2024年4月8日月曜日

ヨコエビがいない(4月度活動報告その2)

 

 科博に行ってきました。


企画展「知られざる海生無脊椎動物の世界」


 3月半ばから開催されているこの展示、チラシからも口コミからも端脚類の噂は聞こえてこない。海産無脊椎マイナー分類群の権化・ヨコエビがまさかハブられているというのか?(権化なのか?)行ってみないとわからないので、現場を確認してみたわけです。


…おや、いません。
 
絶妙なバランス感覚の上に成立しているこの解説。
たしかに”脚”は1節あたり一対だが、”肢”は二対ある。






フクロエビ上目の親戚を表敬訪問。



ヨコエビいました。




 どうやら寄生虫の話題の中の挿絵として登場する以上の役割はないらしいです。ヨコエビ上科っぽい。おそらく鉤頭虫の生活環を意識しているのでしょう。



最後に真理が書かれていた。



 今回一番の目玉は、やはりこのアリアケカワゴカイのシンタイプでしょう。1個体のみの展示ではありますが、十分すぎる。ラベルは本物か、あるいは本物を忠実に複製したもののようです。それにしてもすごい。
 児島湾というのは、埋め立てにより土地を獲得してきた岡山市の成り立ちを端的に表している場所です。湾奥は完全に底質が死んでいて、塩分なんかも昔とはだいぶ違っているのだろうなと思います。現地を訪れた時のことを思い出しながら展示を見ていました。



この冊子、展示内容がぎゅっとまとまってるのに無料です。
正気とは思えないぜ(誉め言葉)。


 展示の中にもありましたが、門の数でいうとむしろ「非海産」「脊椎動物」という動物のカテゴリのほうがマイナーで、「海産無脊椎動物」のほうが遥かに多様で基盤的なんですよね。そういった生物の見方を提案する、ありそうでなかった展示だと思います。
 膨大な数の門を扱う関係で、節足動物門のごく一角を成すに過ぎない我らが端脚目の存在感が薄まっているのは必然といえましょう。ちょっと残念な気持ちもありましたが。


 さて、件のヨコエビ(が含まれる)イラストの右下に注目してほしいのですが、提供は目黒寄生虫館の倉持館長ですよね。ということは、目黒寄生虫館に元図があるってコト…?


ざっと15年ぶりですかね。


 2012年頃に2階の大リニューアルをしたみたいですね。その後も展示内容はこまめに更新されていて、昔訪れた時とはだいぶ違うようです。
 子細に覚えていたわけではないけど、確かに目新しい感じが。

 あの図は、ありませんね。
 昔はあったのかもしれませんが、何しろ当時はヨコエビに従事する前なので、気づくことはなかったでしょう。


クジラジラミを表敬訪問。


 相変わらず無料でやってるとのことで、展示室に人が溢れているというのに売店からスタッフがすぐ居なくなったり、管理の手がちゃんと回っていないようです。あまりにひどいと思ったので、つい感情的になり、募金箱に1000円を突っ込んでしまいました。
 

 まぁ、こういう時もあります。
 

2024年4月1日月曜日

2024年4月1日活動報告

 

 端脚類にまつわる楽曲は以前紹介しましたが、今回は端脚類をコンセプトに含むバンドというのを採り上げたいと思います。


 それは、1970年台からアメリカを拠点に活動した「Pods」(ポッズ)です。

 ジャンルとしてはサイケデリックロックとファンクのブレンドとされ、近未来的なコンセプトを貫いたエレクトリックミュージックの実験者でした。メンバーはオリオン・ガストロポッドマルス・ストマトポッドといった具合に、天体+生物という組み合わせの名前をもち、ルナ・アンフィポッドが端脚類担当ということになります。



[左より] ソラ・アイソポッド(ドラム),ルナ・アンフィポッド(キーボード),オリオン・ガストロポッド(リーダー兼メインボーカル),マルス・ストマトポッド(ギター),メテオ・コペポッド(ベース)


 国内外で有名なのは、1980年に発売された5枚目のアルバム「Stellar Morphology」で、全米200万枚のヒットを飛ばしました。

 また、1985年7月にロサンゼルスで開催されたライブ「Jagged Orbit: Kaleidoscopic Exoskeleton」は、2万人の熱狂的なファンを集めました。この伝説的ライブでは、途中の演出で海産無脊椎動物をモチーフにしたコスチュームをまとったダンサーが登場したことも有名で、その中にはヨコエビっぽいものもいます。


サード・ディスコグラフィー「Ethereal Articulation」(1977年)


 そんな「Pods」ですが、音楽スタイルが時代とマッチせず興行に陰りが出始めたこと、環境活動へのメッセージ性を強めたことで純粋な音楽ファンが離れて徐々に勢いを失い、リーダーのオリオンがスピリチュアルへの傾倒を深めて放浪の旅に出たことが決定打となり、1990年台の早い時期に音楽シーンから姿を消してしまいました。

 しかし、サイケデリックロックのブームが再燃するたび、「Pods」は後の時代の聴衆に再発見され続けているようです。今後も「Pods」の伝説は続いていくのではないでしょうか。
















 というわけで、今年もエイプリルフールでした。ただ、端脚類をモチーフとしたバンドが本当に存在しないとは言い切れないので、今後も捜索は続けていきます。

 なお、本稿の画像作成にはChatGPTおよびCraiyonのサポートを得ました。