2016年からずっとやってる、ヨコエビの新種記載を目指す営みの記録です。このたび無事「受理」となりましたので、このシリーズもやっと終幕となります。
過去の経緯はコチラ。
I(立志篇);II(救済篇);III(解剖篇);IV(研鑽篇);V(調布篇);Ⅵ(散財篇) ;Ⅶ(描画篇)
当初は1,2年で論文を出す心積もりでいましたが、もう4年です。
文章量や描画の枚数でいうと、最初の1年半で7割くらいは出来ていました。ここからが長かった。
私はこれまで、筆頭著者として学術論文を書いたことがありません。
卒研結果を学会発表した時は、ポスターでした。去年出版された Crustaceana の報告 (齋藤・小川 2019) は原著論文ですがコレスポではありません。某同好会誌には、単著で2本ほど出したことがありますが、邦文ですし当然査読のある雑誌ではありません。
そして当然、今回は初の記載論文ということになります。
ヨコエビの記載論文は結構読んでいるつもりでしたが、実際に論文を仕上げる前提で勉強をしてみると、論文の構成がどうなっているか、あまりというかほぼ関心を向けてこなかったことに気付きました(スケッチについてもこんなことを言った気がしますが)。受け手側にいるだけでは分からないことがたくさんあることを痛感しました。
記載論文を作るにあたって、我が師匠から教わったことと、近年復刊して話題となった『種を記載する』(以下,ウィンストン 2008)の内容は、欠くことができませんでした。また、科学論文の書き方の基礎については、師匠から勧められた『理科系の作文技術』(以下,木下 1981)を大いに参考にさせて頂きました。
その他、論文の書き方について、なかなか熱のこもったサイトを見つけて読んでみました・・・が、覆面なのが頂けません。お時間ある方は読んでみてください。
今回は、こういった知見と既往研究の実例を踏まえながら、記載論文を書いてみて感じたことなど書き連ねてみたいと思います。分類学的な意味での「命名行為」だけでなく、ただ単純に「名前を付ける」営みについても思うところを書いてみます。
なお、今回は論文が無事に通ったので結果オーライということで私の方法に妥当性があるものと確信してこの記事を公開していますが、全部が全部常に正しいとは限らないので信じ込まないようにして下さい。
まず投稿規定を読め
最初にやるべきは、投稿先に狙いを定めること。そして、投稿規定を確認することです。「テクニック云々以前にルールが大事」です。
種の記載なので、当然ながら国際的なアクセサビリティが担保されているなど、考慮すべきポイントが色々あります。よく記載が行われている学術誌から選ぶと良いでしょう(ヨコエビが記載されがちな学術誌はこちら)。
今回記載するのは東京湾の浅場にいる種なので、国内で無料で読める敷居の低さも欲しいところ。
そんな感じで選びました。
投稿規定には、投稿にあたって守るべきことが書いてあります。ファイル形式や、文章として成立するか、などなど。そのレベルのルールすら守れない原稿は査読前に返ってくるようです・・・当然ですね・・・
また、論文には分野などによっていくつかの論文スタイルがあります。APAスタイル,MLAスタイルは有名ですが、他に AMAスタイル、シカゴスタイル、NLMスタイル など様々あり、該当する様式を把握しておく必要があります。
今回ターゲットとする学術誌は「Council of Science Editors (CSE)」スタイルを踏襲しており、基本ルールの参照元としてケンブリッジ大学出版の書籍が指定されていました。しかし、こちら800pにおよぶ大著らしく、たぶん個人で買うものでなく、研究室に置いてあったりするものと思われます。
とりあえずこの本は買わずに、投稿規定を熟読して臨みます。
そして命名規約を読め
記載論文を書くにあたって押さえなければいけないルールとして、「国際動物命名規約 International Code of Zoological Nomenclature(以下、規約)」があります。
規約は、種~科の取り扱い全般に(一部の条項はその上の分類階級にも)適用されます。これに準拠しない論文は学術誌に載らないか、載ったとしても後の研究者に要らない仕事を残すことは必定です。
日本分類学会連合が正文日本語版PDFを公開していることはよく知られていますが、これは2005年に更新されたバージョンの第四版です(2020年2月現在)。規約そのものは追補としてちょくちょく修正が加えられており、動物分類学会の出版物等を通してそれを知ることができます。「過去の学名をどのように扱ったらよいか」といった部分は、純粋な記載行為とはほとんど関係ないかもしれません。しかしながら、命名行為に臨む以上、最新の規約の内容は把握すべきです。
実際に、2019年から2020年に出されたヨコエビの論文の中に、先取権や記載の要件に関して不適切であるとして、該当箇所の修正 (Lowry and Myers 2019; Lowry et al. 2019) や記載のやり直しがなされたもの (Ortiz et al. 2018, 2020) もありました。これらはいずれも実績ある研究者の論文ですので、私のようなペーペーはより一層の注意が必要でしょう。
ちなみに、件の「記載のやり直し」は、Zoobankの番号を取得していない瑕疵によるものでした。今回私が投稿した学術誌は編集部が番号を取得してくれるので、著者は何もしなくていい旨が投稿規定に明示されていました。あんしん。
また、規約の勧告16.Cにあるように、記載に使用したタイプ標本は適正に管理され、後世の人間が参照できる状態に維持されねばなりません。新種の記載に着手する際に、少なくともホロタイプだけはそれなりの機関への供託ができる根回しが必要です。今回は諸々大変お世話になった国立博物館と、タイプロカリティの地元の県立博物館の2カ所にわけて、記載に使った標本を供託することにしました。
言い回し
とにかく論文を読みまくることが大切、という話をよく聞きます。
論文の言い回しもやはり時代により変わるので、出来る限り最新のものを読みまくるべきでしょう。
当初は、ターゲットとなる雑誌の中で、上位分類群の議論を伴う内容で、尚且つ英語ネイティブが書いているものにこだわって読もうとしていました。しかし、いかんせん日本の雑誌なので非常に歩留まりが悪いことに気付き、著者を問わず読むようにしました。
あとはこのような語の使い方。当たり前ですが読む時より気を遣います。
- Although
- However
- Nevertheless
- Accordingly
- Because
- Hence
- There by
- Therefore
- Thus
(※詳細な使い方についてはここでは論じません)
英語力が地面にめり込んでいる私ですが、中高の英語教育では扱われない電信体(テレグラフ)構文を身に付ける必要も生じてきました。散々読んできた記載文はそれで構成されていますし、凝った表現やひねった言い回しが排除されるという部分では救われます。
英作文については、若手ヨコエビストから Coyle and Law (2013) という参考書を教えてもらい、大変勉強になりました。文系のレポートも含め「研究論文」に関する普遍的なルールやノウハウを丁寧に解説しており、例題やエクササイズを活用して自学ができるようになっています。
また、執筆が終わった後ですがこのようなnoteを発見しました。英語の構成を日本語で解説している面白い文章で、日本語にしても英語特有の話の組み立て方などが伺えるかと思います。
全体の構成
よく「IMRD(イムラッド)」と言ったりしますが、慣例や定型に従って組み立てたいと思います。
骨組みの設計にあたり、想定する投稿先の学術誌に掲載された過去の記載論文を元にしようかと思ったのですが、これがそう簡単でもないことに気付きました。
例えば、
1. 導入
2. 系統学
2-1. 調査標本
2-2. 判別文
2-3. 記載文
2-4. 命名学
2-5. 所見
2-6. 生息地
2-7. 分布
2-8. バリエーション
2-9. 生時の色彩
3. 謝辞
4. 引用文献
といった論文もあれば、
1. 導入
2. 材料と方法
2-1. 採集および形態学的検討
2-2. 調査標本
2-3. 記載文
2-4. 走査電子顕微鏡での観察
2-5. 塩基配列
2-6. バリエーション
2-7. 命名学
2-8. 分布
2-9. 所見
3. 属内の検索表
4. 謝辞
5. 引用文献
といった論文もあります。
別の学術誌も含めて、2019年の実績を中心に、過去のヨコエビ記載論文の構造をまとめてみました。過去2年で投稿数の上位を占める学術誌(Zootaxa,Zookeys,European Journal of Taxonomy,Species Diversity,Journal of Crustacean Biology)は押さえてあります。
(左列)記載行為が行われているセクションにアスタリスクを付記した。 (右列)記載行為が含まれるセクションの内訳を示した。 ※性別ごとに記された記載文を「Description」にまとめるなど、 部分的に表記を変えている箇所があります。 |
同じ学術誌でも、著者によって構成が変わってくることがお分かりいただけると思います。分類群の状況による変動を差し引いても、かなり流動的といえるでしょう。
大枠では、記載文はマテメソと考察の間にあり、結果に含まれる(あるいは代わりの項目を立てる)という共通点が見られます。
投稿規定には「純粋な記載であればマテメソ・結果・考察を適宜まとめていい」と書かれていますが、それをマテメソと題するかどうか、その中に記載を入れるかどうかは指示していないようです。
こういうのはもしかしたら大学院とかの授業であるのかもしれませんが、何しろ当方は学部で終わっていますので、体系的に学術論文の書き方を習ってはいません。自力で当たって砕けろ的な勉強法になります。今回はマテメソ→分類という章立てとして、分類パートの中に記載と所見を入れることにしました。
タイトルページ
「タイトル」「著者名」「著者の所属」「ランニングタイトル」を決めます。
近縁の種の記載や、同じ雑誌の過去の論文などを見ていれば、タイトルやランニングタイトルはスムーズにつけられると思います。個人的には「新種の記載であること」「種~科名(綱・目)」「産地」などの情報をタイトルに入れたほうがよいかと思います。
所属については、私の場合は順当にいくと社名を書くことになります。しかし、何となく弊社からNGが出そうな予感がしました。かといって直接聞いたら藪蛇になるかとも思い、所属名として使わせてもらえる団体をみつけてそこに入りました(後からそれとなく確認してみましたが,やはり弊社は論文の所属に会社名を使いにくい状況にあるようです)。ちなみに、甲殻類の在野研究者として大大先輩にあたるS社のS氏は、「会社に特に断りなく名前を使って十年以上になるがトラブルになったことは無い」らしいです。会社によって様々かと思います。
アブスト
アブストラクト abstract。要旨、要約などと言われます。
有料の雑誌でもアブストは無料で公開されるので、論文の自己紹介と考えたほうがよいかもしれません。
個人的には、「アブスト」に「新種名」と「簡単な特徴」くらいの情報は欲しいです。ある意味目次のような役割もあるので、「形態分類」「分子系統解析」「文献調査」 など、研究手法の紹介は入れておきたいところ。また「属の検索表」など,記載を構成する要素以外に盛り込んだ内容があれば、積極的に示すべきでしょう。語数などが指定されますので、あまり冗長ではいけませんが。
また、研究の要点を示すため「アブスト」の後ろに keywords の項があります。あくまで補助的な部分なので、ここに入れる単語はタイトル等に用いられているフレーズとダブらないよう注意が必要です! !
イントロ
イントロダクション Introduction。導入、緒言とも言います。
研究背景を述べます。分類の論文では、属や科の研究過程を紹介することになるかと思いますが、シノニムリストで事足りる部分は省略し、今回の記載の意義に直接関係ある部分を述べたほうがよいでしょう。
「導入」は時系列的に「結果」より前に位置するため、当然のことながら「結果」にあたる内容を含まないようにします!!
マテメソ
Material and Method。材料と方法。
記載論文であれば、まず対象となる標本がどのように得られたのか、などの情報をここに示します。実験系の論文より単調な構成となることが多く、他の論文の書き方を参考に構築する感じです。
結果
リザルト Result。
実験論文であれば、マテメソに示した方法によって得られた結果を、正直に記すパートになります。
「結果」の中で種を記載する場合、何が書かれるべきなのか。私は読み手の要求という視点から論文を書いてみましたので、その時の心持ちを整理してみます。
※あくまで「こういう事例を見かけた」「私はこう思って書いた」というレベルの話です。
<調査標本:material examined>
- 記載に使用した全標本を挙げる。
- 「標本番号」+ 「成熟度・性別」+「体長」+「採集地」+「採集日」+「採集者」(パラタイプの場合は個体数)。
<判別文/標徴:diagnosis>
- 当該分類群の定義、改訂されるまでは種そのものの輪郭として扱われる。
- その新種を、種として認識するにあたって必要不可欠な特徴が押さえてある。
- 現状の知見および定義の範疇で、この特徴を具えているものをこの種として同定する、という手掛かり。
- 図鑑を作る時に、似た種をいくつも載せるとしたら、種ごとの解説文として掲載してほしい文章。
<記載文:description>
- タイプ標本の特徴を余すところなく記述する。
- 将来的に分類に使われる形質まで漏らさない勢いで、図と文が相補関係になるように記述する。
<命名学:etymology>
- 命名者のみが知る真実を語る。
<変異:variation>
- 形態の幅を記録する。
<体色:coloration>
- 生時あるいは固定後の色彩を記録に残す。
<生息地:habitat>
- 地理的特性や微環境について記述。
※「水深」などを独立させた論文もある。
<分布:distribution>
- 地図上の生息域の広がりを示す。
多くの記載論文において「結果」は記載文を収納する役割を果たしますが、「結果」を設けない代わりに「Taxonomy」や「Systematics」が設けられることもあります。
書きながら思ったのは・・・例えば、マテメソに「採集をして得られたサンプルを分析する」と記し、結果として既知種に同定されたとします。当然、「結果」には同定結果を記述することになります。
一方、サンプルが未記載と判明すれば、「結果=未記載種と判断された」と述べることになりそうです。だとすれば、その未記載種を記載する行為を含むセクションは「結果」の後に独立した項目として存在しうるのではないでしょうか?マテメソに「もし未記載であったら記載する」と書かれていれば、記載行為も「結果」に含まれそうなものですが、記載するかどうかをマテメソに明記することはあまりない気がします。
そもそも、新種について判別文を書く場合、あるいは上位分類の判別文を修正する場合,これは「結果」と「考察」のどちらに含まれるのでしょうか?形質情報を選別し、目的をもって並べているところからすると「結果」でしょうか。
なお、ウィンストン (2008) にはこのような記述があります:
- 「判別文」は「記載」の一部をなす。
- 「記載」は「考察」の前が来ることが多い。
- 「考察」に相当するものとして「所見 Remarks」のほか、「Taxonomic Discussion」「Taxonomic implication」「Relationships」「Comments」「Comparisons」が置かれたり、題がない場合もある。
つまり、記載行為そのものは「考察」やそれに類するセクションには含まれず、記載の最初に来る「判別文」が「考察」に組み込まれることは無いようです。
しかし、既往研究に挙げられた特徴を検討して当該新種との違いを論じながら「判別文」を組み立てる場合、少し「考察」めいてくるような気もします。「定義」に照らして「結果(事実)」を見極めて判断を行うのが分類学の営みだとすれば、「判別文(定義)」に対する筆者の見解が「考察」にあたるのは当然だとしても、「判別文」そのものが「考察」に含まれるかというと迷います。
とはいえ、やはり「結果」で形態の記述だけを行って、その後に「考察」かなんかで記載している論文なんてのは私も見た記憶がないので、今回は王道に従って「結果」に相当するセクションで記載を行うことにしました。
※過去の論文では,「sp.」止まりで形態の線画が掲載され,後の論文で図なしで記載行為が行われたこともあります (Nagata 1965)。また,過去に記載されたある種が紆余曲折を経て別の種のジュニアシノニムになり,そのことに後から気付いた研究者が形態の記述を伴わずに種の記載行為を行ったこともあります (Stock and Biernbaum 1994)。いずれにせよ,形態の記述と記載稿を分けるのは,特殊な事情と考えてよさそうです。
先に触れたように、ヨコエビの新種記載には色々な経緯があって、それぞれ事情によって項目は変わるはずです。
今回は特に、幾度か葬送されつつもそのことが世間に広まっていない故に現世に留まっている「とある属」を丁重に弔いつつ止めを差さねばならぬので、当然あるべき「近似種との比較」に加えて、「高次分類の議論」を入れなければならない。これを「結果」として扱うのに迷いましたが、「分類」の章を立てることで解決しました。
考察
Disscusson ディスカッション。
事実(結果)に基づき、そこから考察を導きます。
<所見:remarks>
- 新種とみなす根拠。
- 標本に関することで、推測や意見を含むもの。あるいは記載文やその他の項目に落とし込むことが難しい情報。
<考察>
- 先行研究を踏まえた今回の新種の位置づけ。
- 比較的雑多な話題、網羅的な内容を扱うことができる。
このへんは相対的な区分になると思います。
他種との識別点の議論が、あくまで今回の新種を軸に行われていれば「所見」に馴染みますが、当該新種のウェイトが小さい場合「考察」に馴染むかもしれません。
記載を行うにあたって、近縁種との比較は欠くことができません。その過程や結果を読み手と共有することは更に重要なことと捉えられているようで、多くの論文において近縁種との識別には多くのスペースが割かれ、多様な手法による検討が惜しみなく行われている印象です。
その「比較」は「考察」ゾーンに含まれるべきで、特に「所見」として記述されることが多いと思います。しかし、「他種との関係」などと題して独立した項を設けたり、「differential diagnosis」と題して「判別文」の中で識別点を述べるパターンもあるらしく、このあたりは分類群の慣例に従うのが良さそうです。
謝辞
Acknowledgement。テレグラフから離れ、気持ちを表すパートです。
卒論では A4 の 1P をぎっしり謝辞で埋めた経験があり、謝辞において後れを取らない自信があったのですが(?)、今回は英語なのと、研究室の同僚というようなノリでは決して紹介できないような方ばかりで、唸りながら既往研究の謝辞を読み漁る日々が続きました。
そんな中、 このようなサイトを発見しました。
「世界初(!?)謝辞自動生成システム」という眼を疑う表記。
さっそく自動生成システムを使ってみたところ・・・限界を感じたため採用を断念しました。しかし、他にもいろいろコーナーがあり、豊富な文例と頻出ワードの解説など、痒い所に手が届くネ申サイトです.このサイトを謝辞に連ねたいくらいです。
みなさんもぜひご活用下さい。
また、もう謝辞を書き上げた後に見つけたのですが、こちらのブログで謝辞の構成など簡潔に紹介されています。良記事です。
引用文献
名付ける楽しみ
もしかすると、名前をつけたい欲求が大きい人間かもしれません。和名、学名、ちょっとひねって名付けたいタイプの人間です。
詳細は省きますが、命名規約に定められるところの学名は(一部の例外を除き)アルファベット26字のみを用いて綴られる決まりになっています。全体はラテン語やギリシャ語(化した単語)によって構成され、これには性別などのルールがあります。例えば属には、男性・女性・中性の3性があり、性別に対応して種小名の語尾を変化させます。
具体的には、Gammaropsis属は女性なので、種小名は ~a (例:G. japonica)と綴られます。Aoroides属は男性であるため、種小名は ~s(例:A. curvipes)。Monocorophium属は中性なので、種小名は ~m(例:M. insidiosum)となります。
属の性別は設立時に指示がある場合はそれに従い、そうでなければ、属名そのものの語尾や、既知種の語尾などから判断することができます。しかし、レジェンドクラスの名だたる分類学者もたまに間違えたりしていますので(Ishimaru 1985; Hirayama 1988)、注意が必要です。
その種の形態や生態にちなんだ特徴から、名前をつけるのが理想です。
しかし、例えば命名時には十分に大きいと思って「gigas」などと名付けても実は後からもっと大きな種がゴロゴロ見つかるとか、命名時には底生が多い中で珍しい特徴と思われ「pelagica」などと名付けても後にむしろ遊泳性種が多いことが判明するとか,わかりやすい名前をつけたつもりで、かえって後世の混乱につながる命名をしてしまう可能性もあります。
また、属名と種小名のセットで構成される学名のシステムにおいては、最初に記載された時の属と種の組み合わせが後からバラバラになる前提で考える必要があります。後に新種が見つかる場合だけでなく、属位変更があった時にも,混乱が起こり得ます。そういうわけで、個人的には、分類学的に安定性が乏しいグループについては、相対的な特性に基づく命名はしないほうがよいと思っています。つまり、種やそれ以上の分類が安定に程遠いヨコエビの学名は、まだ油断ができないと思っています。
なので、種名については、揺らぐことのない絶対的な事柄(タイプロカリティや関係者)から持ってくるのもアリでしょう。人への献名には「美しくない」と批判をする人もいるようですが、記載してもし尽せない現実が横たわるα分類にどれだけ携わった上での発言なのかは大いに疑問です(まあ,仮に一つの属に含まれる過半数の種が献名だったりしたら,研究者名簿を見ているようで変な気分はするでしょうが)。また、最近の話題でいえば筆頭著者がセルフ献名した十脚類の事例がありましたが (Saengphan et al. 2020)、ヨコエビ界隈でも著者が自分の名前を学名につけた例は記憶にありません。
ヨコエビ界隈では恩師や高名な研究者に経緯を示して名付けられた種のほかに、発見者 (Berge et al. 1999; Stoddart and Lowry 2010; Lowry and Stoddart 2011a) や、携わった機関(Joseph et al. 2018)、調査船 (Chevreux 1899; Stoddart and Lowry 2010; Kodama and Kawamura 2019) などに由来する種もあります。中には、ひたすら肉親とか知人の名前をつけまくった論文 (Coleman and Lowry 2006) などもあり、これはさすがにやりすぎだと思います。
個人的には、地元の伝承とか物語(Ruffo et al. 2000;Krapp-Schickel 2009;d’Udekem d’Acoz and Verheye 2017; Sidorov 2020)、あるいは少数民族の言語や方言に因んだ種小名が好みです(Ishimaru 1985; Kuribayashi and Kyono, 1995; Nakamura et al. 2019)。好きなアーティストに献名してニュースになった事例 (Thomas 2015) もありましたし、好きなビールの銘柄 (Weston et al. 2020) に因んだ命名や、最近では新元号「令和」から命名されたのもいました(Okazaki et al. 2020)。
ヨコエビは、日本に分布するものでも、種や上位分類群に和名がないこともあります。科とか属に和名がない場合は、種の記載のついでに和名を提唱するチャンスかもしれません。
和名は、図鑑やニュースに載らないまでも、レポートに使われたり観察会で紹介されたりと、学者以外の人がよく使います。学名に使われるアルファベットは、アナグラムだったりそもそも意味がなかったりしても、記号として用いられるため問題はありません(ただし単語として成立しない出鱈目な配列はダメですし、規約の勧告25でも使いやすいこと等が示されています)。しかし、和名はそうはいかないと思っています。
さきほど「相対的な特性から命名しないほうがいい」と述べましたが、和名についてはちょっと違う気持ちを持っています。和名は属位変更の影響を受けませんし、国内だけで成立すればよいので、全世界の構成種を考慮せねばならない学名より名付けやすいはずです。そもそも(一部を除いて)運用を拘束する決めごとが無いので、例えば動物の中で他の種と被っても名前が消えたりしません(例:ベニスズメ,ヤマトシジミ,ミミズク,マツムシ等)。なお、学名の場合は同じ規約が適用される枠組みの中では被ることは許されませんが、動物 vs. 植物など異なる規約が支配する分類群同士では制限がありません(例:Byblis,Leucothoe,Stenia 等)。
こういった理由で、学名とは少し趣を意として、あまり事務的な側面を考えずに特性を重視して分かりやすく名付けたほうが親切な気がします。
個人的には、テッポウダマ,ウチデノコヅチ,ホヤノカンノン,ダイダラボッチなど、印象的な和名を数多く提唱した Ishimaru (1994) が最高だと思います。また、学名もそうですが和名は長くしようと思えば「ニセクロホシテントウゴミムシダマシ」とか「セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ」とか「リュウキュウジュウサンホシチビオオキノコ」というようにいくらでも長くなるので、個人的にはリュウキュウホソオやツノアルキといった「体言止め」を活用して引き締まった和名が好きです。ただし、「コナガ」「カスマグサ」のように省略が過ぎて伝わりにくくなるのも考えものかと思います。
横棒にご注意
論文の執筆にあたり、今まで考えたことも無い壁に直面しました。
まずこちらの文章をご覧ください。
The specimens were chilled to −5 ℃ before preserved in 99% ethanol.
Maxilliped palp: 4‐articulated; inner plate with 3 apical spines — each spine reduced and robust — and followed with 6–7 fine setae.
注目いただきたいのは横棒です。
この横棒、実は4種類あります。
”「−」5 ℃” : マイナス U+2212
”4「‐」articulated” : ハイフン U+2010
”「—」each spine” : emダッシュ U+2014
”6「–」7 fine” : enダッシュ U+2013
いや、もう一緒でよくね?
単位系
ヨコエビの記載において使うのはほぼ長さ(mm,m,km)くらいで、あとは(国際単位系ではありませんが)せいぜい緯度経度や塩基対(bp)と思われます。
木下 (1981) にはSI単位系と併用単位などが一通り挙げられています。本書はミリオンセラーの技術書ですが、紙の本だということは覚えておかねばなりません。2019年にキログラムの定義が改訂されたことは記憶に新しいですが、このように単位系には改訂があるので、万全を期すには逐次最新の知見を参照できることが望ましいです。SI について web などでアナウンスしているのは測量や計量に関わる企業だったりするのですが、あまり更新頻度が高くないページが多くて意味が薄いので、ひとまずBIPM(国際度量衡局)のリンクを貼っておきます。
とはいえ、よほどデリケートな単位を使うことがない限り、重篤な問題は起きない気がします。併用単位を含めて、common sense を記述しつつ多くの人の目に触れて揉まれているソース、例えば wikipedia などで事足りると思います。ちなみにこのブログの執筆時の直近1ヵ月で、wikipedia の「国際単位系(日本語)」は1日平均約500ビュー、2週に1回程度のペースで編集されています。掲載漏れや荒らしのない、ちょうどいい状態にあると言ってよいでしょう(あくまで印象です)。
読んでもらう
投稿論文の原稿は、提出する前に誰かに読んでもらうべきでしょう。今回私は経験豊富な共著者に恵まれ、また執筆に長い時間をかけたことで多くのヨコエビストにアドバイスをもらう機会を得ました。有り難いことです(この良し悪しについては後述します)。
また、英語を母原語としないものはネイティブのチェックを受ける旨、投稿規則にて指示がありました。今回は親交のあった米国の院生に依頼しました。
ちなみに、簡易的な英文のチェックには「Grammarly」というサービスがあります(無料コースあり)。無料コースを使った限り、学術的な表現には全く対応していませんが、数の一致など基本的なもののワードのスペルチェックだけでは引っかからない間違いをたくさん確認したいときなどには有用です。
また、利用したことはありませんが、海洋生物学や分子生物学の論文(特に甲殻類!)について「ジャパン・サイエンティフィック・テキスト(JST)」の英文校閲サービスがオススメとのことです。
投稿してから
完成した原稿は、投稿規定に定められた方法で提出します。今回は全てEメールでのやりとりでした。送付ができたら編集委員から逐次連絡が来ます。
私が想定外だったのは、査読者の推薦をお願いされたこと(そもそもそういうシステムがあることを知りませんでした)。
初めての記載で不安に駆られていた私は、先に述べた通り折に触れてたくさんのヨコエビストに助けを求めており、査読の折にレフェリーたりうるアクティブなヨコエビ研究者をかなり巻き込んでしまいました。「編集者はこの謝辞を見てどうやって査読者を見つけるのかな?」などと悪役のような笑みを浮かべていましたが、それがまさか我が身に返ってこようとは・・・
査読者の推薦についてはネット上の噂では諸説あり、「著者から推薦された査読者は外すに決まってる」「著者の推薦通りに依頼が来た事例がある」「査読してほしくない人を指定するとその人に回されるに決まってる」「査読してほしくない人の希望はわりと通る」などなど。分野とか雑誌によって事情が違うのかもしれませんが、査読は匿名なので、憶測が生まれるのも無理はありません。
とりあえず「私個人から原稿を見てくれるよう頼めるほどの関係性は温まってないけどこの分類群に詳しい」方をご指名させていただきました。ただ、当然ですが、結局その希望が通ったかどうかわかりません。
コロナ禍の影響があるかわかりませんが、今回は原稿を送ってから半年後頃にレビュー結果が来ました。
今回の評定は「掲載可」。ほっとしたのも束の間、メジャーリヴィジョンとの闘いが待ち受けていました。レビュアーによって着眼点は様々で、また2人の共著者と2人のレビュアーのチェックを経てもなお誤植が見つかるなど、恥ずかしいこともありました。著者本人しか分からない情報については間違っていても誰も直してくれませんので、見つかるたびヒヤヒヤします。
さて、原稿が完成してからの流れとしてはこのようになるかと思います。
- 雑誌の事務局へ送付
- 連絡待ち
- (※指示のある場合)査読者指名
- 連絡待ち
- 事務局から査読結果返答(掲載可/掲載不可)
- (※リヴィジョンありの場合)修正原稿および修正点のレポートを提出
- 連絡待ち
- (※リヴィジョンありの場合)事務局から再度結果返答(掲載可/掲載不可)
- (※場合により)供託標本等のナンバー取得
- 初稿提出
- 連絡待ち
- 最終的な修正箇所の連絡
- 修正箇所の確認・返答
- 連絡待ち
- (※場合により何度かやりとりした後)受理通知
- 連絡待ち
- 初校確認の連絡
- 初校の確認・返答
- 連絡待ち
- (※場合により何度かやりとりした後)校了の連絡
- 公開待ち
- 出版
今回はタイプ標本群を2つの博物館へ供託したので、それぞれの管理No.を取得しました。これに前後して、遺伝子情報を GenBank に登録しました。これらNo.を初稿へ反映させ、事務局へ再度提出します。
振り返ってみると、共著者や事務局からの連絡待ちの間が結構あり、緊張が途切れた場面は多かったかと思います。こういった隙間時間にうまく別の論文執筆を入れたりして、時間を有効活用できるようになりたいものです。
論文の内容についてはまた改めて。
(補遺)2021.3.22
実は受理の後、図の解像度について物言いが入りまして。だいぶ揉めました。
文章や図表には数値的な基準がありますが、数値ではない実際の解像度(カクカク具合)については、元データの情報量で管理するしかないです。
今回は可能な限りベクタで入稿というエクストリーム解決を図りましたが、やはりそれなりの環境がないと危ないと認識しました。
また、校正の段階にも関わらず誤字とか凡ミスがボロボロと出てきて修正にかなり時間がかかりました。研究遂行能力が問われる局面の一つと思い知りました。
-----
・一部書式設定変更。
(参考文献)
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論文の受理、心よりお祝い申し上げます。拝読できますことを楽しみにしております。
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