突然ですが、書籍をご紹介します。
魚の頭部に寄生するカイアシ類や、口の中で暮らすウオノエ類、
吸血するムツボシウミクワガタ、保育をするオニナナフシ類・・・・・・、
著者が世界で初めてとらえた、謎に満ちたモンスターたちを大公開!!(カバー表紙紹介文より)
激萌え!そして渋い!
そんな書籍が刊行されたとのことで、そういえばNob!!さん(著者の齋藤暢宏さん)こないだそのようなことを言ってらしたなと思いつつ、シャコパンチのごとき早業にて注文ボタンをクリックいたしました。
表紙がウオノエさんコンニチワという衝撃 |
数千種もの生物が生息する東京湾のすぐ先にある伊豆大島の、身近な海にいながら、知られざる存在である小さな生物、寄生生物や共生生物たちは、その不思議な生活ぶりで、生態系の中で海を支える存在となっている。
年間500本の潜水観察と卓越した撮影技法によって、寄生・共生生物と特徴的な生態をもつ生物たちの、知られざる姿と驚きの生活ぶりを伝える。(カバー裏表紙紹介文より)
な、なんか、生態系を捉える視点をもちながら伊豆大島のフィールドにこだわって写真を撮りまくった感じですかこれは・・・! Think globally, act locallyを地で行くようなやつですか! しかもフクロエビ上目に最大フォーカスとか攻めすぎでは?!
届いてびっくり、これハードカバーですね・・・ 本棚から何度抜き差ししても、よれる心配はありません。
読み進めると、途中で多少前後することはあるものの、橈脚類,等脚類...といった具合にだいたい分類群ごとにブロック分けがされていて、解説文や学名表記にも分類学と生態学の精神が隅々まで行きわたった構成に胸が躍ります。
そして鮮やかな写真の応酬。「ええっ、そんなとこを!?こんなになるまで??(意味深)」と思わず目を覆った指の間からこっそり凝視したくなるようなアヤシイ写真が惜しげもなくコラムを挟みながら87pにわたって敷き詰められている。
ちなみに、ありがたいことに築地書館のホームページにて少しサンプルが読めます。しかもカラー!神か!仏か!!
そして予想外というか目を疑うほど驚いたのがなんと、ヨコエビが学名つきで12種も掲載されている!!!
これは事件です。
いや、裏表紙に小さくテングヨコエビがついてたのでまさかとは思ったんですが・・・
「寄生・共生」と銘打たれているだけあって、ヤギやカイメンに住むちょっとマニアックなヨコエビ,そして伊豆大島のスノーケリングというロケーションならではのちょっとエキゾチックな色彩のヨコエビ,同種や異種間の関係が面白いヨコエビ、いずれもそこらの普通の図鑑ではお目にかかることはできないし、論文でもここまで生態写真を堪能できるものは少ないし、そもそも日本語の出版物において質的にも量的にもここまでヨコエビが充実しているものはお目にかかったことがないです。というか裏表紙にカラーのヨコエビの写真が使用されている本というのもそうそう出合えるものでは(もうこのへんで)
あまりの出来事に取り乱しつつ、通読してみて、どうしてもツッコミたいとこがありまして・・・ 大したことではないんですが・・・ できるのなら伝えてしまいたい、でも伝えられない・・・
・・・やはりツッコませて頂きます
タイトルが内容とちょっと違う!?
寄生,共生いずれでもなさそうなものについて、「これタイトル的にどうなんや」とちょっと思いました。貴重な育児の写真も目白押しなので、本題(タイトル)から外れた感じになってるのは非常にもったいない!
まあ、そんなのわりとどうでもいいくらい圧倒的な、モンスターたちの競演がぎゅっと詰まっています。これらのモンスターがどうやって海を支えるのか?基盤生物としての小型甲殻類の地位についても、しっかりと解説がございます。
コラムもなかなか楽しい。学問の匂いを感じられる良書です。
夏休みの課題図書にしようよ(おいおい)
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返信削除僕のような素人はやはり見た目から入ってしまうので、カラーのヨコエビやドロノミが沢山掲載されている本ということで、とても面白くほのかにトキメキましたね。笑
返信削除素人でも使えるハンディタイプの「磯のヨコエビ図鑑」みたいなのはないのでしょうかね?^^;
実はnobさんと親交がありまして、先日お会いしたときに、タイトルについては出版側の意向もあり、大人の事情的な極めてバランスをとった判断でそうなったと聞きましたよ(^^)
コメントありがとうございます。ヨコエビは図鑑はおろかジャーナルでも十分な知見があるとは言い難いですが、こうして美しい写真が出版されるのはとても良いですね。
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