2020年1月31日金曜日

俺たち太ひげ海賊団(1月度活動報告)


 堅気のみならずヨコエビストにも敬遠されがちなグループの最たるものが,フトヒゲソコエビ類ではないでしょうか.


 ちなみに,フトヒゲソコエビ類というグループは分類学的には存在しませんが,Barnard and Karaman (1991) で言うところの「細かく分ける必要性は分かるけどとりあえずまとめておきたい広義のフトヒゲソコエビ科」に対応するイメージで用いています.この「古き良きフトヒゲソコエビ科」は紆余曲折を経て,現在では「Lysianassidira(フトヒゲソコエビ小目)」のうち 3上科 32科 194属 1103種 に該当します (Lowry and Myers 2017;WoRMS 2020年1月31日閲覧).


 フトヒゲソコエビ類は多くが腐食性や捕食性を示し,中には木質を分解するものもいます.ヨコエビ類の二つ名としてよく聞かれる「海の掃除屋」を地を行く存在であるとともに,腐肉食のグループについては「動物遺物処理のエキスパート」といえるでしょう.仕事熱心なあまり,かご網に仕掛けた餌を骨だけにしてしまうことから,深海のエビやカニを獲る漁業者からは嫌われています(飯田 2011).
 ちなみに,形態のみならずその生態も非常に多様で,普通に岩場に紛れて生活するものもいれば,魚類に体表寄生するものもいます.


 そんなフトヒゲソコエビ類を特徴づける形態的特徴は,何と言っても伸長した第2咬脚の座節です.他にも,触角が太いとか第2咬脚の指節が小さいとか,色々ありますが,ぶっちゃけ座節だけで色々な種がこのグループに入れられてきた雰囲気すらあります.

 こういった経緯から,内部の分類を理解するのは非常に難しいのですが,今回はひとまず愉快なメンバーをご紹介します.




各科の概説

・基本データはWoRMSに拠った(2020年1月閲覧).
・生態の記述がみつからなかったものは,近縁種から推定して「?」付きで示した.
・属の分類に有用な文献を「同定文献」に示した.


Alicelloidea(ダイダラボッチ)上科

【構成】6科


ダイダラボッチ科 Alicellidae


 世界最大のヨコエビであるダイダラボッチ Alicella gagantea を含みます.ダイダラボッチに関する誤解についてはこちら
【構成】6属16種
【分布】太平洋など
【生態】遊泳性
【同定文献】Barnard and Ingram (1990) 他



Parargissidae科


 なかなかクセの強いヨコエビです.Hyperiopsidae科に含められていましたが,いろいろあってダイダラボッチ界隈にやってきました.体長は50mm程度.
【構成】1属2種
【分布】インド洋
【生態】遊泳性?
【代表的な文献】Barnard (1961)



Podoprionidae科


 第1咬脚が明らかなはさみ形になっていることと,第5胸脚の基節後縁に鋸歯をもつことが特徴です.体長は10mm以上.
【構成】1属4種
【分布】インド洋~地中海
【生態】底生;腐肉食
【同定文献】Horton (2005)



Valettiidae科


 ナマコの腸管内から見つかるそうです.体長は5~25mm程度です.
【構成】1属2種
【分布】極域
【生態】寄生性
【代表的な文献】Thurston (1989)



Valettiopsidae科

 ダイダラボッチ界隈はみんな見た目がわりと似ています.キワモノぞろいのフトヒゲ類の中において,この科は各付属肢はあまり特殊化しておらず,祖先的な印象があります.
【構成】1属12種
【分布】熱帯域
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Lowry and De Broyer (2008)



Vemanidae科


 第1,2咬脚は,互いによく似た亜はさみ形になっています.非常にスレンダーな属です.体長は5mm程度.
【構成】1属4種
【分布】カリブ海など
【生態】遊泳性?
【代表的な文献】Barnard (1964)





Aristioidea(フカゾリソコエビ)上科

【構成】14科



Acidostomatidae科


 Acidostoma属は,種により大顎臼歯部や咬脚の形状が多様です.分類しにくい群の一つです.体長は5~10mm程度. 
【構成】2属11種
【分布】太平洋,極域
【生態】底生?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2012)




Ambasiidae科


 ヒトデについているそうです.種数は少ないですがあまり掘り下げられたことのないグループとおもわれます.体長2~20mm程度.
【構成】2属3種
【分布】大西洋
【生態】寄生性
【代表的な文献】Kaim-Malka (2014)




フカゾリソコエビ科 Aristiidae


 どういうわけかサントメ・プリンシペでは切手のデザインになっています.体長3~8mm程度.
【構成】5属41種
【分布】熱帯~温帯
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010c)



Conicostomatidae科


 第1胸節と底節板が頭部を隠すという特殊なヨコエビです.属によって完全に隠れるのとそうでないのとがあります.体長は3~5mm程度.
【構成】6属18種
【分布】南半球
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2012b)



Derjugianidae科


 単型分類群で記載以来情報が少ないヨコエビです.第1咬脚が亜はさみ形で,第3尾肢が単葉となることで,他のグループから識別可能です.体長は10mm程度.
【構成】1属1種
【分布】北太平洋
【生態】近底遊泳性?
【同定文献】Gurjanova (1962)




Endevouridae(チョッキリソコエビ)科


 第3胸脚がハサミになるという特殊なヨコエビです.若干性的二形がありますが,雌雄どちらも立派な亜はさみ形になります.チョッキリソコエビ属とアシュラソコエビ属を含みます.
【構成】2属19種
【分布】太平洋
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Hughes (2015)




Izinkalidae科


 異形のヨコエビです.第3,4底節板が拡張し,頭部や第1,2底節板を覆います.小顎が退化しすぎて小さな1対だけになり,それが第1か第2か誰にも区別がつかず(たぶん第1),形態分類の限界を突きつけています.体長は3mm程度.
【構成】1属2種
【分布】南アフリカ;オーストラリア
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010c)




Kergueleniidae科


 属内で尾肢の形態が多様です.口器が退化しすぎていて,何を食べているのか研究者に心配されています(?).体長は2~6mm程度.
【構成】2属26種
【分布】広域分布(温帯,寒帯)
【生態】遊泳性?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010d)




Lepidepecreellidae科


 頭部の形態が異常で,頭頂が触角の間に下りてきています.体長は5mm程度.
【構成】1属12種
【分布】オーストラリアなど
【生態】底性?
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010)




Pakynidae科


 フトヒゲソコエビ類では少数派の細身のグループです.日本からは チョウチンソコエビ属 Prachynella の ホソチョウチンソコエビ P. shijiki の報告があります.
 伝統的に”Pachynidae”と綴られてきましたが,2017年に担名属の”Pachynus”が新参ホモニムであることが判明し,新たな名前が与えられています.体長には幅があり3~12mm程度.
【構成】12属37種
【分布】太平洋,南大西洋,南極
【生態】底生
【同定文献】Lowry and Stoddart (2012a)



Sophrosynidae科


 第1咬脚が Rectipalmate あるいははさみ形になります.体長は多様で3~12mm程度.
【構成】1属14種
【分布】世界各地
【生態】底生?
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010b)




Thoriellidae科


 たいへんおかしな形をしています.もはや魑魅魍魎の域に達していると言ってよいでしょう.尾節板を欠き,種によっては第3尾肢まで消失します.パッと見,4属全てが異形で,分布も飛び飛びなので,同じ科と言われて納得するのも難しいレベルです.わりと大きく,体長は20mm程度のものが多いようです.
【構成】5属7種
【分布】南太平洋,大西洋,地中海,南極
【生態】底生
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)






サカテヨコエビ科 Trischizostomatidae


 第1咬脚がねじれて逆さまになっています.爪を引っかけて使っているようで,魚類の体表に付着する様子が観察されています.目を引きやすいグループではありますが,属全体のレビューがされた形跡がないっぽいです.体長は30mm程度.
【構成】1属18種
【分布】広域分布
【生態】寄生性
【代表的な文献】Barnard (1961) ,Freire and Serejo (2004) ,Winfield et al. (2016)




Wandinidae科


 第4底節板が前後に広がり,ホテイヨコエビやタテソコエビを思い起こさせます.体長はやはり2mm程度と小型です.
【構成】2属4種
【分布】南半球
【生態】遊泳性?
【同定文献】Lowry and Stoddart (1990)




フトヒゲソコエビ上科 Lysianassoidea

【構成】12科


Adeliellidae科


 ナマコの体腔内に棲むようです.近年新たな種が見つかる気配があるとかないとか.生態の区分としては,捕食者と腐食者の間に位置すると理解されているようです (Lowry and Myers 2017).体長は5~10mm程度.
【構成】1属3種
【分布】熱帯
【生態】底生?
【同定文献】De Broyer (1975)



Amaryllididae科



 美麗種が多いことで知られます.オーストラリアで切手のデザインになっています.ネコゼヨコエビ類と近縁な属を含みます.体長は種により20mmを超えます.
【構成】2亜科8属37種
【分布】世界各地
【生態】底生/遊泳性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2002a)



Cebocaridae科


 特異的な生態をもち,深海エビが抱卵する卵に紛れて生活していると言われています.構成属の名前がやたら紛らわしいことで有名です.体長は10mm程度.
【構成】4属15種
【分布】熱帯ほか
【生態】寄生性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)


 ネコゼ界隈の属名があまりに煩雑なので表を作りました.



amaryllis
cephalus
cyclocaris
cyphocaris
Bathy-
Amaryllididae
Crybero-
Cebocaridae
Cebocaridae
Meso-
Cebocaridae
Cebocaridae
Meta-
Cebocaridae
Cebocaridae
Para-
(シノニムとして抹消済)
Cebocaridae
Pro-
Cyphocarididae
Pseudo-
Amaryllididae
Wandinidae













 Paracyclocaris は現在無効な属のようですが,あとは健在です.




Cyclocaridae科


 やたら眼の大きなネコゼヨコエビ類です.深海の典型的な腐肉食者のようです.
【構成】1属4種
【分布】大西洋ほか
【生態】近底遊泳;腐肉食性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2011a)




ネコゼヨコエビ科 Cyphocarididae

 

 ヨコエビはだいたい猫背ですが,胸節の一部が前方へ角のように張り出すという,とんでもないデザインのヨコエビです.第5胸脚の一部は有り得ない感じで後方へ伸びています.わりと大きく,体長は種によって50mm程度になります.
【構成】2属18種
【分布】太平洋ほか
【生態】遊泳性;捕食性
【同定文献】Sorrentino et al. (2016)




Eurytheneidae(オキソコエビ)科


 体長90ミリ越えがデフォの巨大ヨコエビです.
【構成】1属8種
【分布】広域
【生態】近底遊泳性
【同定文献】d'Udekem d'Acoz and Havermans (2015)


オオソコエビ科 Hirondielleidae


 数々の伝説をもつ深海ヨコエビです.耐圧性能,セルロースを一発でグルコースに分解できる高機能セルラーゼ(JAMSTECのHP),アルミニウムシールド(Kobayashi et al. 2019)など,異世界転生しても手に入らなさそうなチートスキルばかりです.体長は50mm以上になることがあります.
【構成】1属20種
【分布】広域
【生態】腐肉・腐朽食性
【同定文献】Lowry and Stoddart (2010a)



フトヒゲソコエビ科 Lysianassidae


 最近すっかり影が薄くなりましたが,担名科です.数ミリから数十ミリまで体サイズは多様です.属ごとにレビューされることはありますが,この規模の科になってから,包括した分類の論文はないように思います.形態は多様で,掘れば掘るほど絶望が濃くなります.
【構成】2亜科29属132種
【分布】広域
【生態】腐肉食/捕食?
【同定文献】Lowry and Kilgallen (2014a) ;Kim and Hendrycks (2013);Kilgallen and Lowry (2013) ;Lowry and Stoddart (1983) ;Sorrentino et al. (2019) 他



Opisidae科


 日本からも記録がありますが,和名は提唱されていないようです.これまでに軟骨魚類に付着している様子が観察されています (Benz and Bullard 2004).体長は5mm以下のものが多いそうです.
【構成】4属28種
【分布】広域
【生態】寄生性
【同定文献】Stoddart and Lowry (2010);Nakahara-Nakano et al. (2016)




Scopelocheiridae(クツミガキソコエビ)科


 第1咬脚前節の先端はひさしのように突き出て,ブラシのように剛毛が密生します.ちなみに,Paracallisoma ハミガキソコエビ属というのもいます.
【構成】2亜科12属25種
【分布】広域
【生態】近底遊泳;腐肉食性/捕食性/寄生性?
【同定文献】Kilgallen and Lowry (2015)




Tryphosidae科


 フトヒゲソコエビ類最大のグループです.形態は多様でカオスを極めていますが,第3尾肢外葉が2節になるという形質は全ての属に共通しています.これでかなり多くのグループと識別できますが,フトヒゲソコエビ科(Lysianassidae)にも同様の特徴をもつ属があるため分類には注意が必要です.種によって,第5胸脚基節に発光器を持つようです.動物遺骸の分解者や捕食者として理解されていますが,中には沈木生態系のメンバーとなる者もいるようです (Corbari and Sorbe 2015).体長は15mm程度のものが多いようです.
 実はわたくし,某文献でこの科の和名提唱を画策しており,今年中にはお目にかけることができると思います.お楽しみに.
【構成】42属379種
【分布】広域
【生態】腐肉食性/腐朽食性/捕食性
【同定文献】Kilgallen and Lowry (2014) 他



Uristidae科


 咬脚の形状で他と分けられたグループです.その後,例外的なグループが幾つか追加されており,非常にめんどくさいです.削り取った肉片を口の中に押し込むために,第1小顎外葉の歯状剛毛配列が冠状になっているそうです.大きなものでは体長が20mmを越えるようです.
【構成】26属181種
【分布】世界各地
【生態】腐肉食性
【同定文献】Lowry and Kilgallen (2014c)



フトヒゲソコエビ上科 Lysianassoidea incertae sedis(所属不明群)


 Ambasiopsis属,Gainella属,Stenia属の3属5種が,いずれの科にも属さないはぐれ者とされています.それぞれの記載を参照して分類することになりますが,図がなかったりして辛い文献もあります.




 次回は簡単・便利・正確な科の同定方法を模索する予定です.おたのしみに.



(おまけ)

 科の列挙だけでは何だか物足りなかったので,日本語の二又式検索表を作ってみました.圧倒的フトヒゲビギナーなのと,二又検索表については否定的な立場を取っているのであまり出来は良くないかとは思いますが,フトヒゲ全科の日本語のKeyも珍しいと思いますので,参考程度にご査収ください(二又検索表そのものは好きです).

1.尾節板を欠く・・・Thoriellidae科
— 尾節板を具える・・・2

2.頭頂が発達して前方へ尖り,左右の触角の間に板状の構造となって下垂する;第1咬脚は単純形で,指節は糸状・・・Lepidepecreellidae科
— 頭頂が板状となって触角の間に入ることはない;第1咬脚の指節は角状あるいは爪状・・・3

3.第3尾肢に副肢を欠く・・・4
— 第3尾肢は単葉あるいは副葉・・・6

4.第1咬脚ははさみ形・・・Derjugianidae科
— 第1咬脚は単純形・・・5

5.尾節背面は平滑・・・Kerguelenidae科
— 尾節背面は明瞭に隆起する・・・Conicostomatidae科

6.第1~4底節板は深く各胸脚の基節を覆う程度まで拡大し,複眼に被る程度まで前方へ張り出して頭部を覆う・・・7
— 底節板は浅く基節を覆わない,深い場合も複眼には被らない・・・10

7.尾節背面は平滑・・・8
— 尾節背面は変形が著しく,明瞭に隆起する・・・9

8.大顎臼歯部は剛毛を密生した薄片状・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Acidostomatidae科

9.第2,3,4底節板が特に大きく,前方へ拡張し,第1底節板および頭部を包み込む;小顎は極めて退化的(1対しかない)・・・Izinkalidae科
— 第1底節板が拡張して頭部を覆う;小顎は通常(2対ある)・・・Conicostomatidae科

10.第4底節板は大きく,前縁は丸みを帯びつつ鋭角に突出して,第1底節板に達する・・・11
— 第4底節板は他と同程度の大きさ,あるいは前方へ拡張しても第2底節板を超えず,第1底節板に迫る場合も前縁は直線的・・・12

11. 胸節背面に長いトゲがある・・・Parargissidae科
— 胸節背面は平滑・・・Wandinidae科(Wandin属)

12.第1咬脚は捻じれて逆向きの亜はさみ状となる;第2底節板の前縁が鋭角をなして前方へ突出し,第1底節板を覆う・・・Trischizostomatidae サカテヨコエビ科
— 第1咬脚は捻じれない;第2底節板は第1底節板に重なる程度,覆うほど発達する場合は第3底節板以降も拡張する・・・13

13.第1~4底節板の一部(第1のみ,または第1~2,あるいは第1~3)が,他より明らかに小さい・・・14
— 第1~4底節板は同程度の深さ,または徐々に大きくなる・・・26

14.第1~3底節板は小さく,第4底節板の半分程度の深さ・・・15
— 第1底節板のみが他より小さいか,第1,2底節板が第3,4底節板より明らかに小さい・・・16

15.尾節板に切れ込みがある・・・Cyphocarididae ネコゼヨコエビ科(Cyphocaris ネコゼヨコエビ属)
— 尾節板は癒合する・・・Wandinidae科(Pseudocyphocaris属)

16.第1,2底節板は,第3,4底節板の半分程度の深さ・・・17
— 第1底節板のみが小さい・・・20

17. 第3~4胸脚(あるいは第3~5胸脚)は把握器状・・・Cebocaridae科
— 第3~5胸脚は単純形・・・18

18. 大顎臼歯部は円柱形・・・Cyphocarididae ネコゼヨコエビ科(Procyphocaris属)
— 大顎臼歯部は薄片形・・・19

19.第1小顎に髭を欠く・・・Amaryllididae科(Devo属)
— 第1小顎に髭を具える・・・Cyclocaridae科

20.第1小顎に髭を欠く・・・Amaryllididae科(Devo属以外)
— 第1小顎に1節かそれ以上の節数からなる髭を具える・・・21

21.第1咬脚は単純形・・・Aristidae科
— 第1咬脚は亜はさみ形かはさみ形・・・22

22.第1咬脚は亜はさみ形・・・23
— 第1咬脚ははさみ形・・・25

23.第1咬脚の指節は長く,亜はさみ形・・・Hirondielleidae オオソコエビ科
— 第1咬脚は指節が短く,小さな亜はさみ形・・・24

24.大顎臼歯部は単純形・・・Eurytheneidae科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Ambasiidae科

24.第1咬脚は指節と前節がそれぞれ弧を描いて先端のみが接しており,ヤットコに似たはさみ形を呈する・・・Opisidae科(Opisa属)
— 第1咬脚は,指節と前節が真っすぐ伸びる通常のはさみ形・・・25

25.大顎臼歯部は単純形・・・ Podoprionidae科
— 大顎に臼歯部を欠く・・・Uristidae科(Euonyx ツマミソコエビ属)

26.第3胸脚は亜はさみ形・・・Endevouridae科
— 第3胸脚は単純形・・・27

27.第1咬脚はRectipalmateあるいははさみ形で,前節は伸長し,腕節は著しく圧縮される・・・Pakynidae科
— 第1咬脚は単純形,亜はさみ形,はさみ形などを呈し,腕節は通常・・・28

28.第1咬脚前節の前縁は庇状に突出し,指節は庇の下に隠れて退化的,前節の終端はしばしば剛毛を密生してブラシ状となる・・・Scopelocheiridae科
— 第1咬脚前節の前縁は庇状に突出しない・・・29

29.顎脚外葉は薄く拡張し,髭を完全に覆う・・・Opsidae科(Normanion属,Podoprionella属,Podoprionides属)
— 顎脚外葉は髭と同じ長さか,それより小さい・・・ 30

30.第2触角は丁字(あるいはY字)状を呈し,柄部第5節前縁が伸長して節の途中から鞭部が生じる構造となる・・・Lysianassiade フトヒゲソコエビ科(Tantena属)
— 第2触角は直線的・・・31

31.第3尾肢外葉は1節・・・32
— 第3尾肢外葉は2節・・・36

32.大顎臼歯部は単純形・・・33
— 大顎臼歯部は薄片状あるいは痕跡的な隆起のみになるか,完全に消失する・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科

33.大顎切歯部は鋸歯状・・・Alicellidae ダイダラボッチ科
— 大顎切歯部は平滑・・・34

34.第1咬脚は単純形,第2咬脚は小さな亜はさみ形かParachelate・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科(Aruga属)
— 咬脚はいずれも亜はさみ形・・・35

35.第1小顎は先端部のみ剛毛を具える・・・Valettidae科
— 第1小顎の内葉に剛毛を密生する ・・・Valettiopsidae科

36.第1咬脚は単純形・・・Lysianassoidea フトヒゲソコエビ上科(Lysianassidae フトヒゲソコエビ科,Uristidae科)
— 第1咬脚は亜はさみ形,あるいははさみ形・・・37

37.第2咬脚は掌縁と後縁がほぼ同長の亜はさみ形,底節板は浅い・・・Vemanidae科
— 第2咬脚は典型的な亜はさみ形ではない,底節板は深い・・・38

38.大顎臼歯部は円柱形・・・39
— 大顎臼歯部は薄片状または退化的,あるいは消失する・・・42

39.第2咬脚の掌縁は斜走し,後角が明瞭な鋭角をなす亜はさみ形(あるいは,微小なはさみ形)・・・Lysianassoidea フトヒゲソコエビ上科(Lysianassidae フトヒゲソコエビ科,Tryphosidae科,Uristidae科)
— 第2咬脚の掌縁は斜走しない・・・40

40.第2咬脚はParachelateで,掌縁は短く,後角に小さな前向きの突起を具える・・・Adeliellidae科
— 第2咬脚は掌縁が不明瞭な亜はさみ形・・・41

41.第2咬脚の指節は明瞭に前節の幅より長い・・・Lysianassidae フトヒゲソコエビ科(Douniaella属)
— 第2咬脚の指節は前節の幅より短い・・・Uristidae科(Caeconyx属,Uristes属,Ventiella属など)

42.大顎に臼歯部を欠く・・・Sophorosynidae科
— 大顎臼歯部は薄片状(あるいは舌状)となる・・・Uristidae科




<参考文献>
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補遺 (15-VIII-2024)
・一部書式設定変更。