端脚類は,日本においてかなり古くから認知されていたことがわかっています.
ワレカラは言うまでもありませんが,ヨコエビの中にも半ば伝説として扱われているものがいたりします.
それが,Acanthocephalocaris pelagicus です.
Acanthocephalocaris属は本種のみを含む単型分類群で,単独で Acanthocephalocaridae科を形成します.この科は今日に至っても分類学的地位は確立されておらず,端脚目の中で所属不明群となっています.
全身に凹凸が多く,体節背面や各付属肢に細かい筋状の隆起があります.体長に比して頭部がとても大きく,頭頂は丸みを帯び,頭部背面の半ばには垂直に伸びる鋭い棘が2本あります.複眼はほぼ円形で,その周囲が菱形にへこんでいます.第1,2触角は互いによく似通っており,柄部が著しく縮退する代わりに,鞭部は身体に近い長さまで伸長し,各節に1~3列の長剛毛が環状に配列します.この特徴的な触角は遊泳生活に役立っているものと推測されますが,構造上あまり力強く動かすことはできないため,確かなことはわかりません.
第7胸脚は幅広く発達し,前節は前縁と後縁の終端がそれぞれ突出しています.
腹節はかなり圧縮されていますが,各腹肢はまあまあ発達しています.
第3尾肢は退化し,肉厚の尾節に第2尾肢が付随し,第3尾肢とあわせて尾節全体が三つ又のように見えます.
Acanthocephalocaris pelagicus |
本種は,戦前に欧州の研究者が東洋(おそらく日本)で採取した標本をもとに記載されましたが,タイプの所在も定かではなく,現在はこの妖怪みたいな原記載の図しか残されておらず,伝説的な存在です.
さて,この姿,どこかで見たことはありませんか?
ちょっと向きを変えてみましょう.
ん?
お前,アマビエじゃねぇか.
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というわけで,エイプリルフールでした.
「アマビエ」は,このところネットで話題になっている江戸時代のUMAです.どうやら疫病が流行した時は,アマビエの姿を描いて頒布することが推奨されているようです(疫病が退散するとは言ってない).
なお,ちょうど本稿ができあがったころ,九大博物館がジョークツイートをしていて考えることは同じだなぁと思いました.ちなみにこれはヨコエビではなくハコエビの化石です.
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