなりの躍進と思えます。

 これまで、ワレカラの革製キーホルダーアカントガンマルスの革製ポーチとか、ダイダラボッチのネクタイピンとか、雑貨が販売されていた経緯がありますが、安定した流通には至っていないようです。今後も繰り返しモチーフとして使われていくとありがたいですね。

 

2023年11月3日金曜日

日本の淡水ヨコエビについて(2023年11月度活動報告)

 

 本邦産淡水ヨコエビの全貌把握と同定には、富川・森野 (2012) という決定版ともいえる文献が著名です。

 しかし、出版から10年が経過し知見が古くなっている部分があるのと、アクアリウム界隈で流通している外産種には対応していないことから、本稿では僭越ながらそういった部分を補いたいと思います。ただ、種の識別キーや種ごとの細かな情報については、富川・森野 (2012) に譲りたいと思います。

※抜け漏れある可能性が高いため、不足あれば随時更新します。



本邦産淡水性ヨコエビ一覧

(2023年11月更新)

 科の配列は Lowry and Myers (2017) に基づく。分布および生息環境の情報は、ことわりのない限り 富川・森野 (2012) によった

 なお、河岸や湖岸の”ガサり”においてしばしばハマトビムシ上科が採集され、淡水性ヨコエビと同じカテゴリとして扱われることもある (金田 In: 石綿・齋藤 2006) が、この類は水から出しても横向きに這いまわるだけでなく身体を立てて難なく歩いたり跳ねたりできることと、「第1触角全長が第2触角柄部長より短い」ことにより、他のヨコエビから識別できる。

 また、本稿では淡水性種として扱っていないが、河川や湖沼では場所により汽水性種が採集されることがある。そういった属としては、例えば次のようなグループが挙げられる:Grandidierella ドロソコエビ属,Melita メリタヨコエビ属,Paramoera ミギワヨコエビ属,Anisogammarus キタヨコエビ属,Eogammarus トゲオヨコエビ属,Jesogammarus オオエゾヨコエビ属。



  カマカヨコエビ科 Kamakidae

  カマカヨコエビ属 Kamaka

  1.  ビワカマカ(ビワカマカヨコエビ) Kamaka biwae Uéno, 1943:滋賀県琵琶湖[固有]【湖】
  2.  マカヨコエビ Kamaka kuthae Dershavin, 1923:北海道;カムチャツカ半島【河川・湖沼】
  3.  モリノカマカ Kamaka morinoi Ariyama, 2007:本州【河川~汽水】 
     

    メリタヨコエビ科 Melitidae

    メリタヨコエビ属 Melita

  4.  チョウシガワメリタヨコエビ Melita choshigawaensis Tomikawa, Hirashima, Hirai, and Uchiyama, 2018 :和歌山県【河川間隙/表層水】(Tomikawa et al. 2018)
  5.   ミヤコメリタヨコエビ Melita miyakoensis Tomikawa, Sasaki, Aoyagi, and Nakano, 2022:沖縄県宮古島[固有]【湧水】(Tomikawa et al. 2022)

     

    アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

    アワヨコエビ属 Awacaris 

  6.  ヤマトヨコエビ Awacaris japonica (Tattersall, 1922):本州,佐渡島【湧水・渓流】
  7.  アワヨコエビ Awacaris kawasawai Uéno, 1971:徳島県,高知県 (Tomikawa et al. 2017)【地下水性】
  8.  モリノヨコエビ Awacaris morinoi (Tomikawa and Ishimaru in Tomikawa, Kobayashi, Kyono, Ishimaru, and Grygier, 2014):滋賀県【地下水性】(Tomikawa et al. 2014)
  9.  タキヨコエビ Awacaris rhyaca (Kuribayashi, Ishimaru, and Mawatari, 1996):北海道,本州,隠岐諸島,長崎県五島列島福江島【河川(回遊性)】

  10.  ツシマドウクツヨコエビ Awacaris tsushimana (Uéno, 1971):長崎県対馬[固有]【地下水】

  11.  エゾヨコエビ Awacaris yezoensis (Uéno, 1933):北海道[固有]【湧水・渓流】


    ミギワヨコエビ属 Paramoera 

  12.  ゴトウドウクツヨコエビ Paramoera relicta Uéno, 1971:長崎県五島列島福江島[固有]【地下水】

     

    カンゲキヨコエビ科 Bogidiellidae 

    カンゲキヨコエビ属 Bogidiella 

  13.  リュウキュウカンゲキヨコエビ Bogidiella broodbakkeri Stock, 1992:沖縄県世論島[固有]【地下水】

     

    マミズヨコエビ科 Crangonyctidae 

    マミズヨコエビ属 Crangonyx 

  14.  フロリダマミズヨコエビ Crangonyx floridanus Bousfield, 1963:本州,四国,九州;米国[原産]【表層水/地下水(篠田 2006)

     

    メクラヨコエビ科 Pseudocrangonyctidae 

    メナシヨコエビ属 Procrangonyx 

  15.  ヤマトメナシヨコエビ Procrangonyx japonicus (Uéno, 1930):東京都【地下水】

     

    メクラヨコエビ属 Pseudocrangonyx

  16.  アカツカメクラヨコエビ Pseudocrangonyx akatsukai Tomikawa and Nakano, 2018:長崎県【地下水】(Tomikawa and Nakano 2018)
  17.  トウヨウメクラヨコエビ Pseudocrangonyx  asiaticus Uéno, 1934:長崎県対馬;中国,朝鮮半島【地下水】
  18.  アスワメクラヨコエビ Pseudocrangonyx asuwaensis Shintani, Umemura, Nakano, and Tomikawa, 2023:福井県[固有]【地下水】(Shintani et al. 2023)
  19.  チョウセンメクラヨコエビ Pseudocrangonyx coreanus Uéno, 1966:島根県,長崎県五島列島福江島,対馬;朝鮮半島
    【地下水】
  20. (和名未提唱)Pseudocrangonyx dunan Tomikawa, Nishimoto, Nakahama and Nakano, 2022:沖縄県与那国島[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2022)
  21.  グダリメクラヨコエビ Pseudocrangonyx gudariensis Tomikawa, Nakano, Sato, Onodera, and Ohtaka, 2016:青森県[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2016)
  22.  コマイメクラヨコエビ  Pseudocrangonyx komaii Tomikawa and Nakano, 2018:岐阜県[固有]【地下水】(Tomikawa and Nakano 2018)
  23.  キョウトメクラヨコエビ Pseudocrangonyx kyotonis Akatsuka and Komai, 1922:京都府【地下水】
  24.  シコクメクラヨコエビ Pseudocrangonyx shikokunis Akatsuka and Komai, 1922:四国【地下水】
  25. (和名未提唱)Pseudocrangonyx uenoi Tomikawa, Abe, and Nakano, 2019:滋賀県[固有]【地下水】(Tomikawa et al. 2019)
  26.  エゾメクラヨコエビ Pseudocrangonyx yezonis Akatsuka and Komai, 1922:北海道[固有]【地下水】

     

    キタヨコエビ科 Anisogammaridae 

    トゲオヨコエビ属 Eogammarus 

  27.  トゲオヨコエビ Eogammarus kygi (Dershavin, 1923):北海道,青森県;沿海州,カムチャッカ半島,サハリン【湖沼・河川】
  28.  イトウトゲオヨコエビ Eogammarus itotomikoae Tomikawa, Morino, Toft, and Mawatari, 2006:北海道[固有]【河川】

     

    オオエゾヨコエビ属 Jesogammarus ― Jesogammarus亜属

  29.  シツコヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarusacalceolus Tomikawa and Kimura, 2021:青森県[固有]【湧水】 (Tomikawa and Kimura 2021)
  30.  ナガレヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarusbousfieldi Tomikawa, Nakano, and Hanzawa, 2017:山形県[固有]【渓流】(Tomikawa et al. 2017)
  31.  オオエゾヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarusjesoensis (Schellenberg, 1937):北海道,東北地方,中部地方【河川・湖沼】
  32.  ヒメヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) paucisetulosus Morino, 1985:関東・東北地方の日本海沿岸【渓流】
  33.  アゴトゲヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarusspinopalpus Morino, 1985:関東地方【河川・湖沼】 
  34.  ミカドヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarusmikadoi Tomikawa, Morino, and Mawatari, 2003:東北地方【渓流】

     

     オオエゾヨコエビ属 Jesogammarus ― Annanogammarus亜属

  35.  アンナンデールヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarusannandalei (Tattersall, 1922):滋賀県琵琶湖[固有]【湖の中層】
  36.  ヒメアンナンデールヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarusfluvialis Morino, 1985:東海地方,近畿地方【湧水】

  37.  ナリタヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarusnaritai Morino, 1985:滋賀県琵琶湖,長野県諏訪湖【湖沼】

     

    ヨコエビ科 Gammaridae 

    ヨコエビ属 Gammarus

  38.  チョウセンヨコエビ Gammarus koreanus Uéno, 1940:長崎県五島列島;中国,朝鮮半島【渓流】
  39. (和名未提唱) Gammarus mukudai Tomikawa, Soh, Kobayashi, and Yamaguchi, 2014:長崎県[固有]【表層水】 (Tomikawa et al. 2014)

  40.  ニッポンヨコエビ Gammarus nipponensis Uéno, 1940:琵琶湖以西の本州,四国,九州,隠岐,壱岐,対馬【渓流】

     

    ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae 

    チカヨコエビ属 Eoniphargus

  41.  イワタチカヨコエビ Eoniphargus iwataorum Shintani, Lee, and Tomikawa, 2022:栃木県蛇尾川【表層水】(Shintani et al. 2022)
  42.  コジマチカヨコエビ Eoniphargus kojimai Uéno, 1955:関東地方【地下水・河川間隙水】
  43.  トリイチカヨコエビ Eoniphargus toriii Shintani, Lee, and Tomikawa, 2022:静岡県瀬戸川[固有]【河川】(Shintani et al. 2022)

     

    ヤツメヨコエビ属 Octopupilla

  44.  ヤツメヨコエビ Octopupilla felix Tomikawa, 2007:近畿地方,四国【河川間隙】

     

    コザヨコエビ科 Luciobliviidae

    コザヨコエビ属 Lucioblivio

  45.  コザヨコエビ Lucioblivio kozaensis Tomikawa, 2007:和歌山県古座川[固有]【河川間隙】


 こうして見ると、2023年11月時点で和名が提唱された形跡のない種がいくつかありますね。今後の進展に期待したいところです。



分類学上の扱いに注意を要する淡水ヨコエビ

  • アンナンデールヨコエビ:20世紀半ば頃まで全国から報告されてきたが、現在は琵琶湖固有種であることが確かめられている。よって、他地域の古い報告はキタヨコエビ科の代名詞のように考えることはできても、種の記録としては採用すべきでないとみられる。なお、富川・森野 (2012) における表記は「アナンデールヨコエビ」とされているが、本稿では種小名の綴りにより近く出版年がより古い Ishimaru (1994) を採用し「アナンデールヨコエビ」とした。
  • サワヨコエビ属:Sternomoera に与えられていた和名。アワヨコエビ属 Awacaris の新参シノニムとして消滅した (Tomikawa et al. 2017) ため、現在は使われない。
  • ヤマトメナシヨコエビ属:Eocrangonyx に与えられていた和名。メナシヨコエビ属 Procrangonyx の新参シノニムとして消滅した (Nakano et al. 2018) ため、現在は使われない。
  • ドウクツヨコエビ属:Relictomoera に与えられていた和名。ミギワヨコエビ属 Paramoera の新参シノニムとして消滅した (Nakano and Tomikawa 2018) ため、現在は使われない。
  • シンヨコエビ科 Neoniphargidae:かつてチカヨコエビ属が含まれていた。チカヨコエビ属の所属変更に伴い本邦未知科となったが、移動先の科(ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae)の和名に転用されたわけではないため注意。
  • ホクリクヨコエビ Jesogammarus (Jesogammarus) hokurikuensis;フジノヨコエビ J. (J.) fujinoi;ショウナイヨコエビ J. (J.) shonaiensis:これら3種は、オオエゾヨコエビの新参シノニムであることが示唆されている (富川・森野 2012)
  • スワヨコエビ Jesogammarus (Annanogammarus) suwaensis:ナリタヨコエビの新参シノニムであることが示唆されている (富川・森野 2012)
  • ハヤマサワヨコエビ Sternomoera hayamensis (Stephensen, 1944) :ヤマトヨコエビの新参シノニムとされている。
  • ミナミニッポンヨコエビ Gammarus sobaegensis:本邦の記録はニッポンヨコエビの誤同定の可能性が指摘されている (富川・森野 2012)
  • キョウトメクラヨコエビ:京都盆地に2系統が共存することが示唆されており、隠蔽種を内包するものとみられる (Yonezawa et al. 2020)
  • 岡山県のメクラヨコエビ属:3個体群が報告されており、このうち1あるいはそれ以上について未記載の可能性があるとされている (末永 2020)



日本の淡水ヨコエビの科までの検索表(外来種・飼育種を含む)

(1)第1~第2腹節後縁に棘状の突出部を具える・・・ヒアレラ属Hyalella[飼育種・アメリカ大陸原産]※和名はマグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会  (1996) による

 — 第1~第2腹節後縁に棘状の突出部を欠く・・・(2)

(2)尾節板は肉厚肥厚する・・・カマカヨコエビ科 Kamakidae

 — 尾節板は薄片状・・・(3)

(3)第3尾肢外肢は先端が裁断形の薄葉状・・・メリタヨコエビ科 Melitidae

 — 第3尾肢外肢は槍状・・・(4)

(4)腹肢は内肢を欠く・・・カンゲキヨコエビ科 Bogidiellidae

 — 腹肢は外肢と内肢を具える・・・(5)

(5)第3尾肢は内肢を欠く・・・メクラヨコエビ科 Pseudocrangonyctidae

 — 第3尾肢は外肢と内肢を具える・・・(6)

(6)頭部の触角洞はほとんど確認できない;第3尾肢は第2尾肢末端を越えない・・・マミズヨコエビ科 Crangonyctidae[外来種・アメリカ大陸原産]

 — 触角洞は明瞭;第3尾肢は第2尾肢末端を越える・・・(7)

(7)尾節背面に刺毛を欠く・・・アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae

 — 尾節背面に刺毛を具える・・・(8)

(8)底節鰓に付属片を具える・・・キタヨコエビ科 Anisogammaridae

 — 底節鰓に付属片を欠く・・・(9)

(9)第7胸脚に底節鰓を具える・・・ヨコエビ科 Gammaridae

 — 第7胸脚に底節鰓を欠く・・・(10)

(10)第3尾肢の外肢は1節からなり、内肢は外肢とほぼ等長・・・コザヨコエビ科 Luciobliviidae

 — 第3尾肢の外肢は2節からなり、内肢は外肢より短い・・・ナギサヨコエビ科 Mesogammaridae 



<参考文献>

Ishimaru S. 1994. A catalogue of gammaridean and ingolfiellidean Amphipoda recorded from the vicinity of Japan. Report of the Sado Marine Biological Station, Niigata University, 24: 29–86.

金田彰二 2006. ヨコエビ類. In: 石綿進一・齋藤和久(編)『酒匂川水系の水生動物~里地・里山の生きものたち~』.神奈川県環境科学センター.

Lowry, J. K.; Myers, A. A. 2017. A Phylogeny and Classification of the Amphipoda with the establishment of the new order Ingolfiellida (Crustacea: Peracarida). Zootaxa, 4265(1): 1–89. 

— マグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会 (編) 1996. マグローヒル科学技術用語大辞典 (第3版). 日刊工業新聞社.

— Nakano T.; Tomikawa K. 2018. Reassessment of the groundwater amphipod Paramoera relicta synonymizes the Genus Relictomoera with Paramoera (Crustacea: Amphipoda: Pontogeneiidae). Zoological Science, 35(5): 459–467. 

Nakano T.; Tomikawa K.; Grygier, M. J. 2018. Rediscovered syntypes of Procrangonyx japonicus, with nomenclatural consideration of some crangonyctoidean subterranean amphipods (Crustacea: Amphipoda: Allocrangonyctidae, Niphargidae, Pseudocrangonyctidae). Zootaxa, 4532(1): 86–94.

篠田授樹 2006. 東京都の湧水等に出現する地下水生生物の調査. 研究助成・一般研究. Vol.28, No.164.

Shintani A.; Lee C.-W.; Tomikawa K. 2022. Two new species add to the diversity of Eoniphargus in subterranean waters of Japan, with molecular phylogeny of the family Mesogammaridae (Crustacea, Amphipoda). Subterranean Biology, 44: 21–50. 

— Shintani A.; Umemura S.; Nakano T.; Tomikawa K. 2023. A new species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae) from subterranean waters of Japan. Zootaxa, 5301(3): 383–396. 

末永崇之 2020. メクラヨコエビ属. In: 岡山県野生動植物調査検討会 (編) 岡山県版レッドデータブック2020動物編. 岡山県環境文化部自然環境課.

Tomikawa K.; Abe Y.; Nakano T. 2019. A new stygobitic species of the genus Pseudocrangonyx (Crustacea: Amphipoda: Pseudocrangonyctidae)  from central Honshu, Japan. Species Diversity, 24: 259–266.

Tomikawa K.; Hirashima K.; Hirai A.; Uchiyama, R. 2018. A new species of Melita from Japan (Crustacea, Amphipoda, Melitidae). ZooKeys, 760: 73–88.

— Tomikawa K.; Kimura N. 2021. On the Brink of Extinction: A new freshwater amphipod Jesogammarus acalceolus (Anisogammaridae) from Japan. Research Square.

Tomikawa K.; Kobayashi N.; Kyono M.; Ishimaru S.; Grygier, M. J. 2014. Description of a new species of Sternomoera (Crustacea: Amphipoda: Pontogeneiidae) from Japan, with an analysis of the phylogenetic relationships among the Japanese species based on the 28S rRNA gene. Zoological Science, 31: 475–490. 

—  Tomikawa K.; Kyono M.; Kuribayashi K.; Nakano T. 2017.The enigmatic groundwater amphipod Awacaris kawasawai revisited: synonymisation of the genus Sternomoera, with molecular phylogenetic analyses of Awacaris and Sternomoera species (Crustacea : Amphipoda : Pontogeneiidae). Invertebrate Systematics, 31(2): 125–140. 

富川光・森野浩 2012. 日本産淡水ヨコエビ類の分類と見分け方.タクサ, 32: 39–51.

Tomikawa K.; Nakano T. 2018. Two new subterranean species of Pseudocrangonyx Akatsuka & Komai, 1922 (Amphipoda: Crangonyctoidea: Pseudocrangonyctidae), with an insight into groundwater faunal relationships in western Japan. Journal of Crustacean Biology, ruy031.

Tomikawa K.; Nakano T.; Hanzawa N. 2017. Two new species of Jesogammarus from Japan (Crustacea, Amphipoda, Anisogammaridae), with comments on the validity of the subgenera Jesogammarus and Annanogammarus. Zoosystematics and Evolution, 93(2): 189–210.

Tomikawa K.; Nakano T.; Sato A.; Onodera S.; Ohtaka A. 2016. A molecular phylogeny of Pseudocrangonyx from Japan, including a new subterranean species (Crustacea, Amphipoda, Pseudocrangonyctidae). Zoosystematics and Evolution, 92(2): 187–202. 

Tomikawa K.; Sasaki T.; Aoyagi M.; Nakano T. 2022. Taxonomy and phylogeny of the genus Melita (Crustacea: Amphipoda: Melitidae) from the West Pacific Islands, with descriptions of four new species. Zoologischer Anzeiger, 296: 141–160.

Tomikawa K.; Soh H. Y.; Kobayashi N.; Yamaguchi A. 2014. Taxonomic relationship between two Gammarus species, G. nipponensis and G. sobaegensis (Amphipoda: Gammaridae), with description of a new species. Zootaxa, 3873(5):451–476. 

Yonezawa S.; Nakano T.; Nakahama N.; Tomikawa K.; Isagi Y. 2020. Environmental DNA reveals cryptic diversity within the subterranean amphipod genus Pseudocrangonyx Akatsuka & Komai, 1922 (Amphipoda: Crangonyctoidea: Pseudocrangonyctidae) from central Japan. Journal of Crustacean Biology, ruaa028. 

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補遺 (15-VIII-2024)
・一部書式設定変更。